中学生の子を持つ保護者の方のなかには、子どもを塾に行かせるべきかどうかで悩んでいる方もいることでしょう。
塾にはメリットと注意点の両方があり、子どもの状況によっては、塾に行かせないほうがよい場合もあります。
では、子どもが塾に行くべきかどうか、どうやって見極めればよいでしょう。
この記事では、中学生が塾に行くメリットや、塾に行かなくてもよい場合などについて説明します。
通塾を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 中学生は塾に行くべきか?
- 本人が塾に行きたがっているか
- 学校の勉強や独学で十分ではないか
- 塾に行くことで満足してしまわないか
- 家計に通塾する余裕があるか
- 中学生は塾に行くべきか?塾に行ってる割合を紹介
- 中学生が塾に行く理由・メリットとは
- 子どもに学習習慣をつけられる
- 高校受験の対策ができる
- 学校の内申点を上げられる
- 塾で新たな仲間ができる
- 塾の設備やデータなどを利用できる
- 中学生が塾に行くときにかかる費用相場
- 中学生が塾に入るときの注意点
- 必ず成績が上がるわけではない
- 保護者のサポートが必要になる
- お子さまのレベルや性格にあった塾を選ぶ
- 中学生が塾に行かずに自宅で学習する際の注意点
- 目標や戦略、スケジュールをしっかり定める
- 適度に休憩を挟んで集中力を維持する
- 動画サイトの解説動画なども活用する
- 塾は目的ではなくあくまでも手段
- 中学生が塾に行くべきかどうかは事情を考慮して判断しよう
中学生は塾に行くべきか?
中学生になると塾に行く子どもが増える傾向があり、自分の子どもも塾に行かせたほうがよいのか悩んでいる保護者もいるかと思います。しかし、中学生になったからといって必ずしも塾に行く必要があるわけではありません。
塾に行かなくても成績が上がったり、高校受験に合格したりしている中学生がいるのも事実です。
子どもを塾に行かせるべきかどうかを判断するためには、以下に挙げる点を考えてみるとよいでしょう。
本人が塾に行きたがっているか
どんな取り組みも、成果を挙げられるかどうかには本人のやる気が大きく関わってきます。
本人が塾に行きたくないと言っているにも関わらず、無理矢理塾に行かせても期待しているような成果は得られない可能性が高いです。実際に塾に行きたくない子どもは一定数いることが考えられます。
「やらされている感」によって、かえって勉強を嫌いになってしまうことも考えられるでしょう。
本人がやる気を出したり、受験に向けて危機感を覚える中3のタイミングで塾に行かせることを検討するのがよいかもしれません。
学校の勉強や独学で十分ではないか
すでに勉強の習慣が身についている場合や学校の授業を十分理解している場合は、塾で勉強する必要がないこともあります。
そのような子どもの場合、自分なりの勉強方法やリズムがすでに確立されていることが多いため、無理して塾に行かせると通塾の時間や授業が負担となり、逆効果になるケースも考えられます。
自宅に良好な学習環境が確保されているのであれば、受験シーズンに入っても無理に塾に行かせる必要はありません。子どもの学力と学習習慣、志望校の難易度などを踏まえて判断するのが賢明です。
塾に行くことで満足してしまわないか
子どもによっては塾に行くことで満足してしまい、本来の目的である学力向上や学習習慣が身につかないことも考えられます。
塾に行くことは目的ではなく、あくまでも成績を上げる、受験に合格するといった目的に対する手段です。
しかし、なかには塾に行くことで「塾に行ってるから安心だ」という気持ちになってしまう子どももいるでしょう。
そのような場合、塾に行っても自宅での学習習慣が身につくことはなく、安心感だけ得られてしまい、逆効果になることも考えられます。
塾に行き始める前に子どものやる気を確認するのはもちろん、通いはじめた後も定期的な面談などで塾での子どもの学習態度をしっかり確認する必要があります。
家計に通塾する余裕があるか
塾に行くには当然費用がかかり、受講する授業の数によっては、毎月数万円かかることもあります。
また、毎月発生する授業料や教材費などに加えて、長期休みには夏期講習や冬期講習といった季節講習の費用が追加で必要になります。
家庭によっては、これらの費用が家計の負担となることも考えられるでしょう。
最近では動画サイトなど無料で視聴できる教材もあるため、利用を検討してみるのも一考です。
中学生は塾に行くべきか?塾に行ってる割合を紹介
お子さまが中学生になったからといって、必ずしも塾に行かせる必要があるわけではありません。ただ、実際に中学生になると塾に行く子どもが多いのも事実です。
「Ameba塾探し」が全国の小中学生の子どもがいる保護者約3000人に実施したアンケートによると、塾に行ってる中学生の割合は全体の58.9%であり、中学生の2人に1人は塾に行ってることがわかります。
また、今は塾に行かせていない方に「今後、塾に通わせたいと思いますか?」と質問したところ、「とても通わせたい」(10.6%)、「やや通わせたい」(27.2%)と約4割近い保護者が子どもの通塾を希望していることがわかりました。
とはいえ、子どもを塾に行かせるべきかどうかは、塾に行くことのメリットや注意点を理解し、子どもが向いているかどうかを把握したうえで判断することが必要です。
中学生が塾に行く理由・メリットとは
中学生が塾に行く理由・メリットは、主に以下のようなことが挙げられます。
上記のポイントから、中学生が塾に行く必要はあるのか、必要ないのかを判断するとよいでしょう。それぞれの行く理由・メリットについて、詳しく説明します。
子どもに学習習慣をつけられる
自発的に勉強をするお子さまであれば問題ありませんが、普段勉強する習慣のないお子さまの場合は、塾に行かせることで学習習慣をつけられるメリットがあります。
自分の子どもに「勉強をしなさい」と口うるさくいったとしても、勉強をさせるのはなかなか難しく、お互いにストレスとなってしまうことが考えられます。
塾に行くことで学校以外の場所でも週に数回、強制的に勉強をする機会を作ることができますし、塾では課題を適切に出してくれるため、家庭でのお子さまの学習習慣につながるでしょう。
高校受験の対策ができる
塾に行くことで基礎的な学力を上げられることはもちろん、受験問題の傾向に沿った対策もおこなえるため、自主学習するよりも効率的な受験対策が可能です。
費用を払っている分、学校に比べて質問や相談をしやすいのもメリットといえるでしょう。
限られた時間内で合格を目指すには、戦略を練ることが何より大切です。自分の得意科目を活かせる高校を選ぶことや、出題傾向を踏まえた勉強をすることで、合格に大きく近づくことができます。
しかし、中学生は初めての受験の場合も多く、自分ひとりで戦略をたてるのが難しいこともあるでしょう。
少しでも不安な場合、まずは1科目のみ塾に行くことがおすすめです。1科目でも行くことで、講師へ質問をしたりアドバイスをもらう機会を獲得できます。
勉強方法は大丈夫か、公立と私立の高校どちらを目指したらよいか、スケジュールはどのように立てたらいいのかなど、こまめに相談をするとよいでしょう。
中3になると受験生としての実感がわきはじめ、進路に悩むこともあるでしょう。塾講師と相談することで自分では見つけられなかった進路を探せるかもしれません。
また、自習室などの施設を使用できることも塾に行くことのメリットです。
自宅で集中して勉強ができないとき、学校の図書館などを使用することもあるでしょう。ただ、公共の場はとくに受験シーズンには席が埋まりやすいため、塾に自習室があると便利です。
なお、自習室の席と在籍生徒数のバランスはあらかじめ確認しておきましょう。
学校の内申点を上げられる
高校受験では内申点も重要な要素になります。塾に行くことで、内申点アップも期待できるでしょう。
内申点を上げるには、定期テストで安定してよい成績をとることが必要です。全科目の成績を学年をとおしてまんべんなく高く保つ必要があるため、苦手な科目がある場合は、その科目だけでも塾に行くようにするとよいでしょう。
とくに、学校の問題集や宿題を教材として使用できる塾であれば、塾でおこなう学習をそのまま学校の成績につなげやすいのでおすすめです。
多くの場合、学校の問題集などは提出期限が定められており、それ以降に提出すると内申点に影響が出るおそれがあります。塾で先取りして学習を進めておくことで、そういったリスクを減らせるでしょう。
また、塾の講師とともに問題を解くことで、わからない部分をすぐに解消できます。
ただし、学校によっては学習の先取りを推奨していないところもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
また、夏期講習や冬期講習などでは1日に数コマ以上、時間にすると多い場合で10時間前後も授業を受けることもあります。
中学生のときに学習習慣が身につくと、今後の人生全体にプラスに働くでしょう。
塾で新たな仲間ができる
塾に行くことで、同じ目標を持つ仲間ができて勉強へのモチベーションが向上する可能性があります。
多くの場合、中3の秋ごろから徐々にクラスの雰囲気が受験モードに変わりますが、塾の仲間は春や夏の早いうちから受験勉強に取り組んでいます。
塾の仲間とともに過ごすことで刺激を受け、勉強へのモチベーションを高めることができます。学校の友人にはできないような相談事も、適切な距離がある塾の友人であればかえってしやすい場合もあるでしょう。
同じ目標を持つ仲間と情報を交換したり悩みを相談しあったりすることで、ほどよく息抜きができ、長い受験生活を乗り越える助けになるはずです。
塾の設備やデータなどを利用できる
塾のなかには、自習室を設けているところもあり、授業がない日でも自由に利用できるケースがあります。
自習室は勉強に集中できるように設計された空間です。自分の部屋ではなかなか集中して勉強できないという子どもにとって、塾の自習室を利用できるのはありがたいでしょう。
自習室を利用する際は、利用可能時間と、在籍生徒数とのバランスをあらかじめ確認しておきましょう。とくに受験間際になると利用者が増え、席が利用できないなんてこともありえます。
また、塾はこれまで多くの受験生を送り出してきたことで蓄積されてきた、受験に関する膨大なデータを保有しています。そういったデータを自分の学習に活用できるのも、中学生が塾通いすることのメリットのひとつといえます。
塾に行くのであれば、利用できるものはすべて利用するぐらいの意気込みでいるとよいでしょう。
中学生が塾に行くときにかかる費用相場
お子さんを塾に行かせるか検討している方のなかには、費用相場が気になるという方も多いのではないでしょうか。文部科学省が公表した「平成30年度子供の学習費調査」によれば中学生の塾にかかる費用の平均は以下のようになっています。
学年 | 公立中学校(年間) | 私立中学校(年間) |
---|---|---|
中学1年生 | 110,774円 | |
中学2年生 | 178,408円 | 156,644円 |
中学3年生 | 313,780円 | 186,569円 |
全体 | 202,965円 | 153,365円 |
公立中学校、私立中学校ともに、学年が上がるにつれて塾の費用も高くなる傾向があります。
とくに公立中学校では高校受験があるため、中学3年生になると塾にかける費用が大幅に増加する点が大きな特徴です。
一方、私立中学校では、費用が高くなっているものの、高校3年生になっても大幅な増加はしていません。
私立中学校は中高一貫のシステムを採用しているため、そもそも高校受験をする生徒数が少ないこと、公立に比べて補習などの学習サポートが充実していることなどが理由として考えられるでしょう。
なお、全体で見た場合、1年間の費用は公立中学校が約200,000円、私立中学校が約150,000円という結果になっています。
月額にすると、公立中学校では約17,000円、私立中学校では約12,500円となるので、中学生の塾にかかる費用の目安にしてください。
中学生が塾に入るときの注意点
塾は行くことが目的ではないため、入ったあとが大切です。塾に入るときは、以下のように気をつけなければいけない点がいくつかあるため、事前に確認しておきましょう。
- 必ず成績が上がるわけではない
- 保護者のサポートが必要になる
- お子さまのレベルや性格にあった塾を選ぶ
それぞれ解説します。
必ず成績が上がるわけではない
塾に入ったからといって勝手に成績が伸びるわけではなく、最終的には本人のやる気や努力が大切です。
どんなに優れた授業を受けても、本人に学ぶ意欲がなければ意味のないものになってしまいます。
塾から出された宿題をこなすことはもちろんですが、理解力を高めて効率的に知識を吸収するためには、予習や復習が必要不可欠になるため、本人が目的意識を持って積極的に勉強することが重要です。
保護者の方は、お子さまを塾に行かせる前に、「塾に行く目的や勉強する理由」を本人と一緒によく話しておきましょう。
保護者のサポートが必要になる
お子さまが塾に行ってるからといって放置してしまうのはよくありません。中学生は難しい時期なため、干渉し過ぎるのもよくありませんが、勉強に取り組める環境を作るために、保護者の方のサポートも必要です。
例えば、進路や勉強方法で相談をされたら親身に対応したり、勉強のストレスをケアしたりと、できる範囲でお子さまのサポートをしましょう。
また、お子さまが勉強しやすい環境を整えることも大切です。とくに、中学3年生は高校受験があります。中学生の受験生は精神的に不安定になることも考えられます。
勉強の邪魔にならないように、テレビの音や会話のトーンなどに気をつけて、勉強に集中できる環境作りに協力してあげてください。
お子さまのレベルや性格にあった塾を選ぶ
塾を選ぶときは、お子さまの学力や性格を考慮することが必要です。塾によって特徴は異なり、難関校を目指す塾や学校の授業にあわせて学習を進める塾などさまざまです。
お子さまの学力とかけ離れた塾を選んでしまうと、成績が伸びるどころか勉強が嫌いになってしまうこともあるため、塾側の説明をしっかりと聞いて最適な塾を選びましょう。
また、塾の授業形態には大きく3つの種類があるので、どの形態の塾がお子さまに適しているのかを見極めることも大切です。
授業形態 | 特徴 |
---|---|
集団授業 | 学校の授業に近いイメージで、大勢の生徒に対して1人の講師が指導します。周囲に刺激を受けながら学習ができます。 |
個別指導型 | マンツーマンまたは、1~2名の生徒に対して1人の講師が指導します。本人のペースにあわせた学習ができます。 |
映像授業 | 録画を配信するタイプとリアルタイムで配信するタイプがあります。塾に通う手間がなく、あとから授業を見返すことができる場合もあります。 |
目的や本人の性格を考えて、最適な授業形態を選んでください。
中学生が塾に行かずに自宅で学習する際の注意点
中学生が塾に行かない、行きたくないという場合は、自宅学習によって学力を向上させる必要があります。
ここでは、自宅で学習する際に意識すべきことや注意点を紹介します。
塾に行きたくないという方は、上記を意識するとよいでしょう。それぞれについて、詳しく説明します。
目標や戦略、スケジュールをしっかり定める
塾に行って勉強する場合は、塾が設けた中学生向けのカリキュラムに沿って勉強することになるため、真剣に取り組めば着実に学力が身に着くことが期待できます。
一方、独学の場合は、手探りで勉強の方針を決めなければなりません。
勉強はただ時間をかければよいというわけではなく、きちんとした目標を立て、どのような方針で勉強するかを考えて、守るべきスケジュールに則って進めていくことが必要です。
中学生が一人でこれらを考えるのはかなり難しいため、両親が適宜相談に乗ったり、学校の先生に相談に乗ってもらったりして、効率的に勉強を進められるようにしましょう。
適度に休憩を挟んで集中力を維持する
人間の集中力は最大でも90分程度が限界といわれています。
集中力がない状態で勉強をしようとしても、内容が頭に入ってこず、時間を無駄にしてしまいます。適度に休憩を挟んで脳をリフレッシュさせ、集中力を維持することを心がけましょう。
また、マンネリ感も集中力を削ぐ要因になり得ます。
普段自室で勉強している人は、勉強する場所を変えることで意識がリフレッシュされて、集中しやすくなることもあります。ぜひ試してみてください。
動画サイトの解説動画なども活用する
最近では、Youtubeなどの動画サイトに勉強の解説動画を投稿する人も増えてきているため、自宅で勉強する場合にはそのような動画視聴サービスを活用することも検討してみましょう。
動画によって内容は異なりますが、問題を解く際に注目すべきポイントやユニークな語呂合わせによる暗記事項の覚え方など、参考になる内容も多いです。
自宅学習では主体的に勉強に取り組まなければいけませんが、動画を見ている間は学校で授業を受けているときと同じように多少受け身でも勉強になります。
少しリフレッシュしたいときに動画を見るのもよいでしょう。
動画の方向性や出演者によって好みが分かれることも多いため、自分にあっていて自然と視聴できる動画投稿者を見つけられると学習がはかどります。
塾は目的ではなくあくまでも手段
先ほども少し触れましたが、塾に行くことは目的ではなく、あくまでも成績を上げる、志望校に合格するといった目的に対する手段です。
塾に行くこと自体が目的化してしまうと、なぜ塾に通っているのかという意識が薄れてしまい、「言われたから行ってる」「まわりの子がみんな行ってるから自分も行ってる」という状態に陥ってしまう可能性があります。
勉強に限らずスポーツや仕事などでもそうですが、「なぜこれをしているのか」「この取り組みにはどのような意味があるのか」ということを意識するとしないでは、成果に大きな差が生まれます。
子どもには「国語に対する苦手意識を払拭するために塾の授業を受ける」「志望校の傾向に沿った対策をおこなうために塾に行く」といったように、目的意識をきちんと持って授業を受けてもらいましょう。
中学生が塾に行くべきかどうかは事情を考慮して判断しよう
中学生が塾に行くことには、高校受験の対策ができる、学習習慣が身につくといったメリットがありますが、学校の勉強や自主学習で十分なケースもあります。
また、何より本人が塾に行きたくないと言っている場合は、無理矢理行かせても思ったような成果が得られない可能性が高いでしょう。
塾に行くことは目的ではなくあくまでも手段であるということを意識し、本人がやる気を出したり、受験に向けて危機感を覚えたりしたタイミングで通塾を検討してください。