NPO法人「ちばMDエコネット」が目指す“障害の有無にかかわらず共に生きる社会の実現”とは

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日本では障がいを抱える方向けの学級や雇用枠の整備が進んでいます。

しかしながら、世界では障がいを抱える人を区別することなく、すべての人が共生できる社会づくりが推奨されていることをご存じでしょうか。

今回は、障害のある人もない人も共に生きる社会の実現を目指す「ちばMDエコネット」事務局長の山本 佳美さんにお話を伺いました

差別も区別もなく、ひとりの人間として尊重される環境や社会について、一緒に考えてみませんか。

  1. “すべての人が共に生きられる社会”を目指して発足
  2. 仕事・創作活動・地域交流…幅広いサポートを実現
  3. イベントも随時開催!ひとりで抱え込まずに相談を

“すべての人が共に生きられる社会”を目指して発足

スタッフと関係者が笑顔で集合している画像

ー本日はよろしくお願いします。はじめに、NPO法人「ちばMDエコネット」の設立経緯や概要について教えてください。

山本 佳美さん(以下、山本):「ちばMDエコネット」はノーマライゼーション社会の実現に向けて、1997年に発足した団体です。

ノーマライゼーションというと難しく聞こえるかもしれませんが、要は障がいのある人もない人も、共に生きられる社会を目指して活動しています。

成り立ちとしては、1980年代に現理事長の山田にダウン症の息子さんが生まれて、仲間づくりをしようと動き始めたことがきっかけです。私の妹も知的障がいがあり、母が山田と知り合いました。

「障がいを持って生まれた子であっても自由に生きていってほしい」「地域で障がいのない子と一緒に育ってほしい」と、障害のある子どもを持つ私たち家族は強く思っていました。

当時はちょうど養護学校が義務化されたころで、障がいがある子に教育の機会が保障される一方、障がいがある子とない子の教育の場は分けられてしまっていたんですよ。

山田や私の母は、障がいがあることで分けられることなく、兄弟も通っている地域の学校に行かせたいと考えました。障がいがあってもなくても、共に育ち、共に学ぶ環境がほしかったんです。

そこで同じ考えを持つ仲間を見つけて、増やし、「船橋・地域で育つ会」という「ちばMDエコネット」の前身ともいえる市民団体をつくりました。

初めは、障がいを持った子でも地域の小中学校の通常学級に通えるように取り組み、そのあとは高校にも通えるようにはたらきかけました。

行政に提案したり交渉したりして、障がいを持っている子でも一般の高校に入学できる道づくりをして。

それも実現した今では、学校を卒業したあとの社会参加の道づくりとして、障がいを持つ人も持たない人も共に働ける場をつくろうと取り組んでいます。

このように私たちは、暮らす場から学びの場、さらに働く場まで、障がいの垣根なく“すべて共に”という一貫したテーマのもとで活動をしています。

仕事・創作活動・地域交流…幅広いサポートを実現

カフェで接客をしている画像

ー活動内容について詳しく教えてください。

山本:1990年代はじめには、環境改善のために農園をつくったり、ドキュメンタリー映画を撮って、全国で上映会をしてきたりしました。

その後、カフェを開き、障害のある人の仕事やさまざまな人の交流の場づくり、創作活動、バンド演奏など、多岐にわたります。 

なかでも今、私たちの活動の中心にあるのは「地域活動支援センターひなたぼっこ」です。

この地域活動支援センター自体もさまざまな取り組みをしていますが、拠点となっているのは「コミュニティカフェひなたぼっこ」で、障がいのある人とない人が一緒に働ける場所を目指して、2002年にオープンしました。

これまで私は多くの福祉施設を見学してきましたが、どうしても閉鎖的な施設が多いんですね。

アクセスが悪いところも多く、障がいのある人たちが仕事をすることはできても、地域の人との交流はあまりない実状がありました。

そこで私たちは船橋駅から徒歩圏内にカフェを開き、誰でも気軽に入れるような場所をつくっていこうと思ったのです。また、ボランティアとして多くの人に関わってもらいたい、という気持ちもありました。

障がいのある人のことを地域の人にもっと理解してもらいたいという想いによるものでした。

それから、周りの理解を得ることで、「彼らが好きな仕事に就けるようなつながりを持てたらいいな」と考えてカフェをつくりました。

実際に、もともとひなたぼっこで1年間働いたメンバーがスターバックスで10年以上働いているんですよ。

カフェは朝礼から始まり、10時から17時までオープンしています。メニューは全部手づくりで、オムライスやトーストサンド、スイーツなどを提供しています。

レシピや工程は、障がいのある人でもわかりやすいようにし、それぞれが得意な作業を分担できるように店長が工夫していますね。

なお、調理や接客は仕事としてやってもらっていることなので、工賃が出ます。

ただ、工賃というのは一般的な時給に比べて安いんですよね。障がい者年金とあわせたとしても、自立した暮らしをするには十分とはいえません。

これは当施設や千葉県だけでなく、全国的な問題なのですが、少なくとも私たちは工賃をできるだけ上げて、自立を支援したいと考えています。

また、こういったカフェが地域活動支援センターひなたぼっこのメイン活動ではあるのですが、接客が苦手なメンバーも当然います。

そのため、そういった方にはちいき新聞にチラシを折り込んで配布する仕事や、高齢者施設の掃除の仕事などをお願いしていますね。

ちいき新聞で働いている人の画像

そのほかにも地域貢献活動として週1回のゴミ拾いをしたり、絵画や音楽といった創作活動に励んだりといったことも活動の一貫です。

音楽活動に関しては、スタッフのなかでドラムやキーボードをやってきた人が、障がいのない人と一緒に「おひさまバンド」というバンドを組み、イベントで演奏したり、CDをつくったりしています。

あとは、ノーマライゼーション学校支援事業の「学校サポーター」として、障がいを持つお子さんの学校生活について困っている親御さんの支援もしています

こちらは千葉県との協働事業であるため、広く連携したサポートが可能なのが特徴です。

たとえば、長く学校に行けていなかったり、先生との関係性も悪かったりして、お母さんやお父さんが直接先生と話し合うことも難しい状況、話しても動きがないことがあるとします。

そのようなご相談をいただいた場合には、私たちも同席のうえで話しあえる場を学校に設けてもらうなど、適切な提案をし、保護者の方をサポートします。

カフェでもそういったご相談には乗っているので、まずはお気軽にカフェに来ていただいて、ゆっくりお茶でも飲みながら話していただければ嬉しいです。

イベントも随時開催!ひとりで抱え込まずに相談を

おひさまバンドが演奏している画像

ー今後開催予定のイベントについて教えてください。

山本:ちょうど先ほど商店街をお掃除してきたところなのですが、商店街で年に2回開催されるイベントに参加するのが恒例でした。

近年はコロナの影響により中止せざるを得ない状況が続きましたが、今年の秋には再開される見込みで、参加したいと思っています。

また、イベントとは少し異なるかもしれませんが、ノーマライゼーション学校支援事業では、事業報告を兼ねたフォーラムを年1回開催しています。

昨年は講師の方をお招きしてオンライン上で開催し、発達障がいのある子に対する具体的な支援や、インクルーシブ教育の展望などを話していただきました。

オンラインでの開催はこれが初めてだったのですが、300近い視聴をいただき、会場でやるよりも多くの方に見ていただけて驚きましたね。

今年のフォーラムをどのように開催するかはまだ決まっていませんが、専門的な最新情報を見聞きできる場でもあるので、ご興味のある方はぜひこちらもチェックいただければと思います。

あとは普段から、アロマ教室などちょっとしたイベントをカフェの常連さん向けに開いてはいます

そのほか今後のイベント開催状況については、公式ホームページにてご確認いただければ幸いです。

ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

山本:障がいを持つお子さんをお持ちの方で、何か暮らしのことや、学校のことで困ったことがあれば、ひとりで抱え込まずにぜひご相談ください

千葉県の方はもちろん、遠方の方からのご相談もお待ちしております。

また、私たちは障がいのある人とない人が共に働き、共に暮らす社会を目指しています

しかし、障がいと一口にいってもさまざまなものがあり、実際に接してみないとわからないことがたくさんあるでしょう。

だからこそ、まずはカフェにお客さまとしていらしていただけたらありがたいです。

そのなかで、私たちの目指す社会を理解してもらえればと思います。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:NPO法人 ちばMDエコネット