中学2年生の理科で習う「気団」の分野。
天気や気候などに関連しているので身近に感じやすい分野ではありますが、「気団」の特徴や季節との関係性がややこしく、覚えきれない…と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「気団」について学ぶには、図やイラストを使用して視覚的に学習すると頭に入りやすくなります。
この記事では、「気団」の配置や四季との関係をイラストを交えながらわかりやすく解説します。
テスト前に役立つ表も載せているので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
- 気団とは?内容をわかりやすく解説!
- 日本周辺の気団は4つ!配置図付きで特徴を紹介
- ①シベリア気団は、寒冷で乾燥
- ②オホーツク海気団は、寒冷で湿潤
- ③小笠原気団は、温暖で湿潤
- ④揚子江気団は、温暖で乾燥
- 日本周辺の気団と四季の関係
- 【春の天気】揚子江気団が西から東へと移動する
- 【夏の天気】小笠原気団が発達し、南高北低の気圧配置に
- 【秋の天気】オホーツク海気団と揚子江気団が停滞前線をもたらす
- 【冬の天気】シベリア気団が発達し、北西の季節風が吹く
- 気団と高気圧の違い
- 【中学理科】実際に気団の問題を解いてみよう!
- 練習問題① 梅雨を引き起こす原因となる2つの気団は?
- 練習問題② 春になると日本の上空を通過する気圧は?
- 日本周辺の気団の特徴まとめ
気団とは?内容をわかりやすく解説!
気団とは、気温や湿度がほぼ一定である空気のかたまりのことをいいます。
1930年にスウェーデンの気象学者であるトール・ベルシェロンが定義し、分類をおこないました。
なぜ、気団が生まれるのでしょうか?
地球上のあらゆる地域には「高気圧」が発生しています。
高気圧とは、上空から地上に空気が移動し、気圧が高くなっている領域のことです。
この高気圧が、ある地域に滞在して長い間動かないでいると、その地域の気温や湿度の影響を受けて高気圧で覆われている空気も同じような気温や湿度の特徴をもつようになります。
こうして生まれたのが、気団です。
気団は、“どこで発生するか”によって性質が決まります。
日本周辺の気団は4つ!配置図付きで特徴を紹介
日本の周辺には「シベリア気団」「オホーツク海気団」「小笠原気団」「揚子江気団(ようすこうきだん)」の4つの気団があります。
まずは配置図でそれぞれの気団がどこにあるのかを確認し、特徴を詳しくみていきましょう。
①シベリア気団は、寒冷で乾燥
シベリア気団は、ロシア大陸の東部に発生した気団で、日本から見ると北西にあります。
この地域は日本より緯度が高いため寒さが厳しく、大陸上なので乾燥しています。
そのため、シベリア気団も寒冷で乾燥しているのが特徴です。
気団の特徴を覚える際にややこしいのが、温暖、寒冷、乾燥、湿潤のうちどの性質をもっているかですよね。
ここで簡単な覚え方をご紹介します。
ポイントは、「日本の北側か南側か、大陸に発生しているか海に発生しているか」という点です。
②オホーツク海気団は、寒冷で湿潤
オホーツク海気団は、北海道の北東にあるオホーツク海上で発生する気団です。
日本より緯度が高いので、気温が低く、海上にあるため湿潤な性質をもっています。
日本の梅雨時期や秋雨が続く時期に発達します。
③小笠原気団は、温暖で湿潤
小笠原気団は、日本の小笠原諸島周辺に発生し、夏に発達するのが特徴です。
小笠原諸島は、日本最東端の南鳥島や最南端の沖ノ鳥島など複数の島が集まっていますが、小笠原諸島には陸地が少なく、気団の大部分は海上にあります。
また、日本の南側に位置することから温暖で湿潤な性質をもっています。
④揚子江気団は、温暖で乾燥
揚子江(ようすうこう)は、長江(ちょうこう)とも呼ばれ、中国南部を東西に流れる大きな川のことです。
揚子江気団は揚子江周辺の上空、日本からみると南西の大陸で発生する気団なので、温暖で乾燥している性質をもっています。
春や秋に発達するのが特徴です。
日本周辺の気団と四季の関係
日本の四季の移り変わりには、日本周辺の気団が大きく関係しています。
気団の性質と季節の関係は定期テストや高校入試にも出題されやすいので、ここでしっかり習得しておきましょう。
【春の天気】揚子江気団が西から東へと移動する
春の天気といえば、よい天気の日と悪い天気の日が数日ごとに入れ替わりながらやってくる気がしませんか?
これは揚子江気団による高気圧の影響です。
春になると、揚子江気団の一部がちぎれ、偏西風に乗りながら日本の上を西から東に移動します。
これを「移動性高気圧」といいます。
日本の上空に高気圧が来たときはよい天気に恵まれ、高気圧が流れ去って低気圧になったときは天気が悪くなるのです。
梅雨の原因は気団同士の喧嘩
日本には梅雨の時期があり、約1ヵ月ほど雨やくもりの日が続きますよね。
梅雨は日本の上空に「梅雨前線」と呼ばれる停滞前線が生じることで起こります。
そして、この梅雨前線の発生に関係しているのが「オホーツク海気団」と「小笠原気団」なんです。
ふたつとも海上で発生する湿った気団でしたよね。
5~6月ごろは寒冷なオホーツク海気団と温暖な小笠原気団がぶつかり合い、ふたつの気団の間に梅雨前線が発生します。
まさに、気団同士の喧嘩のようなものです。
そして7~8月になると徐々に小笠原気団の勢力が強くなり、本格的な夏になります。
【夏の天気】小笠原気団が発達し、南高北低の気圧配置に
梅雨も終盤になると小笠原気団が勢力を強め、梅雨前線が北上します。
その結果、ようやく梅雨明けです。
日本の夏は温かく湿った空気の小笠原気団が発達し、「南高北低」と呼ばれる気圧配置になります。
南高北低の気圧配置とは、日本の南側に高気圧である小笠原気団、北側に低気圧がくることです。
風は高気圧から低気圧に向かって吹くので、日本には小笠原気団から暖かく湿った風が流れ、夏らしい暑い気候になります。
【秋の天気】オホーツク海気団と揚子江気団が停滞前線をもたらす
秋は、周期的に雨と晴れを繰り返すような天気になります。
これは、春と同じように揚子江気団が発達し、一部が偏西風に乗って日本列島を通過するためです。
ただ、春と異なるのは「秋雨前線」と呼ばれる停滞前線が発生すること。
実は、秋は揚子江気団だけでなくオホーツク海気団も発達しやすい季節なのです。
梅雨のときと同様、異なる性質のふたつの気団が発達しぶつかり合うと、そこに停滞前線が生まれます。
これが、秋の雨が長引く原因になるのです。
【冬の天気】シベリア気団が発達し、北西の季節風が吹く
冬になると、日本の北西にあるシベリア気団が発達します。
シベリア気団は、寒冷で乾燥している空気のかたまりでしたよね。
「寒くて乾燥している」、これはまさに日本の冬の天気と同じです。
そして、日本の冬の天気には、もうひとつ特徴があります。
それは、日本の東側に低気圧が発達することです。
日本の西側に高気圧(シベリア気団)、東側に低気圧が生まれることを「西高東低」の気圧配置といいます。
冬は、シベリア気団から東側の低気圧に向かって、冷たい北西の季節風が吹いていることも覚えておきましょう。
ここまで、日本の冬は乾燥しているとお伝えしてきましたが、「雪の降る地域はそれほど乾燥していないのでは?」と気づいた人もいるのではないでしょうか?
冬の日本海側に雪が多く降るのは、季節風がシベリア気団から日本を通過するときに「日本海で水分を吸収」するためです。
雪の降る日本海側の地域は、太平洋側に比べると湿度が高くなります。
そして、日本海側で雪を降らせ水分を出しきった空気は、山々を越えて太平洋側に来ます。
山を越えた空気はとても乾燥しているので、太平洋側では乾いた晴れの日が多くなるのです。
気団と高気圧の違い
高気圧は、周囲よりも相対的に気圧が低い領域なので、上空から地上に向かって空気が流れています。
この高気圧が特定の地域に長く滞在すると、上空の空気は下の地域からの影響を受けて、その地域の気候と同じような性質をもつようになります。
そして、その地域の上空に集まった空気が、「気団」です。
つまり、気団は高気圧の下に広がった空気のかたまりのことなのです。
「イマイチわからない…」という人は、下のイラストを見てみましょう。
【中学理科】実際に気団の問題を解いてみよう!
定期テストや入試では、気団と日本の四季との関連を問う問題がよく出題されています。
ここでは、実際に気団の問題を解いてみましょう。
練習問題① 梅雨を引き起こす原因となる2つの気団は?
初夏に長引く雨の季節「梅雨」は、梅雨前線の発生によってもたらされるものでしたね。
この梅雨前線は、日本の北東で発達する「オホーツク海気団」と日本の南東で発達する「小笠原気団」がぶつかり合うことで生まれます。
練習問題② 春になると日本の上空を通過する気圧は?
春の天気には、揚子江気団による高気圧が影響していましたよね。
春になると揚子江気団の一部がちぎれ、偏西風に乗りながら日本の上空を西から東に移動します。
日本周辺の気団の特徴まとめ
ここまで、日本の周辺で発生する気団について、季節との関連性を交えながら解説してきました。
ここで学習のポイントを押さえておきましょう。
最後にもう一度、気団の特徴をまとめます。
テスト前の最終確認や暗記をする際は、上記の比較表をぜひ活用してくださいね!