子どもが「塾をやめたい」と言いはじめてしまったとき、保護者としてどのような対応が適切なのか悩んでしまいますよね。
通塾しつづけることを強いたり子どもの気持ちを否定したりすると、その後の成績に悪い影響を及ぼしてしまうかもしれません。
本記事では、子どもに「塾をやめたい」と言われたときの対処法を紹介します。
ケース別に塾をやめるべきかどうかについても解説しますので、お子さんへの対応に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
- 子どもに「塾をやめたい」と言われたときの対応
- ①怒らずに子どもの話をじっくり聞く
- ②塾をやめたいと思った理由を聞く
- ③今の塾について親子で振り返ってみる
- ④塾をやめた後のことを聞く
- 塾をやめても問題ない3つのケース
- 塾の指導目的があわない場合
- 講師と相性があわない場合
- 塾の環境があわない場合
- 塾をやめる前に再考したほうがよいケース
- 部活や課外活動との両立が難しい場合
- 受験する学年である場合
- 学習習慣がない・勉強意欲がない場合
- 塾へ退塾(退会)理由を伝える方法と例文
- 塾をやめたいときにチェックすべき注意点
- 授業料などの返金が難しいことがある
- やめることが確定してから塾に伝える
- 塾をやめるのは次の学習環境(塾)が整ってからでも遅くない
- 挨拶は必須ではない
- 無理に通塾させない
- 理不尽なクレームは入れない
- 子どもの「塾をやめたい」は、学習環境を見直すきっかけになる
子どもに「塾をやめたい」と言われたときの対応
お子さんは、勇気を出して自分の気持ちを伝えてくれたはずです。
「塾をやめたい」と言われたら、まずは以下のステップで、丁寧に今の心情や考えに耳を傾けましょう。
それぞれ解説します。
①怒らずに子どもの話をじっくり聞く
塾に通うにはお金がかかるので、保護者の方からすると「こんなにお金をかけているのに…」などネガティブな感情になってしまうかもしれません。しかし、子どもの気持ちを聞かずに一方的に感情を伝えるのは不適切です。
「塾をやめたい」と言ってきたことを怒らずに、子どもの話をじっくりと聞きましょう。
話を聞く姿勢を見せなければ、子どもは「どうせ理由を言っても聞き入れてくれない」と本音を話さなくなってしまうかもしれません。
やめたい理由を話してくれなければ、対策の取りようがありませんよね。子どもが本音で話せるように、どのような内容であっても、まずは傾聴を大切にしてください。
もしも忙しくて時間がとれない場合は「〇時くらいに話を聞かせてくれる?」など、別で機会を設ける意思を伝えましょう。「忙しいから今度ね」と曖昧に先延ばしにすると、子どもは心を閉ざしてしまいます。
②塾をやめたいと思った理由を聞く
時間を確保できたら、塾をやめたくなった理由や背景を聞きましょう。
理由としては、学習内容が難しくてついていけない、部活動との両立が難しいなどお子さんによってさまざまでしょう。
大切なのは、「何でそんなこと言うの?」「成績がさがっちゃうよ」など子どもを否定する声かけをしないことです。
以下のような声かけをしてしまうと、子どもは自分自身を否定されたと感じてしまうので、注意しましょう。
どんな理由であっても、子どもは本気で悩んでいます。
まずは子どもに寄り添って、理由をしっかりと聞いてあげてください。
③今の塾について親子で振り返ってみる
やめたい理由が理解できたら、今通っている塾について親子で振り返ってみましょう。
学習へ取り組み方や人間関係など、以下の例のように複数の観点から考えてみてください。
「塾をやめたい」と考えているときは、どうしてもネガティブな部分ばかりに注目してしまいます。しかし、通塾によって学習習慣が身についたり、友だちが増えたりと、良くなった部分もたくさんあるはずです。
ポジティブな部分とも向き合い、今の塾を本当にやめてよいのか冷静な判断を促しましょう。
④塾をやめた後のことを聞く
どうしても塾をやめたいということであれば、退塾したあとの過ごし方を相談しましょう。
塾をやめてから何もせずに過ごすと、空いた時間でだらけてしまう可能性もあります。「暇だな」「やる気が出ないな」と、ネガティブ思考に陥るかもしれません。
部活動を頑張りたい、別の塾に行きたいなど、子ども自身に塾をやめたあとのことを想像させて、モチベーションアップを目指しましょう。
塾をやめても問題ない3つのケース
子どもの思いを尊重するべきとはわかっているものの、本当に退塾してもよいかなかなか決断できない方もいるでしょう。
以下のようなケースであれば、現在通っている塾をやめて問題はありません。
それぞれ、具体的な対処法を解説します。
塾の指導目的があわない場合
入塾前におおむね確認したとはいえ、塾の目的と、子どもの目指しているものが異なると感じられる場面が多い場合は、退塾を検討しましょう。
塾にはいくつかの種類があり、それぞれ目的が違います。
どれだけ実績が豊富な塾でも、お子さんの通塾目的とあっていないと結果につながりません。通
「指導レベルがあわない」「専門性が低い」など、目的とのズレを感じる場合は転塾を検討しましょう。
講師と相性があわない場合
講師との相性があわない場合も期待したような結果が出せないため、転塾を検討しましょう。
子どもの性格によって、講師との相性は大きく変わります。
穏やかな子どもに厳しい指導をおこなう講師がついたり、活発な子どもにおだやかな講師がついたりすると、授業が楽しくないと感じることがあります。
特に個別指導の場合、講師と1:1で授業をおこなうので、相性の良さが学力や成績の伸びに直結します。講師との相性があわない場合、面談を通じて講師を変えてもらえる塾もありますが、希望が出しにくい場合は転塾を視野に入れましょう。
講師変更を希望すると気まずさを感じる方もいるでしょう。塾にとっては決して珍しいことではないので、ぜひ積極的に相談してみてください。
塾の環境があわない場合
目的や講師の性格とは別に、塾の雰囲気があわない場合もあります。他生徒の競争意識が強すぎてストレスを感じるケースもあるでしょう。
塾内のギスギスとした雰囲気は、子どもにプレッシャーを与え、学習効果が出にくくなる原因になります。また、進学塾なのに緊張感がなく授業中の私語が多い塾は、学習に集中できないと感じる子どももいます。
ストレスを感じて集中できない場合は、まず教室長・塾長に伝えてみてください。教室の責任者に伝えても改善が見られない場合は、塾をやめることを検討しましょう。
塾をやめる前に再考したほうがよいケース
子どもの話を聞き、退塾に踏み切ろうと考える方が多いでしょう。しかし、一度立ち止まって考えたいケースがあります。
以下のような状況にあてはまっていたら、退塾するか再考することをおすすめします。
なぜ再考が必要なのかを以下で詳しく解説しますので、各ケースと照らし合わせて、お子さんと話し合ってみてください。
部活や課外活動との両立が難しい場合
部活との両立が難しい場合は、スケジュール調整で対応できるかもしれません。
部活をしていると、一般的に受験シーズンの夏過ぎまで勉強に集中しにくくなります。そのため、部活を継続しながら勉強するために、通塾スケジュールの変更で対応したほうがでしょう。
通塾日数を減らしたり、曜日を変更したりすることで、部活や課外活動との両立が可能です。
ただし、授業時間を遅くするのはなるべく避けてください。特に朝練がある場合、朝早く起きて、夜遅くまで塾で勉強すると、適切な睡眠時間を確保できなくなります。
授業中に眠くなったり、睡眠不足で学習内容が定着しにくくなったりするので、できる限り曜日変更や日数変更で対応しましょう。
受験する学年である場合
受験する学年は、なるべく塾をやめないほうがよいでしょう。小6、中3、高3といった受験学年は、塾をやめること自体がリスクになります。
塾をやめて自宅学習に切り替えようとしても、集中できず失敗するケースが多いのが現実です。ただやめるのではなく、よりよい塾に転塾する方向で考えるようにしてください。
今の塾よりレベルや雰囲気があっていて、学習プランや対策がしっかりできる塾を見つけてから、やめるようにしましょう。
学習習慣がない・勉強意欲がない場合
学習習慣がない場合、塾をやめたら余計に勉強しなくなると考えられるため、おすすめできません。
塾をやめるよりも、まず「親の意思だけで通わせていないか」「やる気を出せているか」を確認しましょう。
部活との両立が大変、雰囲気があわない、などと言っていても、実はただ勉強が嫌だった、というケースもあります。親子でじっくりと話し合って、勉強に対するモチベーションを確認するのが大切です。
勉強意欲が高まっていない場合は、子どもを褒めてやる気にさせる塾に通わせることも一考です。講師や教室の雰囲気、指導方針などが子どもにマッチすると、ぐっと勉強意欲が高まるケースも少なくありません。
まずは学習意欲を確認し、そのうえでやる気を高めるためにできることがないかを考えてみましょう。
塾へ退塾(退会)理由を伝える方法と例文
子どもとしっかり話し合った結果として退塾・退会することになった場合、塾にその旨を伝える必要があります。
退塾・退会を伝える方法は、電話・メール・塾に訪問して直接伝えるなど、適切に伝えられる形であれば問題ありません。その場でやり取りが完結することなどを考えると、電話で伝えるのがおすすめです。
事務的に「退塾したい」旨を伝えるだけでも問題ありませんが、礼儀としてきちんと挨拶をしたい方も多いはず。退塾理由をそのまま伝えるのは角が立つ場合もあるので、電話で退塾・退会する際の伝え方の例文をいくつか紹介していきます。
どのような事情で退塾することになったのか、簡潔にまとめて伝えましょう。
場合によっては理由をはっきりと伝えたほうがいいこともあるので、一例を紹介します。
授業の方針は塾によって異なります。受験方法によっては今通っている塾よりもお子さんにあった塾もあるので、そういった理由であれば角も立ちにくいでしょう。
塾をやめたいときにチェックすべき注意点
塾をやめる場合には、費用の扱いや伝えるタイミングに注意が必要です。授業料が無駄になってしまったり、やめにくくなったりしないよう、あらかじめ確認しておきたい注意点を解説します。
授業料などの返金が難しいことがある
塾をやめるタイミングによっては、授業料の返金が難しい場合があります。
返金対応については、入塾前に説明を受けていると思いますが、改めて公式サイトや契約書などで確認しましょう。
なお、2か月超で契約金額50,000円超の契約については、クーリング・オフ制度が適用になります。違約金は2万円または1か月分の授業料どちらか低い金額が適用になり、それを超えての請求はできません。
また、先払い授業料については、受講済み分と違約金を差し引いた金額は返金することになっています。もしクーリング・オフ対象の先払いをしていて、かつ返金がされない場合は、消費生活センターに相談してみてください。
やめることが確定してから塾に伝える
塾には、やめることが確定してから話をしましょう。曖昧な状態で相談をすると、強く引き止められてしまい、やめにくくなってしまうかもしれません。
また、担当講師に心配されてしまい、授業を受けにくくなるケースもあります。そのため、いつやめるのか、やめてどうするかが確定してから、塾に話をしましょう。
なお、塾に伝えるのが遅くなると、退塾のタイミングや返金額などに変更が生じる場合もあるのでご注意ください。
塾をやめるのは次の学習環境(塾)が整ってからでも遅くない
塾をやめるのは、次の学習環境が整ってからにしたほうがスムーズです。塾をやめてから時間が空いてしまうと、せっかく身についた学習習慣が乱れてしまいます。
また、一度休み期間をつくってしまうと、塾に通うのが面倒に感じてしまうかもしれません。塾をやめてからは、なるべく期間を空けずに、次の予定を入れるようにしてください。
ただし、塾に通うことが非常にストレスに感じている場合は、なるべく早くやめたほうがよいでしょう。子どもが安心して快適に勉強するためにどうするかを一番に考えて、行動してください。
次の学習環境の候補としては、転塾、家庭教師、通信教育などが挙げられます。
塾の環境や方針があわなくて塾をやめる場合は、より自分にあっていそうな塾を見つけましょう。しっかりとしたマンツーマン体制で勉強したい場合は、家庭教師をお願いするのがおすすめです。
部活の練習や課外活動などで忙しく、毎週決まったタイミングを勉強時間として確保するのが難しい場合は、自分の好きなタイミングで勉強ができる通信教育がよいでしょう。
挨拶は必須ではない
先ほど退塾する際の伝え方の例文をいくつか紹介しましたが、挨拶は必ずしなければならないというわけではありません。
これまで塾や講師にお世話になったという気持ちがあれば、挨拶をするのは自然なことですが、退塾の手続きを事務的におこなうだけでも問題ありません。
無理に通塾させない
塾をやめる場合は月末に退塾するのが一般的なので、退塾のことを伝えたあとも授業回数が残っている場合もあります。
とはいえ、塾の雰囲気や講師との相性がよくないからやめる場合は、残りの授業を無理に受けさせる必要はありません。
子どもの気持ちを第一に考えて、場合によっては残りの授業を休ませることも視野に入れましょう。
理不尽なクレームは入れない
もうその塾に通わなくなるからといって、塾に理不尽なクレームを入れるようなことは避けましょう。
たとえ講師との相性がよくなかったとしても、塾の雰囲気が子どもにあわなかったとしても、これまでの子どもの勉強を支えてくれたことは間違いありません。「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちで退塾しましょう。
子どもの「塾をやめたい」は、学習環境を見直すきっかけになる
子どもが「塾をやめたい」と言ったら、学習環境を見直すよいチャンスだと前向きに捉えましょう。
塾との相性が悪いのか、そもそも学習意欲が低いのか、忙しすぎるのかなど、塾をやめたいと思う原因はさまざまです。
やめたくなったタイミングで原因をしっかり見つめ直して対処すれば、より楽しく勉強できる環境を手に入れられます。
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