益若つばさ「子どもが可哀想」の言葉に苦しんだ過去…“いい母親”像の呪いに悩む母たちにアドバイス<子育てインタビュー・前編>

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“ギャルのカリスマ”として一時代を築いた益若つばささん。現在はモデル、タレント活動のほか化粧品ブランドなどをプロデュースし数々のヒット商品を生み出しています。

2023年3月には長年在籍した事務所から独立し、自身のYouTubeチャンネル「益若つばさTsubasaMasuwaka」では新たな仕事への意欲も見せていました。

「テラコヤプラス by Ameba」では、益若さんの母親としての一面に迫るべくインタビュー。前編では“いい母親”の固定概念に悩んだ自身のことを、後編では息子さんとの関係についてお話ししていただきました

写真:堤 博之

益若つばさ

インタビュー当日は母の日の数日後。「息子は私がカーネーションより変わった形のサボテンが好きだと思って選んでくれたみたいです」と話し始めた姿は、私たちが普段テレビなどで目にする“益若つばさ”とはまったく異なる空気を纏っていました。思わず「本当にお母さんなんですね…」と口にすると「そうなんです」と笑う益若さん。数々の“ママタレント”が活躍している昨今、敢えて益若さんが仕事と母親の境界線をハッキリと分けている理由とは…

益若:皆さんに見ていただく益若つばさには“母親”は必要ないと感じているので、こうしてお話しをさせていただくときにしか出しません。「母親だったらこうしないといけない」という風潮が日本にはまだすごく残っていると感じているので、私は仕事上では“母親らしさ”は捨てているんです。

今は共働きも普通になり、芸能界でも“ママタレント”さんがたくさんいらっしゃいますが、私が出産した当時の十数年前は妊娠・出産をするとモデルやタレントのお仕事は需要がありませんでした。“芸能界を辞めて専業主婦になる”というのがなんとなく当時の日本のルート。だから、私もモデルのお仕事など一度すべて辞めました。「子育てが落ち着いたらパートとかするのかなぁ」と思っていたんです。

そんなときに「子育てをしながらも仕事ができるように」と周囲から提案されたのが、“商品プロデュース業”でした。当時はプロデュース業をしている人はあまり多くなかったため、すべてゼロからのスタート。それに加えて、母親の「子育てと仕事との両立」に対して理解が乏しかった時代。世間が益若さんに浴びせる言葉は相当なものでした…。

益若:「母親が働くとかありえない」「育児放棄だ」とそんなふうに世間から言われました。「いい母親になりたい」と自分なりに奮闘していても、それを100%表には見せられないじゃないですか。それこそいくらSNSが発達してようが、皆さんにお見せできるのは生活の20%ぐらいのもの。

息子の前でいくら頑張っても、結局知らない人が見たら「こんな母親は嫌だ」「子どもが可哀想」と言われる。「気にするな」と言われても、人ってどうしてもネガティブな評価の方を気にしてしまう。でもシングルマザーだから、私が働かないと息子が何かやりたいってときに力にもなってあげられないと、当時は悩んでいました。

私自身の「完璧な母親でいたい」という気持ちもありましたが、次第に“子どもといられる時間が少ない=お母さんとしての価値が低い”と思い込むようになっていきました。子どもと一緒にいられればいられるほどお母さんとしての価値が高い…そのように考えて気持ちが酷く落ち込んでしまうことが多くなったんです。

益若つばさ

日々続く“仕事と子育て”の葛藤。しかし、軸を他人から自分に戻し改めて自問することで、その答えが明白になったと話します。

益若:「もっと真面目に、もっともっと」と自分を追い詰めていた時期、ふと息子の姿を見たら、笑顔なんですよね。「息子、楽しそうだな」って。そのときに、にとっての“いい母親”になりたいのだろう考えたら、自分は息子のことよりいつの間にか人の目を気にしてしまっていることに気づいたんです。

例えば私は自分なりに息子の“食”をすごく大切にしてきました。離乳食のときからレトルトは使わず、自分で野菜を細かく刻んで冷凍してストックを。大きくなってからは一緒に料理を作って食べたりと、自分なりに試行錯誤していました。

その結果、息子は「お母さんのご飯が好き」って言ってくれているんですよね。それなのに「私は一体何を気にしてるんだろう…」って考えるようになったんです。

それこそ、「母親なのにネイルなんかして」「髪の毛が明るいなんて、お母さんっぽくない」と言われることも実はずっと気にしていましたが、息子が笑顔でいられることのほうが大切。

息子だけでなく、周りの家族やお友だち、お世話になっている方々が笑顔でいてくれること、そして自分のなかでちゃんと常識やルールがあれば、もっと自分らしくいてもいいんじゃないのかなって。

益若つばさ

そんな世間の“いい母親” にかつて苦しんだ益若さんが、同様の悩みを抱えるお母さんに伝えたいことは何かと尋ねると、「毎日100点を目指さないこと」と答えました。

益若:私が一番悩んだ時期に比べれば世間の考え方も変わってきたと思いますが、かつての私のように、世間の言う“いい母親”という呪いにかかっているお母さんはまだまだ多いですよね。「子どもが自立するまでは親は苦労して我慢して子どものためにすべてをささげる、それこそが愛だ!」みたいな。

もちろんその理想通りの母親でいたいときもありますよね。朝から掃除して洗濯して、料理とか子どもの世話も全部してみたいな!そんな100点の日も欲しいですよね。

でも、100点の日もあれば60点の日も0点の日があってもいいと思うんです。「今日は仕事が忙しかったから掃除とかちょっとできなかったけど、いいよね」、「それが私だよね」ってそんな自分を肯定する気持ちをぜひ大切にしてほしいですね。

それに子どもは親の手を離れたときの成長速度が早い!息子は中学で寮に入ってから、身の回りのことをあっという間に自分でこなせるようになりました。それを見て「手を出さずに見守ることも大切だったな…」と。だから、子どもになんでもしてあげたくなる気持ちを少し堪え、その分、自分自身に目を向けてもいいと私は思います

インタビュー後編では、益若さんの子育てのモットーや小学校受験、そして母子でとことん向き合ったという中学受験についてお話しいただきました。

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取材協力:益若つばさ
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YouTube:益若つばさ TsubasaMasuwaka

写真:堤 博之

ひらおか ましお
この記事を執筆した執筆者
ひらおか ましお

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

大学で入部したスポーツ新聞部をきっかけに、大学卒業後から本格的にライター業に従事。主にスポーツ雑誌を中心に活動していましたが、結婚と出産を機にwebや地元の情報誌などに活動拠点を移しました。子どもの成長と共に教育関連に興味をもち、2021年11月よりテラコヤプラスby Amebaで執筆を担当する二児の母。インタビューを通して得た情報を皆さまにシェアする気持ちで執筆しています。