2020年の大学入試制改革により、中学受験でも入試改革を意識した問題が増えてきています。
とくに理科の出題傾向の変化は著しく、物理・化学・生物・地学の4つからまんべんなく出題され、基礎知識にプラスして思考力や洞察力を問う問題が増えています。
そこで今回は、科学実験教室のパイオニアとして、20年以上にわたり科学実験から広げる“体験型総合教育”を展開している「サイエンス倶楽部」の鈴木さんに、「基礎研究コース」と「受験理科Eコース」をメインにお話を伺いました。
中学受験対策をしたい方、お子さんに科学の楽しさを知ってほしいとお考えの方は、ぜひご一読ください。
好奇心を刺激し考える力を育む「基礎研究コース」
ー本日はよろしくお願いします。まずは「基礎研究コース」について教えてください。
鈴木さん(以下、鈴木):「基礎研究コース」は弊社の一番基本となっているコースで、幼児から小学生・中学生を対象に科学実験の手法を学ぶというよりは、子どもたちが実験や観察を通じて「考える力」を身に付けることに重点を置いています。
さらには「創造性」や「社会性」や「行動力」といった「生きる力」です。
私たちは実習のとき、まず最初に「これってどうなると思う?」と子どもたちに質問をして、予想してもらうところから始めます。たとえば爆発するとか色が変わるといったことは、子どもたちの心が動かされます。「どうなるんだろう?」と自分で予想したり、考えられるように自然となるのが重要で、まずはそこが弊社の特徴だと思っています。
その後は実際にやってみて、感動や気付きとともに結果を自分たちで得て、考察していきますが、弊社では先生がみなまでを教えないようにしています。
先生は教えるのではなく、子どもたちが気付くためのサポーターですね。もちろん導きはしていきますが、子どもたちが自ら発言をして、自分たちの意見のなかから「どうしてなのか?」を結果として得られるようにします。
そうすると、子どもたちは自分で1つの科学的な真理を発見した実感が得られるのです。それを自分の自信として持ち帰ってもらうようにしています。
最初は発言ができなかったり、間違ったらイヤだなと思う子が多いのですが、慣れてくると、自分たちで発見しなきゃいけないですし、その過程を楽しむようになるので発言するようになっていきます。
先生は生徒の発言をすべて受け入れて、どうしてこうなったのか?を導いていく、これがひとつのサイクルになっています。
そこでまた新たな疑問が生まれて、次の実験をして、とこのプロセスを何度も繰り返すことになります。それによっていろんなことを自分自身で解決していく、考えていく、論理的な思考が身に付けられるのが大きな特徴です。
他の実験塾ですと、どちらかというと実証実験で最初に理論を教えます。その理論が本当かどうか確かめてみよう、という展開になりますが、弊社は逆です。やってみて起きたことからなぜか?を自分で突き止めていくプロセスを取っています。
そしてトライ&エラーを繰り返したり、ものごとをしっかり自分で捉えて頭の中で整理していくクセがついていきます。そうすると、子どもたちは何事も「失敗」と捉えなくなります。
全部が失敗ではなくて、成功のためのヒントになるので、精神的にも強くなります。だから、ただ単に偏差値を上げるための勉強ではなく、目的を達成するためにはどうしたらいいのか、失敗したらこうすればいい、といった風に、自分で考えていけるようになっているのが弊社の子どもたちの強みだと思います。
お客様からの要望で生まれた「受験理科Eコース」
ー続いて「受験理科Eコース」について教えてください。
鈴木:大学の試験の内容が入試改革によって変わったことにより、中学受験に関しても方向性がだいぶ変わり、「考える力」が求められるようになってきました。
ある程度有名な中学校の受験になると、問題を読み解く力や、今までの経験を踏まえてどう捉えるか、考えるか、という問題を出すようになっているようです。
こういった時勢から、お客様からぜひこのような問題に対しての対策講座をやってほしいという要望が増えてきたことからできたのが「受験理科Eコース」です。
子どもたちの「判断する幅」を広げたり、実体験から問題を落とし込めるようになることを狙いとしています。
このコースでは、塾でやるような暗記や解答方法、この式に当てはめればいいよといった方法では教えていません。そうではなく、そもそもの根本はどうしてこうなるのか?という、“原理原則”を子どもたちに経験し、理解して欲しいと思っていますので、その点を重視したカリキュラムにしています。
実習の流れとしては、最初にその月のテーマにちなんだ問題を解きます。その後、実際に実験をおこない、考察して原理原則をとらえます。実験の結果や考察を活かせるかどうかが大事なので、また最後に問題を解きながら確認をします。落とし込めていない子には、「さっきのこの部分を活かすといいよ」と考え方などをアドバイスしますのでご安心ください。
どのコースも実習時間は学年により2~3時間もあるので、長いですねと皆さん仰るのですが、子どもたちにとってはあっという間です。子どもたちは勉強という感覚ではなくて純粋に実験や考察を楽しみに来てくれていますね。
ちなみに、野外のキャンプ実習もあり、火薬ロケットを自作して飛ばしたり、駆除された野生動物の解剖をおこなうなど、大学生でもしないような経験をして将来の夢を見つける子もいます。
現在はコロナ禍ということで実施できていないのですが、以前は実際に大学の研究室に行って実験をおこなう「大学実習」や企業体験もおこなっていました。中学・高校時代って、将来何をしたいのか心のなかでモヤモヤしていることが多いのですが、実際に体験することで、自分を知る良い機会になるんですね。
実習をきっかけに自分の興味関心が明確になりますし、大学でやりたいことや自分の目的や目標が定まると、子どもの突き進む力は強くなると感じます。
無料体験や実験・キャンプなどのイベントを開催中
ー今後、開催予定のイベントなどありましたらご紹介ください。
鈴木:入会前に、基礎研究コースでも受験理科Eコースでも、「無料体験実習」をおこなっています。
それから各教室で、毎月イベントを実施しています。詳細は、公式サイトの「サイエンス倶楽部 イベント実習」のページをご覧ください。
SDGsに関するものが好評です。2021年冬季は、呼吸器を知るため肺の解剖実習、海洋プラスチックに関しての実習、二酸化炭素に関しての実習など、学年に応じた実習を展開していました。
3月になると、春休みの野外実習「サイエンスキャンプ」や、また新たなテーマでの教室実習も用意していますので、ぜひご参加ください。
ー最後に、入塾を検討されている読者の方にひと言メッセージをお願いします。
鈴木:子どもが自分で自信を持って何かをできるようになるっていうのは、非常に大事なことだと思っています。
理科実験ではたくさんの経験をして自分で成し遂げられるようになることで、楽しみながら自己肯定感を高めることができると思っています。
そうなると、お子様は何事にも負けずに打ち勝つことができるようになると思います。保護者の方がお考えいただけるのであれば、ぜひ一度いらしてください。もちろん、理科好きになってほしい方もお待ちしています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
取材協力:サイエンス倶楽部