一般社団法人「LYHTY」が目指す“すべての子どもに希望を灯す教育環境”への取り組みとは

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障がい、貧困家庭、児童虐待、ネグレクトなど、世の中にはさまざまな不遇を抱えた子どもたちがいます。

そんな多くの問題を抱える子どもたちに寄り添って活動する一般社団法人「LYHTY(リュフト)」は、不登校の子どもたちが通うフリースクールと、障がいのある子どもたちが通う施設を運営。

代表理事の佐々木 健治さんに、自身の家庭崩壊の経験、荒れた少年時代、そこから教育の道を目指した経緯を伺いました。

すべての子どもたちの未来を輝かせたい。その熱い想いをぜひご一読ください。

  1. 家庭崩壊の経験から団体を設立…教育の道を目指した想い
  2. 子どもと大人に向けた“教育の未来”を考えた事業
  3. すべての子どもに灯を!社会で子どもたちを守り育てる

家庭崩壊の経験から団体を設立…教育の道を目指した想い

灯籠の画像

ー本日はよろしくお願いします。はじめに、一般社団法人「LYHTY(リュフト)」の概要を教えてください。

佐々木 健治さん(以下、佐々木):一般社団法人「LYHTY(リュフト)」は、石川県金沢市を拠点として活動する教育団体で、不登校の子どもたちが通うフリースクールと、障がいのある子どもたちが通う施設を運営
しています。

団体名のLYHTYとは、フィンランド語で「灯籠」を意味します。

会社を立ち上げるときに初めて石川県の加賀友禅燈ろう流しを見たのが、“灯籠”にした理由です。夜の浅野川をそれぞれの想いをこめた灯籠が流れるさまが美しく、感動しましたね。

「灯」は子どもの可能性・明日を生きる希望、「籠」は子どもたちを守り育てる大人・社会。それらが見事に調和し、美しく輝く社会が「灯籠」という意味を込めています。

子どもたちはそれぞれに可能性の灯を持っていますが、生まれた環境や障がい、性別や考えの違いなど、さまざまな要因によって影響を受けることで、可能性の灯を見失うこともあると思います。

そうならないためにも、すべての子どもたちが、上質な和紙のような大人や環境に柔らかく包まれながら、自分の内なる可能性の灯をより一層輝かせて社会へと羽ばたけるように…という想いが団体名には込められているんです。

ー設立経緯をお聞かせください。

佐々木:ふるさと石川県にて、不登校児童・生徒、障がいのある子どもを含む、すべての子どもたちの心に、明日への希望を灯すことのできる教育環境をつくりたいと2016年9月に団体を設立
したのが始まりです。

もともと私自身、幼いころに少し複雑な家庭環境で育ちました。

ふたりいる姉のうち、ひとりは非行に走り、もうひとりは長い間不登校。また、貧しかった家庭環境から、私自身も荒れた少年時代を過ごしました。

そのような背景から、小学生のころから生きるとは何なのかと、死生観についてよく自問自答していましたし、助けを求めたくても求められない存在がいると身をもって感じ、子どもながらに社会に対して漠然とした訴えを抱えていましたね。

しかし、そんな子ども時代、恩師との出会いに救ってもらった過去があります。

恩師は荒れた自分にもみんなと分け隔てなく接してくれ、温かさとぬくもりを与えてくれると同時に、自分を見失い、生きる希望を見いだせなかった私に、人としての尊厳を取り戻させてくれたように感じます。

教育ってすぐに形になるものではないと思うんです。たとえば、パソコンなど機械だったら、スペックで消費者もすぐ判断がつくと思いますが、教育の力は子どもたちが成長してから自覚することがとても多い。

まさに私自身も、成長していくなかで気づいたのが原点です。

そして今までの経験を活かそうと教育の道を歩む決意をし、教師になりました。

しかし、いざ教師になって突き付けられたのは、目をかけてあげたい子どもたちが学校に登校できていなかったり、家庭で大変な状況を抱えていたりする現実でした。

教員当時、不登校児童がいるクラスの担任を受け持ったことがあります。

その子は学校生活の長い時間を不登校として過ごしましたが、私が担任した年には、なんとかクラスに居場所を見つけてくれ、学校に復帰することができていました。

ところが翌年、私が担任から外れたらまた不登校になってしまった。

そんなとき、その不登校児童の昔からの友人が私の前にきて、こう言いました。

「先生、俺はこれまであいつに学校に来てほしくて、手紙を持って行ったり、休みの日に家に行ってみたり、いろいろしました。」

「でも、本当はあいつが学校に来れるか来れないかはどうでもいいんです。俺は、ただあいつがあいつらしく、幸せに生きていってくれればそれでいい。」

さらに、「佐々木先生なら、あいつみたいな子が自分らしく通える、そんな学校つくれるんじゃないの?つくってよ…」と言われ、その真剣な眼差しに、私は心を動かされずにはいられませんでした。  

たしかに、学校における出席扱い、出席単位、不登校の定義などがさまざまあるなか、生徒が学校に来たことを喜ぶのも、教師としてひとつの正しい答えかもしれません。

だけれど、「そもそも教師とは、教育者とはなんなのか」を今一度考えたときに、別の道もあるのだと気づかされたんです。

これは本当に一例で、そのほかにもさまざまな課題を抱えている子どもたちを学校で見ていくなかで、自分のなかの想いを止められなかったこともあり、恩師に相談したのち、思い切って退職を決めました。

学校現場を飛び出したあとは、関東や関西を中心に、公民問わずさまざまな教育機関、教育団体を訪ね歩き、そのなかで、柔軟な発想で未来を見据える教育者たち、そして多様な環境下で生きるたくさんの子どもたちと出会いました。

そんな多くの出会いから、私は、ひとりの子どもも見捨てない社会にするためには、学校のみならず、子どもの学ぶ場や居場所にも多様性が必要だと強く感じたんです。

そして、「すべての子どもが可能性の火を消すことなく、むしろその火を大きくすることができる。そんな社会を実現できる団体を創りたい」と、ふるさと石川県にてLYHTYを設立しました。

子どもと大人に向けた“教育の未来”を考えた事業

IRORIの画像

ーLYHTYが取り組んでいる​事業をご紹介ください。

佐々木:LYHTYでは、​子どもたちに向けた事業と、大人たちに向けた事業のふたつをおこなっています。

まず子どもたちに向けては、なにかしらの理由で学校に通っていない子どもを対象とした学びの場「LYHTYschool -IRORI-」と、障がいのある児童生徒を対象とした、児童発達支援・放課後等デイサービス「ともしびの家」のふたつを運営しています。

どちらの事業も、“すべての子どもに灯を”という会社の理念のもと、子どもたちの可能性を最大限に伸ばし、明日への希望を灯すことができるよう、日々のサービスをおこなっています。

各事業の詳細は、IRORIともしびの家の公式ホームページからご覧ください。

一方、大人たちに向けた事業に関しては、教育者対象 1泊2日の研修イベント「Education FES」をおこなっていましたが、コロナ禍の影響で現在開催できていません。

「EducationFES」では、教育現場で働いている方に限らず、さまざまな職種や学生など、教育に関心のある方々が一堂に集い、垣根を取っ払って教育や社会について考えることで、子どもたちのよりよい未来を創造します。

同じ釜の飯を食べて、同じ課題に向き合い語り合う。それだけで人って仲間になれるじゃないですか。ひとりでできることはちっぽけかもしれないけれど、同じ志を持った仲間となら、未来の新たな可能性を探れると信じています。

子どもたちの明るい未来のため、大事な意味を成す事業だと思っているので、現在の情勢が落ち着いたら、ぜひまた開催したいですね。

EducationFESの画像

また今後は、そのときどきの情勢に応じて、子どもたちが欲しているもの、社会に足りないものを考え、ネットワークの網目を広げて事業展開をしていけたらと思っています

たとえば、質のよいコンテンツが社会に溢れることで子どもたちは自然に学ぶことができると思っているので、教育事業に留まらず、子どもたちが触れていく世の中のものをもっと面白くしていけたらいいですね。

子どもと大人、それぞれに向けた事業で教育の未来を考えているのですね!熱い想いがとても伝わりました。

テラコヤプラスでは、駅や地域にあわせて塾・学習塾を検索することが可能。

入塾を検討している方は、一般社団法人「LYHTY(リュフト)」最寄りの東金沢駅 塾・学習塾 ランキングや、金沢市 塾・学習塾 ランキングなどから探してみてくださいね!

すべての子どもに灯を!社会で子どもたちを守り育てる

ともしびの家の画像

ー支援の呼びかけがあれば教えてください。

佐々木:
当団体は、立ち上げ当初にあえて寄付を募りませんでした。

寄付ありきの事業だと、寄付がなくなった場合に子どもたちの居場所が提供できなくなると思ったからです。

ただ、あと少し寄付やスポンサーの方がいてくだされば、もう一歩手が届くなとか、教育の環境ももう少しよくしてあげられるな、ということは実際あるので、長期のスポンサーの方がいたら嬉しいですね。

個人の方のご寄付ももちろんですが、スポンサーに興味のある方は、ぜひ公式ホームページからお問い合わせください。

ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

佐々木:
教育は、親や学校だけで完結するものではなく、社会全体でおこなうものだと考えています。

だからこそ、教育や子育てに携わる方は、悩みを絶対にひとりで抱えないでほしい。

また、学校や公的機関だけでなく、地域や民間も力をあわせ、子どもを中心に据えた取り組みを進めていくべきではないかと感じています。

こんな時代だからこそ、私たち大人が一丸となって、ひとりでも多くの子どもたちに希望の火を灯し、社会へと送り出すべきだと、私たちLYHTYは考えています。

未来の宝である子どもたち。そんな彼ら彼女らが、
どんな環境や境遇であっても、必ず自分の命と可能生を消さずに立派に社会に出ていける、そんな社会を実現したいと強く思っています。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:一般社団法人 LYHTY

有田 幸恵
この記事を執筆した執筆者
有田 幸恵

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期は5歳から小学校6年生まで英会話教室に通う。高校受験時には家庭教師や塾の特別講習で猛勉強し、第一志望に合格。その後、芸能関係の道に進み、ライター業に転身する。エンタメや美容ジャンルの執筆を経験した後、弁護士コンテンツの法律記事に携わったのをきっかけに、読者の役に立つ情報発信を志し、2020年9月から株式会社サイバーエージェントのグループ会社 株式会社CyberOwlで編集者兼ライターとして従事。現在、テラコヤプラス by Amebaで保護者やお子さまの未来に繋がる記事づくりを目指しています。