「子どもがゲームばかりして、全然勉強しない」「ゲームの集中力を少しでも勉強に使えたなら」と悩んでいる親は少なくありません。
ゲームは勉強に悪影響と思われがちですが、子どもたちのために作られたゲーム感覚で楽しく学べるアプリがあります。
たくさんある学習アプリのなかでも、子どもが自発的に学習を続けるために、ゲーミフィケーションを活用して開発された学習アプリが「プレイ! スタディー! ゴー!」です。
「プレイ! スタディー! ゴー!」シリーズの強みは繰り返し遊べること。アプリは小学生向けの学習で、国語のひらがな・漢字、算数のたし算ひき算・九九、地図の暗記などたくさんのアプリを展開しています。
今回は、「プレイ! スタディー! ゴー!」シリーズを開発されたファンタムスティック株式会社の代表取締役のベルトン シェインさんにインタビュー。
アプリの開発秘話や最新作の「国語海賊〜小学漢字の海〜」の特徴についてお伺いしました。
「子どもたちを飽きさせない」ゲーミフィケーションが学習継続できる秘密
ーなぜ学習アプリをつくろうと思ったんですか?
ベルトン シェインさん(以下、ベルトン):自分の子どもが小さいころ、誰にも教えられていないのに、学習用アプリに夢中になって遊んでいるのを見て、今までにない学習の仕方があるなと感じたのがきっかけです。
自分がもともとデザイナーだったこと、会社立ち上げてソーシャルゲームの開発を行っていたので、ゲームのデザインには自信がありました。
最初はゲーミフィケーションには着目せずに、良いデザインのものを作ることを優先にしました。当時はデザインにこだわっているアプリが少なく、デザインが良いアプリを作ればもっと子どもたちの心を惹きつけるだろうと思ったんです。
子どもたちは集中力がすごく短いので、ちょっとの間で飽きないような工夫をしています。
開発段階で子どもたちに遊んでもらいながら改善を続けていたのですが、次から次へとテンポ良く場面展開や演出があったり、テンポを途切れさせないと子どもたちは飽きてしまう。そう感じたので、いろいろ調べた結果、ゲーミフィケーションが効果があるという結論に行き着きました。
ー学習アプリならではのメリットはありますか?
ベルトン:学習が継続しやすいことですね。子どもたちは使い方を教えてもらわなくても、直感的にできるようになったり、失敗してもまた挑戦することができます。何度も挑戦できる環境を、細かく設計することによって成功体験が生まれ子どもたちの自信に繋がります。
子どもたちはゲーム感覚で問題を解いていたら、気づいたら500問解いていたなんてこともあります。わずが10分くらいで100問、200問解けてしまうのがゲーミフィケーションのすごいところですね。
あとは勉強が苦手な子の親御さんから、アプリがあって本当に助かったという声を多く聞いてますね。子どもが勉強をはじめてくれないときに、はじめるきっかけとしてアプリを使ってもらってるんです。
ーアプリ開発で工夫した点はありますか?
ベルトン:アプリを継続してもらう目的で、ガチャを取り入れてカードを集める楽しさも要素として入れています。
学校の勉強だと100問解いても、先生の採点が1週間後とかですよね。その間に忘れてたりもするので、アプリではすぐ答えが出て、成果が蓄積されていく形にしています。
ガチャでは、今回はノーマルカードだったけど、「あと一回クリアしたら、レアなカードがでるかもしれない」というようにカード欲しさにもっと勉強してもらうことを結びつけてますね。
ゲーム要素も強いと思うんですけど、結果的に勉強する機会を増やせているので、いいのではないかと思っております。
ーアプリが多く使われている時間帯はありますか?
ベルトン:朝8時と夕方18時の時間帯がピークで使われています。お母さんが料理している時間なのか、その時間に「ただゲームさせるのではなくて、ちょっと勉強させたい」という需要にうまくフィットしていると思います。
また普通のアプリだと親がいないと進まなかったり、飽きたりするところを、10分〜30分間は子どもが一人でアプリに夢中にできるように設計しているので、そこも愛用いただいているポイントだと思います。
人気アプリの一部を紹介
「算数忍者AR 」 のイメージ画像
ー「プレイ! スタディー! ゴー!」シリーズについて詳しく教えてください。
ベルトン:「算数忍者AR」は、世界107ヶ国で1位を獲得。最新のAR技術を使って体を動かしながら算数を学ぶ新感覚の学習アプリです。
上部に出題された問題のこたえを持っている村人を、体を使っていろんな角度から探すゲームです。
子どもの動作と記憶を刺激して算数を覚えるきっかけに、親御さんもエクササイズしながら一緒に遊べます。
「算数忍者AR〜対戦!箱かぞえの巻〜」 のイメージ画像
「算数忍者AR〜対戦!箱かぞえの巻〜」は、
「算数忍者AR」の第2弾で、世界中のApple Storeでインストールされています。
新技術で最大4人までのマルチプレイができるので、家族や友人と体を動かしながら暗算対決できる学習アプリです。
AR空間の中で、出題された数になるまでブロックを探がして足していくゲームです。
複数人で一緒に楽しみながら、探す、選ぶ、計算するを繰り返すうちにいつの間にか暗算が得意になります。
続いて、シリーズ累計400万ダウンロードを突破した中の一つである「地図エイリアン〜都道府県を記憶せよ〜」は、キャラクターが47都道府県の名前、位置、特徴をリズムに乗って教えてくれる学習アプリです。
回答した合計問題数、正解数、不正解数が一目でわかるので、お子さんの目標設定や課題の把握に役立ちます。
最新リリース「国語海賊~小学漢字の海~」の魅力
「国語海賊~小学漢字の海~」 のイメージ画像
ー最新リリース「国語海賊~小学漢字の海~」の特徴を教えてください。
ベルトン:「国語海賊~小学漢字の海~」の問題は、 「漢字の読み当て」「読みの漢字当て」の2種類あるので、読みも漢字も両方覚えれる学習アプリです。
1番の特徴は、文部科学省が示している「小学1年生から6年生までに習う漢字」を網羅して学べるところですね。
今までは学年別で漢字アプリを作っていましたが、2年生の漢字をリリース以降、すぐに3年生を出せていませんでした。
学習意欲があってもっと学びたい子がたくさんいるのに対応できてなくて、進学してアプリができなくなった子から要望の声をもらいました。
それから学年別ではなく、網羅していくことが大事だと感じて、自分の学年を超えて学べるように開発しました。
今後は、今まで以上にアプリのテンポを良くしたり、ARを使ったコンテンツを追加したり、ほかにも新しいコンテンツが多く増やしていけるように取り組んでいます。
ー小学校の授業ではどのように取り入れられてますか?
ベルトン:千葉県の稲浜小学校では、特別支援学級の先生と一緒に共同研究をしています。先生は特別支援学級の子どもたちにもっと集中力を高めて、座って勉強してほしいという思いがあります。
今までは子どもたちが席に座るまでにかなりの時間がかかってましたが、授業のはじめをアプリで遊ぶ時間に変えてから、すぐに座ってくれるようになったんですよ。
さらにアプリで遊んだ後の子どもたちの勉強意欲があるうちに、授業を進めるとその後の集中力も高いことが分かりました。
学習アプリはひとつの選択肢、子どもに合わせた学習方法を選べる時代
ー今後の学習アプリの可能性や将来性を聞かせてください。
ベルトン:ソムリエとファシリテーターという2面を持ち合わせている先生が将来的には必要だと思っています。
ソムリエは、その子に合わせた学習方法を教えてあげる。
ファシリテーターは、インプットだけでは学習が身につかないところを、アウトプットを引き出すように導いてあげる。
考え方を主張できるように、場を設けて議論させたりできる環境を準備してほしいですね。そこが現状の日本の教育には欠けている部分なので、多様化した教材は子どもたちにとってあったほうがいいと思って学習アプリで作っています。
学習アプリは、何かに替わるというよりも、いろんな学び方があるなかの、1つの選択肢です。
教材や紙の学習だと「勉強できない=ダメなんだ」ではなくて、違う勉強の仕方見つければできるかもしれないというところに、うちの学習アプリが選択肢としてあってほしいと思いますね。
■取材協力:
ファンタムスティック株式会社