特待生というと成績上位者のみが得られるイメージですが、実は予備校ごとにさまざまな条件や基準が設けられており、該当するかどうかは予備校ごとに異なります。
たとえば、代々木ゼミナールには高卒生向けのテストによるスカラシップ制度があり、年間学費の全額または一部が減額となります。
河合塾の高卒生向けスカラシップ制度は、学業成績や出席状況から認定されれば奨学金5万円が受けられるなど、各予備校で特待生制度はまちまちの条件となっています。
そこで今回は、特待生制度を設けている大手予備校の「代々木ゼミナール」「河合塾」「駿台」「東進衛星予備校」「早稲田予備校」「早稲田アカデミー」の6校を詳しく紹介します。
予備校の特待生制度とは
予備校にかかる費用は年間で70万~90万円ほどとされており、特待生に認定されれば、かなり負担を減らすことができます。
現役生のみ、高卒生のみ、特定クラスの在籍者のみなど対象者を限定していることが多く、予備校ごとに特待生制度の条件や基準はさまざまです。
予備校の特待生制度でよくある条件
一定の条件を満たすことで受けられる特待生制度は、学費の免除など主に費用面で心強いサポートになります。ただし、対象者や条件、免除内容は予備校によって異なるため、事前の確認が大切です。
ここでは、一般的な傾向や例をご紹介します。
対象者
特待生に選ばれるのは、一般的に成績が優秀で合格可能性が高いと判断される受験生です。成績だけでなく、出席率や勉強に取り組む姿勢も判断材料のひとつです。予備校によっては、周りの生徒の模範となる態度が求められることもあります。
また、「現役生のみ」「浪人生のみ」といった区分を設けている場合や、特定のコースを選んでいる人に限定している場合もあります。
さらに、多くの予備校では学力基準を設けており、その基準をクリアしなければ特待生制度は利用できません。
条件の例としては、特定の模試でA判定を取ることや、偏差値が70以上であること、または予備校が実施するテストで上位に入ることなどです。ただし、基準は予備校ごとに違うため、自分の学力で狙えるかどうかを事前に調べておくと安心です。
免除金額
特待生に認定されると、授業料や入会金などの学費が免除または減額されます。免除の内容は予備校によって異なりますが、よくある例は以下のとおりです。
- 1講座または複数の講座の受講料を免除
- 授業料1か月分を全額免除
- 授業料2か月分を全額、または半額免除
- 授業料の半額に相当する金額を支給
- 入会金を無料、または半額に減額
予備校の費用は年間で数十万~百万円にのぼることもあるため、特待生制度を利用できれば負担を大きく減らすことができるでしょう。
予備校によっては、成績に応じて複数の段階に分けて免除額を設定している場合もあります。この場合、トップクラスの成績でなくても一定の優遇を受けられる可能性があるため、条件をくわしく確認しておきましょう。
申請タイミング
特待生になるためには、予備校の入塾テストや模試を受けたり、前年度の成績を提出したりすることが一般的です。
そのため、申請には締め切りが設けられており、予備校によって「入塾前」「入塾後」など申請が必要なタイミングが異なります。希望する予備校の制度を事前に確認しておくことが大切です。
また、申請には書類への記入、電話やWebでの予約、受験料の支払いなど、さまざまな手続きが必要になる場合もあります。時間がかかるものもあるため、余裕を持って準備を進めると安心です。
条件をクリアしていても認定されない可能性がある
特待生の条件を満たしていても、必ず認定されるとは限りません。理由のひとつは、募集人数に上限があるからです。
たとえば、成績の条件をクリアしていても、申請するのが遅れてすでに枠が埋まってしまっていた場合には、特待生としての待遇は受けられません。
このようなケースを避けるためには、前倒しで準備することが大切です。希望する予備校の制度について早い段階で調べ、申請のスケジュールを把握しておくようにしましょう。
大手予備校の特待生制度
現役生を対象としているのは、「東進衛星予備校」「早稲田アカデミー」となっています。
特待生制度のほか、入学金が免除・減免になる条件を設けているところもあり、認定条件はさまざまなので自分に該当するところはないか参考にしてください。
特待生に選ばれなくても、過去の在籍暦や兄弟姉妹の在籍暦、説明会の参加などが条件になっている場合もあり、意外と多くの人に該当するチャンスがあるといえます。
代々木ゼミナールの特待生制度
特待生を定めるスカラシップ制度のほか、高卒生だけでなく現役生も対象がある授業料一部減額規定があるので解説していきます。
【高卒生が対象】スカラシップ制度について
特待生に認定された生徒は、大学受験科年間学費の一部が減額されます。
授業料一部減額について
高卒生だけでなく現役生も対象となりますが、それぞれ条件が異なってきますので注意してください。
まず、高卒生向けの授業料一部減額になる3つの内容について説明します。ひとつでも条件に当てはまれば授業料一部減額措置を受けられます。
続いて、現役生向けの授業料一部減額になる内容と条件を説明します。
(※1)全国高1・高2共通テスト模試、大学入学共通テスト入試プレ、大学別入試プレテスト
河合塾の特待生制度
また、高卒生だけでなく現役生にも予備校入学金免除の制度があるので、内容について詳しく解説していきます。
【高卒生が対象】特別奨学生試験、特別奨学生制度について
具体的には、選考がおこなわれる年度の河合塾大学受験科に在籍する塾生を対象として、特別奨学生試験や河合塾が実施した模試成績と、出席状況を総合して判断されます。
スカラシップ制度に認定された場合は、授業料の一部(最大50万円)が免除されます。選考は年1回のみです。
(※) サクセス・クリニック(学力診断テスト)、全統共通テスト模試、全統記述模試、全統プレ共通テストの成績
予備校入学金免除について
下記に予備校入学金が免除になる条件を、高卒生・現役生ごとに内容をまとめました(※)。
条件 | 高卒生 | 現役生 |
---|---|---|
インターネットからの申込み | 入塾金が半額(35,000円)免除 | 入塾金が半額(16,500円)免除 |
兄弟・姉妹が2018~2025年度河合塾生の場合 | 入塾金が10,000円免除 | 入塾金が10,000円免除 |
2018年度~2025年度で「高校グリーンコース生」など該当コースに在籍の場合 | 入塾金が全額(70,000円)免除 | 入塾金が全額(33,000円)免除 |
2024・2025年度講習受講生などに該当の場合 | 入塾金が半額(35,000円)免除 | 入塾金が半額(16,500円)免除
|
ただし、在籍していたコースによってはインターネット申込からでは免除が適用されず、校舎窓口で申込みが必要となるのでインターネット申込者は気を付けてください。
駿台の特待生制度
予備校入学金免除について
条件 | 高卒生 | 現役生 |
---|---|---|
兄弟姉妹または保護者が駿台在籍暦がある場合(家族紹介割引制度) | 入学金から一部免除 | 入学金から一部免除 |
駿台の該当コースでの在籍歴 | 入学金全額免除 | 入学金全額免除 |
WEB会員登録生 | 入学金から一部免除 | 入学金から一部免除 |
事前の会員登録 | ― | 入学金から30,000円免除 |
該当の入学説明会・イベント・講習会・模試等の受講生 | 入学金から一部免除 | ― |
在籍していたコースや、講習・模試など駿台が定めるものに該当していないと対象になりませんので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
また、それぞれ学生証などの証明書類が必要となりますので、手続きの窓口に問いあわせしてください。
東進衛星予備校の特待生制度
入学金の免除だけでなく、特定の教科やコースに対して特待生制度が設定されており、講座や模試の費用が無料になる制度もあります。それぞれ詳しく解説していきます。
【現役生が対象】数学特待制度について
対象は2025年度中3生、中2生で、中高一貫校生、公立中学校生どちらでも可能となっています。
そのほかの条件として、通知表(通信簿)の直近の評価で数学が5段階評価の「5」であること。かつ、入学時学力診断テストの数学の成績が優秀であること。このいずれかを満たす生徒が対象となっています。
下記に特待制度で受けられる内容をまとめました。
【現役生が対象】東大特進コースの特待生について
現在もこの制度があるかは定かではないため、東大特進コースに在籍しているなら、特待生制度の有無を東進衛星予備校の窓口へ問いあわせてみるのがおすすめです。
東進オンライン学校の無料招待について
オンライン講座の対象講座の授業料が、通常120,000円のところ無料となります。無料招待対象の提供講座は、中学生が「数学」と「未来発見講座」、小学生が「算数」と「未来発見講座」となっています。
また、学習進度が速い生徒の場合は、飛び級テストに合格することで上の学年の授業も受けられる仕組みになっています。
申込みは東進衛星予備校の公式サイトからになります。
早稲田予備校の特待生制度
受験科目や成績順位ごとに異なる特待生制度の内容を詳しく解説していきます。
【高卒生が対象】特別選抜・選抜クラスの特待生制度について
免除額は、成績順位でA、B、Cの3段階にわかれています。それぞれ比較しやすいように下記にまとめました。
成績順位 | 免除額 |
---|---|
特待A | 入学金全額と年間学費50万円免除 |
特待B | 入学金全額と年間学費20万円免除 |
特待C | 入学金全額と年間学費10万円免除 |
特別選抜・選抜クラスとも、定員に達すると締め切られるため、早めの受験がおすすめです。
早稲田アカデミーの特待生制度
【現役生が対象】特待生制度について
早稲田アカデミーの特待生制度は、「S特待生」「A特待生」「B特待生」とランクごとに免除額が下記の通り異なってきます。
内容 | S特待生 | A特待生 | B特待生 |
---|---|---|---|
特別コース入塾金 | 無料 | 無料 | 無料 |
基本コース授業料 | 無料 | 無料 | 半額 |
東大必勝コース授業料 | 無料 | 無料 | 半額 |
講習会 | 無料 | 半額 | 半額 |
「S特待生」「A特待生」「B特待生」になるための条件としては、各種東大模試の成績が極めて優秀である生徒で、高3時の東大模試においてA判定ならS特待生、B判定ならA特待生、C判定ならB特待生に認定されます。
もしくは、校内成績が極めて優秀である生徒はAまたはB特待生と認定されます。その基準としては、たとえば「■▲高校2025年の東大現役合格者が30名」だった場合、A特待生が上位30位まで、B特待生が上位60位までとなります。
さらに、開成・筑駒・桜蔭の指定高校に在籍している生徒は、B特待生に認定されます。
予備校の特待生制度についてのまとめ
高卒生が対象の特待生制度が設けられているのは、「代々木ゼミナール」「河合塾」「早稲田予備校」の3校です。現役生が対象の特待生制度が設けられているのは、「東進衛星予備校」「早稲田アカデミー」があります。
受験勉強には何かとお金が要るもの。各予備校の特待生制度で、入学金や授業料が免除もしくは減免になるため、積極的に挑戦したいですね。
また、特待生制度のほかにも入学金免除の優遇や無料受講イベントを実施している予備校も多いので、条件に該当するならば積極的に活用していきましょう。