ミュージカルを通して、子どもの健全育成と質の高い文化発信を目的とした団体があるのをご存知でしょうか。
しかし、ミュージカルと聞くと敷居が高く、子どもには難しいのではというイメージをもつ方も少なくありません。
佐賀県鳥栖市にあるNPO法人「鳥栖子どもミュージカル」では、そんなイメージを覆す、子どもが主演のキッズミュージカルの公演を開催しています。
今回は、そんなミュージカルの魅力について、NPO法人「鳥栖子どもミュージカル」の有馬 治子(ありま はるこ)さんにお話を伺いました。
感動のミュージカルを鳥栖でおこないたい
ー本日はよろしくお願いします!まずは「NPO法人鳥栖子どもミュージカル」の概要について教えてください。
有馬 治子さん(以下、有馬):鳥栖市市政50周年記念事業の募集がありまして、その話し合いに参加したのがきっかけになります。
わたし自身、お芝居や子どもに関する舞台を観るのが好きで、千葉に行ったときに観た子どもたちが主演の県民ミュージカル「あいと地球と競売人」に感銘を受けて、いつか鳥栖市でも実現できたらいいなと思っていたんです。
そこで、「あいと地球と競売人」をベースにしたミュージカルの企画書を提出したところ、採用されました。
その後は、講師の先生や市民によびかけたり、子どもたちも一般募集したりと本番までの準備を着々とすすめました。
そして2003年に「鳥栖子どもミュージカル実行委員会」を立ち上げ、2004年に第1回公演をおこない、2007年にはNPO法人格を取得しました。
現在まで年1回の舞台公演をつづけており、 ミュージカルを通して子どもたちの健全育成と地域からの質の高い文化の発信を目的に日々活動しています。
年1回の公演実現を目指して
ー「NPO法人鳥栖子どもミュージカル」がおこなっている活動について教えてください。
有馬:わたしたちのミュージカルには現在41名の子どもが在籍しています。
年齢層としては小学2年生~中学3年生までの子どもが各学年ごとに4~5名ほどいて、上の年齢の子どもが下の年齢の子どもに教えたり引っ張っていったり、異年齢間で切磋琢磨していますよ。
舞台公演までの1年間の流れとしては、はじめに各学年ごとに分かれて歌・ダンス・演技の基礎レッスンを2ヶ月ほどおこなってます。
その後クラス分けオーディションをおこない3チームに分け、さらにそれぞれのチームで配役オーディションをおこない、配役ごとに練習していく流れですね。
舞台公演以外にも鳥栖市や地域のお祭り、イベントなどに参加しており、コロナ以前までは年間20箇所ほどお世話になっていました。
レッスンを担当する講師陣は一流の方ばかりで、それぞれ個人で教室や劇団をもっているプロの方たちになります。
ミュージカルを通して成長していく姿
ー活動に参加することで子どもたちはどのようなことが学べるのでしょうか?
有馬:ミュージカルは、子どもたちみんなで協力しないと成り立たないものなので、年齢に差があるなかでもお互いに支え合うことで、友情や協調性が育ってくると思いますね。
そこから自己表現の発達に結び付き、どこに行っても自分の意見をはっきり言えるようになって、みんなを引っ張るリーダーシップが芽生えると考えています。
そして、実際に舞台に立つことで自分に自信をもち、何事にも負けない精神力が身につきます。
現に卒業生のなかにはプロの道に進んでいる子どももいますし、子どもの力はすごいなと感心していますよ。
また、子どもたちの衣装や小道具は保護者の方がつくってくれていますので、親への感謝の心も育つのではないでしょうか。
保護者の方にとっても子どもと一緒に取り組めますし、子どもの成長を間近で感じることができるのはうれしいでしょうね。
これからも子どもと共にミュージカルを
ー今後は、どんなことを目標に活動されていくのでしょうか?
有馬:今やっているミュージカル活動をこれからも継続していくことが一番ですね。
これからも鳥栖の子どもたちを、ミュージカルという素晴らしい芸術文化に触れてもらい、心豊かな子どもを育てていきたいと思っています。
自分たちのできる限りで、子どもたちのためになる活動を広げていけるように頑張っていきたいですね。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
有馬:子どもたちが主演の「キッズミュージカル」とは言いますが、実際やっているミュージカルは、子どもたちがやっているとは思えないほどレベルの高いものです。
なので、少しでも興味をもっていただけましたら、劇団「キッズミュージカルTOSU」の公演を是非一度観ていただいて、心に感動を抱いてもらえればうれしいですね。
ー本日は貴重なお時間をありがとうございました!
取材協力:鳥栖キッズミュージカル