小学5年生の算数の授業で習う図形分野。そこで初めて扱うのが「円周率」です。
小学校の算数では「円周率=3.14」と数字を暗記していれば大体の問題を解くことができます。
しかし、ただ数字を暗記するのではなく、「円周率とは何なのか」といった根本的な意味や円周率の求め方を知っていると、算数の勉強がより楽しくなるでしょう。
この記事では、円周率の意味やさまざまな求め方を紹介します。ぜひ楽しみながら実際に円周率を求めてみてください!
円周率とは?公式は(円周の長さ)÷(直径の長さ)
円周率は「円の直径と円周の長さの比」というように定義されます。
しかし、この定義は少し言葉が難しいですね。
わかりやすく言い換えると、円周率は「円周の長さは、円の直径の長さの何倍か」ということを表しています。
円周率が3.14という決まった数で表されることからもわかるように、どのような大きさの円でも「円周は直径の何倍か」に対する答えはいつも同じ数字となります。
円周率を求める公式はさまざまな問題で活用できるので、しっかり覚えておきましょう。
小学生でも簡単にできる!円周率の求め方4パターンを紹介
円周率とは、円の直径と円周の長さの比のことをいいます。
円周率は一般的に「3.14」として学習を進めていきますが、この3.14を求める方法にはいくつかパターンがあります。
今回は数学的な要素を使わずに、小学生でも簡単に円周率を導く方法を紹介しますので、ぜひ実際に試してみてください!
① ヒモと定規を使った円周率の求め方
「円周率=(円周の長さ)÷(直径の長さ)」という公式が成り立つように、円周率は「円周の長さ」と「円の直径」がわかれば求めることができます。
そこで、この方法ではヒモと定規を使って円周の長さと円の直径を測っていきます。
用意するものは、ビンのふたやラップの芯など円状のもの・ヒモ・定規・鉛筆の4点です。
この方法が面白いのは、身近なもので円周率がわかること。ぜひいろいろなもので試してみてくださいね。
円の直径を測る
まずは用意した円状のものの直径を測ります。
ポイントは長さが最大となる部分を測ること。円の直径がどこかをできるだけ正確に見極めることができると円周率の精度も上がります。
今回は入れ物のふたで試したところ、直径は11.4cmでした。
円周を測る
次は円周を求めるのですが、曲線部分は定規で測ることができません。そこで使うのがヒモです。
ヒモを円の周囲に巻いて、1周したところに鉛筆で印をつけましょう。
印をつけたらヒモを伸ばし、ひもの端から印までの長さを測ります。
今回、円周の長さ(ひもの先端から赤印までの長さ)は35cmでした。
(円周の長さ)÷(直径の長さ)を計算する
最後に、求めた円周の長さと直径を公式に代入します。
円周率=(円周の長さ)÷(直径の長さ)=35÷11.4=約3.07
円周率である3.14に比べると、0.07ほど誤差が出ていますが、大差ではないので成功としましょう。
② 三角形を使った円周率の求め方
2つ目は、円に接する三角形をたくさん書き、そこから円周と直径の長さを求める方法です。
意外な方法で円周の長さを測るので面白いですよ。
用意するものは、紙・コンパスか円形のもの・定規・鉛筆の4点です。
円を8等分する
まず、紙に円を書きます。コンパスを使ってもよいですし、円形のものから型を取ってもよいでしょう。
次に、ピザやケーキをカットするイメージでこの円を8等分にします。このとき、8等分は厳密でなくても構いません。
等分した線と円の交わった点を結ぶ
円を8等分にした線と円の交わった点を結んでいきましょう。
すると、円の中に8個の三角形ができますね。
円を囲む大きな三角形を作る
次に、円を囲むように大きな三角形をつくるので、円に接する線を三本引いていきます。
正三角形にならなくても大丈夫です。
円に接する三本の線を追加する
いよいよ線を書くのはこれで最後です。
先ほど書いた円を囲む三角形の中に、円に接する線を三本追加して小さな三角形を3個つくります。
線の長さを測り、円周の長さを計算する
続いて、円周の長さを求めます。
これらの線のうち、どれが一番長いと思いますか?
なんとなく円の外側の線が一番長そうですよね。長さ順に並べてみると、「円の内側の線<円周<円の外側の線」になると想像できるでしょう。
では、実際に定規で長さを測ってみます。
円周だけは定規では測れないので、円の内側と外側の線を測りましょう。
今回書いた図では、円の内側の線が30.4cm、外側の線が35.1cmという結果になりました。
「円の内側の線<円周<円の外側の線」という関係にあてはめると、「30.4<円周<35.1」が成り立ちます。
ただし、円周の長さの正確な値はわからないので、円の内側の線と外側の線の平均値として考えておきましょう。
円の内側の線と外側の線の平均値=(30.4+35.1)÷2=32.75
よって円周の長さは32.75cmということになります。
円の直径を測る
円の直径は、先ほど書いた図に定規を当てて測ればすぐに求められますね。
今回はちょうど10cmでした。
(円周の長さ)÷(直径の長さ)を計算する
最後に円周率の公式に数字を代入して計算します。
円周率=(円周の長さ)÷(直径の長さ)=32.75÷10=3.275
よって円周率は3.275となりました。
3.14とは少し誤差が見られますが、円に接する三角形をたくさん書くほど精度は上がるので、ぜひ試してみてください!
③ 電卓での円周率の求め方
電卓で円周率を求めるときは関数電卓という専用の電卓を使います。一般的な電卓とは違い、関数電卓は持っていないという人も多いかもしれませんね。
最近は、スマホやiPhoneの電卓アプリに関数電卓機能がついているものも多いので、もし関数電卓を用意できる環境であればぜひ試してみてください。
円周率の求め方は簡単!
以下の公式どおりに電卓のボタンを打っていくだけです。
「sin(サイン)」や「tan(タンジェント)」という見慣れない記号が出てきたのでびっくりしますよね。これらは中学で学習する関数の領域に入るので、小学生のうちはわからなくても心配ありません。
ですが、興味があるという人はこれを機に関数の勉強を始めてみるのもよいでしょう。
ここでは、公式どおりに入力して円周率が求められるか確かめてみます。
まず〇に9を1つ入れて計算します。
9×sin(180÷9)=3.0781812897…
次は〇に9を5つ入れてみます。
99999×sin(180÷99999)=3.1415926528…
実際の円周率が「3.1415926535…」から始まる無限の数なので、電卓で割り出した値と比べると、9を1つ入力するより5つ入力したときの方が円周率に近いことがわかります。
この式では、9の数が多いほど精度が上がるので、ぜひ電卓を使って実験してみてください!
④ ビュフォンの針実験を利用した円周率の求め方
4つ目は少し面白い求め方を紹介します。その名も「ビュフォンの針実験」。
まだ円周率や公式などがなかった時代、求めたい値があるときは一見ランダムなことを繰り返しおこなうことでその値を導いていました。
ビュフォンの針実験もそのひとつで、平行な線にひたすら棒を投げ、線と棒が交わる確率から円周率を求めるというものです。
フローリングの継ぎ目のように平行な線がたくさんある場所で実際にやってみてください。
用意するものは、平行な線の間隔の半分の長さの棒だけです。
棒を投げた回数を交わった数で割った値が円周率となります。
ビュフォンの針実験では円の要素がないにもかかわらず、そこから円周率を導くことができます。
一見不思議な現象のように思えますが、「棒が落ちたときの角度」と「平行線と棒の距離」をグラフ化すると、円の一部のような図形が表れ、それをもとに計算すると円周率が求められるという仕組みなのです。
ただ、ビュフォンの針実験を数学的に考えるには関数の知識が必要になるため、小学生のうちは「こういう求め方があるんだな」と知っていれば十分でしょう。
まとめ
学習が進むにつれ、当たり前のように使う「円周率=3.14」という値。
今回はこの円周率をさまざまな方法で求めてみました。
実際に自分の手を動かして円周率を求めてみることで、円周率の意味や図形問題での扱い方がわかってくるようになります。
身近なものや電卓を使った方法など、すぐにできるものも多いので、ぜひ楽しみながらやってみてくださいね。