ポールダンスといえば、映画などで女性が棒につかまって踊っているイメージがあるかと思いますが、それは一時代前の話です。現代のポールダンスは、ダンスやスポーツ競技として認知が高まっています。
千葉県初の「ALISH POLE DANCE」では、年代別にコースを設置して、多くの子どもにポールダンスの楽しさを教えています。
今回は、「ALISH POLE DANCE」代表の有村 和晃(ありむら かずあき)さんにプログラム内容を伺いました。
からだを動かすことが好きな方は、ぜひご一読ください。
千葉県初のポールダンススタジオ
ー本日はよろしくお願いします。早速ですが、「ALISH POLE DANCE」の概要をお聞かせください。
有村
和晃さん(以下、有村):「ALISH POLE DANCE」は、千葉県初のポールダンススタジオとして2018年に設立しました。
まず設立に至った経緯としては、私は会社員時代からポールダンスを習っていたのですが、当時はそもそもポールダンススタジオが東京に集中しているという状況だったのです。
実際私のポールダンスの師匠に当たる方も、千葉から東京のスタジオに通って自分の生徒に教えており、「東京にわざわざ行く必要があるという問題を解消したい」という思いがありました。
また、ポールダンスの技は完成まで時間がかかるのですが、私が4か月かけてひとつの技を習得したときにとてもうれしくなったため、「その気持ちを一人でも多くの方に体験してもらいたい」という思いが大きくなり、「自分でスタジオを設立したい」という気持ちになったのです。
ただ、当時私は会社員をしており、時間的な問題もあって、自分でスタジオを立ち上げるのは非常にリスクがあったんですよ。
そこで師匠に相談したところ、「ぜひやってみたら」という激励をいただいて設立に至ったわけです。
師匠も、会社員とポールダンサーの二足の草鞋を履いていた方ですが、「とても人生が楽しい」とおっしゃっており、その言葉にも背中を押されましたね。
親子で楽しく参加できる「親子ポール」
ー「ALISH POLE DANCE」の活動についてお聞かせください。
有村:私たちのスタジオでは、子ども向けのプログラムとして「ポールキッズ」「ポール小中学生」「ポール親子」「エアリアルティシュ」などを用意しています。
「ポールキッズ」は3歳から小学生までを対象としており、「ポール小中学生」は、小学生から中学生までを対象にしています。
ポールダンス自体、世間的には大人が取り組むイメージが強いようですが、先ほどの「エアリアルティシュ」同様、体幹がつけば子どもでも簡単にできてしまうんですよ。
ただ、目を離すと子どもは自由に遊んでしまうため、今の講師は、現役の保育士さんやキッズダンスを教えている方など、子どもの扱いに慣れている方にお任せしています。
ポールに登るということは落下の危険性もあるため、補助はもちろんクラッシュマットを敷いたり安全性を優先しています。
親子で参加できる「ポール親子」は、保護者の方は体幹を鍛えつつ、子どもは柔軟性と習得率のよさを活かして、親子でポールダンスを楽しく学ぶことができます。
ポールダンスは落下の危険性がある競技なので、小さい子ども連れでの利用はお断りしていますが、「ポール親子」は、3歳から小学生までの子どもであれば一緒に参加することができるのです。
「エアリアルティシュ」は、天井からぶら下げた布につかまって昇り降りする競技で、力を入れると揺れてしまい、体幹がとても大事なんですよね。
現在は、講師不在のため休講中なのですが 、競技の難易度が高いため、その分成功できたときの喜びも大きいんですよ。子どもは三半規管が強いので、子どものうちにやらせたいという保護者の方もいますね。
“柔軟性”や“習得性”が身につく
ー活動に参加することでどのような力が身につくのでしょうか?
有村:
幼少期からポールダンスを習うことで、“柔軟性”や“習得性”が身につきます。また、イメージ通りに体を動かす能力や、団体で参加する場合はチームワークやコミュニケーション能力も培われると思います。
昔はダンスといえば、怖そうな人が取り組むストリートダンスのようなイメージがあったと思うのですが、今は中学校の体育でも採用されるほどメジャーな競技になりました。
そういった背景もあり、最近では「子どもにやらせてみたい」という保護者の方が結構いらっしゃるんですよ。
子どもの興味がどこに向いているのかを知るきっかけにもなるのではないでしょうか。
ストリップからスポーツ競技へ
ー今後の展望をお聞かせください。
有村:今の段階では、ポールダンスに対してやはり“夜の仕事”というイメージを抱く保護者が一定数います。
そうではないという部分をよりたくさんの方に知ってもらうため、私は今後も公共の場でポールダンスを披露し続けていきたいですね。
そもそもポールダンスの発祥はインドで、最初は丸太を立てたところに男性が飛びついたり飛び降りたりする、器械体操のようなスポーツからきているんですよ。
そこからアメリカのサーカスで扱われ、さらに映画でストリップとして扱われるようになっていったといわれています。
そのストリッパーを演じた俳優が、「ポールダンスはエクササイズにいいよ」と言ったことで流行り出して、現在日本でも広がっているみたいですね。
結果的にスポーツ競技として認知が高まってきているんですよね。東京オリンピックでは、スケートボードが爆発的な人気となりましたが、いずれポールダンスにもその流れがくるのではないでしょうか。
ポールダンスを広めるためのその他の活動としては、とあるテレビ番組で、メンバーが月ごとに全国へ出向き、そのときの絶景などを撮影して作成しているカレンダーを真似て、私たちも千葉のさまざまな場所でポールダンスの写真を撮り、発信しています。
こうした活動で、一人でも多くの方にポールダンスを身近に感じてもらえたらうれしいですね。
また、ポールダンスを生業としている方にも、子どもや初心者の方々に教える仕事を提供していきたいという思いもあります。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
有村:身近な人をポールダンスに誘うと、「太っているので痩せたらやります」とか、「もう40~50歳になったから無理」などの反応が返ってきます。
しかし、当スクールは3歳から60歳前後と幅広い年齢の方に来ていただいているので、年齢はあまり気にしないでほしいですね。
ポールダンスをするときの衣装は、タンクトップやショートパンツといった露出の多い服装なので、それが気になる方もいますが、きちんと意味があるんですよ。
それは、ポールに上手く止まれるように肌の摩擦をつくるためで、たとえるなら、水泳の際に水着を着るのと同じ原理になります。
生徒も最初のうちは、露出が多い衣装が気になっていたみたいですが、レッスンを進めていくうちに慣れて、自然とからだのスタイルもよくなっていくんですね。
ポールダンスは難しい競技と思うかもしれませんが、誰でもできます。
試しに1回挑戦していただき、合うか合わないかの判断をしていただくだけでもよいと思います。少しでも興味があれば、挑戦しないともったいないです。
ポールダンスを始めてみたい方は、ぜひお問い合わせください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■ 取材協力:ALISH POLE DANCE