本の読み聞かせが大切だと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ところが、実際に読み聞かせをしようと思っても、どの本を読んだらよいのか、迷ってしまいますよね。
今回は国立市を拠点に “読書環境を育てる”絵本教室「Kids Book Space(キッズ・ブック・スペース)」を取材!スタッフ講師の赤松 緑にお話を伺いました。
子どもに絵本を読んであげたい、自分にもピッタリの本を探したいという方は、ぜひご一読ください。
毎月30冊以上の厳選した絵本を紹介!
ー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、「キッズ・ブック・スペース」の概要をお聞かせください。
赤松 緑さん(以下、赤松):キッズ・ブック・スペースは、子どもと大人が一緒に絵本やわらべうたと手遊びを楽しみ、感動を共有できる教室です。
4月と8月を除く毎月、国立駅から徒歩3分の場所で「月例講座」を開催。毎回、前半30分は子どもと大人が一緒に読み聞かせや手遊びを楽しみ、後半90分は子どもは製作、大人は絵本講座と別々に過ごします。
これは子育て期間中の親子が、一緒に過ごす時間を大切にしながらも、子どもにも大人にもそれぞれの時間を尊重し、大切にしてほしいという思いを込めてのことです。
メディアで専門家が絵本を推薦していても、実際にその本を手に取る機会は少ないですよね。また、本屋さんや図書館では本が大量にあり過ぎて、どれを選んだらよいか迷ってしまうのではないでしょうか?
そこで、私たちは毎月テーマを決めて、物語から科学的な絵本まで、厳選した幅広い本に触れてもらう機会をつくったんです。
2012年1月の講座開設以降、季節・行事・動物・自然・生活・食べものなどのテーマと共に、毎回30冊以上の絵本を紹介してきました。
参加者の印象に残るように、カラー表紙画像付き絵本のリストの配布も実施。このリストは、子どもの成長にあわせて、長く活用していただけるでしょう。
もちろん、大人の方にも感動できる “一生の宝物”となる本を見つけてほしいと思っています。
講座では絵本だけでなく、手遊びやわらべうたも80曲以上紹介。わらべうたは歌詞だけ見ると、面白いのか不安になるかもしれません…。
ところが、単に歌うだけでなく、さまざまなバリエーションを加えて、親子を巻き込んで遊ぶことで毎回驚くほど盛り上がるんですよ。
後半の子どもたちの製作では、ご家庭でも身近な材料を使って、テーマや季節にあわせた作品をつくります。その作品も80以上になりました。
参加者は親子だけでなく、絵本に関心のある一般の方、保育園・幼稚園・小学校の先生も多いですね。
育児や保育の初心者の方からは、前半で子どもとの触れあい方を学ぶことができると好評です。
ベテランの先生たちからも、幅広い絵本に触れることができ、製作や遊び方の工夫が自分たちが指導する際のヒントになると喜んでいただいています。
お孫さんに読み聞かせをしたいと参加された方からは、「年齢に関係なく、読み聞かせは楽しいことを再発見した」という感想をいただき、嬉しかったですね。
お気に入りの1冊に出会える講座はオンラインでも参加可能
ー今後開催予定のイベントがあれば教えてください。
赤松:11月の月例講座のテーマは「はたらく絵本」、12月は「モミの木の絵本」、2023年1月はうさぎ年にちなんで「ウサギの絵本」を予定しています。
この講座は私が担当していますが、私自身、幼稚園に勤めた後、小学校の図書室に勤務し、現在は現役の保育士と長年幼児教育に携わっています。
また、30年以上前から絵本の勉強を続けており、乳児から小学生まで、少人数から30人以上のグループを対象に読み聞かせの経験を積んできました。
子どもの年齢や読む状況、季節やテーマにあわせた本の選び方や読み聞かせの流れ、子どもの反応に臨機応変に対応する方法など、きっと勉強になりますし面白いですよ。
それから、年に1回は著名な講師をお呼びして「特別講座」を開催しています。
今年は10月30日に『ガンバの冒険』の原作『冒険者たち』の作者である斎藤 惇夫先生の講座を開催します。
斎藤先生は福音館書店での編集者、児童文学作家というだけでなく、現在は幼稚園の園長先生も務められているんですよ。
実際に幼児と関わりながら読み聞かせをされている体験を交えながら、先生お薦めの本をご紹介いただけると思います。
月例講座も特別講座もオンライン参加が可能です。遠方の方もYouTube動画でお楽しみいただけますので、ご参加いただけると嬉しいです。
親子で触れあう時間を大切にしてほしい
ー最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
赤松:子どもが本を読まないとお困りの方は、まず大人が本を読んであげてください。とくに10歳までは、毎日の読み聞かせが大切だといわれています。
本を読みながら、字やものを教える必要はありません。親子で好きな本を選び、一緒に感動するだけで十分です。
また、毎日本を読んであげたいと思っても、疲れ切った夜には、読み聞かせをしながら寝落ちしてしまうこともあるでしょう。
でも気にすることはありません。それだって、本を通じて子どもと触れあった大切な思い出です。
子どもがぐずると、すぐにスマホを与えてしまう親が増えています。それは子どもとの触れあい方を知らないだけでしょう。簡単な手遊びを覚えれば、目をあわせて、手を触れあって、子どもを喜ばせることができますよ。
今の年齢の子どもと接することができるのは今だけです。習いごとや勉強に日々忙しいと思いますが、子どもと触れあう時間をぜひもってください。
子どもはあっという間に成長してしまいます。限られた子育て期間を大切にしながら、親子で触れあい、たくさんの面白いことを経験してほしいと思います。
そして、私たちの目標は家庭・保育園・幼稚園・小学校で大人が良質な本を毎日読み聞かせして、子どもたちが本を好きになってくれること。
読み聞かせ、遊びや行事の楽しみ方のコツをお伝えすることで、毎日の子どもとの暮らしが豊かになることを願い活動しています。
少しでも興味をもってくださった方は、ぜひホームページをご覧ください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:キッズ・ブック・スペース