文部科学省SSH指定校「市川中学校・高等学校」の生徒の可能性を引き出す“先進的な理数教育”

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論理的思考力や理解力など、社会で必要なさまざまなスキルが養われることから、理数教育が注目を浴びています。

理科や数学などを専門的に学ぶことができる学校もあるほどで、なかには文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)(※)もあります。

千葉県市川市にある「市川中学校・高等学校」も、文部科学省からSSH指定を受け、研究開発をおこなう学校。

そこで今回は、SSH部長の庵原 仁先生と、広報部長の高田 敏行先生に、SSH指定校におけるさまざまな取り組みや、その成果などについてお話を伺いました。

(※)スーパーサイエンスハイスクールとは、文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に実施する高等学校を指定する制度のこと。SSHは、「Super Science High School」 の頭文字をとった略。

学ぶ喜びと生きる力を大切にする「市川中学校・高等学校」

ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「市川中学校・高等学校」がどのような学校なのか、概要や特色を教えてください。

高田 敏行先生(以下、高田):「市川中学校・高等学校」は、国内の難関国立大学および海外の有力大学などへの安定した合格実績を有する進学校です。

また、大学受験成果のみに留まらず、幅広い分野で活躍する共学の中高一貫校として、全国有数の卓越した学園を目指しています。

創立以来変わらない教育方針としては、「独自無双の人間観」「よく見れば精神」「第三教育」の3本柱を立て、生徒一人ひとりの個性を見つめ、じっくりと見ることで能力を育て、生徒が自分で自分を教育していく喜びと出会えるよう導いています。

とくに、第三教育を非常に大切にしていて、家庭で受ける親からの教育を“第一教育”、学校で教師から学ぶ教育を“第二教育”とし、自ら学ぶ自分自身による教育を“第三教育”と名づけました。

この3つの教育は、生徒たちが親元や学校から卒業していけば、いずれ第三教育のみが残ります。

社会に出た際には、仕事において専門的な知識が必要になってくる。だからこそ、自らで生涯学んでいける力を養い、自ら学び続けていくことが大事なんです。

学びたいという気持ち、今自分にどのような知識が必要なのか、常に考えて学び続ける、いわゆる“自学力”を身につけてほしいと考えています。

本校の学びの環境としては、図書館が第三教育の象徴ともいえるでしょう。

本校では、図書館を「第三教育センター」と呼び、蔵書は約12万冊。たくさんの本から知識を深めて学んでほしいという想いで、読書に力を入れている点が特徴のひとつだといえます。

また、最近は、自ら学ぶ第三教育力を土台に「リベラルアーツ教育」を推進していますね。

社会で求められるスキルや知識は、その時代環境によって大きく変わってきます。そこで、幅広い視野でさまざまなことに興味関心を持ち学んでほしく、文理関係なく学ぶことができるリベラルアーツ教育に力を入れています。

具体的には、「学力」はもちろん、「教養力」「科学力」「国際力」「人間力」の5つの力の育成です。そのほか、表現力や記述力といった指導も授業で取り入れて鍛えています。

やはり人生は卒業後のほうが長いので、学生時代にたくさんの体験を積み、たくさん失敗して、そこから課題を見つけていってほしいです。さらに、人とのつながりから人間力を磨いてもらえたらと思っています。

文部科学省の指定校!先進的な理数系教育を実施する「SSH」

アカデミックデイの画像

ー“自分で自分を教育する取り組み”としては、どういったことをおこなっているのでしょうか?

庵原 仁先生(以下、庵原):
本校は、2009年度より文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)の指定を受け、研究開発をおこなっています

SSHとは、「文部科学省が先進的な理科・数学教育をおこなう高校を指定し、支援する制度」のことで、全国で200校程度が指定されています。

指定期間は1期5年で、各校が独自の研究開発課題を掲げて、先進的な理数教育プログラムの開発に取り組んでおり、現在、本校は第3期の4年目を迎えたところです。

本校の第3期の研究開発課題は「自分で自分を教育できる自立した研究者を育成するプログラムの開発」です。さまざまな授業と課題研究をとおして、自立的に研究活動をおこなえる生徒を育成しています。

課題研究とは、生徒自身が自分の興味・関心をもとに研究テーマを決め、実験などをとおしてそれらを明らかにしていく活動のことで、本校のSSHプログラムの中心となるものです。

本校では、理系・文系の選択が決まった高校1年生の12月からテーマを考え始め、2年生になって理系に進んだ生徒全員が「市川サイエンス」という授業で課題研究を本格的にスタートさせます。

授業では、文献調査、テーマ設定、実験、考察など、授業中の活動は自分で決め、担当の先生や友人と議論しながら進めていきます。

研究の終盤には研究の社会貢献についてSDGs(※)を用いながら考えるのですが、SDGsについては、今ほど注目されていない5年前くらいから研究に取り込んでいました。

自分の研究を発展させていくなかで、SDGsの17の目標のどこにつながるかを考えて自分の研究成果を発表します。

近ごろは、研究を計画する時点で、生徒自身がSDGsを考えて研究を組み立てるようになってきました。

(※)SDGs(持続可能な開発目標)とは、「Sustainable Development Goals」の略。2030年までによりよい世界を目指す国際目標。

自分で自分を教育できる自立した研究者を育成するプログラム

小学生体験講座の画像

ーSSHでおこなっている取り組みをご紹介ください。

庵原:SSHでは、国内研修や海外研修、SSH小学生体験講座、SSH土曜講座などをおこなっています。


たとえば、「海外研修」では、本校生徒と、連携するタイの学校の生徒がお互いの学校を訪問して研究発表をおこなったり、一緒に研修をする相互交流プログラムを実施したり

普段学校生活を送るなかで、海外の同世代の生徒たちと交流する機会はなかなかないので、こういった経験を通じて異文化に対する理解を深め、国際感覚を身につけられるプログラムはSSHの特色のひとつだと思います。

それから、本校の生徒が講師となり、地域の児童を対象に理科や算数を教える「SSH小学生体験講座」は、本校のホームページで小学生を募り、2回開催しています。

物理・化学・生物・算数といった児童の幅広い興味関心に応えるものとなっており、実験や作業を中心に小学生にも取り組みやすい内容です。

講師は科学部など特定のクラブの生徒ではなく、理系の生徒全員がグループに分かれて講座をつくります。始める前は不安がっていた生徒も、「やってみると面白かった」と言ってくれて、評判がいいです。

この講座はコロナ禍の影響で中止していたのですが、先日4年ぶりに開催しました。本校の生徒も、参加した小学生も楽しんでいる様子を見て、本当によい企画だなと実感しました。

また、SSHのメインは課題研究ですが、理数教育プログラムをつくることが目的なので、普段の授業でもいろいろな取り組みをしています。

理科であれば、実験や観察を多く取り入れる授業などに力を入れていて、今後も課外活動だけでなく、授業も改善を加えながらつくり上げていこうと考えています。

ーSSHによって得られた成果を教えてください。

庵原:
一番の成果は、やはり理系を志望する生徒が増えたことでしょうか。

SSHに指定される前の本校は、理系選択者は4割程度で、文系選択者のほうが多かったため、“文系の学校”というイメージでした。しかし現在は、理系の生徒は6割以上を占めています。

また、自立的に研究活動をおこなえる生徒が育成できている点も成果だといえるでしょう。

海外研修やSSH小学生体験講座など、外に向かって取り組みを発信する機会がとても多いため、最初は乗り気ではなかった生徒も、徐々に自分の考えを伝えたいという気持ちが強くなっていくんです。

課題研究に取り組んでいくなかで、プレゼンテーションスキルが養われたり、理解力も高まったりします。実際に見ていても、SSHプログラムに参加する前とあとでは、生徒の意識がまったく違うと感じますね。

SSHの取り組みによって、知識以外にも、社会で必要なさまざまなスキルが身につくのですね!

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小学生体験講座は大人気!生徒の“やりたい”を引き出す

ー学校説明会やイベントなどの告知があればご紹介ください。

高田:10月に中学校と高校ともに学校説明会を実施予定です。高校は11月にも実施します。

また、SSH企画の高校生が教える小学生体験講座を12月16日(土)に開催します。

学校説明会や、土曜スクールツアーの詳細は、決定次第、公式ホームページにてご案内しますので、ご確認ください。

小学生体験講座は本当に人気で、1日に100名ずつ2回おこなうのですが、開催する日程を発表すると、1日ですぐ予約が埋まってしまうんですよ。

1か月前に公式ホームページにて予約を開始するので、ご興味のある方はお早めにお申し込みくださいね!

ー最後に、入学を検討している読者にメッセージをお願いします。

庵原:
SSHに取り組んでいくなかで、理科や数学の分野において、本当に面白いことができるとわかってきました。

本校は、専門の教員による手厚いサポートのもと、好きなことを好きなだけ取り組める環境が用意されています。

実験や研究など、面白いことがやりたい生徒は、ぜひ本校にお越しください!

高田:本校では、第三教育の実践として、さまざまな課外活動などをおこない、生徒のポジティブに“やってみよう、見てみよう”という好奇心を大切にしています

なにごとにも興味・関心を持ち、新たなチャレンジを楽しめる、学び合う仲間がいるのも特徴です。

いろいろな経験をとおして第三教育の達人になってほしいです。みなさんの入学をお待ちしています。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:市川中学校・高等学校

有田 幸恵
この記事を執筆した執筆者
有田 幸恵

Ameba塾探し 執筆者

幼少期は5歳から小学校6年生まで英会話教室に通う。高校受験時には家庭教師や塾の特別講習で猛勉強し、第一志望に合格。その後、芸能関係の道に進み、ライター業に転身する。エンタメや美容ジャンルの執筆を経験した後、弁護士コンテンツの法律記事に携わったのをきっかけに、読者の役に立つ情報発信を志し、2020年9月から株式会社サイバーエージェントのグループ会社 株式会社CyberOwlで編集者兼ライターとして従事。現在、「Ameba塾探し」で保護者やお子さまの未来に繋がる記事づくりを目指しています。