中学生のころに一度学習する、球の体積や表面積。
中学数学では、公式を暗記するだけで、なぜその公式が求められるのかという点には触れませんでしたね。
高校数学になると、数Ⅱ・Ⅲで証明に必要な積分法を学習します。
この記事では、オンライン受験コンサルティング「ポラリスアカデミア」代表の吉村 暢浩さんに監修いただき、球の体積や表面積について公式や覚え方を紹介!
さらに、積分を使用して球の体積や表面積の公式を証明していきます。
公式を覚えるための語呂合わせも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
球の体積の公式はV=4/3πr³
球の体積をV、球の半径をr、円周率をπとしたとき、球の体積Vは「4/3×半径×半径×π」で表すことができます。
球の表面積の公式はS=4πr²
球の体積に対して、球の表面積をS、球の半径をr、円周率をπとしたとき、球の表面積Sは「4×半径×半径×π」で表すことができます。
球の体積・表面積の公式|語呂合わせの覚え方を紹介
球の表面積の公式は数字とアルファベットが混在するため覚えにくく、体積の公式とも間違えやすいですよね。
ここでは記憶に残りやすい語呂合わせを2種類ご紹介しますので、参考にしてみてください。
球の体積の公式を証明|積分を用いた定番の方法
球の体積の公式を証明する方法にはいくつかありますが、今回は球を半円の回転体として考えた場合の証明を示していきます。
前提知識として、原点を中心とした半径rの円の方程式が「x²+y²=r²」となることを確認しておきましょう。
下の図のように、半円をx軸中心に回転させると球になります。
回転した後の部分を円柱と捉えると、この円柱の体積V₁は、V₁=y²πxと表すことができます。
この微小な厚さの円柱を積み重ねていくことで球ができるという性質を利用して、積分を用いてV=4/3πr³が成り立つことを証明していきます。
円の方程式「x²+y²=r²」を変形すると、y=√r²−x²
球の表面積の公式を証明①
続いて、球の表面積の証明をおこなっていきます。この記事では証明の仕方3つを紹介します。
半径tの球の表面積をS(t)とします。
三次元空間において、原点からの距離が「t」以上「t+Δt」以下の間にある部分を考えます。
このとき、このような図形を球殻と呼びます。
半径rの球は、この「薄い球殻」を寄せ集めたものとみなし、まずは体積を求めていきます。
よって、Δt→0の極限を考えると、以下の式が成り立ちます。
両辺をrで微分するとS(r)=4πr2を得ることができ、球の表面積が求められます。
球の表面積の公式の証明②
球の表面積を積分することで求めます。
中心からの角度がθからθ+Δθの部分の表面積を考える。
中心からの角度ががθからθ+Δθの部分の幅は、図の赤線の長さを指し、帯のような図形になる。
球の表面積の公式の証明③
多面体の面積と体積の関係性より球の表面積を求めます。
まとめ
今回は体積の証明を1つ、表面積の証明を3つ紹介しました。球の体積や表面積の証明は、正解がひとつではないことが面白いところです。
積分を用いて求める方法が一番オーソドックスですが、そのほかの方法でも公式を導くことができるので、ぜひ確認してみてください。
実際に図を書きながら証明していくと、より理解が深まりますよ。証明を通して、多方面から数学を考えるきっかけになれば幸いです。