健康的な身体を維持するには、適度な運動が不可欠です。しかし、頭ではわかっていてもなかなか習慣として身につかないものですよね。
せめて運動を始めるきっかけや、運動ができる場所、そして一緒に運動を楽しめる仲間がいれば意欲的に取り組めるのではないでしょうか。
長崎県南島原市を拠点として活動しているNPO法人「コミュニティスポーツクラブ TEAMひまわり」は、スポーツに関するイベントの企画や情報発信などをおこなっている団体です。
子どもから高齢者までの誰もが、気軽にスポーツに参加できる環境を作るために尽力しています。
今回は、NPO法人「コミュニティスポーツクラブ TEAMひまわり」クラブマネージャーの中嶋 良介(なかしま りょうすけ)さんに、活動の内容や今後の展望などについて詳しくお話を伺いました。
幼児から高齢者までが参加できるコンテンツを用意
ー本日はよろしくお願いします。まずはNPO法人「コミュニティスポーツクラブ TEAMひまわり」の概要について教えてください。
中嶋 良介さん(以下、中嶋):2011年ごろ、世間では地域に密着したスポーツの活動母体である「総合型地域スポーツクラブ」を作っていこうという流れがありました。そこで、南島原市も団体を作るために、地域の行政機関の方々が中心となり、スポーツ関係者等に声をかけていき、「総合型地域スポーツクラブTEAMひまわり」を任意団体として設立したのが始まりです。
現在はNPO法人化し、幼児から高齢者までが参加できる各種コンテンツを用意して、多くの人に参加してもらっています。
私たちは、“多世代・多種目・多志向”を団体の定義としていて、幅広い世代の方が自分の趣味嗜好にあったスポーツに参加できる場所を提供するために活動しています。
保育の現場に訪問しておこなう「からだ遊び」
ーNPO法人「コミュニティスポーツクラブ TEAMひまわり」では、どのような活動をおこなっているのでしょうか?
中嶋:活動の柱として、巡回型幼児運動教室「からだ遊び」と集合型幼児運動教室「からだ遊びNEO」をおこなっています。
巡回型幼児運動教室「からだ遊び」では、南島原市内の幼稚園・保育園・認定子ども園などを訪問し、運動を楽しむための遊びを1教室につき1時間ぐらいおこなっています。
「からだ遊び」の大きな目的は、神経系の発達が著しいといわれる4歳から5歳の幼児に対して「運動に触れてもらうこと」です。
何かができるようになるというよりは、まずは「身体を動かすことに喜びを感じてもらう」ということが活動の目的ですね。運動の基本動作の定着につながる遊びをメニューとして取り入れ、子どもたちに楽しんでもらっています。
ー具体的には、どのような遊びなのでしょうか?
中嶋:たとえば、「鬼ごっこ」をしながら園庭を走り回ったりしています。また、ボールやフラフープを使った遊びなど、道具を使用する遊びもおこなっていますね。
体を動かすことをゲーム感覚でできるように、子どもの年齢に合わせて内容を変えながらやっています。
ー集合型幼児運動教室「からだ遊びNEO」は、どのような内容ですか?
中嶋:「からだ遊び」の場合、訪問を受け入れている施設の園児たちは参加できますが、訪問を受け入れていない施設に通う子どもは参加できません。
そこで、遊びに参加できなかった子どもたちのために、市内の3ヶ所に会場を設け、希望者に参加してもらう環境を整えているのが「からだ遊びNEO」です。施設を巡回しておこなう「からだ遊び」と同じ内容を、個人向けに提供しています。
ー参加を希望する場合、予約などは必要でしょうか?
中嶋:基本的には参加登録をしてから、1年間通っていただくようになっています。
毎年、幼稚園や保育園に向けて、対象年齢や会場を記載した募集チラシを配布していているので、それを見て興味を持ってもらえたら、インターネットで申し込みをしていただく流れですね。
ー小学生が対象の「ちょいスポ」は、どのような活動なのでしょうか?
中嶋:特定の競技を決めずに、子ども自信が「ちょっとやってみたい」と思うスポーツを選択(チョイス)して、まずは体験してみるのが「ちょいスポ」です。
私たちは子どもがいろいろなスポーツに出会える場所を作るために、放課後の空き時間にできるスポーツを多数用意しています。
子どもたちのなかには、ソフトボールやサッカーなどのスポーツクラブに入っている子どもも多いですが、クラブなどだと「ちょっと敷居が高い」「送迎が難しい」といった事情もあり、参加できない子どももたくさんいます。
「ちょいスポ」は、「そういう子どもたちが運動できる場所になってほしい」という願いも込めておこなっている活動です。
「スポーツ鬼ごっこ」の魅力を伝えていきたい
ー今後、なにかイベントなどは予定していますか?
中嶋:「鬼ごっこ」は遊びの王道だと思いますが、それを競技化した「スポーツ鬼ごっこ」という種目があります。道具を使う必要がないので、誰でも気軽に参加できて、幅広い世代の人が一緒に楽しめスポーツなんです。
私たちの団体では、小中学生を対象に「スポーツ鬼ごっこ」の大会を毎年企画しています。
今は新型コロナウイルスの影響で、大勢の人が集まりづらい状況ですが、また集まれるようになれば、これからも「スポーツ鬼ごっこ」の魅力を伝えていきたいです。
人と人との繋がりで社会を元気に
ー今後の展望があればお聞かせください。
中嶋:「総合型地域スポーツクラブ」としての柱を、これからもしっかりと伝えていきたいです。
また、私たちが活動している南島原市は、少子高齢化が進んでいて、スポーツを通じて地域活性化につなげるにはどうすればいいのかという問題があります。
そこで、さまざまなコンテンツをつくり、イベントなどを企画して、市民の方々にとってスポーツが身近にある状態をつくりたいと考えています。
生活の身近に、日常的にスポーツができる環境をつくる。それができれば、子どもたちのコミュニティも広がっていき、高齢者が孤立してしまう状態も防げるのではないでしょうか。
スポーツを通して市民の交流が生まれ、市の活性化につながる。そこに私たちのコンテンツが役立てばいいなと思っていますね。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
中嶋:南島原市だけでなく多くの地域で子どもの数が少なくなっており、一緒に遊ぶ仲間や遊ぶ時間が減っていくなどの問題が深刻化していると思います。
地域の方々が、もし「これは面白そうだな」「そういう考え方があるんだな」と思えるような場所や団体が身近にあったら、ぜひ活用してみてほしいです。
人と人との繋がりで社会が元気になっていく仕組みを、ご自身で感じていただけたらありがたいなと思っています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:NPO法人 コミュニティスポーツクラブ TEAMひまわり