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サンゴ礁を守る活動をするNPO法人「夏花」を取材!環境保全活動を通して若者に伝えたいこととは

サンゴ礁を守る活動をするNPO法人「夏花」を取材!環境保全活動を通して若者に伝えたいこととはの画像

石垣島の白保(しらほ)地区の海岸には、世界最大級のアオサンゴの群集や、120種以上のサンゴ、300種以上の魚類、巨大なハマサンゴなどを有する豊かなサンゴ礁があります。

このサンゴ礁を守るために活動しているのが、NPO法人「夏花(なつぱな)」です。

「夏花」は、サンゴ礁の保全だけでなく、白保地区の文化を継承していくことも活動の1つとしており、島外の方向けのエコツアーなども企画しています。

今回は、「夏花」理事長の山城 吉博(やましろ よしひろ)さんにお話を伺いました。

サンゴ礁をはじめとする自然環境の保全や、石垣島の文化に興味がある方はぜひご覧ください。

自然環境の保全と伝統文化の継承を目指して

石垣島の海岸

ー本日はよろしくお願いします。まずはNPO法人「夏花」の概要をお聞かせください。

山城 吉博さん(以下、山城):NPO法人「夏花」は、2013年5月に設立された石垣島で活動している団体です。

2013年に新石垣空港が開港したのをきっかけに、大規模な開発や新住民の増加といった新たな活力が島にもたらされました。

しかし、急激な人口の増加により、地縁・血縁などのコミュニティの団結力の希薄化が懸念され、伝統文化の継承や自然環境の保全が大きな課題となっていました。

そこで、石垣島の白保集落で制定されている「白保村ゆらてぃく憲章」七箇条に基づき、白保集落の伝統文化の継承、自然環境の保全・継承、地域の活性化などに取り組むことを目的に「夏花」が設立されました。

「夏花」は「なつぱな」と読み、木綿の花のことを指します。ちょうど夏に咲く花ですが、白保地域では「夏花」という題名の歌もあるくらいなじみ深いものなんですよ。

昔から地域に根差してきたものという意味で、目標としている自然環境の保全や文化の継承に通じるものがあると考え、私たちはNPO法人の名称として使っています。

島の暮らしが学べる機会を提供

日めくりカレンダー

ー「夏花」がおこなっている活動について具体的にお聞かせください。

山城:白保で活動している「白保村ゆらてぃく憲章推進委員会」が最近、方言カレンダーを作成しました。先日私たちは、この方言カレンダーを買い取って白保の小・中学校に寄付しました。また、今後はこのカレンダーの販売活動を担当したりします。このように、白保で頑張っているほかの団体と連携協力して、文化継承に取り組んでいます

私は現在70歳なのですが、私たちの年代でも、誰かが話す方言を理解はできても、自分で話して子どもたちに教えるのは難しいんですよね。

ただ、石垣島は各地域によって方言が異なるため、白保独自の方言をなくしてはいけないと感じているのです。

その方言をカレンダーのかたちで紹介すれば、カレンダーは毎日見るものですので、手軽に方言の継承に役立つのではないでしょうか。

サンゴ礁の画像

また、白保集落の東の海岸には、世界最大級のアオサンゴの群集や、120種以上のサンゴ、300種以上の魚類、巨大なハマサンゴなどを有する豊かなサンゴ礁があるのですが、そのサンゴ礁の保全活動も活動の1つです。

以前、新石垣空港を建設するにあたり、空港を白保集落の東の海上につくろうという計画が持ち上がりました。

しかしながら、世界的にも非常に貴重なサンゴ礁を守らなくてはならないということで、白保集落の人を中心にサンゴ礁の保全に動き出し、最終的には、空港は海上ではなく現在の場所につくることになったのです。

私たちは、今後もサンゴ礁を守っていくには、子どもたちへの教育が不可欠であると感じ、環境教育もおこなっています

具体的には、子どもたちに向けてサンゴやほかの環境問題に関する座学、サンゴの健康状態の観察、シュノーケリングでのサンゴの観察などを実施していますね。

「あのころはきれいだった」ではなく、世代を越えてずっときれいかつ豊かであり続ける、そんな白保の環境保全を目指しています。

人が海に潜っている画像

さらに、最近では畑から流出する赤土がサンゴの脅威となっており、その赤土の流出対策も重要な活動の1つです。

赤土の流出を防ぐ“緑の垣根”を築くための月桃や糸芭蕉という植物の植付けや、年に4回海底の赤土堆積量の測定をおこなっているんですよ。

身近な自然を大切にする心を広げるために、農業と水産業の活性化を目的とした「白保日曜市」も実施しています

「白保日曜市」では、白保で収穫された野菜を買ったり、島の食材を使ってつくった料理を味わい、ゆったりとした時間を過ごすことができますよ。

ー白保以外に住んでいる人が、白保の文化に触れられる活動もおこなっているのでしょうか?

山城:はい。「稼業体験」という、白保の暮らしが体験できる機会を提供しています。

畜産農家、野菜農家、サトウキビ農家、花き栽培農家、工芸家など、ここでしか体験できない稼業ばかりで、島人との交流もできますよ。

サンゴに興味がある方には、2014年3月からサンゴ礁観察・保全活動に参加するスタディツアーを実施しており、サンゴ礁とともに暮らす島人との交流や、サンゴ礁の観察・保全活動に参加することができます。

普段の旅行では得ることのできないディープな体験ができて、石垣島を第2の故郷と思えるくらい、島人との心温かいつながりができるでしょう。

なお、スタディツアーは学校や企業に向けて、白保でサンゴ礁保全と島の暮らしについて学べる体験プログラムとしておこなっています。レクチャー、集落散策、月桃植栽活動、稼業体験などの活動を組み合わせて提供が可能です。

日程や希望する学習内容、予算など、各団体に合わせたプログラム(※1)を提案しますので、お気軽にご相談ください。

(※1)  なお、この体験プログラムは集落に伝わる先人たちの知恵やサンゴ礁を通して知る環境問題を参加者の皆さまが学習する形式のプログラムであり、観光目的での参加受け入れは一切おこなっておりませんのでご承知ください。

白保の暮らしを体験できて、環境問題についても学べるエコツアーは、子どもたちにとっても貴重な社会勉強になりそうですね!

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塾・学習塾をお探しの方はぜひチェックしてみてくださいね!

環境問題を学べるサンゴ礁保全活動

子どもたちが草のようなものを抜いている画像

ーそれぞれの活動を通してどのようなことが学べるのでしょうか?

山城:サンゴ礁の保全活動を通して、環境問題を学ぶことが可能です。

活動に参加した子どもたちは、たとえば小学生は「海を守りたい」と考えるようになったり、中学生になると「海を守るために自分たちがどういう生活をしていったらいいか」ということまで考えるようになるんですよ。

たとえ活動に参加しているときは自分が何をしているのかわからなくても、「海を守る活動をした」ということが、将来的に子どもたちの心のなかに残るといいなと思って活動を続けているのです。

稼業体験やホームステイ、体験プログラムなどでは、先人たちの英知や苦労を知ることができます

白保には自然のめぐみを利用する知恵が伝統的に存在しますが、きっと現代に通じるものもあるのではないでしょうか。

若い人たちを中心に活動していきたい

子どもたちが畑を耕している画像

ー今後の展望について教えてください。

山城:まず、白保集落の伝統文化の継承、およびサンゴ礁などの自然環境の保全といった既存の活動はしっかりおこなっていきたいと思います。

そして、若者たちに地域の魅力を知ってもらい、いずれは伝統文化の継承に参加してもらいたいです。

「夏花」のメンバーもそれに伴い、若い人たちを中心に活動するようにしていきたいですね。

また、さまざまな文化を継承するための保存会や白保公民館、老人会、婦人会、青年会などといった団体と一緒に、文化の継承や自然環境保全をより多くのメンバーでおこなっていきたいと思います。  

子どもたちがシュノーケリングしている様子

ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

山城:自然環境に対する意識は、小さいころから植え付けるのが大事です。

私たちも今後、子どもが率先して参加できるような海岸の清掃などの活動を用意し、小さいときから自然を守る活動ができる環境づくりをしていきたいと考えていますね。

世界中の人々が、それぞれの場所で「自分たちの海は自分たちで守る」という意識を持てば、間違いなく世界中の海がきれいになりますよ。

石垣島まで来るのは遠いと思われる方も、お住まいの地域の身近な自然のことから考えてみてはいかがでしょうか。

もちろん、石垣島まで来てもらえば、「来たかいがあった」と感じられる活動ができますよ。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

■ 取材協力: NPO法人 夏花

小泉 友里恵
この記事を執筆した執筆者
小泉 友里恵

Ameba塾探し 執筆者

小学生ではピアノ、学習塾に通う。中学生のときは社会科全般が苦手だったが、克服のため歴史に関する漫画を読みあさった成果もあり、歴史が大好きに。大学でも歴史を学びたいと思い、学習院大学文学部史学科に入学。2017年にお茶の水女子大学比較社会文化学専攻の大学院を卒業し、地理歴史と社会の専修免許状を所持。その後、2017年4月に家庭教師の派遣会社に新卒入社し、個別教室塾の副教室長を担う。2021年7月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者の方やお子さまの気持ちに寄り添い、お悩みを解決できるようなお役立ち情報をお届けします。