パソコンやタブレットなどを使い、家にいながら学習できる「eラーニング(イーラーニング)」。
受講生が選択した科目を自分のペースで学べるため、家庭学習を充実したい場合や苦手科目の補強目的で使っていきたいところ。
とはいえ、比較的新しい学習方法であるため、実際にどのような学習がおこなわれるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、eラーニングに関する質の高いサービスを提供している「イー・ラーニング研究所」の谷村裕介さんにお話を伺いました。
子どもの学習方法にお悩みの方、教育関係者の方はぜひご一読ください。
「情報リテラシー」や「投資」も学べる「子ども未来キャリア」
ー本日はよろしくお願いします。さっそくですが「イー・ラーニング研究所」では、どのような事業をされているのでしょうか?
谷村裕介さん(以下、谷村):当社はイーラーニングサービス事業・教育プラットフォーム事業・教材販売事業の3つを軸とし、教育に関するさまざまなサービスを展開しています。
代表的なものとしては、小学校・中学校へ通うお子さん向けの教材です。
テーブルゲームを通してキャリア教育をおこなう「子ども未来キャリア」、そして今の時代にマッチした動画サービス「スクールTV(スクールTV プロフェッショナル エディション)」、この2つの教材をメインに提供しています。
ーまずは「子ども未来キャリア」について詳しく教えてください。
谷村:「子ども未来キャリア」は、小・中学生向けのキャリア教育用テーブルゲーム教材です。オンライン学習ではなく、実際に手を動かして学ぶアナログの教材となっています。
学習テーマが異なる12種類の教材を取り揃え、なかには「情報リテラシー」や「投資」など、学校では教えてくれないテーマも盛り込んでいるのが特徴です。
ーゲーム形式の教材だと子どもが興味を持ってくれそうですね。開発に至る経緯をお聞かせください。
谷村:「子どもたちが夢や目標を持つことで、充実した生活を送ってほしい」という想いが当社にはあります。
それを実現するために、グローバル化が進む21世紀の世界で必要な能力を身につけてもらう方法として、楽しみながら学習できるテーブルゲームを開発しました。
ーほかの教材にはない「子ども未来キャリア」の強みは?
谷村:それは、学習できるジャンルの多さです。12種類ものジャンルを網羅した教材は、ほかにはないと思っています。
また、学習のオンライン化が進んでいる今だからこそ、オフラインで学ぶことの強みもあると考えています。
「子ども未来キャリア」は基本的に4人1組で進行しますが、8人や12人などでおこなうことも可能です。
「情報リテラシー」や「投資」などは通常、社会人になってから初めて触れるものですが、子どものうちから触れておくことで、将来その知識が必要になったとき、よりスムーズに理解できます。
ー確かに小さい頃からキャリア教育をおこなっていくことは、子どもの将来にとって有益ですね。
谷村:幅広い分野に触れることで、「こんなものがあるんだな」と物事を知るきっかけになりますし、ゲームをしながら気になったことを自分で調べたりすることで、将来の可能性が広がると考えています。
ー「子ども未来キャリア」はどのような場所で利用されていますか?
谷村:学童施設や学習塾、私立の学校で使っていただいています。「総合的な学習」の時間や、クラブ活動の一環として取り入れている学校もあるようです。
学習塾であってもキャリア教育は大切だと考えている講師の方も多く、なかには小学生のうちから塾の生徒を確保するためのツールとして利用している現場もあります。
ー実際に利用した方からはどのような反響がありましたか?
谷村:「子ども未来キャリア」を導入している担当者の方は、自分の意見を発表したり、クイズやゲームを通して勉強できたりするのが非常に効果的だとおっしゃっていました。
先生の話を一方的に聞くだけではなく、お子さんがアクティブに参加する仕組みが好評ですね。
また保護者の方からは、「学ぼうとしているわけではないのに、遊びながら学べている」、「人見知りの娘が、みんなの前で発表していることに驚きました」といった声がたくさん寄せられています。
学校の授業をしっかり理解するための教材「スクールTVプロ」
―続いて「スクールTV プロフェッショナル エディション」について教えてください。
谷村:「スクールTV プロフェッショナル エディション」(以下、スクールTVプロ)は、インターネットを利用したオンラインの学習教材です。
「子ども未来キャリア」が学校で教えてくれないことを学ぶ教材であるのに対して、「スクールTVプロ」は学校の授業をしっかり理解するための教材です。
当社では学校ごとに採用している教科書会社の一覧を所有していますので、お子さんが通っている学校を登録すると、対応する教科書の目次順に動画が配列されます。
なので、学校の授業に即した形で学習を進めることが可能です。
また、動画は1本あたり約10〜15分で、学校の教科書のなかから特に重要な項目のみをピックアップしてまとめています。
ー教科書ごとにあわせた動画となると、コンテンツ開発が大変だったのではないでしょうか?
谷村:開発にはかなりの時間が必要でした。動画の撮影にはプレゼンテーター(プレゼンテーションをする演者)を採用しているので、開発費用も相当かかっています。
「スクールTVプロ」は、もともと家庭学習用に「スクールTV」として開発された教材です。
その開発の背景には「教育の水道哲学」という当社の企業理念、そして「質の高い教材を日本全国に安く提供したい」という想いがありました。
親の収入によっては子どもに質の高い教育を受けさせることができなかったり、都会と地方、地域によって子どもたちが受けられる教育の質に差が出ています。
そのような格差の解消を目的として開発されたのが「スクールTV」です。
「スクールTV」は、「教育ITソリューションEXPO」(デジタル教材やeラーニングなどの展示会)に毎年出展しているのですが、来場した学校の職員の方や教育委員会の方から大変好評でした。
その中で、使うのは良いんだけど学校として与えたり、塾として提供したりする際には、その子どもがどんな学習状況にあるのか、どんなことを学習したのか、それらが確認できるラーニングマネジメントシステム(学習管理システム=LMS)がないと導入しづらい、というお声をいただきました。
そこで2年ほどかけてLMSを開発して搭載をした上でご提供させていただいたのが、この「スクールTVプロ」です。
塾の講師や学校の職員の方が見る画面は、実際にお子さんが画面を使っていただく学習画面とは切り分けて提供するような形になります。
ー現場の声をフィードバックして開発された教材なんですね。「スクールTVプロ」にしかない強みを教えてください。
谷村:それは、勉強に飽きさせない仕組みを取り入れている点ですね。
勉強の開始時に大学生のお兄さんやお姉さんが登場して、豆知識や面白ネタのトークでお子さんの気持ちを引きつけ、前向きな気持ちにさせてから本題に進みます。
また、勉強が一方通行にならないための工夫を取り入れているのも特徴です。講師が説明をしたあとに、動画を観ているお子さんに問題を出します。
ただ講師の説明を聞くだけでなく、自分で考えることによって、より理解が深まり、能動的に勉強できるように作っています。
「スクールTVプロ」は、どちらかというと勉強が少し苦手なお子さんや、自ら進んで勉強をする習慣がないお子さんに向けて作っている教材です。
講師が一方的に説明するだけの動画では、そういったお子さんは抵抗感を持ってしまいがちですが、そうならないよう配慮し、フレンドリーで優秀な現役大学生を講師として採用しています。
ー親近感を持って学習できそうですね。「スクールTVプロ」を利用すると、具体的にどのような効果が?
谷村:事前に「スクールTVプロ」で学習してから学校の授業を受けると、勉強が不得意なお子さんでも授業がわかる、手を挙げて発表したくなる、学校が楽しくなる、そのような効果が見込めます。
有名な講師が早口で説明する様子をコマーシャルでよく拝見しますが、そういった教材は、勉強をしたいと思っているお子さんにはあっていると思います。
けれど、勉強に苦手意識を持っているお子さんはおそらく抵抗がありますよね?
当社が目指しているのは「学校の授業がよくわかること」ですので、「スクールTVプロ」でそれを実現できればと思っています。
ー「スクールTVプロ」は、どのような現場で使われていますか?
谷村:最初に導入していただいたのは、学習塾と学童施設です。学習塾においては講師不足解消のための、効率化の手段として取り入れている場所もあります。
たとえば1時間のうち20分は講師が教える、20分は問題を解く、残りの20分で「スクールTVプロ」で学習する。
こうすることで、講師1人につき同時に3人の生徒を受け持つことができます。
また学習塾の授業は、英語や数学・算数がメインです。なかには「英語と数学の成績は良くなったけれど、理科や歴史の成績が伸びていないから教えてほしい」という要望が寄せられている学習塾もあるようですが、なかなかそのための時間を確保できません。
そこで「スクールTVプロ」を導入してお子さんご自身で学習してもらい、わからない部分を講師に質問する、といった方法をとっている学習塾もあります。
ー子どもが自主的に学ぶことができる教材ですね。
谷村:そうですね。学童施設に関しても、最近はタブレット端末を導入しているところが増えています。
当社ではそういった施設にパソコンやタブレットを提供するとともに、自習用の教材としてご利用いただいています。
実は緊急事態宣言で多くの学校が臨時休校となった際、「スクールTV」の利用者が一気に増えました。
全国の教育委員会から「在宅学習を支援するための教材を探している」という問い合わせもあり、公立の小・中学校の在宅学習用の教材としても提供しています。
ー実際に「スクールTVプロ」を利用した方からは、どのような反響がありましたか?
谷村:保護者の方からは「子どもが家に帰ってきてゲームをしているのかと思ったら、勉強をしていた!」といった声や、「うちの子のレベルにちょうどいい」などの声が寄せられています。
また学校の職員の方からは、「学校で使用している教材のレベルとちょうどいい」という感想もいただきました。
なかにはレベルが高い教材を導入したものの、実際にそれで学習していたのは成績が上位のお子さんだけだったため、当社の教材に切り替えたという学校もあります。
生徒1人に1台のタブレット端末が貸与される「GIGAスクール構想」の環境整備がほぼ完了していることもあり、そのなかで利用する教材としても注目されている状況です。
教材のさらなるオンライン化と全国的な普及を目指して
ー教育に関する事業において、今後の展望などお聞かせください。
谷村:まず現在アナログの教材として提供している「子ども未来キャリア」についてですが、オンラインで活用したいという要望もいただいていますので、「子ども未来キャリア」のオンライン化を検討しているところです。
次に「スクールTVプロ」ですが、現在は関西エリアを中心とした営業にとどまっています。
今後は教材販売をしている企業様と業務提携をし、全国各地でご利用いただけるように活動していきたいと考えています。
ー最後に、教材の利用を検討中の方や読者に向けてメッセージをお願いします。
谷村:当社が目指しているのは、次世代を担うお子さんたちが、グローバルな社会を生き抜くための知識やスキルを養うための教育プラットフォームの構築です。
「子ども未来キャリア」を足がかりとして、それを実現できる会社になりたいと考えています。
現在、「子ども未来キャリア」「スクールTV(プロフェッショナル エディション)」のプロモーション動画を制作中です。
完成しましたら、ホームページを含めいろいろな場所でご案内し、たくさんの方にご覧になっていただきたいと思っています。
今後も企業理念として掲げる「教育の水道哲学」の精神で社会に貢献していきますので、ぜひ当社が提供するサービスをご覧いただければ幸いです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
実際の授業の様子を知りたい方はAmeba塾探しの公式YouTubeをチェック!
「イー・ラーニング研究所」の実際の授業の様子は、Ameba塾探しの公式YouTubeでご覧いただけます。
お子さんのキャリア教育に興味がある方、お子さんの教育方法でお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。
■取材協力:株式会社イー・ラーニング研究所