コロナの影響もあって出かけにくい今、ふらっと遊びに行くことのできる大きな公園はとても貴重です。
山梨県森林総合研究所「森の教室」は、体験学習やイベントなど、さまざまな形で自然の大切さを学ぶことができる子ども向けの施設。
森林や林業の研究をおこなう山梨県森林総合研究所の敷地内にあり、「森の教室」では多くの自然に触れられるほか、木製のおもちゃや、木々に関する絵本・資料なども用意しています。
今回は、山梨県の富士川町にある「森の教室」スタッフの外崎 玲子さんにお話を伺いました。
体験学習を通じてお子さんに自然に触れてほしい保護者の方は、「森の教室」を利用してみてはいかがでしょうか。
親子で楽しめる!林業や自然について学ぶ「森の教室」
ー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、山梨県森林総合研究所「森の教室」は、どのような施設なのでしょうか?
外崎 玲子さん(以下、外崎):「森の教室」は、山梨県森林総合研究所の付属施設です。
森林や林業について学んでいただく施設になっていて、体験学習やイベントも実施しています。
そのため、親子連れでいらっしゃる方々が多いですね。
また、山梨県森林総合研究所の研究成果についても、パネル展示などでわかりやすく紹介しています。
敷地内では野鳥も多く見られますし、時期になればカブトムシやクワガタムシを採集することもできます。
あとは、植物も珍しいものが多いです。
例えば、ウツボグサや、ランの一種のエビネといった植物もあります。
ー続いて、「森の教室」を設立するに至った経緯を教えてください。
外崎:「森の教室」ができたのは、平成6年です。
それまでは「林業技術センター」という、県の施設がありましたが、森林や林業の研究をさらに進めようということで、平成6年に「山梨県森林総合研究所」として今の場所に新築移転し、「森の教室」もできたんです。
森林や林業に特化した“森の教室ならではの施設”
ー「森の教室」にある施設についてお聞きしたいのですが、展示室や、体験ができる工作室があるのですよね。
外崎:展示室は、自然の仕組みや、森林、林業についての解説が分かりやすく展示してあり、楽しみながら学ぶことができます。
工作室では、電動糸ノコの体験が可能です。
また、「小枝であそぼう・かべかけ編」も7月から開催していて、11月30日まで体験できます。
小枝や木の実で壁掛けを作るのですが、ドアプレート(表札)や、フォトフレームにもなるので、ご自宅にぜひ飾ってほしいですね。
材料がなくなり次第終了なので、お早めにいらしてください。
ほかには、「ふみ台作り」や、「バードコール作り」「森の万華鏡作り」 が、7月20日~8月31日まで開催中です。
「ふみ台作り」は、山梨県産のスギで踏み台を作るというもの。お風呂イスにもなります。
バードコールとは、鳥の鳴き声に似た音を出す道具のことです。
ー「森の教室」で人気の施設はどこですか?
外崎:そうですね、「木のおもちゃ室」は特に人気です。
1時間でも2時間でも遊んでいくお子さんが見られますね。
平日は、保育園や幼稚園に行く前のお子さんが、親御さん、またはおじいちゃんおばあちゃんと、遊びに来ています。
木のおもちゃ室に置いている“おもちゃ”は、さまざまな木材で作られているのが特徴です。
木材による手触りの違いや、色を実際に見て、触って感じていただけるのが、この施設のよいところじゃないでしょうか。
ーほかにも、「森の図書室」という施設もありますよね。こちらも「森の教室」ならではの特徴があるのでしょうか?
外崎:森の図書室は、森林や林業に特化した本が置いてあるのが特徴です。
絵本も、森や動物、自然を重視した絵本を揃えています。
ほかには、県立図書館に行かないとないような専門書も取り揃えていますよ。
楽しいイベント盛りだくさん!木材のよさを知る体験学習も
ー今後、どんなイベントや体験学習を予定されていますか?
外崎:9月には「枝打ち体験&バウムクーヘンづくり」をおこないます。
このイベントでは、「枝打ち」という、はしごを使って「森の教室」の裏山に生えているヒノキやスギの枝を落とす、という林業の作業を体験できます。
この作業をすることで、節のない木材をつくることができるんですよ。
さらに、10月には裏山で「天然キノコの見分け方教室」が開かれます。
また、特別展では、「植物画の世界展」~ボタニカルアート展~(7月23日~8月22日)、「昆虫標本展」(~8月29日)もおこなっているので、ぜひお越しください。
ほかのイベントも、この季節やこの時期でないとできないイベントがたくさんあります。
ご興味がある方は、ぜひ「森の教室」の公式ホームページに載っているイベント予定表をご覧になってみてください。
「森の教室」での体験を通して自然を感じて
ー「森の教室」に訪れた子どもに見られる変化などはあるのでしょうか。
外崎:もともと虫に触ることすらできなかったという子が、「森の教室」で触れるようになったという声はよく聞きます。
これまで自然に触れてこなかったお子さんの場合、実際に触れてみることで得られる変化は大きいようです。
苦手意識を持っていても、体験を通して克服できるのは貴重かなと思いますね。
ー最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします。
外崎:最近だと、家でゲームばかりしているようなお子さんもいるかと思うのですが、そういった子どもたちにぜひ来ていただきたいなと思っています。
「森の教室」では、年間を通して季節に応じたイベントを開催しているので、気軽に遊びに来てほしいです。
また、木に触れあうことで、森林や林業に対する理解を深めて、楽しく学んで勉強できる場として活用してほしいなと願っています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:山梨県森林総合研究所「森の教室」