フリーアナウンサー神田愛花が「夢は叶わないもの」と考える理由とは?学生時代から現在までを紐解く

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「叶えたい夢はあるけれど、うまくいかない…」「周りのみんなは夢への階段を確実にのぼっているのに、自分は取り残されている…」そんなふうに感じてしまうことはありませんか?

元NHKアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとしてバラエティー番組や情報番組で活躍中の神田愛花(かんだ あいか)さんは、「本当の意味で夢が叶っている人はいるのでしょうか?夢は叶わないものだと思っています」といわれます。

そう考える理由は、一体どのようなものなのか、神田さんの学生時代から紐解いてお話を伺いました。

アナウンサーを志すきっかけは名司会者の逸見政孝さん

神田 愛花さん

ー本日はよろしくお願いします。まず、アナウンサーになりたいと思ったきっかけを教えてください。

神田 愛花さん(以下、神田) きっかけは、小学校6年生のときのことです。通っていた進学塾「日能研」で、その年の中学受験合格者を集めた「合格祝賀会」が横浜アリーナでおこなわれたんです。

当時、フジテレビと日能研がタイアップをしていた「平成教育委員会」というクイズ番組の司会をアナウンサーの逸見政孝さんがされていたことから、合格祝賀会の特別ゲストに逸見さんがいらっしゃったんですよ。

合格したためか、浮かれて好き勝手に話していた小学6年生たちが、逸見さんが登場した途端にシーンとなって話を聞き始めたんですね。

そのとき生まれて初めてアナウンサーを拝見しまして、「アナウンサーってすごい!」と感動し、それ以来ずっとアナウンサーになりたいと想い続けてきました

ー学生の頃は、どのようなお子さんでした?

神田:中学受験をして、自分の中では第2志望の大妻中学校に入学したのですが、正直、勉強はしたくなくてですね、あまりガリ勉タイプの優等生ではありませんでした

そんな私ですが、尊敬していた先輩が生徒会長に立候補されて、副会長をやってみないかとお声がけいただいたのをきっかけに、生徒会活動にのめり込むようになりました

1年のときに副会長、翌年から生徒会長。高校で少し離れた時期はあったものの、結局、中高時代はずっと生徒会と一緒に過ごした6年間でしたね。

ー生徒会の活動をするなかで、どのようなことを学ばれましたか?

神田:生徒会長や副会長をやってみてわかったのですが、実際に動くのは議長さんや書記さん、体育委員長さんといった、それぞれの専門分野の長(おさ)なんですね。

どのようにしたら長のひとたちが気持ちよく活動できるかを考え、みんなの動きを把握して、的確な判断をするのが生徒会長や副会長の役目だと、経験して始めて気づいたんです。

自分が前面に立つのではなく、一歩引いてみんなの意見に耳を傾けつつ、うまくまとめて前に進めるよう舵を切っていく。そういう役割の大切さを学ばせていただきました。

なんでも自分で全部背負い込まず、頼める人にお願いするというスタンスは今も残っていますね。

数学に興味を覚え「解」を出すことに没頭する

神田 愛花さん

ー学生時代の成績や勉強方法についてもお聞かせください。

神田:お恥ずかしいのですが、学校の勉強は本当にできませんでした。 学校は勉強しに行くところというよりも、友だちと楽しく過ごす場、勉強は塾でやる、そう完全にわけて考えていました。

でも「数学」は好きだったんです。中学2年生くらいから、数学の一つしかない「解」を導き出すことに時間を忘れるくらい興奮して没頭するのが心地よくて、強い魅力を感じるようになっていきました。

そのため大学は理系を目指そうと考えていたんですが、付属の大妻大学には理系の学部はありません。それに付属大学への進学は考えていなかったので、評定平均といった学校の成績もあまり気にしていませんでした。

アナウンサーへの近道を考えると、本当に理系に進んでいいのか、文系に進むべきか悩みました。学校の先生にも「アナウンサーになりたいなら文系のほうがいい」とアドバイスをされていましたし…。

一方で、本当に叶うかわからない夢のために、好きな数学をより深く勉強したいという想いに蓋をして文系に進むことに疑問を感じる自分もいたんです。

いろいろ考えた末、叶うかどうかわからない夢よりも、明日明後日の勉強が楽しいほうがいいと思い、理系を選択しました。

アナウンサーになりたいという気持ちはずっと持ち続けていましたが、そのときの私は、数学をやりたいという熱い気持ちを大切にしたかったんです。

そのため高校2~3年になると塾に通い、学校がある日もない日も1日8~10時間必死で勉強しました。評定平均を気にしてコツコツ勉強してきた子たちの6年分を、2年間で取り戻さないといけないので、本当に必死でしたね。

結局、第2志望の学校でしたが、理系の勉強ができる学習院大学に入学が決まりました。

神田さんの母校、学習院大学のある豊島区にはたくさんの塾・学習塾があります。

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熱量があることに一生懸命取り組んだことが夢につながった

神田 愛花さん

ーアナウンサーになるという夢を叶えるために、どのようなことをされていましたか?

神田:アナウンサーになるための近道は、大学時代にアナウンス学校に通うことです。私はそのようなこともせずにアナウンサー試験に挑んだため、民放のアナウンス試験は全部落ちてしまいました。

最後のNHKの1次面接で「君、NHKの番組は何を見ている?」と聞かれたときに、とっさに「プロジェクトX」と答えたところ、「君、見てないね」と、はっきり言われまして…。NHKをあまり見ていないことがバレてしまったんです。

挙げ句に「戦うときは、相手がどんな番組を作っているか、勉強しておかないとダメだよ」とお叱りも受けてしまいまして。絶対に不合格になったと思ったのですが、その後、内定をもらいました。

後日、そのときの面接官に局内で会ったので「なぜ合格にしてくださったのか」と伺ったところ、「アナウンサーになりたいんだ、という目力が人一倍強かった」とおっしゃったんです。

年によってNHK側が欲しいキャラクターや適性などはあると思いますが、それを超えたところで、自分の熱い想いが届いたと感じる瞬間でした。

その経験も踏まえて、アナウンサーになるという夢を叶えるためにやってよかったと思うことは、将来のために、今自分がしたいことを我慢するのではなくて、今本当に自分がしたいと思うことをやり続ける、それが夢を叶えることにつながっていると思います。

人によっては、将来のなりたい自分を想定して、そこから逆算して準備をしておきたいという考え方もあると思います。私など傍から見たら「アナウンサー志望なのに理系を選んだ」「アナウンサー志望なのにアナウンサー学校にいかなかった」など、矛盾だらけです。

ですが、その都度、熱量のあることを一生懸命取り組むこと、その選択を間違えないことがアナウンサーになるという夢につながったんだと感じています。


ー夢だったアナウンサーになられて、実際の現場はいかがでしたか?

神田:NHKに就職すると、初任地は東京ではなく必ずローカル(地方)局に行くのですが、私は比較的、全国の中でも大きい福岡局に着任しました。

当時はアナウンサー学校に通ったことはなかったため、仕事の傍ら、ひたすらニュース読みや漢字の読みの練習をしていましたね。

アナウンサーというと華やかなイメージがあるとは思いますが、実際は地道に勉強する毎日です。

なかでも印象に残っているのが、夕方にローカルだけで放送するニュースがあるのですが、先輩アナウンサーと5分間の中継枠を「企画の提案内容」で取り合うことができる番組があったのです。

時事ネタを探して取材・提案するため、その作業はとても大変でした。しかし、取材の仕方はもちろん「着眼点の置き方」などが学べ、いろいろな角度から物事を見ることの大切さを知ることができたのは大きかったですね。


ーその後、フリーのアナウンサーになった理由をお聞かせください。

神田:私の目指しているアナウンサーは、日本テレビの「NNNきょうの出来事」でキャスターを務めた櫻井よしこさんや、「FNNスーパーニュース」でキャスターをされていた安藤優子さんのように、女性ひとりで報道番組を仕切れるようなキャスターです。

しかしNHKでは40代くらいにならないと番組を任せてもらえないイメージがありましたので…。私は当時30歳くらい。夢を叶えるにはあと10年はかかると感じていました。

ちょうどそのころ、東日本大震災が起きたんです。報道に携わっているなかで、自分が生きていることは当たり前じゃないと思うようになり、10年後の夢のために10年の時を過ごすのかと思うと不安にかられました。

民放を見ると、若くして報道されている方もいっぱいいらっしゃいます。一度外に出たほうが夢を叶えるチャンスがあると思い、2年ほど悩んだ末、勇気を出してフリーになりました。

いくつになっても夢はあきらめないでほしい

神田 愛花さん

ーフリーアナウンサーになられた今、夢を叶えようと頑張っている子どもたちにアドバイスをお願いします。

神田:よく経済番組などで、成功された方は必ず「夢を叶える秘訣は、夢や目標を達成するまでやめないこと」と、みなさんおっしゃるのですが、本当にそう思います。

やめてしまったら夢は叶わなくなるじゃないですか。絶対に、いくつになっても夢はあきらめないでほしいです。

100%自分がしていることが夢に直結していると思えなくても、2%だけでもつながっていると感じられるのなら、続けて欲しいです。

それから、自分が何をしたいのか、真剣に考えることも大切です。「将来、こうなるためにはこっちの道が普通だよ」ではなくて、「明日、何したいのか?」を真剣に考えて欲しいんです。

もしかしたら王道のやり方ではないかもしれませんが、自分が今一番熱量のあることは何か、ちゃんと自分と向き合って、自分で把握すること。それが一番大事だなと思っています。

というのも、私はとくに取り得もないのに、今こうしてまだ夢の過程に身を置くことができています。ほかの人からすれば「アナウンサーになったのだから、夢が叶ったのでは?」と思われるかもしれませんが、私の夢はキャスターになることなので、まだ夢の過程にいるんです。

ですからバラエティー番組などに呼んでいただいた際には、VTRを「ただ面白いな」と観るのではなくて、たとえば安い商品を紹介している場合は「安い裏側には、どのような工夫があるのだろう」と、言葉に出さなくても考える。そのような努力を1%でもして、何とか夢につなげたいと考えています。

櫻井さんや安藤さんのようになるために、寸暇を惜しんで考察することが、何かにつながると信じているんです。


ー時には夢をあきらめてしまいたくなることもあると思いますが、そのような場合は、どうしたらいいでしょうか?

神田:私も職業という枠で考えると、夢は叶っているように見られると思いますが、ちょこちょこ叶っていないんですよ。

たとえば小学校受験に失敗して公立の小学校に行きましたし、中学も大学も第一志望は受からず、第2志望の学校に入学しています。アナウンサーの仕事も民放さんに入社するのが希望でしたが、すべて落ちてしまいNHKに拾ってもらいました。

職業的な夢は叶いましたが、私の中では叶っていないこともあるんです。便宜上ここでは「夢が叶った」と言っていますが、本当の意味では叶っていないんですよ。

どの程度から「夢が叶った」と表現されるのかは個人差はありますが、夢が100%叶う人はほとんどいないと思うんです。

ですから今、夢が叶わないと悩んでいる人は、自分だけだと思わないで欲しいですね。

「アナウンサーになっているんだから、何言っているんだ」と感じる人もいるかもしれませんが、本人にとってそれが100%のアナウンサーの形かというと、いまだに自分も叶っていないですし、努力が足りないと感じています。

夢は叶わないもの。だからこそ叶わないことに挑戦して、夢の1個下のところができるようになるんです。

夢が叶わないときは気落ちしがちです。一見、夢が叶っているように見える人も、実は叶っていないと知って欲しいです。だから自分だけと気落ちしないで欲しいです。もっと前向きに「みんな叶ってないじゃん(ドヤ顔)」と思えるようにいて欲しいですね。

そういう視点で見ると、みんな夢を叶えようと努力している過程と思えてくるので、人と比べる気持ちも起こらずに、悲しくならないと思いますよ。


ー神田さんのように物事を多角的に見る力を鍛えるには、何をすればいいでしょうか?


神田:これもまた模範解答ではないのですが、とにかく遊ぶことが大事だと思うんです。学校で受ける教育もとても大切ですが、その習ったことをもとに、自分でどんどん何かをやってみる。

勉強や仕事と直接つながらないと思われがちな旅行でもいいですし、新発売の食べ物を食べるでもいい。とにかく自分の好奇心をどんどん実行に移していくことが大事だと思うんです。

そうやっていくと、この集合体と集合体は、ここが重なっているので、共通点はこの部分にある、といったことに気づき、いろいろな物事がつながっていくんです。

それは学習と同時に、自分流の行動を起こすことがきっかけで生じます。ですからインプットをしつつ、いろいろな遊びをしたり、さまざまなものを見たり、感じたり、試したりしてみるといいと思いますよ。

夢に向かって地道な努力を重ねていきたい

ーでは最後に読者の方へメッセージをお願いします。

神田:私は今、さまざまなバラエティー番組に出させていただいていて、一つ一つ勉強の日々です。 本来であれば、40歳ぐらいでキャスターになる夢を叶えたいと思っていましたが、まだ夢の過程にあります。

今は、年齢や結婚などで女性が仕事を辞める時代でもありません。

私もひたすら夢に向かって地道な努力を重ねていきたいなと思っています。ぜひ皆さんも何か夢があるのであれば、その夢に向かって、本当に些細なことでもいいので続けていって欲しいです。

仮に傍から見て夢が叶ったといわれる状況になったとしても、その言葉を鵜呑みにして「私は夢が叶ったんだ」と立ち止まった途端、そこで夢は叶わずおしまいになってしまいます。

本当の自分の夢は何なのか、常に意識していたいですね。それには、どんなに充実している人でも、悩みを抱えていて、夢の過程にいるんだという捉え方をしているといいと思いますよ。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

■取材協力:神田 愛花(かんだ あいか)

福岡 萌子
この記事を執筆した執筆者
福岡 萌子

Ameba塾探し 執筆者

幼少期はダンス、フィギュアスケート、ピアノ、英会話などを習う。英語に特化したカリキュラムが豊富な私立高校の国際情報コースに通い、イギリスでの短期留学を経験。その後、恵泉女学園大学人間社会学部にてインドネシア文化とフランス文化を学ぶ。その後、幼児~シニアを対象としたダンス講師として従事。2021年4月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者やお子さまの目線に寄り添い、知りたい情報を確実にお届けできるよう目指しています。