子どもを塾に通わせている保護者の方のなかには、「塾に通わせている意味がない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
塾に通うこと自体は、目的ではなく手段です。目的を達成することができなさそうであれば、子どもを塾に通わせる意味がなくなってしまいます。ただし、その場合に塾を辞めさせるべきかどうかを決めるのは簡単ではありません。各家庭の状況に応じて慎重に判断する必要があります。
本記事では、保護者の方が「塾に通わせる意味がない」と感じてしまう具体的な理由を紹介します。その上で、塾を効果的に活用するための具体的なアプローチなども解説します。お子さんの塾通いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
塾の意味と目的を再確認しよう
「塾は意味がない」と決めつけてしまう前に、塾が本来持つ意義と目的を再確認しておきましょう。
塾は、学校での学習を補い学力アップに貢献するための場所であり、受験に向けて専門的な指導を提供する場所です。また、塾で指導を受けることで勉強に前向きに取り組めるようになる、学習習慣が身につくといった効果も期待できます。
また、塾の指導スタイルには集団授業や個別指導などがあり、それぞれメリット・デメリットが異なるなかで、子どもにあったスタイルを選んで指導を受けることが可能です。
「塾通いさせる意味がない」のかどうかは、これらの点を踏まえて総合的に考えなければなりません。
「塾は意味がない」と感じてしまう理由
お子さんの様子を見て「塾は意味がない」と感じてしまっている場合、以下に挙げるような理由が考えられるでしょう。
それぞれの理由やその背景を説明します。
塾通いの成果が見られない
塾に通うことによって得られる目に見える成果としては、学校の定期テストの点数が上がる、模試での合格判定が上がるといった点が挙げられます。
そういった成果が見られない場合、講義を担当している講師の質が低かったり、カリキュラムがあっていなかったりする可能性が考えられます。講師の質は授業の質に直結するので、講師の質が低い場合は塾通いを継続させるかどうか悩むのは自然なことです。
集団授業の場合、講師を変更することは難しいですが、個別指導であれば担当講師を変えてもらえる場合もあるので、まずは塾側へ相談しましょう。
また、カリキュラムや指導内容があっていない可能性も考えられます。
集団塾に通っている場合は、子どもの学力によりあっていそうなコースへの変更を検討したほうがよい可能性がありますし、個別指導なら担当講師にカリキュラムの再確認を視野に入れる必要があります。
子どものやる気が出ていない
塾に通うことで、お子さんの勉強に対するモチベーションが上がったり、自宅での勉強時間が長くなったりする場合もあります。
塾に通ってもなかなか成果が見られない場合、講師との相性が悪い、学習環境がよくないなどの背景が考えられます。
周りからの評価が高い講師でも、自分の子どもとの相性が悪ければ、その講師の授業を受け続ける必要性はありません。
集団塾なら別のコースへの移動を、個別指導なら担当講師の変更を希望するべきでしょう。
自習室が狭い、自習中にわからないことが出てきた際に質問できる講師がいないなど、学習環境がよくない場合も、子どものやる気を向上させるという点ではマイナスです。
費用対効果に不満がある
塾に通わせている効果が出ていないわけではないものの、費用対効果の点で不満があれば、「塾は意味がない」と感じるかもしれません。
「授業料の割に成績の上がり具合がイマイチだ」「講習代や教材費などで追加料金を支払う機会が多い」そういったモヤモヤが積み重なっていくことで、塾に対する不満につながりやすいでしょう。
効果が出ていないわけではないので判断は難しいですが、ほかの選択肢を考えてみてもよいかもしれません。
「塾は意味がない」と感じた場合の対応
現状の塾通いに意味がないと感じた場合、子どもをそのまま塾に通わせ続けるべきかどうか、今一度考える必要があります。
結果としてそのまま塾に通わせ続けることになるかもしれませんが、塾に意味がないと感じた時点で以下のようなことを検討すべきでしょう。
まずは、お子さんとしっかりと話し合う必要があります。
保護者が感じている気持ちと子どもが感じている気持ちは異なる場合があり、「今の塾をどう思っているのか」「学習に対するモチベーションがあるか」など、お子さんが何をどう感じているのか直接聞きましょう。
お子さんの気持ちを踏まえた上で、塾側へ現状と保護者としての気持ちや不安・不満を相談してみましょう。塾としても、担当講師の変更やカリキュラムの見直しなど、現状を打開するための提案をしてくれるでしょう。
場合によっては退塾や転塾・ほかの学習方法への転換を検討することになるかもしれませんが、話し合いや相談を経ることで子どもや家庭にとってより納得のいく結論に着地できるでしょう。
塾を意味あるものにする方法
塾通いを意味あるものにするために効果的な活用方法としては、以下が挙げられます。
それぞれの活用方法を、詳しく説明します。
通塾の目的や目標を再設定する
塾に通う目的や目標は各家庭や子どもによって異なりますが、親子間でしっかりと共通認識を持てているかどうかは非常に重要です。
「なぜ塾に通っているのか」「塾に通うことでどういった目標を達成したいのか」ということを、あらためて親子で話し合いましょう。
その結果、目的や目標がこれまでとは変わるかもしれませんし、将来的な目標を達成するためにいくつか段階的な目標を設定することになるかもしれません。
そういった過程を経て目標・目的を今一度認識すると、勉強に対する姿勢を見つめ直すことができます。加えて、目標に対する進捗を振り返る時間を定期的に設けることで、目標達成に向けた舵取りをより効率的に行えるでしょう。
子ども・講師とのコミュニケーションを増やす
成績が上がらない、今習っている単元が難しいなどの理由でモチベーションが上がらず、子どもが「塾に行きたくない」と言っている場合もあります。
その場合は、塾での出来事や学んだことについて定期的にコミュニケーションをとることがモチベーションアップにつながることも。子どもの様子を見ながら、塾や勉強について積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
また、子どもを指導してくれている講師ともやり取りを増やすことで、子どもの状況をより詳しく知ることができます。
講師とのコミュニケーション頻度を高めることで、講師の指導スタンスなどもより詳しく知ることができるので、保護者としてどのようなサポートが必要かも見極めやすくなるでしょう。
定期的にカリキュラムを見直す
カリキュラムは受講するコースによってさまざまで、通常授業のカリキュラムとは異なる内容の特別講座を設けている場合もあります。個別指導塾の場合は、通塾頻度を柔軟に設計できるので、カリキュラムの自由度も増します。
学期や定期テストごとにカリキュラムを見直す機会を設けることで、よりお子さんにあった学習が可能になるでしょう。
ほかの学習方法と併用する
オンライン教材の活用や学習用アプリの利用など、塾以外にも学力や成績を伸ばすための方法はあります。
塾に通うだけで成績を伸ばすことに限界を感じているのであれば、ほかの学習方法との併用も検討しましょう。
塾がある日は塾の講義の内容をしっかり復習する、塾がない日はオンライン教材で演習に打ち込む、通学時間や寝る前の時間はアプリでより多くの単語を暗記するというように、シチュエーションに応じて最適な学習方法は異なります。成績アップや志望校合格という最終目標を達成するために最適な方法を探りましょう。
「塾は意味がない」と感じたら、まずは親子で話し合おう
子どもを塾に通わせているのになかなか目に見える成果が表れないと、「塾は意味がない」と保護者が感じるのも仕方のないことかもしれません。
周囲からは評判がよい塾であっても、子どもの目標を達成するためには不向きだと思うのであれば、退塾や転塾といった選択肢を検討すべきです。
ただし、塾に通うのはあくまでも子どもなので、子どもの気持ちをないがしろにしてはいけません。
子どもの気持ちを聞いて話し合いを重ねたうえで、子どもも親も納得できる結論を下すことが重要です。
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