昨今のコロナ渦において、子どもの健全な発達が見込めるとして近年注目を集めている自然体験活動。
自然のなかでおこなう野外活動は、子どもたちを取り巻く閉塞感を打破し、元気で健やかな成長が見込めます。
そんな子どもの野外活動を支援しているのが、奈良県曽爾(そに)村にある「国立曽爾青少年自然の家」です。
当施設は「少年自然の家」として国内で5番目に設立され、40年以上の長い歴史を積み重ねてきました。一体どんな活動をおこなっているのでしょうか?
今回は、「国立曽爾青少年自然の家」の企画指導専門職 森本 貴仁(もりもと たかひと)さんにお話を伺いました。
40年以上の利用実績がある「国立曽爾青少年自然の家」
ー本日はよろしくお願いいたします。まずは「国立曽爾青少年自然の家」の概要を教えてください。
森本さん(以下、森本):「国立曽爾青少年自然の家」は、 室生赤目青山国定公園内に位置する自然の家として昭和55年に事業を開始。当時は全国で5番目の少年自然の家でした。
私たちの施設は、子どもたちが雄大な曽爾高原の自然のなかで集団生活をおこない、人間味豊かでたくましく育つよう支援しています。
今年で開所41年目を迎え、今日までに500万人以上の方々に利用されてきました。現在も引き続き青少年教育のための社会教育施設として利用いただいていますね。
施設は宿泊棟、管理研修棟、生活棟などから構成され、宿泊棟では最大400人の宿泊が可能です。
さまざまな活動を通して自主性を育てる
ー「国立曽爾青少年自然の家」がおこなっている活動について教えてください。
森本:当施設のおもな活動は「研修支援」と「教育事業」の2つです。
「研修支援」では、小中学校の宿泊体験学習やスポーツ少年団の合宿など活動プログラムを提供し、より効果的な研修となるよう支援をおこなっています。
「教育事業」では、豊かな人間性を育むことなどをねらいとした主催事業を企画・実施しています。代表的な活動としては、小中学生向けの長期宿泊キャンプや幼児向けのキャンプです。
青少年に必要な資質を養う
ーそれぞれの活動に参加することで、どんなことが学べるのでしょうか?
森本:仲間と課題を解決していく「ウォークラリー」や「オリエンテーリング」では、協力することの大切さを学ぶことがきます。
また、自然のなかでおこなう「野外炊事」では子どもたちが自分で調理して同じ釜のご飯を食べることで親睦を深めることができます。
こうした活動は学校や家庭ではなかなか体験できないものですし、私たちとしても参加する子どもたちに非日常の環境をつくってあげることを大切にしていますね。
事業に参加する前は行きたくないという子どももいますけど、実際に参加して終わった後には楽しかったと言ってくれます。
また、「体験活動の後も家でお手伝いを積極的にやってくれています」という保護者の声も聞いたりすると、野外活動の重要さをしみじみ感じますね。
問題解決能力や豊かな人間性だけでなく、たくましさも身につくので、青少年育成の活動として理にかなっているのではないでしょうか。
地域と連携した密着型施設を目指して
ー今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか?
森本:これからも地域とともにある施設を目指して、地域の方々と連携をして青少年の自立に尽力していけたらと思っています。
また、コロナ禍で自然体験活動の重要性が再認識されています。コロナ禍だからこそ自然体験活動を子どもたちに届けなくてはと思いました。
もちろんさまざまな感染症対策をとって、みなさんが安心して過ごせるよう万全の準備をしていますよ。
ー最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
森本:「国立曽爾青少年自然の家」はみなさんの利用を心からお待ちしております。
是非一度遊びにきてください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:国立曽爾青少年自然の家