値上げラッシュは留まるところを知りません。近年の物価の価格高騰により、2022年の値上げ累計数は食品だけに絞っても2万822品目、平均値上げ率は14%。(2022年12月1日帝国データバンク発表より)
月末になれば必ずと言っていいほど「来月からの値上がり品目」が報道されています。
ガソリン代や水道光熱費にいたるまで生活に欠かせないあらゆるものの値上がりは、子どもの「教育費」にも波及しているようです。
「Ameba塾探し」では、小中学生の保護者500人に対して、近年の教育費に関する値上げについてどのように感じているか尋ねたところ、約6割が「教育費の値上がり」を実感していました。
物価の高騰が教育費にどのような影響を与えているのでしょうか。また教育費捻出のために保護者はどのような対策をとっているのか、聞いてみました。
約6割が教育費の値上がりを実感
まず、値上げラッシュによって子どもの教育費全体の値上がりを感じているか尋ねたところ、約2割(21.0%)が「とても感じる」、約4割(43.6%)が「感じる」と回答。合わせて約6割(合計64.6%)の小中学生の保護者が教育費の値上がりを実感しており、まったく感じない」(8.0%)と答えた人は1割以下でした。
保護者は教育費のどこに特に値上げの波を感じているのでしょうか。「学校費」と学校外の「習い事費」に分けて聞いてみました。
学校費の値上げを実感している保護者は約4割
「学校費の値上がりを感じるか」尋ねたところ、もっとも多かったのは「あまり感じない」で35.8%、また「まったく感じない」も25.2%いることから、「学校費」の値上がりを感じている保護者はあまり多くないようです。
「とても感じる」(10.0%)、「感じる」(29.0%)を合わせて約4割(合計39.0%)でした。
しかし、小学生の保護者と中学生の保護者に分けて回答を見たところ、学費の値上がりを「とても感じる」「感じる」と答えた保護者は小学生では合計33.8%だったのに対し、中学生では合計50.7%と半数に達していました。
具体的に学校費のどの項目が値上がりしていると保護者は感じているのでしょうか。
学校費の値上がりを実感している保護者に、どの項目で値上がりがあったか尋ねたところ、もっとも多かったのは「給食費」(29.8%)、次いで「部活費」(20.4%)、制服費(19.3%)、「授業料」(17.9%)でした。
小中学生を問わず多かった「給食費」をめぐっては、保護者の負担を極力抑えようと各自治体も公費や国の補助金を充てることで対応する動きもあります。しかし、今後も続くと言われている食品の値上がりに、学校から「やむを得ず」と書かれたお知らせが届くのも時間の問題かもしれません。
中学生の保護者に多かった「部活費」はユニフォーム代だけではなく、遠征費の値上がりもあげられました。遠征の移動に関わるガソリン代や宿泊代などがそれにあたります。
という声もあり、回りまわって負担の波が押し寄せているようです。
値上げがあっても続けさせたい!1位は「塾・学習塾」
続いて学校外での「習い事費の値上がりを感じるか」尋ねたところ、「とても感じる」が18.8%、「感じる」が37.6%、合計すると半数以上(合計56.4%) の保護者が値上がりを実感していました。
特にどの習い事で値上がりがあったか尋ねると「塾・学習塾」(41.6%)と「水泳」(24.8%)が突出して多い結果となりました。
塾はそもそも習っている子どもの数が多いことも今回の結果に起因していますが、教材費やスタッフの人件費、施設費などあらゆる点で物価高騰の影響を受けていることが理由として考えられます。
「水泳」では、水温管理のための燃料代や電気代が大きく関わってきており、ウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が高止まりしているなかで、「値上げをしない」選択肢はないと言っても過言ではないのでしょう。
また、実際にはどの程度の値上がりがあったか尋ねてみると、「401~600円程度」がもっとも多く19.7%、「801~1000円」(16.6%)「2001円以上」(16.0%)と続きました。
そのため、習い事をなんらかの形で削減したと答えた保護者もいました。
また、保護者目線で今後値上がりが続いても続けさせたい習い事はあるか尋ねたところ、「費用が上がれば続ける予定はない」と答えた人は約2割(20.2%)にとどまり、約4割(39.8%)が「塾・学習塾」と答えました。
「スポーツ系の習い事」「芸術系の習い事」という回答は合わせて32.6%。答えた人の約6割が小学校低学年(1、2年生)から中学年(3、4年生)の保護者で、その理由については、
などと話していました。
一方で、小学校高学年(5、6年生)から中学生の保護者の多くが「塾・学習塾」を選択。
と語っていることから、子どもの未来を案じる保護者の思いが伝わってきました。
節約レシピやフリマサイトで副業…教育費捻出のための対策
アンケートにより、「学校費」や「習い事費」の値上がりを感じている保護者が多くいることがわかりました。
そのうえで、今後も上がり続けることが予想される「教育費」を捻出するために対策をとっているか尋ねたところ、約5割超(55.4%)が「はい」と回答。具体的な対策では「節約」(52.1%)がもっとも多く、次いで「副業」(27.1%)でした。
以下では、外食の回数を減らす、節約レシピを使った料理、フリマサイトでの売買に勤務時間の延長、積み立てNISAの開始など、保護者から寄せられた教育費捻出のための対策をいくつかご紹介します。
まとめ
教育費の高騰について調べた結果、「学校費」の値上がりを感じている保護者は半数以下に留まっていましたが、「習い事費」では全体の約5割超となっていました。
「学校費」で値上がりを感じているもののトップは「給食費」でしたが、「教材費」や「校外学習費」などその都度徴収されている費用も、さまざまな価格高騰に起因して、値上がり傾向にあるようです。
保護者の半数以上が値上がりを感じていると答えた「習い事費」では、「塾・学習塾」の値上がりを実感している保護者が多い一方で、値上がりが続いても続けさせたい習い事の1位も「塾・学習塾」でした。
その理由を「将来のため」「進学のため」と答えており、新型コロナウイルスや物価の高騰など不安定な時代に、保護者はいわゆる「堅実な道」を子どもに求めているのかもしれません。
【調査概要】
調査期間:2022年11月18日~12月2日
調査機関:自社
調査対象:全国の小中学生の保護者500人
調査方法:インターネット(クラウドワークス)
調査内容:「教育費の値上がり」に関するアンケート