NPO法人「まほろび」不登校児童生徒への指導・支援の内容とは?理事長を取材

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小・中学校における不登校児童生徒数は、全国で19万人以上と年々増加しています。なんとかしたいと思っても、具体的にどうすればいいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そんな不登校児童生徒に対して、学校に復帰するだけでなく、その経験を生かして「社会で自立する」まで指導・支援を続けているのがNPO法人「まほろび」です。

今回は、理事長の守矢 俊一さんに適応指導・学習支援の内容についてお話を伺いました。

都内で支援先をお探しの方、お子さんが不登校でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

  1. 子どもたちを元気にしたら必ず学校に戻す
  2. 学習に取り組み始めたら学校に戻るサイン
  3. 不登校の子どもは「普通に戻れる」

子どもたちを元気にしたら必ず学校に戻す

NPO法人「まほろび」

ー本日はよろしくお願いします。早速ですが、NPO法人「まほろび」の適応指導・学習支援の活動内容について教えてください。

守矢 俊一さん(以下、守矢):
まほろび」は、小学6年生から25歳までを対象にした、不登校の児童・生徒の適応指導、学習支援教室す。

学校になかなか通えないお子さんたちに対して、居場所を作るというよりは、寧ろ「居場所を作ったあとに学校に戻す」ことを大きな目的にしています。

ですので「適応指導」では学校復帰のための準備をさせ、「学習支援」では学校に戻ったときに継続して順応できるように支援をし続けることをおこなっています。

昔は、学校ですごく嫌なことがあって、そこから自分の心を守るために学校に行かないというのが一般的でした。学校に行きなさいというプレッシャーや、ご家庭も不登校に対して世間体が悪いといったら変ですが、そういう考え方もあり、本人たちも学校に行っていないことをマイナスに捉えるのが一般的でした。

ところが、5~6年前から不登校の子どもに対して、異常なことではなくて普通の子どもに発生し得ることであって、何も特別なことではない、ということが徐々に社会通念的に浸透していったんです。

その結果として、ちょっとつらいことがあるとすぐにその場から逃げる、不登校になることが世間で認められるようになってきたんです。

簡単にいうと、不登校が容認される時代、そういうふうに考えるとわかりやすいでしょうか。
そうなると、子どもたちは嫌なことに立ち向かうことができなくなるんですね。

私はそれを「我慢する力」=「筋肉の力」ってよく呼ぶんですが、筋肉は使わないとどんどん弱くなっていきます。人間の行動の原則は「我慢する力」で行動が起こっており、ほとんどの人間が、「でもね」で行動しているんです。「今日は学校に行きたくないなあ。でも行かなきゃいけないな」と気持ちを切り替えているんです。

この「でもね」をしなくて良い生活があったとしたら、どうなるかというと、筋力が低下してその子たちは何に対しても立ち向かえなくなるわけです。

つらいことに立ち向かった経験がない子どもをそのまま社会に送り出すと、社会では通用しなくなります。つまり「我慢する力」が弱いので、つらいことを乗り越える力も弱いんです。

私たちは「でもね」を育てるために、一般の社会に近い「学校」にどこかの段階で必ず戻ってもらう。学校に戻った経験をもとに、社会に出てもらうことをしないといけないと考えています。

積極的に学校に戻した結果、学習の遅れがあったり、勉強の苦手感が出てくる子どももいます。世間では「学習障害」とか「発達障害」とか呼ばれるケースになりますが、学習の仕方を自分できちんと理解すれば、子どもたちはちゃんと学習できるようになります。

その方法論を教えるために「学習支援」を並行して走らせているんです。ちなみに「まほろび」の生徒たちは、不登校に対応した学校ではなくて普通校を目指させています。

「学校に戻る」という目的が達成できたからといってそのまま放っておくのではなく、その環境に馴染むようにケアをし続けるというのが、「まほろび」の学習支援になります。

学習に取り組み始めたら学校に戻るサイン

NPO法人「まほろび」室内

ーお子さんたちは毎日教室に来られるのでしょうか?

守矢:
「まほろび」は平日11時から19時まで開室していますが、通う曜日や日数は人によって違います。朝早くから来て、早くやること終わらせて帰りたい子もいれば、逆に昼頃寝坊しましたって来て17時頃までいる子もいます。17時半頃になると、学校に行っている子たちが集まってきますね。

ただ、学校に戻るときには「枠組み」というのがどうしても必要になってきますので、最初は無理なく通えるよう週1回に設定し、慣れてきたら週2回に増やします。それが週3回になり、ゆくゆくは毎日になるようにタイミングを見計らって計画を変更していきます。

目的が学校復帰なので、週1回でOKとはしません。週1回心地良く通えるようになって、「ここは安心な場所だ」となると、通ってくるのが楽しくはなってくるんです。しかし、そこに「でもね」を作らなきゃいけないんです。

その子の心の育ち具合というか、我慢の度合いがどのくらいまでできるか、こちらが推し量って頻度と滞在時間数を増やしていく、それを実践しています。

ー「この子は学校に戻れるな」っと思われる子どもから発するサインのようなのはあるのでしょうか?

守矢:学校に戻る前段階で「その子が健康なっているかどうか」というのがあります。その見極め方として、「自分のやりたいことを自分からやり始める」というのがサインになっています。

それから「我慢させる力」もテーマとしてありますので、最初の導入は遊びでも、そのうち必ず「勉強してみるか?」と聞くんです。すると、ほとんどの子どもたちは渋々ですが「やる」って答えます。勉強をやらないっていう子はケースとしてはほとんどないですね。

この「学習に取り組み始めた」というのが1つのサインです。「学習」は何のためにするのかというと、「学校に行くため」です。学校に戻る気がないから学習をしない、と。でも学習をしようかと渋々でもやり始めるということは、学校に戻りたいからなんです。

ですので学習に移行した子は、この子はどこかのタイミングで必ず学校に戻れるだろうと思っています。

学校に戻るとき、必要なことが2つあります。1つは「学力」ですね。授業に出てもまったくわからないという経験をすると、ものすごく辛いので、まずは学力を身に付ける必要があります。5教科全部ではなくて、「国語」「英語」「数学」というのがポイントなんです。

英数国のように積み上げていかなければならない教科に関しては、ちゃんとみんなに追いついていないと、学校に戻ったときに「やっぱり自分は勉強ができないんだ」と思うわけです。

でも英数国がその学年でもちょっと上くらいのところまで進んでおけば、戻ったときに「これ知っている」ってなるわけですよね。そうすると安心して学校に戻ることができます

それから2つ目としては「言い訳」です。学校に戻ったら、クラスメートから「なんで休んでいたの?」と聞かれる場面があります。

そのときに「ちょっと身体の調子が悪くて」とか「実は夢中になっているものを完成させたくて」と、休んでいたときの理由が必要になるわけです。だから学校を休んだ理由を構築してあげることもしています。

「まほろび」にはプラモデルやNゲージ、プログラミングの授業があったりと、技能を身に付けるための環境とスタッフが揃っています。

ですので、子どもたちは「こんなことをちょっとやったんだよね(=夢中になってたから休んでたんだよね)」と、人にちょっと自慢できることを言い訳にして学校に戻ることもあります。

不登校の子どもは「普通に戻れる」

NPO法人「まほろび」

今後開催予定のイベントがあれば教えてください。

守矢:不登校、学校生活が苦手な生徒の高校進学を考える「進路相談会」を、都内6ヶ所で月1回開催しています。

不登校の子を持つ保護者の方たちは、「しばらく様子を見ましょう」といわれているケースが非常に多いんですね。子どもはきっとつらいことがあっただろうから、それが回復するまで少し待てば、そのうちまた元気になって活動を始めますよ、と。

それだと子どもは引きこもり一直線になるんですよ。それを防止するために、この進路相談会ではお子さんの現状から、どのような進路を組み立てれば「社会での自立」を果たせるのかを講演会を通じてお話しします。

この会にご参加された方には無料の個別相談をおこなっていますので、ぜひ足をお運びいただければと思います。

ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

守矢:不登校児童・生徒の数がものすごい数に増え続けています。昨年の発表で確か18万人、今年は19万5千人なんです。

ということは、1年間で1万5千人増えているという状態です。この不登校のお子さんたちは、家で遊んで勉強をしていないことが多いのですが、勉強をすれば必ず学力が付くし、社会に戻れる力がある子がほとんどだっていうのが実際のデータとして出てきています。

もし、この記事をご覧になって私たちのところに辿り着いた方がいらっしゃったら、不登校の子どもは普通に戻れるんだ、ということを強く信じてほしいです。

「普通に戻れる」というのは、普通に社会に出られるだけではなく、普通に中学校にも高校にも通えますよ、ということです。今は不登校でも、必ず学校に戻れるようになるんだと信じていただければと思います。

私たちの団体では無料の個別相談もおこなっていますので、気軽に門を叩いてもらって、本当かしら?と実際に見に来ていただければ嬉しいです


ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


取材協力:NPO法人まほろび