球の体積・表面積の公式と覚え方|京大卒プロ講師による証明付き【高校数学】

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中学生のころに一度学習する、球の体積や表面積。

中学数学では、公式を暗記するだけで、なぜその公式が求められるのかという点には触れませんでしたね。

高校数学になると、数Ⅱ・Ⅲで証明に必要な積分法を学習します。

この記事では、オンライン受験コンサルティング「ポラリスアカデミア」代表の吉村 暢浩さんに監修いただき、球の体積や表面積について公式や覚え方を紹介!

さらに、積分を使用して球の体積や表面積の公式を証明していきます。

公式を覚えるための語呂合わせも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

  1. 球の体積の公式はV=4/3πr³
  2. 球の表面積の公式はS=4πr²
  3. 球の体積・表面積の公式|語呂合わせの覚え方を紹介
  4. 球の体積の公式を証明|積分を用いた定番の方法
  5. 球の表面積の公式を証明①
  6. 球の表面積の公式の証明②
  7. 球の表面積の公式の証明③
  8. まとめ
吉村 暢浩
この記事を監修した専門家
吉村 暢浩

テラコヤプラス by Ameba 専門家

2014年 京都大学工学部電気電子工学科に現役合格。その後、某個別指導塾にて講師を勤め、3年ほど受験指導にあたる。
2016年 個人事業主としてオンライン家庭教師を開始。逆転合格を目指す生徒に主に勉強法や計画づくりの指導をおこなう。
2018年 京都大学を卒業し、同大学大学院に進む。
2019年 大学院を退学し、受験コンサルティング事業「ポラリスアカデミア」を立ち上げる。
2021年 株式会社ポラリスを設立し、ポラリスアカデミア本格始動。在籍講師も100名を超え(すべて東大・京大合格者)、現在では約200名の受験生に対し、QVSAサイクルを用いた大学受験のコンサルティングをおこなっている。

球の体積の公式はV=4/3πr³

球の体積をV、球の半径をr、円周率をπとしたとき、球の体積Vは「4/3×半径×半径×π」で表すことができます。

V=4/3πr³ (球の体積の公式)
球の体積 表面積1

球の表面積の公式はS=4πr²

球の体積に対して、球の表面積をS、球の半径をr、円周率をπとしたとき、球の表面積Sは「4×半径×半径×π」で表すことができます。

S=4πr² (球の表面積の公式)
球の体積 表面積2

球の体積・表面積の公式|語呂合わせの覚え方を紹介

球の表面積の公式は数字とアルファベットが混在するため覚えにくく、体積の公式とも間違えやすいですよね。

ここでは記憶に残りやすい語呂合わせを2種類ご紹介しますので、参考にしてみてください。

心(4)配(π)ある(r)ある(r) 早く言いたい~
少し前に流行ったお笑い芸人さんのネタですが、知っているでしょうか?

知らないという方は次の語呂合わせがおすすめ!
心(4)配(π)ある(r)2年生(二乗)
こちらは球の体積の公式「身の上に心配ある3年生」とセットで覚えるのがおすすめです。

「進路決定に悩む3年生とは違って、2年生はまだ身の上の心配はないよ」という意味です。
塾や予備校などでも、講師ごとに覚えやすい語呂合わせを教えてくれることがあります。

どうしても覚えられないときは、講師に相談してみるのもひとつの手です。

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球の体積の公式を証明|積分を用いた定番の方法

球の体積の公式を証明する方法にはいくつかありますが、今回は球を半円の回転体として考えた場合の証明を示していきます。

前提知識として、原点を中心とした半径rの円の方程式が「x²+y²=r²」となることを確認しておきましょう。

球の体積 表面積3

下の図のように、半円をx軸中心に回転させると球になります。

回転した後の部分を円柱と捉えると、この円柱の体積V₁は、V₁=y²πxと表すことができます。

この微小な厚さの円柱を積み重ねていくことで球ができるという性質を利用して、積分を用いてV=4/3πr³が成り立つことを証明していきます。

球の体積 表面積4

円の方程式「x²+y²=r²」を変形すると、y=√r²−x²

球の体積 表面積5

球の表面積の公式を証明①

続いて、球の表面積の証明をおこなっていきます。この記事では証明の仕方3つを紹介します。

半径tの球の表面積をS(t)とします。

三次元空間において、原点からの距離が「t」以上「t+Δt」以下の間にある部分を考えます。

このとき、このような図形を球殻と呼びます。

半径rの球は、この「薄い球殻」を寄せ集めたものとみなし、まずは体積を求めていきます。

球の体積 表面積6
吉村 暢浩
ポラリスアカデミア代表
Δtが十分小さいとき、この球殻の体積は「表面積×厚さ」なので、S(t)Δt とみなせます。

このような球殻をt=0からt=rまで寄せ集めたものが半径rの球であり、体積は4/3πr³となります。

よって、Δt→0の極限を考えると、以下の式が成り立ちます。

球の体積 表面積7

両辺をrで微分するとS(r)=4πr2を得ることができ、球の表面積が求められます。

球の表面積の公式の証明②

球の表面積を積分することで求めます。

球の体積 表面積8

中心からの角度がθからθ+Δθの部分の表面積を考える。

中心からの角度ががθからθ+Δθの部分の幅は、図の赤線の長さを指し、帯のような図形になる。

吉村 暢浩
ポラリスアカデミア代表
これは、半径がrで中心角がΔθである扇形の弧の長さでもあります。

この図形の周の長さは2πrcosθ、帯の幅はrΔθ

帯を細長い長方形とみなすと、面積は「帯の長さ×帯の幅」で求められるため、帯の表面積は2πr²cosθΔθ

よって、Δθ→0の極限を考えると、以下の式が成り立ち、球の表面積が求められます。
球の体積 表面積9

球の表面積の公式の証明③

多面体の面積と体積の関係性より球の表面積を求めます。

吉村 暢浩
ポラリスアカデミア代表
内接球が存在するような任意の多面体において、内接球の半径をr、表面積をS、体積をVとおくと、V=1/3rSが成立する。

球に限りなく近い多面体についても、V=1/3rSが成立するので、極限を考えることで球においても同様にV=1/3rSが成り立つ

これを変形すると、S=3V/r

V=4/3πr³を代入すると、S=4πr²が求められる。

まとめ

今回は体積の証明を1つ、表面積の証明を3つ紹介しました。球の体積や表面積の証明は、正解がひとつではないことが面白いところです。

積分を用いて求める方法が一番オーソドックスですが、そのほかの方法でも公式を導くことができるので、ぜひ確認してみてください。

実際に図を書きながら証明していくと、より理解が深まりますよ。証明を通して、多方面から数学を考えるきっかけになれば幸いです。

工藤 智也
この記事を執筆した執筆者
工藤 智也

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

「テラコヤプラス by Ameba」の編集兼ライター。子どものころは勉強が苦手で、好きな教科と嫌いな教科でテストの点数が極端に違ったタイプ。国語が好きで、本ばかり読んでいた学生時代。中学校で塾に通い、その時に初めて塾で勉強すると成績が伸びることを実感。苦手な数学の成績が上がったことは、勉強に対する考え方が変わった良いきっかけに。この経験を活かし、勉強することが苦手な人が、少しでも勉強を好きになり前向きな塾選びができるようなサイトを目指します。