NPO法人「CASE Japan」理事長インタビュー!発達障害をもつ子どもと保護者のための支援内容とは

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千葉県流山市で、発達障害をもつ子どもと保護者の支援活動をおこなっているNPO法人「CASE Japan」(ケイス・ジャパン)

相談・医療機関や子どもが通っている教育機関とも連携して、子ども一人ひとりが適切な支援を受けることができるよう尽力しています。

今回は、「CASE Japan」理事長の吉田明子さんに、取り組み内容についてお話を伺いました。

お子さんのことでお悩みの方、流山市で支援先をお探しの方は、ぜひご一読ください。

  1. 発達障害をもつ子どものさまざまな支援をおこなう
  2. 子どもたちには“自己受容”をしてほしい
  3. 「個別の教育支援・指導計画書」作成勉強会を開催予定

発達障害をもつ子どものさまざまな支援をおこなう

NPO法人CASE Japan

ー本日はよろしくお願いします。早速ですがCASE Japanでおこなっている「学習支援」について教えてください。

吉田 明子さん(以下、吉田):
CASEには、発達障害があり読み書きが苦手な生徒さん、コミュニケーションが苦手だったりする生徒さんが来られています。学習支援はあくまでも何かやってみるっていうところから始めて、生徒さんの特性を考えながら支援をします。 

1時間30分で1枠取っていますが、勉強だけをしているわけではなく、その時間丸々、私とお喋りをするためだけに来る生徒さんもいますし、ほとんど喋らずに黙々と自分の課題をやる生徒さんもいます。

ちなみに木曜日に来る生徒たちは、今ボードゲームにハマっているので、いろいろな種類のボードゲームを2~3人で楽しんでいますね。

生徒の半分近くが不登校の状況になると、彼らは同年代の子どもと会う機会がないんです。楽しい時間を過ごして、「ああ良かったな」と思って帰る。それを全部含めて学習支援として1枠取っています。

受験前になると、面接の練習や小論文の練習をして、夏休みには学校の課題作成のサポートもします。

たとえば読書感想文は、本が読めない、字が読めない生徒もいますので、まず本を読み聞かせたり、読み聞かせてもわからない場合は、概要をかいつまんでわかりやすく説明をしたりします。

そこからインタビュー形式で本人の感想を拾って、私が文章にしたものを読んで聞かせます。これでいい、書きたい生徒には書かせますし、書けないから代わりに書いてっていう生徒には代わりに書きます。

CASEにいらしている生徒さんは、「個別の指導支援計画書」を作成することが多いです。その生徒が何が苦手で、どういうことに困っているのかを知り、保護者と学校が協力できるよう支援もしています。

提出課題では、「ここは私が書いて提出、ここはお母さんが書いて提出、ということで学校に伝えようか」と聞くと、「はい、それでお願いします」となり、家庭と学校が連携して学習支援をおこないます。 

CASEの生徒さんは中高校生が多いですが、小学生の低学年もいます。通い始めると長くて、10年とか15年とか通っている子どももいて、そうすると就労以降も伴走することになります。

ハローワークに同行、障がい者手帳の申請や年金の申請、さまざまなお伝いをします。

常々、生徒には人としての尊厳を保って生きて行って欲しいなと思っているので、可能性があり、その人にとって良い働く場所があれば、納税者になって欲しい。たとえ微々たるものでも。

自信を持って胸を張って生きていって欲しいなと思うので、それが障害者就労であろうが一般就労であろうが全然関係なく、その人に合ったものであればいいなと思ってサポートしています。

子どもたちには“自己受容”をしてほしい

NPO法人CASE Japanの活動の様子

ーお子さんを支援するうえで、大切にされていることはありますか?

吉田:一番大事にしているのは“子ども”
です。子どもの支援に入るときによく感じるのが、それぞれの大人の立場でこうなったらいいよね、というようなレールに乗せようとすることがあります。

たとえば学校には学校の立場があるし、お母さんにはお母さんの、お父さんにはお父さんの想いがあり、塾だと成績を上げなきゃいけないとかね。

そういういろいろな大人の思惑のなかに子どもが入ってしまい苦しんでいることが、ここに来る生徒さんには多いので、ともかく全部取っ払って、あなたはどうしたい?を大切にしています。

CASE Japanの一番の目的が「自己受容」なので、「自分はこういう人だ」「ここに困っているけれど、これができて、こういう助けがあったらここまでできる」といったように、自分を受け入れ、困っていることを解決する術を身に付けることができると、得意・不得意を他者と比べて落ち込んだりすることが少なくなるようです。

自分が幸せになるためには自己受容がとても大事だと思いますし、私たちもそれを目標にしています。

だから私たちは本人を良く見て、どういうときにどんな返事をするかなとか、どんな表情をするかなとか、ちょっと意地悪く引っ掛けてみたりとかして、反応を伺うんです。

本当に困っていることって、子どもは言わないんですよね、なかなか。それが大切に思う親との関係だったりとかすると、本当に言えなくて。本音が出るまでにだいたい1年は待ちます。

保護者の方にも、早くて半年、長いと1年くらいかかりますよ、というお話はさせてもらっています。

たとえば延々2年も辛かった相手の悪口を吐き出すという時間が必要な生徒さんもいます。不登校で特に知的に高いお子さんの場合はなかなか本音を言えないんです。
言うとどうなるか予測が立てられてしまうので。

また、困っていることに対応する力が子どもたちはないですし、自分のひ弱さも知っているので、黙って殻に閉じこもってしまうと楽なんですよね。こういうことは多々あります。

単純思考ができると楽だったりはします。怒られるのイヤだ、怒られない、良かった、というように簡単に自分の気持ちが切り替えられたら楽なんですけど、深く洞察してしまう子どもさんにとってはそれが難しくて、壊れていくんですよね。


つらい思いが穏やかに落ち着いていくよう、私だけじゃなく周りのみんなを巻き込んで、なるべく関わる人たちが同じ対応ができるよう心がけています

ー1、2年通われるとお子さんに変化は出てきますか?

吉田:
そうですね。ここに来る子どもたちは私が何者かわからないので、最初は疑って、あまり直視してこないです。明るく興味を持って接することは少ないですね。私からは「あなたのままでいい」ということをずっと発信し続けて、私自身の失敗談を話したり、許可をもらった今までの子どもたちの経験を話したりします。

宿題をするときには、これでいいんじゃない?と認め、もう3つできたから十分とか、こうしてできたらいいんじゃない?という提案などを経て、ああ、僕はこれでいいんだ、私はこれでいいんだ、と安心するんですね。

そうすると、少しずつ自分の話を始めて、笑顔がちょっと出たり、これやってみる!と言いだしたり、自分から要求が出せる、そういう基本になる気持ちをなるべく見逃さないようにしています。

何かを「すごい嫌い!」と話をしてくれば、「そうか、それ嫌いなの、そうだよね」と全部受け止めています。すると最後は涙が出てくる。嬉しくても悲しくても辛くても腹が立ってもみんな号泣というか、辛かった子になればなるほどたくさん涙をながします。ただ、ここまでにはかなりの時間がかかっているのです。

涙を見せるのは弱みを見せれるほどこちらを受け入れてくれてるので、そこから本人の気持ちが好転するのは涙が出る前より早いようです。 

「個別の教育支援・指導計画書」作成勉強会を開催予定

NPO法人CASE Japanの活動

ー今後、開催予定のイベントや説明会などがあれば教えてください。

吉田:
3月20日(日)に、流山市生涯学習センターで「個別の教育支援・指導計画書」作成勉強会をおこなう予定です。

発達に困難を持つ生徒児童さんにおいては、「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」が作成されますが、どんな目的で、どんな内容なのか、どのように作成されるのか、ご存知ない方もいるかと思います。勉強会では、「個別の指導計画」記入時の良い例と良くない例のポイントを学び、その後、実際に記入するワークをおこないます。

CASE Japan会員の方は500円、非会員の方は1,000円でご参加いただけますので、参加をご希望の方はこちらからお申込みください。

また、毎月1回「おしゃべりサロン」という、お母さま方同士で話をする機会を設けています。こちらは初回だけ会員さん以外の方に300円払ってもらい、それ以降は無料でご参加いただけます。

悩みごとや相談ごとを話して、先輩のお母さまたちからアドバイスをいただけたり、経験談をお聞きすることができますよ。

ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

吉田:
発達障害という言葉を表に出しているので、保護者の方からするとハードルがちょっと高いかなという気はしています。発達障害のことは、ご存知ではない方も多いと思います。

誰にでも欠点や長所があるように、苦手なこと、困っていることの元に気が付くと、子どもたちの助けになります。

「うちには関係ないわ」と思わずに、必要な支援はぜひ使って欲しいと思います。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:NPO法人 CASE Japan