NPO法人「あかね」がおこなう居場所事業や学習支援とは?代表を取材!

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年々割合が増加している不登校、引きこもり。保護者の方のなかには悩まれている方もいるのではないでしょうか。

岡山県岡山市にあるNPO法人「あかね」では、2001年から活動を始めて以降、不登校やひきこもりの子どもや若者、その保護者のためのさまざまな支援活動をおこなっています。

今回は、代表の中山 遼さんに活動内容についてお話を伺いました。不登校や引きこもりで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. フリースクールのような存在の居場所事業
  2. その子の学び方に寄り添う学習支援「まなぴた」
  3. まずはお母さん自身が楽になるために相談を

フリースクールのような存在の居場所事業

NPO法人「あかね」居場所事業

ー本日はよろしくお願いします。まずは「居場所事業」について教えてください。

中山 遼さん(以下、中山):
私たちは、不登校や引きこもりの子をサポートする団体として活動しています。その活動の1つとして「居場所事業」があります。「フリースクール」という言葉が一番しっくり来るかもしれませんね。

平日の12時から16時30分まで開所していまして、火曜日と土日祝日がお休みです。岡山市の小・中学生は、市教委との話し合いで、「あかね」に来れば出席扱い(※校長先生の判断による)になります。最近は、岡山市以外のほかの地域も、岡山市に準じた取り扱いになってきていますね。

「あかね」では特にカリキュラムはなく、ゲームをしている子もいれば、絵を描いている子、テレビを見ている子、スタッフとおしゃべりをしている子など、それぞれが思い思いの過ごし方をしています

年齢制限を設けていないこともあり、小学生から高校生までさまざまな人が来ます。岡山県は小学生の不登校が多いので、最近は小学生の来所が増えてきていますね。

不登校の子どもは、学校に行けないとなると、ほぼ家にいるという選択肢になります。

できるだけ対人関係を作ったり、友人を作ったり、相談機関につながる、いろいろな情報に触れるという意味でも、また単純に通う場所ができるということでも、「あかね」を活用していただきたいですね。ここに来ることによって、生活習慣が変わってくることもありますので。

ー生活習慣が変わるとのことですが、ご利用されているお子さんの変化について教えてください。

中山:
そうですね、変わる部分というのはその子によって違いますが、たとえば今までなかなか「あかね」に来なかった子が、お母さんが仕事があり車で送迎できないときに、わざわざ自転車を漕いで、すごい時間をかけて来たり、というのは私たちにとっても嬉しい変化ですね。

それから、家族以外ほとんど誰とも話していない、という子がいまして、コロナが流行る前でしたが、夏場だろうとずっとマスクとヘッドホンをして、来てもずっとパソコンとにらめっこして誰とも会話をしなかったんです。

スタッフが「パソコンで何してるの?」と声をかけたりすることを繰り返すうちに、気づいたらマスクがなくなってきてるときがあり、今日はヘッドホンをしてないなっていうときがあったりと、だんだん装備が取れてくるんですね。

徐々に顔も見えてきて、だんだん返答もしてくれるようになって、そこからいろんな話をしてくれるようになりました。

その子との関係づくり、「この人は敵ではなくて味方である」ということを感じてもらうことが第一歩ですので、その子にとって私たちは味方であると感じてくれるよう心がけて接しています。

これは一例ですが、親だからこそ話せないことって中学生や高校生になるとあると思うんですよね。そういうことをこちらに話してくれて、実は高校に行きたいんだという話や、こういう事に悩んでるんだっていうことを話してくれることで、その子の力になれることがあるように感じます。

高校進学に関する相談もとても多いですね。ですので、その子と一緒にオープンスクールに行ったり、一緒に願書や作文を書いたりして、高校まで送り出すことはよくしています。

「生活習慣が変わってきて、毎日お風呂に入るようになりました」「朝起きるようになりました」という変化は結構ありますので、そういった報告を聞くと嬉しく感じますね。

その子の学び方に寄り添う学習支援「まなぴた」

NPO法人「あかね」の個別学習「まなぴた」

ー学習支援の1つ「まなぴた」についても教えてください。

中山:
居場所事業や訪問支援で関わるお子さんのなかには、勉強するやる気はあるけど勉強ができない、知的障害があるわけではないけれど勉強ができない、っていう子がたくさんいます。

そういったお子さんたちの状況を聞くうちに、不登校の子には大きく2つのデコボコがあるなと思ったんです。

1つは、学習の習熟度のデコボコですね。たとえば、小学5年生だけど小学2年生から習ったことを忘れている、ただし理科だけは実学年より上の習熟度、といった感じです。

それともう1つは、発達障害といわれるようなものだったり、発達障害という診断がおりていなくても発達特性のデコボコですね。

たとえば、集団でのコミュニケーションがすごく苦手だったり、極端に字を書くことに障害があったり、また字を読むことに障害があったりなど、限局した悩みがある子が結構いると感じます。

そういう子の場合、学校で勉強して周りの習熟度に追いつくことがかなり難しいことが多く、私たちで何かできないかなと模索していた頃、その子の特性や習熟度、学び方にこちらがぴったり寄り添う、その子にパーソナライズした形の学習支援をという想いでスタートしたのが「まなぴた」です。


中山:
内容としては、タブレット学習がメインになります。1人1台タブレットを渡し、映像授業やドリル教材など、いろいろな学び方ができるようにしています。

その子の習熟度にあわせ、学習と教える部分はタブレットを中心に、心理的な部分やモチベーションのサポートを担当者が一人ずつついておこなっています。

やっていく方法も、家庭訪問で家庭教師的に行く場合もあれば、リモートでおこなう場合もありますし、「あかね」に来て集団でやる場合など、さまざまです。

私たちは、その子の特性や学び方にあわせて、やり方や担当するスタッフ、タブレットの内容をコーディネートして、その子にぴったり合う学習方法を見つけていくっていうイメージですね。

不登校のお子さんのほかにも、岡山市の委託を受けて生活困窮世帯のお子さんに無料で学習支援をおこなっていまして、現在60~70人くらいのお子さんが学習しています。

「あかね」のある岡山県岡山市北区にはたくさんの塾・学習塾があります。

テラコヤプラスでは、岡山市北区 塾・学習塾 ランキングや、備前三門駅 塾・学習塾 ランキングなど、エリアや駅など条件を絞って塾を探すことができます。

お子さんの学習支援に塾をお探しの方は、ぜひ活用してみてください!

まずはお母さん自身が楽になるために相談を

NPO法人「あかね」の活動の様子

ー「あかね」の活動を応援したい場合、どのような方法がありますか?

中山:
「あかね」の公式サイトに「活動を支援する」というボタンを設置していますので、そこからご寄付をしていただけますと幸いです。

私たちは、基本的には塾さんと同じく、普通にお金をいただいて保護者の方の負担で運営していく形にならざるを得ない団体です。

全国をみても平均的なフリースクールの月謝は3万円ほどしますので、塾に通うのと同じぐらいかかります。

ですが、不登校のお子さんがいるご家庭は、お金も気持ちも関係も苦しい場合が少なくないので、そういうご家庭の金銭的な負担をなるべく減らしてサポートしたいと思っています。

皆さんから寄付によるご支援をいただくことで、居場所事業をはじめ学習支援でサポートできるお子さんの数がかなり増えますので、ぜひご寄付をお願いします。

ー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

中山:
子どもが不登校になると、お母さんがその子の面倒を見られていることが多いので、お母さん自身が限界を迎えられてることが少なくありません。

私たちは、お母さんが楽になることが子どもにとっても、そのご家庭の今後にとっても必要だと思っていますので、お子さんのことももちろんそうですが、まずは保護者の方、特にお母さんご自身のこと、しんどさを吐露する部分も含めてご相談いただきたいです。

私たちのような民間団体含めた第3者が入ることで、初めてお子さんの本音が聞けることも多いので、家族だけで抱えずに第3者の力を借りてください。

私たちとしても、お子さんとお母さんをつなげる手助けをするという側面も大きいので、面談しながらお母さんが思ってること、本人が思ってること、望んでることを聞いて、つなぐお手伝いをさせていただきます。

もし、お子さんが「あかね」に来れそうになくても、お母さん自身が相談しに来ていただければと思っています。対面はもちろん、電話でもLINEでもおこなっていますので、ぜひご相談いただければ幸いです。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:NPO法人あかね

福岡 萌子
この記事を執筆した執筆者
福岡 萌子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期はダンス、フィギュアスケート、ピアノ、英会話などを習う。英語に特化したカリキュラムが豊富な私立高校の国際情報コースに通い、イギリスでの短期留学を経験。その後、恵泉女学園大学人間社会学部にてインドネシア文化とフランス文化を学ぶ。その後、幼児~シニアを対象としたダンス講師として従事。2021年4月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者やお子さまの目線に寄り添い、知りたい情報を確実にお届けできるよう目指しています。