日本人宇宙飛行士が滞在していた国際宇宙ステーションの姿を、子どもと一緒に眺めた方も多いのではないでしょうか?
広大な宇宙から見たら地球は小さく、私たちの悩みも小さなものかもしれません。
今回はいのちの大切さを基盤に豊かな人材の育成と、豊かな未来づくりを目指す認定NPO法人「子ども・宇宙・未来の会」副会長の稲葉茂さん(写真右)にお話を伺いました。
子どもには豊かな未来を送って欲しいと考えている方は、ぜひご一読ください。
子どもたちの未来を豊かなものに
―本日はよろしくお願いいたします。まず、「子ども・宇宙・未来の会」の活動について教えてください。
稲葉茂さん (以下、稲葉):私たちは「子どもは未来から託された存在」だと考えています。“宇宙”に包括されるさまざまな素材を使い、創造性豊かな人材育成をおこなうことによって、子どもたちの未来を豊かにすることを目指し活動している団体です。
正式には「子ども・宇宙・未来の会」ですが、略称は頭文字をとって「KU-MA」といいます。
メインの活動は家族を対象にした家庭学習と複数回のスクーリングを組み合わせた「宇宙の学校®」があります。
それ以外にも、さまざまな団体からイベントの開催や講演の依頼をいただいて、子ども向けに科学的な工作や実験をおこなうこともあります。
企業CSR支援活動として、企業のいろいろな製品や活動が、社会的にどういう貢献をしているのか、学校で学ぶことが製品のどこにつながっているのかなどをものづくり教室や理科教室等で子どもたちへ伝えるお手伝いもしています。
それから私たちは教育的な活動をしている団体ということもあって、社会教育の指導者や教職員の研修をおこなうこともあります。
KU-MAがおこなう「宇宙教育」とは
―「宇宙の学校」について詳しく教えてください。
稲葉:みなさんは「宇宙教育」と聞くと、ロケットのことや太陽系の惑星のこと、それにブラックホールといったことを専門的に教える教育のことだと思われるでしょう。
このように「宇宙」のことを教えるのではなく、私たちは「宇宙」や「宇宙につながること」を素材に教材を考え、子どもたちに新しい世界を紹介することをメインに活動しています。
日常生活や身の回りで起こること、子どもが不思議に思う現象など、宇宙とは関係がないと思われることも宇宙のなかで起こっているといえます。
私たちのいのちはこの広い宇宙のなかで奇跡的に育まれています。そのいのちは当たり前にあるわけではありません。
具体的には遠い宇宙のかなたから見た地球は小さな点でしかありません。この小さな点のなかに75億人の人と100万種類以上の生物が一緒に生活をしているわけです。
まさに奇跡です。だからこそ、「いのち」は尊いのです。それを子どもたちに自然や生き物と接することによって、気づいてもらいたいと考えています。
子どもたちの心の中にある好奇心や冒険心、あるいはもっといろいろなものが上手になりたいという匠の心を育てることによって、子どもの未来が豊かになっていくと信じています。
これが私たちが、「宇宙教育」と呼んでいるものです。
子どもの探求心を育むイベント
―今後開催予定のイベントがあれば教えてください。
稲葉:コロナの影響で子どもたちが自由に外で遊べないなど、子どもの心が蝕まれている状態が続いています。
そんな子どもたちに少しでも楽しんでもらおうと、家族で楽しく学ぶオンライン講座「宇宙の教室」を開催しました。
今までに、フィルムケースでロケットをつくって飛ばしたり、ホバークラフトをつくって空気の力のすごさを知ってもらったり。星砂を探して星座をつくったこともあります。
このように宇宙や宇宙につながることを素材に、工作実験や観察を通して、子どもたちの探究心をご家族と一緒に育み、家族のきずなを深めることが講座の目的です。
12月以降もオンライン講座を実施していきたいと思っています。詳細が決まり次第、KU-MAの公式ホームページに記載いたしますのでご期待ください。
また緊急事態宣言が解除されて、対面での事業も展開できるようになってきました。皆さんから対面でのイベントのご要望があれば、ぜひお手伝いさせていただきたいと思っています。
KU-MAのオンラインショップでは、私たちの活動で使っている教材の販売もしています。
PTAのイベントや、町内会の子ども会で使いたいと購入してくださる方が多いですね。こちらも興味のある方はぜひご覧ください。
予測不能な時代だからこそ「いのち」の大切さを知って欲しい
―最後に、読者へ向けてのメッセージをお願いします。
稲葉:今コロナも含めて、将来を予測することがなかなか難しい時代なのかなと思います。
保護者の皆さんも、先行き不透明な子どもたちの将来を心配されているのではないでしょうか。
子どもに必要な資質はなにかを考えたとき、その答えのない社会がこれからずっと押し寄せてくるわけです。
今の子どもたちはその答えを「自らの力で判断をしながら、解決していく力」を身につけていかなければなりません。
その問題を解決するための一番のベースは、「私たちのいのちはこの広い宇宙のなかで奇跡的に育まれている」という事実にあると思います。
これからの社会では、子どもたちがすべてのいのちを大事にするという意識をしっかりと持ち、人々の未来が豊かになるためにはどうしたらいいかを考えるような探求的な力が必要になってくるでしょう。
このKU-MAの趣旨に賛同していただける方は、ぜひ会員になって私たちと一緒に活動に取り組んでください。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:子ども・宇宙・未来の会