キャリア教育やグローバル教育、SDGs(※)、ジェンダー教育など、学校教育も時代とともに変化し、全国の学校ではさまざまな取り組みがおこなわれています。
神奈川県伊勢原市にある「向上高等学校」でも、グローバルに活躍できる人材を育成する“国際教育”や、人を思いやる豊かな心の育成を目指す“心の教育”を展開。
今回は、生徒行事・国際教育主任の植原 大樹先生に、国際交流や地域に密着した奉仕活動などの取り組みについて詳しく伺いました。
机上で学ぶだけでない、経験をとおした学びは未来につながります。学校生活で可能性を広げたい方は、ぜひご一読ください。
(※)SDGs(持続可能な開発目標)とは、「Sustainable Development Goals」の略。2030年までによりよい世界を目指す国際目標。
充実した学習支援と教育への取り組みで“夢を応援”する学校
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「向上高等学校」がどのような学校なのか、概要や特色を教えてください。
植原 大樹先生(以下、植原):神奈川県伊勢原市にある「向上高等学校」は、男女共学の学校です。現在、生徒数は1,500名を超え、一学年においてはおよそ500~550名が在学しています。
本校では、希望進路に応じた学習カリキュラムで、文理コース、選抜コース、特進コースの3コースを設定し、それぞれのコースにあった授業や講座などをおこない、生徒のやる気を力強くサポートしています。
学年によって変動はありますが、文理コースと選抜コースは、それぞれだいたい5、6クラス。1クラス40名前後の生徒が在籍しています。
難関国公立・難関私立大学への現役合格を目指す特進コースは、3クラスが用意され、1クラス30名前後です。
また、来年度からS特進コースという新しいコースがスタートします。難関国公立大学を目指すための体制が整っており、ハイレベルな授業と独自プログラムのほか、サポートも充実しているんですよ。
それから、本校で力を入れている、グローバルな人材を育成する「国際教育」や、「心の教育」でのボランティア活動も特色のひとつです。
生徒会活動としても、SDGsを学校全体で取り組むため、さまざまな仕掛けを考案しています。
心の旅と短期留学でグローバルな視点を養う「国際教育」
ー「国際教育」では、具体的にどのようなことをおこなっているのでしょうか?
植原:国際教育では、グローバルな視点に立って物事を考えることのできる人材育成と、持続可能な開発目標(SDGs)の実践をテーマに、海外との交流の場を数多く設けています。
まずは、本校が「心の旅」と名付けている修学旅行において、国際交流や平和学習、それから海外にある姉妹校と積極的に交流を図っています。
この取り組みが始まったのは1967年、沖縄と本土の行き来にパスポートが必要だった時代。異文化交流することを目的に沖縄の地からスタートしました。
その後1973年に行き先を韓国に変更し、1999年にはベトナム、2010年からカンボジアも追加され、3コースのなかから生徒の希望する場所を選べるようになりました。
近年、グローバル化が進み、国際教育が叫ばれるなか、世界で活躍できる人材育成と、自らの道を切り拓いていける力を身につけてほしいという想いが、国際教育の軸になっています。
また、SDGsを進めるにあたり、今年度の2年生より、SDGsの先進地であるハワイで「心の旅」を実施することになりました。現地ではこれまでどおり、平和学習や現地学生との交流とともに、エコツーリズムやSDGsに基づく体験をおこなう予定です。
そのほかにも、国際教育として、米国コネチカット州にある姉妹校との相互短期留学プログラムを実施しています。約2週間双方の生徒の家庭にホームステイし、それぞれの学校で授業を受けるプログラムなんですよ。
この短期留学は毎年人気で、候補者を絞り込まないといけないほどなんです。英語の成績や学年、コースなどを踏まえ、面接もして選考します。
米国以外にも、韓国へのホームステイも4年前まで毎年実施していました。最近はコロナ禍の影響もあって開催できていませんでしたが、また再開させたいです。
こうした短期留学の参加者は、語学学習の意欲が飛躍的に高まるのと同時に、将来の指針を見つけて帰国の途につきます。
やはり現地に行くまでは生徒も不安でいっぱいのようですが、言葉の壁を越えて現地の学生とすぐに打ち解けるので、生徒のコミュニケーション能力にいつも驚かされていますね。
地域に密着したさまざまな奉仕活動で「心の教育」
ー「心の教育」についてもお聞かせください。
植原:心の教育では、互いに人間として助け合い、人を思いやる豊かな心の育成を目指して、校内をはじめ、地域に密着した奉仕活動を実施しています。
たとえば、高校生としてできる奉仕活動のひとつとして、毎月一回、「克己日」という名の献金活動をおこない、ジュース一本分の献金を呼びかけています。
もともとこのボランティア活動は、占領下の沖縄で進学がなかなかできない子どもたちを本校に迎え入れようと、献金活動を始めたのがきっかけです。
年末の「チャリティー・コンサート」の収益金とあわせて、県内の各施設、諸団体に長年にわたり義捐金を贈呈しているんですよ。
生徒会主催の「チャリティー・コンサート」は、一年間の奉仕活動の総決算として年末に伊勢原市文化会館で開催していて、吹奏楽部やチアダンス部、音楽部が、演奏や演技を披露するんです。
コンサートには、本校とお付き合いのある児童養護施設の子どもたちや、障がい者支援施設の方々もご招待して、ステージ上で生徒会長から園長先生などに義捐金をお渡しする場面を設けています。
「克己日」の献金についてはさまざまな意見があるなかで、生徒会のメンバーが生徒玄関に立って献金の協力をお願いしたり、園長先生のインタビュー動画を各クラスで流したりなど、数々の取り組みをおこない、献金活動ももう50年以上になります。
そのほか、施設訪問によって施設の沿革を知ったり施設内を見学したり…。利用者の方々と交流する機会もあり、運動会や納涼祭などのイベントのお手伝いにも伺っていますね。
反対に、本校の「チャリティー・コンサート」や文化祭に来て楽しんでもらうこともあり、相互交流を深めて奉仕の心を育んでいます。
「克己日」は心の教育につながる架け橋。活動を通じて心の成長を育み、みんなのあたたかい気持ちが施設の子どもたちやお年寄りに還元されていることを伝えられたらいいなと思っています。
コロナ禍の影響でできていない活動もありますが、「克己日」以外にも、地域の公園の清掃やもちつき大会など、本校では本当にたくさんの地域に根付いた活動をおこなっていますね。
ー国際教育や心の教育の活動によって、どのような学びが得られるのでしょうか?
植原:本校の国際教育や心の教育は、グローバルマインドの育成が大きなテーマかなと思っています。
日本を訪れる外国の方も増えていることから、グローバル化を感じることが多く、英語が話せないと難しい世の中になってきているわけです。したがって、国際教育をおこないながら、英語力の向上にも取り組んでいます。
コロナ禍も落ち着いてきて、今こそ世界に飛び出せるチャンスではないでしょうか。そんなチャンスが広がっているなかで、世界で活躍できる人材の育成ができればと考えています。
また、本校の校是でもある「自学・自修・実践」。自ら学び、自らで正し、自分の道を自ら切り拓いていく、それこそが心の教育であり、ボランティアや奉仕活動に根付いていると思っています。
心の教育については本校の根幹でもあるので、さまざまな体験をとおして、自主的に考え、困っているひとに手を差し伸べられる生徒に育っていってほしいですね。
体験で育む教育!勉強も部活動も本気で取り組む学校生活に
ー学校説明会やイベントなどの告知があればご紹介ください。
植原:8月21日(月)に部活動体験会があります。各部活の説明を聞いたのち、活動体験をおこなうんです。
8月25日(金)の学校説明会では、本校の教育方針や授業内容の説明をします。説明会終了後は、施設見学や部活動の見学、個別相談会などを実施する予定ですね。
それから、10月7日(土)以降の入試説明会では、生徒募集要項を無料で配布します。
参加する方は事前予約が必要なので、日程の詳細もあわせて公式ホームページをご覧ください。
そのほか、「こゆるぎ祭」という文化祭が、9月9日(土)と10日(日)にあります。この文化祭期間中に学校説明会もおこなっていて、こちらも予約が必要です。「こゆるぎ祭」見学のみの方は、事前予約は必要ありません。
ぜひ、みなさんのご参加をお待ちしております!
ー最後に、入学を検討している読者にメッセージをお願いします。
植原:本校は、勉強だけでなく、部活動も盛んです。運動部と文化部があり、全国大会や関東大会に出場する部活動もたくさんあります。
私は新聞委員会の顧問もしていて、先日、鹿児島で開催された全国大会に出場しました。実は、今年は新聞委員会以外にも、5つの文化部が鹿児島での全国大会に出場したんですよ。
本校は部活動以外にも、ボランティアや奉仕活動、心の教育、国際教育、それから「こゆるぎ祭」や「スポーツフェスティバル」といった学校行事も毎年おこなっており、さまざまな体験を通じて多くの学びと成長が実感できる学校だと思っています。
たくさんの挑戦と経験を積みたい方は、ぜひ向上高等学校にお越しください。夢を実現させるための環境をご用意していますので、まずは学校見学で本校の魅力を感じていただけたら嬉しいですね。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:向上高等学校