NPO法人「ダイバーシティ工房」を取材!子どもや家庭に寄り添う学習支援の専門集団に迫る

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大人にとっては当たり前の、ひらがなの読み書き。

そんなひらがなの読み書きでつまずくお子さんがいることをご存じでしょうか。

実は、子どもがひらがなをはじめとする文字を獲得するまでには、たくさんのプロセスを通過しています。

ひらがなのつまずきは、ひらがな学習だけでなく、学習全般に対する苦手意識や自信の低下につながることもあります。

そこで今回は、千葉県市川市を拠点に学習支援をおこなうNPO法人「ダイバーシティ工房」が運営する『スタジオplus+』と『ひらがな読み書き教室』を取材。担当スタッフの間瀬さんにお話を伺いました。

音読や作文が苦手なお子さん、発達障害などの特性からお子さんの読み書きに不安を感じる保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 困ったときに相談&頼れる「学習支援の専門集団」
  2. 「個別支援学習教室」と「ひらがな読み書き専門の教室」
  3. どこに伝えたらよいかわからない不安を相談できる場として

困ったときに相談&頼れる「学習支援の専門集団」

ひらがな読み書き教室の授業風景画像

ー本日はよろしくお願いします。まず「ダイバーシティ工房」はどのような団体なのか教えてください。


間瀬さん(以下、間瀬):千葉県市川市を中心に活動する「ダイバーシティ工房」は、“すべての家庭が安心して暮らせる社会”というビジョンを掲げるNPO法人です。

地域で暮らす0歳から20歳、そして子育て家庭が抱える生きづらさ・暮らしづらさに対してアプローチする事業をつくり、活動をしています。

具体的には、「制度の狭間で孤立しやすい人たち」が困ったときにいつでも相談できる地域づくりを目指し、学習教室、コミュニティカフェ、保育園、SNS相談、食料支援、シェルターなどの運営をおこなっています。

コロナ禍の2020年以降は、自立援助ホームや民間シェルター、無料のLINE相談を立ち上げてきました。

子どもたちが成長していく過程で困ったとき、どうしてよいかわからないときに、相談できる場所、頼れる場所をつくっていけるよう、さまざまな事業を展開しています。

今回お話しする『スタジオplus+(プラス)』と『ひらがな読み書き教室』は、学習支援事業部という主に発達に特性のあるお子さんを対象とした学習支援専門のチームが運営しています。

現在では保育園からシェルターまで幅広い年齢層をカバーする拠点がありますが、学習支援の取り組みは、ダイバーシティ工房の出発点となる事業であり、設立時から現在までもっとも長く続けている活動です。

ーダイバーシティ工房の設立経緯について教えてください。


間瀬:ちょうど今年で法人設立10周年になるのですが、ダイバーシティ工房の前身は『自在塾』という40年以上の歴史を持つ学習塾の存在があります

少人数での集団授業をおこなっていたのですが、生徒のなかには、発達障害などの特性があり、集団授業が合わないお子さんもいました。

そこでダイバーシティ工房という法人を立ち上げ、一人ひとりの発達段階に合わせて学習支援をおこなう、スタジオplus+を始めました。

私たちの事業は「活動をとおして出会った子ども・若者たちや、家庭が抱える困難さに対して、どんな状態になったらより安心して暮らせるようになるのか」という視点から始まっています。

「個別支援学習教室」と「ひらがな読み書き専門の教室」

ひらがな読み書き教室のオンライン授業風景画像

ー『スタジオplus+』について詳しく教えてください。


間瀬:スタジオplus+は、放課後等デイサービスという福祉サービスを利用しており、主に発達に特性のあるお子さんが通われています。

生徒は毎週、決まった曜日と時間に教室に来て、担当制の講師と一緒に学習を進めていきます。

一般的な学習塾と異なる点は、スタジオplus+では「自分に合った学び方を身につけること」を大事にしていることです。

自分に合った学び方とは、たとえば「学校のやり方でわかりづらかったこの問題は、こう取り組んだらわかりやすいな」のように、自分についての理解を深める過程で見つけていくことができると考えています。

そうやって子どもたちが学び方や課題との向き合い方を講師と一緒に見つけていき、困ったときに講師など周囲の大人へどうやってサポートを求めるかも学んでいく

そして最終的には「スタジオplus+に行かなくても自分で学習ができるから大丈夫」という状態をつくっていきたいと思っています。

そうした姿を目指して、日々生徒たちと対話しながら学習を進めています。

ちなみにスタジオplus+は、現在、以下のとおり千葉県内に4教室、東京都内に1教室を展開しています。

  • 市川中央教室
  • 市川駅前教室
  • 本八幡教室
  • 船橋教室
  • 瑞江教室
ひらがな読み書き教室の教材の画像


ー『ひらがな読み書き教室』についても教えてください。


間瀬:ひらがな読み書き教室は、名前のとおり、ひらがなの読み書きを学習できる教室です。

こちらは福祉サービスではないため、病院での診断なども必要なく、誰でも利用ができます。

ひらがなの読み書きに特化していることもあり、小学校1年生から4年生くらいまでのお子さんが多いですが、高学年でもひらがな読み書きのサポートを必要としているお子さんはいますので、年齢制限なくご利用可能です。

この教室を始めた背景のひとつには、スタジオplus+への入会を待機される方がとても多く、2、3年待ちの状況だったことがあります。

入会待ちの間にも子どもたちの学年はあがっていくので、スタジオplus+というサービスに限らずに子どもたちや保護者の方に必要な支援を必要なタイミングで提供できないかと考えました。

実際、ひらがなの読み書きにつまずくお子さんは少なくありません。 

私が担当した小学校6年生のお子さんは、「国語がきらい」と言っていたのですが、実はひらがなに苦手さがあること、そのために国語そのものに苦手意識が生まれていることがわかりました。

たとえば、小さい“や・ゆ・よ”の使い方を曖昧に覚えているために、本当は「ちゃ」と書きたいのに、「ちゅ」や「ちょ」と書いて学校のテストでバツをもらってしまうんです。

こうした間違いは、注意力や集中力の不足で起きていると思われがちですが、実はひらがなの文字の形を捉えることの難しさが原因となっていることもあるのです。

学年の高さから、周りの大人もまさかひらがなにつまずいているとは思わなかったかもしれません。

ひらがなのつまずきは、まだ十分に認知が広まっていないこともあり、保護者の方や周囲の大人が気がついたとしても、どこに相談をすればよいかわからない、そもそも相談先があまりないのが現状です。

ひらがなは学習の土台になる部分です。本当はひらがなにつまずいているのに、「読解力がない」「文章を書く力がない」と勘違いされ、本来の課題が見過ごされたままになると子どもの自信も失われ、学習そのものを嫌いになってしまいかねません。

だからこそ、学びの土台となるひらがなの読み書きに特化して、お子さんが読み書きにおいて感じている難しさや苦手さに寄り添い、一人ひとりに合わせたサポートができる教室をつくりたいと思ったんです。

教室の流れとしては、最初に読み書き検査を受けてもらって、その結果によってお子さんの発達段階やひらがなの習得状況に合わせた授業を組み立てていきます

1回の授業は1時間ですが、実際にお子さんと授業をするのは45分くらいです。

残りの時間は保護者の方に、今日やったことやお子さんの様子をお伝えしています。

お子さんがどこでつまずいていて、どんなサポートが必要なのか、自宅で取り組んでほしいこともお伝えします。

自宅でやってほしいことは、ゲーム感覚でできるものや短時間で終わるものなどです。お子さんにも保護者の方にも楽しく取り組んでもらえる内容にしています。

どこに伝えたらよいかわからない不安を相談できる場として

スタジオプラスの授業風景画像

ー今後開催予定のイベントなどがあれば教えてください。


間瀬:8月6日土曜日におこなうイベントでは、言語聴覚士の寺田 奈々先生を講師として招いて、ことばの発達がどのようにしてひらがなの読み書きにつながっていくのかをお話しいただく予定です。

就学を控えた年長児の保護者の方や、小学校に入学後のひらがな学習の様子に不安を感じている保護者の方が抱くであろう疑問、知りたいことにお応えできる内容にできればと思っています。

ー最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。


間瀬:子どもがひらがなの読み書きでつまずいていても、周りの大人の方が一見してすぐに気づくのはなかなか難しいかもしれません。

そして、ひらがなの読み書きの苦手さが学習そのものへの苦手意識に繋がってしまうことも珍しくありません。

たとえば、音読をすると読み飛ばしが多い・学校で連絡帳やノートを写すのが大変などの様子は、ひらがなの読み書きに難しさがあるというサインなのかもしれません。

心当たりのある方がいらっしゃれば、読み書き教室個別相談を無料で開催しているので、ぜひ相談に来てください

個別相談では、ご家庭でできる取り組みや、よく見てあげたいポイントをお伝えします。

ご相談の結果、必ずしも教室のご利用が最善とは限らないとお伝えすることもありますが、そういったことも含め、不安に思っていることを相談できる場であれたらと思っています。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


■取材協力:NPO法人 ダイバーシティ工房