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ヒロシ「お前みたいなもんが…」夢を失いかけた中学時代…人気YouTube誕生の原点を語る

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「ヒロシです…」の自虐ネタで大ブレイク後、2015年から配信開始した「ヒロシちゃんねる」でのソロキャンプが話題となり、YouTuberとして再ブレイクを果たした、ソロキャンプ芸人・ヒロシさん

チャンネル登録者数は110万人を超え(※1)、2022年4月5日には『大人のソロキャンプ入門 』(SB新書)も上梓されます。

子どもたちの「なりたい職業ランキング」でも上位に入るYouTuber。実際に人気YouTuberとして活躍するヒロシさんは、こうした流れをどのように考えているのでしょうか。

ソロキャンプ誕生のきっかけともなった幼少期の思い出に触れながらお話ししていただきました。

※1 2022年3月29日時点

“ソロキャンプ”の原点は「嫌」と言えない幼少期に

ヒロシ

ーヒロシさんと言えば現在、“ソロキャンプブーム”の火付け役として人気を誇っていますが、そもそも“ソロキャンプ”を始めたきっかけはなんでしょうか?

ヒロシ:キャンプはもともと好きだったんです。熊本県の田舎で育ちましたから。家のすぐ裏に山があったので、そこによく遊びに行き、今じゃ怒られちゃうだろうけど小学生のころからたき火なんかもしていましたね。

だけど、好きなキャンプもみんなで一緒に行くと自分が好きなようにはできない。「それならひとりで行ってみようか」なんて、ソロキャンプを始めたのはそんな理由だったのですが…これは正直子どものころの経験の名残もあるのかな。

子どものときの僕は、引っ込み思案な方ではあったけれど、いたって普通の子どもでした。でも、子どものころってクラスや団体で何かするときって、目立つ子や声の大きい子どもが優先されて、そうじゃないと、その他大勢になりますよね。

野球であれば外野の球拾い。音楽会だったら余りもののカスタネットやトライアングルとか…。

そういえば地域の野球チームに数合わせのために無理やり参加させられたことがあったんだけど、バッターがしてみたかったのに、物静かだったが故に「この子には出来ないだろう」と決めつけられて、打順が回ってこないなんてこともありましたね。

子どものときは特に、実力とは関係なく、大人が思うその子のキャラクターで決められて物事が進められてしまうから。

ただ、その一方で「少林寺拳法」の習い事は大好きで、何年も続けていました。あれはすごく楽しかったです。今思うとスポーツが嫌いなのではなく、団体で何かするのが苦手だったというだけだったんですよね。

ー確かに、子どものときは特に目立つ子や声の大きい子が優先されますよね。

ヒロシ:そうなんですよね。その理不尽さを昔から感じていましたね。

「じゃあ、“嫌”って言えばいいじゃないか」と思うでしょうが、そんなこと言われても、言えない子は言えないんですよ。だから、どんどん隅に追いやられてしまうんです。

それをキャンプに置き換えたときに、「だったら、ひとりで行ってみようかな」と。

ー実際にひとりでキャンプに行ってみていかがでしたか?

ヒロシ:思い切ってひとりでキャンプに行き、自然に触れながら自分の時間を過ごしてみたら、今まで自分は誰かが勝手に決めたことに振り回されて苦しかったんだなって気づきましたね。

それまでは、みんなで何かすることが苦痛だと感じる気持ちの方が大きくて、ひとりで自分の好きなことをする楽しさとか、楽しいと思う事はひとりでしても良いんだ、ということに気づくことができなかったから。

大人になっても苦しんだ“小学校の世界”

ヒロシ

ーお話を聞くと、YouTubeが大人気の理由は、キャンプとしての面白さだけでなく、人間関係の煩わしさから解放されて好きなことを楽しむお姿が共感を呼んでいるのだと感じました。

ヒロシ:どうなのかな。話はずれるかもしれないけど、どうしても苦手な世界とか人間関係って誰でもありますよね。

僕の場合は、子どものときは小学校の音楽会とか野球チームで、大人になったらテレビの世界でした。

そもそも、が芸人を目指した理由は、引っ込み思案な自分を変えたいとかそういう理由じゃなくて、自分が面白いってことを証明したかったんです。小学生のときだって、自分の方が絶対面白いことをしているのに、なぜか目立つ子がやった面白くないほうがウケが良いのが悔しかったから。

当時、僕が見ていたテレビの中の芸人さんたち…志村けんさん、たけしさん、ダウンタウンさんとか、とにかく面白かった。面白いからテレビに出られるんだと、テレビに出たら自分が面白いってことを証明できると思っていたんですよね。

ー「ヒロシです…」で大ブレイクを果たしましたよね。

ヒロシ:そうですね。有難いことにテレビに出られるようにはなりましたが、次第にネタ以外のお仕事をいただくようになったり、収録後の芸人同士の飲み会や草野球チームに誘われるようになったり、苦手な事や苦しい状況も増えていきました。

大きな声でリアクションをしなければいけないとか人との上手な付き合い方を求められるとか…その大切さも分かりますが、それが僕には無理でしたね。今思えばそれは小学校のときの世界をまた再現しているようでした。
 

だから、この苦しい中で生きていくくらいなら、好きなことをして生きていきたいって決心したんですよ。それはつまり全部自分の責任。ソロキャンプを始めてから、気持ちが強くなりましたね。

ヒロシ流“人気YouTuber”になる秘訣は?

「お前みたいなもんが…」夢を失いかけた大人からの言葉

ヒロシ

ー今は、子どもが憧れる職業の一つにYouTuberが挙げられます。110万人を超える登録者数のヒロシさんもそのおひとりですが、“子どもの夢がYouTuber”についてどのように思いますか?

ヒロシ:子どもがYouTuberに憧れるなんて健全な夢じゃないの?だって僕だって子どものとき、テレビに出ている芸人に憧れて目指したんだから。

でも一方で、その夢にあまりいい気がしない親がいるのも分かりますよね。僕の親も、芸人になろうとしている僕に遠回しに普通のルートを歩ませようとしていましたから。実際「嫌」って言えない僕はその通りに高校へ行き、大学まで行きましたしね。

ただ、まず言いたいのは、大人は子どもの夢を頭ごなしに否定するな、ってことですよね。どんな夢であれそれを否定するのは、子どもにとって傷が残りますよ。

僕も子どものときに「芸人になりたい」と先生に相談したら、否定されてすごく嫌な思いをしたことがあるんです。

実は、一番最初は中学校を卒業したらお笑いを始めようと本気で思っていました。だから中学生のときの三者面談でそれを言ったら、先生に怒られたんですよ。

当時、自分でも芸人目指すようなキャラじゃないって分かっていましたよ。だから、「こんな人間が「芸人になりたい」って言うなんてどう思われるんだろう」と、不安ながらも先生に伝えたんです。そうしたら「お前みたいなもんが…」とさも言いたげに半笑いで全否定されたので、心が折れたというか…とにかくめちゃくちゃ恥ずかしかったですよね。

ーそれは辛いですよね。子どものときに受ける大人の言葉って本当に影響力がありますからね。

ヒロシ:そうなんです。子どものときって大人や先生って子どもにとって絶対的な存在じゃないですか?

でも、よく考えたら先生が芸人を目指したことがあるのかというと、ないですよね。YouTuberだって一緒でしょう?親がYouTuber目指したことがあるのか、っていうとないわけで、なってたとしても有名になっていなかったわけで…。

今の僕が先生だったらあのとき「芸人になりたい」って言った生徒に対して「おぉ、そうか、頑張れよ」って言えると思いますよ。

だけどそういうことが分かったのは30歳過ぎてから。子どもには分からないですよね。だからこそ大人は子どもにかける言葉を大切にしてほしい。

「誰かに気に入られることより、自分が納得いくものを」YouTuber目指す子どもたちへ

ーヒロシさんのように実際に経験された方からそのように言われると説得力がありますね。

ヒロシ:だから言いたいんだけど、子どもは好きなことをとことん突き詰めたらいいんですよ。その先に何があるのかは分からないし、その一つの選択肢としてYouTuberという職業もあると思いますよ。僕の“ソロキャンプ”のように、特に今は何でも仕事になる時代ですから。

有名な話ですが、HONDA(本田技研工業株式会社)の創業者本田宗一郎さんだって、そうでしょ?バイクが大好きで寝る間も惜しんでバイクの研究をしていたって。本当にそういう事なんだろうなって思います。単純に好きな事をやっているだけなんだろうなって。

それこそ野球選手だって、名選手はずっと素振りするとか言うじゃない?毎日毎日それをやるのが苦じゃないんでしょ、そういうことなんだなと思うな。

ーヒロシさんが考える人気YouTuberになる秘訣を教えてください。

ヒロシ:僕から言えることは、誰かに気に入られることを前提にせずに好きなことを続ければいい、ということ

今の時代は分かりませんが、僕が小学生のときだったら、授業であの山を写生しなさいって言われたら、先生からの評価が高いのは写実的な絵で、思い切ったピカソみたいな絵を描いても怒られていたと思います。評価されたいなら先生が気に入る絵を描かなきゃいけないっていう…。

だから、評価してもらうことを前提でしようとすると、個性がなくなっちゃうから。それなら、自信が出るまでは言わなくてもいいし、誰かに見せなくてもいいので、 まずは自分が納得いくものを突き詰めてほしいですね。

そして、失敗したからってそれで終わりじゃないと思って欲しい。失敗したり、やってみてやっぱり違ったら辞めればいい。そこで人生終わりじゃないから。

学校で誰かに何か言われたから、大人に何か言われたから辞めるとか一番もったいないよね。

本当にやりたかったらやったらいいんだよ!僕の場合は中学生で一度心折れかけて、その後芸人目指すために時間かかったし、その後もいろいろ経験したけれど、またこうして自分のやりたいことを見つけて、突き詰めていったら、仕事にできているんだからね。

取材協力:ヒロシ
2022年4月5日『大人のソロキャンプ入門』(SB新書)も発売!

公式YouTube:「ヒロシちゃんねる」
公式Twitter:@hiroshidesu0214
有限会社ヒロシコーポレーション:https://hiroshi0214.com/

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ひらおか ましお
この記事を執筆した執筆者
ひらおか ましお

Ameba塾探し 執筆者

大学で入部したスポーツ新聞部をきっかけに、大学卒業後から本格的にライター業に従事。主にスポーツ雑誌を中心に活動していましたが、結婚と出産を機にwebや地元の情報誌などに活動拠点を移しました。子どもの成長と共に教育関連に興味をもち、2021年11月より「Ameba塾探し」で執筆を担当する二児の母。インタビューを通して得た情報を皆さまにシェアする気持ちで執筆しています。