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農業体験の大切さを伝えるNPO法人「市村自然塾九州」にインタビュー!生きる力が学べる活動とは

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今から約20年前、当時の子どもたちを取り巻く教育の環境として、社会の移り変わるスピードや多様性についていけず、インターネットやゲームに依存し、「17歳問題」をはじめとする社会問題が取り上げられていました。

そんな折、当時の⼦どもたちにこれからの過酷な社会の中で、人を思いやる心を持ちながらも時代を引っ張っていくリーダーの資質をもった子どもたちを世に送り出したいと思い、設立された団体が、佐賀県⿃栖市にあるNPO法⼈ 「市村⾃然塾九州」です。

「市村自然塾九州」は自然での活動を通して、「生きる力を大地から学ぶ」を基本理念として、子どもたちの健全育成、成長を支援する団体です。

2014年に「社会貢献者表彰」、2017年には「佐賀さいこう賞表彰」を受けるなど、各方面からその活動内容は高く評価されています。

今回は、NPO法人「市村自然塾九州」塾頭の黒田 隆太郎(くろだ りゅうたろう)さんにお話を伺いました。

3つの活動の柱からなる「市村自然塾九州」

市村自然塾九州

ー本日はよろしくお願いします。まずは「市村自然塾九州」の概要を教えてください。

黒田 隆太郎さん(以下、黒田):「市村自然塾九州」の創始者は、当時株式会社リコーの会長であった浜田 広(はまだ ひろし)氏で、2002年1月28日に設立しました。

当時の時代背景として、10代の若者が⼈の命を奪ったり傷つけたりするといった「17歳問題」が社会問題となっており、国もこれを問題視していたことから、諮問会議となる「教育改革国民会議」を立ち上げ、対策を講じました。そのメンバーに浜⽥さんも委員として参加されていました。

ただ、国に任せるだけでなく、浜田さんは独自に青少年の健全育成を目的に「市村自然塾」を関東(神奈川県)と九州(佐賀県)に2か所設立し、活動を開始しました。

そこでは、⼦どもたちに「⼈を思いやる⼼」や「命を育む活動」を推進することとなり、「農業体験活動」「⾃然体験活動」「共同⽣活」という3つの活動の柱が設けられました。

この3つの活動の柱をもとに、「市村⾃然塾」では「⽣きる⼒を⼤地から学ぶ」という考えを基本理念として掲げ、⼦どもたちの健全育成と成⻑を⽀援しています。

農業を通して命に触れる

市村自然塾九州

ー「市村自然塾九州」がおこなっている活動について教えてください。

黒田:「市村⾃然塾九州」の活動には、大きく3つの活動の柱があります。その中で最も根幹となる活動が「農業体験活動」です。

農業の基本は、土を耕して、⾃分たちで種を蒔き、収穫して食べることです。人も含めて生物が生きていくうえで、一番大切な自然の摂理をこの農業を通して学んでいきます。

植物の命を間近に触れながら取り組むことで、どんな世話が必要で、どんな作業を施せばよいかを自分で考える力が身についていき、野菜に対して思いやりを伴ったお世話ができるようになっていくのです。

また、「農業体験活動」は大きく分けて2つあり、1つ⽬は活動時の塾生やスタッフが食べる食材を作っていく「共同農園」活動、2つ⽬は⼦どもたちだけで計画しておこなう「チーム農園」活動があります。

「共同農園」では、農業の鍬打ちや種まきといった基本的なことを学び、「チーム農園」で実践していきます。

自然体験活動」は、塾周辺の野山や川でおこなっています。

農業だけでは⼦どもたちの持っている可能性や感性を引き出すには不十分なのではと考え、さまざまな活動を取り入れているんですよ。

「市村⾃然塾九州」の場合は、「リバートレッキング」や「地域探索」といった、チーム単位で活動するプログラムを取り入れています。他にも自然体験とはちょっと違いますが、塾の近くに禅寺があり、そこで「坐禅」のプログラムも行っています。

活動するチームのメンバー構成も、同じ学年同⼠ではなく、縦割りで組んでおり、⽬上の⼈や年下の子たちといった組み合わせのなかで、⼈との接し⽅や相⼿を敬う⼼を育んでもらおうというのが狙いですね。

最後に「共同生活」ですが、基本的に「市村⾃然塾九州」では“1ステージ”という単位につき2泊3⽇の活動を行います。3月~11月まで全18ステージ54日間の活動をおこなうことで、共同場所清掃といった家事や炊事をはじめとする共同生活の大切さを学べるようにしています。

しかし、現在はコロナ渦ということもあり、昨年からステージ数を減らし、日帰りでの活動にシフトしています。

対象となる学年が⼩学4年⽣〜中学2年⽣の⼦どもたちなのですが、こういった多感な時期に規則正しい生活のリズムを育むことで、社会に出ても役に立つことが多く学べるのではないかと考えていますね。

子どもたちの未来につながる教育

市村自然塾九州

ーそれぞれの活動に参加することで、どのようなことが学べるのでしょうか?

黒田:自然塾では、体験から学んでほしいこととして「3つの心と2つの力」というものを掲げています。これは、①「自然を慈しむ心」、②「相手を思いやる心」、③「社会の一員として社会の基本的なルールを守る心」、④「自分のことは自分でやる力」、⑤「安全(危険)を知る力」というものです。

先に述べた3つの活動の柱に取り組むことによって、これらを身につけることができると考えています。

まず「農業体験活動」でいえば四季の移り変わりです。季節に応じた野菜を育て、いただくことによって、「旬」のものを感じる感性を養います。夏はキュウリがうまい!冬はおでんにするダイコンがおいしい!といった具合にですね。

また、大雨があったり、日照りがあったりと、思うように作業が進まないといった状況も出てきます。人間のワガママが通じない世界ですから、活動に影響がでることもありますよね。

そういった場合に、心地よく過ごすためには何ができるのかをまずは⾃分で考えることで、変化のある環境のなかでも順応していく⼒を育むことができます。

逆に言えば「不便、不自由、不足」の中でしか、人は知恵を絞って困難を打開する力を育むことはできないと言えるのかもしれません。自分のことは自分でやる力やリスクを回避するといった力は、こういった農業の場で育まれていくのではないでしょうか。

加えて、農作業は育てる過程のプロセスがとても大切なので、苦労を重ねた上でこそ感じられる収穫の喜びを、ぜひ味わってもらいたいです。

「市村⾃然塾九州」の⼦どもたちにとって、育てた野菜たちは「宝物」です。努⼒して得られた成果に対する「感謝の⼼」と、「達成の喜び」を学べるようになるでしょう。

自然体験活動」では、まずは⾃然の雄⼤さにどっぷり浸かってもらい、そしてリバートレッキングやハイキング活動などを通して、 ケガや危険生物等から身を守るといった、安全(危険)を知る感覚を養ってもらいたいですね

普段見ることのできなかった自然のダイナミックさや美しさを体感してもらい、自然を慈しむ心も同時に育んでいってほしいとも思っています。

⾬天時では屋内で、⽵笛や⽵箸などをつくる工作体験をおこなったりもします。こうした創作活動からも⼦どもたちの 創意⼯夫の可能性を広げていけたらと考えていますね。 

共同生活」ですと、年齢が異なる仲間との⽣活で⽬上の人に対する⾔葉遣いといった相手を思いやる心や、社会の一員として社会の基本的なルールを守る心を育むことができます

もちろん途中で喧嘩したり、意見の衝突があったりもしますが、そうやってお互いの本音をぶつけあっていくことで見えてくる本物の人間関係というものがあることを、今の子供たちに知ってもらいたいです。

最初はなかなかコミュ ニケーションがうまくとれないかもしれませんが、仲間と過ごす時間を重ねていくことで少しずつ打ち解けていくようになり、⼀⼈⼀⼈の「⾃主、自立、自律」促し、自然塾の掲げる「生きる力」につなげていけたらと思っています。

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自然のすばらしさから学ぶ、人のすばらしさ

市村自然塾九州

ー今後の展望を教えてください。

黒田:従来は、男⼦30名・⼥⼦30名でそれぞれ隔週で活動していましたが、コロナ禍の影響や塾運営の都合上、今年度は⼈数を減らして日帰りで活動をしています。

農業を中⼼とした⾃然体験活動を通して、命に触れる体験をしてもらい、⼦どもたちに知識だけでなく、⾃然のなかで⽣きているという機会を広く発信していきたいですね。

自然にも人にもやさしい人間を育んでいくためにも、今後もこの活動を継続していきたいと思っています。

コロナが落ち着けば、宿泊活動を復活させて、⼈と⼈とのあたたかい⼈間関係を形成するためのお⼿伝いができたらと考えています。

⼈の素晴らしさ、⾃然の素晴らしさ、それから⽣きることの素晴らしさ、こういったものをぜひ体で学んでいってほしいです。

ー最後に読者に向けてメッセージをお願いします!

黒田:自然塾創始者である浜田広さんの「塾生諸君へのメッセージを」紹介します。

「土に触れ、土を耕し 植物を育て、植物に囲まれ 自然の恵みを全身で受ける 身体(からだ)を動かし 汗をかく 勤労の気持ちよさ ゆっくり深呼吸をする よく噛んで 残さずいただく 友達と助け合う」

市村自然塾の思いは、この言葉にすべて凝縮されています。

こういった農業や⾷べ物の⼤切さ、そして⼈とつながることの素晴らしさを、多くの⽅に知ってもらいたいと思っています。今後とも市村自然塾をよろしくお願いします。

また、次年度の塾生募集を10月~12月の期間にかけたいと思っていますので、 興味のある方は応募をお待ちしています。

詳細はホームページに掲載させていただきますので、是非ご覧ください。

ー本日は貴重なお時間をありがとうございました!

取材協力:市村自然塾九州

坂本 菜緒
この記事を執筆した執筆者
坂本 菜緒

Ameba塾探し 執筆者

ピアノ、体操、フィギュアスケートなどの習い事を掛け持ちしつつ、小学3年生から進学塾に通う。高校受験で山手学院高等学校に進学。その後、大学受験で東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に入学。同校の大学院美術研究科を修了し、美術と工芸の専修免許状を所持。2012年から東京都公立小学校にて勤務。2018年5月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。2021年3月から「Ameba塾探し」にてエディターとして従事し、保護者の方やお子様にとって、目的にあった最適な習い事に出会える記事作りを目指しています。