あなたは英語のリスニングが得意ですか?リーディングやライティングは得意でも、リスニングは苦手という人は少なくありません。
また、リスニングを強化しようとさまざなな学習法を試してみたものの、なかなかうまくならないという声もよく聞きます。
実は、リスニング上達には特別なトレーニングが必要なのです。
この記事では、東大式オンライン個別指導「スタディコーチ」の代表・伊澤 航太郎さんに監修いただき、リスニングが上達するコツからおすすめな教材やアプリまでご紹介します。
苦手な英語のリスニングをマスターしたいという人はぜひチェックしてみてくださいね!
- 英語が聞き取れない原因とは
- 英単語を知らない
- 単語と発音を合わせて覚えられていない
- 文中での発音の変化を知らない
- 文法を知らない
- 日本語に存在しない音やRとLが聞き取れない
- 日本語に訳していてスピードが追いつかない
- スクリプトを見ても、理解できない箇所がある
- 東大生が教える英語のリスニング勉強法!上達の7つのコツ
- ①英単語帳を使ってしっかり覚えよう
- ②「発音アクセント記号」を常に確認しよう
- ③発音の変化はスクリプトと照らし合わせてチェックしよう
- ④基本文法を理解して英作文で固めよう
- ⑤ディクテーションで苦手の原因を知ろう
- ⑥音読を繰り返し英語の状態で理解できるまでトレーニングしよう
- ⑦書籍を活用して英文の解釈力を向上させよう
- 注意したい英語のリスニング勉強法|NG例を紹介
- 英語教材を聞き流しているだけ
- 自分の英語レベルにあった教材を選べていない
- 聞き取れなかった英語を放置してしまう
- 英語リスニング教材・アプリおすすめ7選
- 速読英熟語
- 灘高キムタツの東大英語リスニングシリーズ
- ゼロからスタートリスニング
- [新装版]文法・構文・構造別 リスニング完全トレーニング
- VOA learning English
- LearnEnglish Podcasts
- voice tube
- まとめ
英語が聞き取れない原因とは
まず最初に、なぜ英語が聞き取れないのでしょうか?
わかりやすいように「聞き取る」とはどういう行為なのか、分解してみましょう。
つまり、英語のリスニングが苦手な人は、これらのどれかができていないので、「聞き取れない」ということなのです。
あなたがリスニングを苦手としている原因は、ひとつではないかもしれません。
そこで、具体的に7つの原因をピックアップしてみました。自分に該当する原因を考えながら読んでみてくださいね!
英単語を知らない
聞いた単語について知識がなければ、いくら聞いても意味を理解することはできませんよね。
リスニングのためには、たくさんの単語を覚える必要があります。
単語を覚える際、一つひとつの単語を記憶するよりも教科書や参考書などの英文にたくさん触れる必要があります。
単語と発音を合わせて覚えられていない
英語を聞き取れない原因のひとつに、「リンキング」を知らないということが挙げられます。
リンキングとは、2つの英単語を繋げて1つの単語のように発音すること。文章中に入って単語同士が組み合わされることで発音が変わります。
たとえば「I need you」は、カタカナで書くと「アイニードゥユー」ですが、実際には、「アイニージュー」と聞こえますよね?
これは、「needyou」と1つの単語のように発音されるため。
また、単語と単語が組み合わさることで発音しない音が出てくることもあります。
たとえば、「good day」はちゃんと読むと「グッドデイ」ですが、発音する際は「グッデイ」と聞こえますよね。
このように発音すると弱くなったり聞こえなったりする現象を「リダクション」と呼びます。
日本人はこのリンキングやリダクションに慣れておらず、そのために英語を聞き取るのが難しくなってしまっているのです。
文中での発音の変化を知らない
日本語の母音は「あいうえお」の5つですが、英語の母音は20以上あるといわれています。子音も日本語の16に対して英語は24。
日本語に慣れた私たちの耳にとって、英語の発音がを難しいのは当然のことなのです。
たとえば、「彼女」を表すshe[ʃíː]と「見る」を表すsee[síː]。どちらも日本語では「シー」ですが、英語ではまったく違った発音です。
この変化を知らずして、リスニング能力が伸びることはありません。
文法を知らない
文法とは、文章をつくるときの単語の並べ方(ルール)。この並べ方次第で、意味が大きく変わることがあります。
リスニングのためには、基本的な文法はしっかりと身につけておかなければなりません。
じつは、ネイティブが話す英語でも、基本的な英文法は、中学3年間の教科書にほとんど載っているのです。
日本語に存在しない音やRとLが聞き取れない
前述したように、日本語には存在しない母音や子音がたくさんあり、リスニングではそれを聞き分けなければなりません。
代表的な音に、RとLの違いがあります。RightとLightは、カタカナでは両方とも「ライト」ですが、英語の発音は[ráit]と[láit]になります。
日本語に訳していてスピードが追いつかない
文章を1つずつ日本語に訳している間にも、会話はどんどん流れていきます。
日本語に訳していては、すぐに理解できなくなるのは当然ですよね。
たとえば、He was reading a book when I came home. という文章は、「私が帰宅したとき、
彼は本を読んでいた」と訳せます。
しかしこのように、文章の後方から訳すためには、文章を最後まで聞いてから訳さなければなりません。
この文章の場合、ネイティブは「彼は 読んでいた 本を いつ 私が 帰った 家に」となります。
このように、話しているネイティブと同じ思考回路で理解していかなくてはリスニングは上達しないのです。
スクリプトを見ても、理解できない箇所がある
海外ドラマなどを見ていたりすると、「スクリプト(音声が文字になったるもの)を見ながら英語を聞いてみても、どうしても理解できないところがある」という方も多いのではないでしょうか?
理解できない箇所が出てきてしまう理由として挙げられるのは、「英文解釈の練習不足」や「文法知識の不足」。
ただこれは、英語力がある程度高い人でも感じることでもあるようです。
東大生が教える英語のリスニング勉強法!上達の7つのコツ
では、リスニングが上達する勉強法にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、先述した英語が聞き取れない原因7つに対して、上達するコツを同じく7つ紹介していきます。
しっかりとチェックして、英語のリスニングを上達させましょう!
①英単語帳を使ってしっかり覚えよう
何か1冊の英単語帳を決めて、まずはそれを完璧にするのがよいです。
英単語がかなり苦手だという人は、「ターゲット1200」「ターゲット1400」など、比較的優しくてかつ網羅的な単語帳を利用するのがおすすめ。
②「発音アクセント記号」を常に確認しよう
単語と発音を繋げて覚えるために、普段の英単語学習では「発音アクセント記号」を常に確認するようにしましょう。
③発音の変化はスクリプトと照らし合わせてチェックしよう
文中での発音の変化を知らないことが原因である場合、まずは自分がどの発音の変化を聞き取ることができないのかを突き止める必要があります。
流れてくる音源をスクリプトと照らし合わせて、聞き取れていなかった箇所をチェックしていきましょう。
④基本文法を理解して英作文で固めよう
英文法を覚えるには、伊澤さんがおすすめする下記の方法を試してみましょう。
1.基本文系を理解する
まずは、基本文法について完璧に理解することが大事。
学校の授業で学ぶときに練習問題などをたくさん解いて身につけましょう。
ここで、基本文法の参考書に載っている事項はすみずみまで覚えるようにしてくださいね!
2.英文法問題集を解く
参考書としては「Next Stage」や「Vintage」などがあります。完璧でなくてよいので、これがある程度身につくまでやりましょう。
これらの参考書は問題が選択式になっていることが多いので、選択肢に頼って答えることがないように気をつけて勉強してみてください。
3.英作文でしっかりと固める
英作文によって文法をみっちりと身につけることができます。選択式ではなく自分でゼロから文をつくるれるので、もっとも文法の身につきが速いです。
また、英文を自分でつくるときは自分で英語の構造を考えることになります。
これによって英文を読むときにその構造が捉えやすくなります。これらの理由から、文法を学習する際には英作文がおすすめです。
⑤ディクテーションで苦手の原因を知ろう
自分が苦手としているものを究明することから始まります。原因を見つけたら、あとは音読を活用しましょう。
また、流れてくる音を紙に書き出す「ディクテーション」や、流れてくる音をそのまま声に出す「シャドーイング」も、リスニング力を向上させていくのに有効です。
⑥音読を繰り返し英語の状態で理解できるまでトレーニングしよう
日本語に訳していてスピードが追いつかないということが原因の場合は、日々の英語長文の学習で日本語訳をおこなわないように意識する必要があります。
何度もいいますが、やはり音読が非常に有効。音読は、目に入った英文を声に出して読み進めていくため、返り読みができない原理となります。
⑦書籍を活用して英文の解釈力を向上させよう
スクリプトを見ても理解できない箇所がある原因のひとつとして挙げた「英文解釈の練習不足」。
これを解消へと導くためには、「英文解釈の技術シリーズ」や「ポレポレ英文読解シリーズ」、難易度はかなり高いですが「英文読解の透視図」のいずれかの書籍を活用して解釈力をあげていくことがおすすめです。
注意したい英語のリスニング勉強法|NG例を紹介
ネイティブが自然とリスニングを身につけているからといって、いつも英語を聞いていれば上達するというわけではありません。
たとえば、下記のような方法でリスニング学習をしようとしていませんか?よくあるNG例を見ていきましょう!
英語教材を聞き流しているだけ
たしかに、大量の英語を聞いて耳を慣らす、という学習法は間違っていません。
しかし、大切なことは「目的を持ってしっかり聞く」こと。
英語のリーディング学習法には、たくさんの文章を読む「多読」と、一文ごとの文法を正確に理解して読み進める「精読」があります。
リスニング学習が苦手なあなたに必要なのは、精読のように1文ずつ確実に聞くことを目指す学習法。
そのためには、聞き流しではなく、リピーティングやシャドーイングを活用してみましょう。
自分の英語レベルにあった教材を選べていない
これは英語の学習法だけでなく、スポーツでも当てはまりますね。
はじめから100kgのバーベルを持ち上げられないように、リスニングが苦手な人は簡単な教材からマスターしていきましょう。
無理して難しい教材を選んで挫折してしまうよりも、簡単な教材で「できた!」という体験をたくさん積んでください。その自信が上達のコツです。
聞き取れなかった英語を放置してしまう
よくあるのが、聞き取れなかった英語をそのままにしてしまうケース。当然ですが、これではリスニングを完璧に習得することはできません。
たとえば「in an hour」という音の連結が聞き取れなかったとわかった場合、「ディクテーション」や「シャドーイング」を活用して次に流れてきたときに必ず聞き取れるトレーニングをおこなうのがおすすめです。
英語リスニング教材・アプリおすすめ7選
ここからは、リスニングを上達させるのに効果的なリスニング教材やアプリをご紹介。
「何を手に入れたらよいかわからない」という方はぜひ紹介する教材やアプリを利用してみてくださいね!
まずは、伊澤さんがおすすめするリスニング教材をご紹介しています。
速読英熟語
単語を覚える際、1つの単語だけを覚えるのではなく、熟語や例文を覚えてしまったほうが単語の使い方を幅広く知ることができます。
この本は、複数種類の英文が掲載されているため、長い期間新しい英文に触れて対策をすることが可能。
灘高キムタツの東大英語リスニングシリーズ
東大志望者、また東大志望者以外であもリスニングを得意にしたい学生におすすめの「灘高キムタツの東大英語リスニングシリーズ」。
受験対策の基本としては「東大英語リスニングbasic」「東大英語リスニング」が最適です。
よりハイレベルな学習を望む場合は、さらに難易度の高い「東大英語リスニングSUPER」を選ぶのもよいでしょう。
▶キムタツの東大英語リスニング BASIC
▶灘高キムタツの東大英語リスニング
▶キムタツの東大英語リスニングSUPER
いかがでしたでしょうか?
伊澤さんがおすすめする「速読英熟語」「灘高キムタツの東大英語リスニングシリーズ」が気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!
ここからは、Ameba塾探し編集部が世間の口コミや評判などからピックアップした、おすすめの教材やアプリをご紹介していきます。
ゼロからスタートリスニング
タイトル通り、誰でも英語が聞き取れるうになるトレーニングが載った一冊。初心者から上級者まで11段階のトレーニングメニューが用意されています。
ショッピングや自己紹介など、わかりやすいシチュエーションでの会話が中心となっているので、理解しやすいのが魅力。
日本人が聞き分けにくい英語の言い回しなども解説してくれています。
[新装版]文法・構文・構造別 リスニング完全トレーニング
ただ聞き流すだけではなく、各章ごとに「聞き取るポイント」を抑えながらリスニング練習ができる一冊。
各章はドリルと確認テスト構成されており、ドリルは文章の一部だけを聞く練習から長い文章を聞く練習へと3段階で構成されています。
この本で学習を進めていけば、聞き取りにくい英語の言い回しも、無理なく聞き取れるようになることでしょう。
VOA learning English
VOAとはアメリカ国営放送(Voice of America)。この教材は、VOAが英語学習者のために作ったアプリです。
レベルも3段階ありますが、リスニングが苦手な方なら、準備段階の「Read, Listen and Learn」から始めるのもおすすめ。
1本3分程度のゆっくり話す字幕付きの動画で、「英語を聞いて理解できた」という成功体験を重ねていくことができます。
ただ聞き流すだけでなく、学習者が積極的に参加できるように工夫されたコンテンツが魅力のひとつ。
LearnEnglish Podcasts
こちらは、イギリス政府により設立された公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が提供するポッドキャストアプリ。
ブリティッシュ・カウンシルの人気ポッドキャストをすべて無料でリスニングすることができます。
すべてのポッドキャストには、音声と共に表示される文字起こしテキストが収録されており、ディクテーションや精聴学習に役立てることが可能。
また、ポッドキャストの最後には、音声内容に関する質問が出題されます。
音声をどのくらい理解できたかをチェックすることができるので、リスニング力の強化に最適です。
voice tube
ネイティブの英語を原稿を見ながら聴くことができる無料のインターネットサイト。
旅行やスポーツなどシチュエーションを選ぶことができ、レベルも初級から上級まで6段階に細かく別れています。
YouTubeからピックアップされた学習用動画は40,000本以上。
また、繰り返し再生、字幕、辞書、
英語クイズ、メモ機能など、上達を手助けしてくれる機能も満載。
聞き読みからシャドウイングまで、さまざまな学習に活用できます。
まとめ
今回は、英語のリスニング勉強法について解説しました!上達のコツをおさらいすると…
2020年の大学入試改革により、英語は「話す」「読む」「書く」に加えて「聞く(リスニング)」の4技能で評価されるようになりました。
受験英語だけでなく、TOEICでもリスニングは重要ということですね。
また、今後日本にいてもますますネイティブの英語に触れる機会は増えていくことでしょう。
これを機会に、あなたも英語のリスニングをマスターしてくださいね!
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伊澤 航太郎(いざわ こうたろう)
東大式オンライン個別指導「スタディコーチ」代表。高校在学時、学年で下から2位の成績から逆転で東京大学 理科二類に現役合格を果たす。東京大学在学時には、幅広いジャンル・学年の指導に携わり、多くの学生を志望校合格へと導く。2020年4月に東大式オンライン個別指導「スタディコーチ」を立ちあげる。
Twitter:@kotaro13000
ブログ:『東大卒が教える「飛躍的学力向上レシピ」』
https://ameblo.jp/kotaro-izawa
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