ICT活用型学習教室「錦江町MIRAI寺子屋塾」を取材!都市部との教育格差ゼロを目指す取り組みとは?

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自然豊かな鹿児島県錦江町は、子どもたちがのびのび育つことができるとてもよい環境です。

その一方、過疎化から異なる学年の生徒をひとつの学級に編制した、複式学級が進むほか、学習塾も気軽に通える場所にないなど、子どもたちが勉強をしたくても充分にできない現状がありました。

そんな都市部との教育格差をなくそうと生まれたのが、ICT活用型学習教室「錦江町MIRAI寺子屋塾」

教育分野で注目度が急上昇している、ICTを活用した学習や、通塾授業と家庭学習をトータル的にサポートするなど、都市部と変わらない質の高い教育を提供しようと取り組んでいます。

今回は、鹿児島県錦江町役場 未来づくり課リーダーの久保 伸一さんから、塾の魅力や、町が目指す“学びの場”についてお話を伺いました!

  1. 子どもたちにICT教育を提供する「錦江町MIRAI寺子屋塾」とは
  2. 週1回の通塾授業と自宅学習を組み合わせた学習スタイル
  3. オンライン個別コーチングで一人ひとりに最適なサポートを
  4. 町と都市部との教育格差ゼロを目指して

子どもたちにICT教育を提供する「錦江町MIRAI寺子屋塾」とは

通塾での教室の様子の画像

ー本日はよろしくお願いします。最初に、「錦江町MIRAI寺子屋塾」を設立されたきっかけをお聞かせください。

久保 伸一さん(以下、久保):錦江町では、毎年、政策提言をおこなう『錦江町「未来」想像・創造コンテスト』を実施しているんですね。

そして、平成29年に「未来志向な『ふるさと納税』の使い方」のアイデアを募集したところ、「子どもたちが学校の勉強や、コンピューターの学習ができる学びの場を町内につくってほしい」という提案が多数寄せられたんです。

当町では、2学年以上がひとつのクラスで学ぶ、複式学級が増加している現状がありました。

また、学習塾に通いたい場合は、往復1時間以上かけて隣の市まで家族が送迎しなければなりません。

このように錦江町の子どもたちは、学ぶ意欲があっても諦めざるをえないという都市部との「教育格差」が存在していました。

こうした教育背景と、町民の声をもとに、町一丸となって夢を実現させるため、令和元年より「錦江町MIRAI寺子屋塾」プロジェクトをスタートしたんです。

そこで、当塾の始動にあたり錦江町では、総務省の「おためしサテライトオフィス」事業を利用されて縁のあった、一般社団法人「教育ICT活用協議会」と共同で2年間「ICT教育実証実験」をおこないました。

現在も、プロジェクトの要である、ウェブ遠隔授業教材選定や、企画運営などは同協議会に委託しています。

週1回の通塾授業と自宅学習を組み合わせた学習スタイル

女の子がモニターを見ながら勉強している画像

ー「錦江町MIRAI寺子屋塾」ならではの学習スタイルや、ねらいはどういった点にあるのでしょうか?

久保:錦江町MIRAI寺子屋塾の学習スタイルは、「週に1回の通塾授業」と「自宅での学習」、自宅で受ける「オンライン個別コーチング」を組み合わせたものです。

また、夏と冬には模擬試験も実施しています。

以前は、通塾による一斉ライブ授業のみをおこなっていたのですが、受講生の熟度に差があり、家庭学習での自己管理にも限界を感じていました。

そういった問題を解決するため、今年度より、通塾授業に加えて自宅での学習と、オンライン個別コーチングをプラスしています。

これは地域出張型学習塾ブランチを展開する「コラボプラネット」のモデルを、教育ICT活用協議会が錦江町MIRAI寺子屋塾仕様にカスタマイズし、アップグレードしたものです。

通塾授業の時間は限られているので、学習時間の大半は自宅での学習になります。

しかし週に1回の通塾であっても、受講生たちがお互いに学習意識を高め合い、そのモチベーションを維持したまま自宅学習に取り組めるよう、オンライン個別コーチングでサポートしているのです。

ー授業内容について教えてください。

久保:授業時間は、小学生が75分間、中学生が145分間です。

講義動画と問題集を組み合わせた、Web学習アプリ「eboard」や、学習プリントを使用し、集中して学習に取り組みます。

教科は、国語・数学(算数)・理科・社会・英語のなかから自由に2教科選択して受講でき、なかには3教科選択している受講生もいますよ。

学習内容については、受講生それぞれに対し、個別最適化されており、一人ひとりの進度に合わせた学習計画により、学力に応じた指導をすることが可能です。

また、各教室には受講生の様子を把握しサポートする「教室サポーター」が1名常駐しています。

教育の様子をオンライン個別コーチングのサポーターと共有するなど、受講生の学習意欲を高める取り組みもおこなっていますね。

周辺に塾がない錦江町にとって「錦江町MIRAI寺子屋塾」の取り組みは、とても素敵だと感じました!子どもたちにも、思いっきり勉強に励んでほしいですね。

テラコヤプラスでは、駅や地域にあわせて塾・学習塾を検索することが可能。

入塾を検討している方は、鹿児島県 塾・学習塾 ランキングなどからも探してみてくださいね!

オンライン個別コーチングで一人ひとりに最適なサポートを

男の子が個別コーチングを受けている画像

ー自宅での学習は、どういったサポートがあるのでしょうか?

久保:自宅での学習は、オンライン個別コーチングで作成する学習スケジュールをもとに、何度でも視聴できる映像授業や問題集、演習問題を組み合わせておこなっています

また、平日17時30分から21時まで、オンラインで個別に質問対応もしているんですね。

このサポートは、困ったときにリアルタイムで相談できるのがポイントで、生徒が理解できていない部分を放置せずにやり抜く力を育めるのが利点です。

女の子が自宅のパソコンで個別コーチングを受けている画像

ーオンライン個別コーチングの内容など、詳しく教えてください。

久保:オンライン個別コーチングの役割は、通塾授業で学んだ結果を反映した学習の振り返りと弱点の洗い出しです。

通塾日の夜に実施しており、全受講生が週3回まで受講できます。

学習の振り返りは、問題を解いたり、苦手部分の理解を深めたり、授業で学んだ内容の定着具合を確認するというもの。

また、学校の勉強状況や、宿題などについてもヒアリングし、自宅での学習計画を受講生と一緒に考えます。

ここでは、得意科目強化や弱点克服を助け、受講生たちの目標に寄り添う、心強いオンライン個別コーチングサポーターが対応するので安心です。

受講生の学習への理解度や勉強方法、自宅学習のペース配分、やる気などに合わせて、個別に最適化したサポートをおこなえるのが、オンライン個別コーチングの特長じゃないでしょうか。

町と都市部との教育格差ゼロを目指して

子どもたちが教室でPCに向かいながら勉強をしている様子の画像

ー最後に、今後の展望や、読者へメッセージをお願いします。

久保:現在当塾は、小・中学生のみを対象としていますが、今後高校生まで対応できる寺小屋塾に展開していきたいと考えています。

これは担当者としての意見だけでなく、いち保護者としての私の希望でもありますね。

個人的な考えにはなりますが、受講生たちにとって、学習塾にいる時間よりも家で過ごす時間のほうが圧倒的に長いので、最終的には自宅での学習が一番肝心ではないかと思っています。

したがって、ICTを活用しながら、通塾授業と自宅学習を組み合わせた質の高い学習環境を確立することが、今後の教育のポイントになるのではないかと思っているんですね。

当町では、錦江町が目指す未来像のひとつ、“なりたいもの、やりたいことがある子どもたちが、夢に向かってチャレンジできる町。そして彼らを本気で応援できる町”を実現するため、町一丸となって取り組んでいます

都市部との教育格差をなくそうと頑張っていますので、どうぞよろしくお願いします。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:錦江町役場 錦江町MIRAI寺子屋塾

坂本 菜緒
この記事を執筆した執筆者
坂本 菜緒

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

ピアノ、体操、フィギュアスケートなどの習い事を掛け持ちしつつ、小学3年生から進学塾に通う。高校受験で山手学院高等学校に進学。その後、大学受験で東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に入学。同校の大学院美術研究科を修了し、美術と工芸の専修免許状を所持。2012年から東京都公立小学校にて勤務。2018年5月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。2021年3月から「テラコヤプラス by Ameba」にてエディターとして従事し、保護者の方やお子様にとって、目的にあった最適な習い事に出会える記事作りを目指しています。