教室にいながら社会科見学ができる!VR映像再生ソフトウェア「パノラマ超プレイヤ」とは

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小学校の社会科見学や遠足といった団体での校外学習授業の実施が難しい昨今、教室にいながら「体験」できる便利なツールがあるのをご存知でしょうか?

NTTテクノクロス株式会社が開発した「パノラマ超プレイヤ」を使うと、タブレットやスマートフォンでぐるっと360度、臨場感あふれるVR映像を手軽に見ることができるんです!

どうやって「体験」するのか?気になる方もいますよね。そこで今回は、「パノラマ超プレイヤ」の担当者であるNTTテクノクロス株式会社の阿部 伸浩さんと仲西 正さんにお話を伺いました。

  1. 高画質のVR映像をデバイスで手軽に見れる
  2. 社会科見学がより身近になる、小学校でのオンライン工場見学
  3. 自転車の飛び出しをVR体験!教室にいながら交通安全教室
  4. ダンススクールのレッスンを保護者が「VR参観」

高画質のVR映像をデバイスで手軽に見れる

―本日はよろしくお願いします。早速ですが、「パノラマ超プレイヤ」とはどのようなものでしょうか?

阿部 伸浩さん(以下、阿部):「パノラマ超プレイヤ」は、VR映像をストリーミング配信できるソフトウェアです。

一般的に、高画質の映像を配信するときは、回線に負荷をかけないように画質を落として配信するのですが、「パノラマ超プレイヤ」は映像を高画質なまま回線に負荷をかけずに配信できるんです。

―そこにNTTテクノクロスの技術が集約されていると?

阿部:そうですね、もともとNTTで長年研究してきたものをNTTテクノクロスが製品化したのですが、このアルゴリズムの開発をNTTの研究所がずっとおこなってきました。

NTTが開発した技術によって、通信速度が遅い回線でも利用できるVRを実現したことで、スムーズにVR映像を配信することができます。

また、これまでVRはPCゲームなどに使われることが多く、ヘッドマウントディスプレイで視聴されることが多かったのですが、「パノラマ超プレイヤ」を使うと、高画質のVR映像をタブレットやスマートフォンで手軽に見ることができるんです。

―VRがより身近になりますね。

阿部:現在、学校や習い事の教室など、さまざまな場所で実証実験をおこなっているところです。

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社会科見学がより身近になる、小学校でのオンライン工場見学

オンライン工場見学

―具体的には?

阿部:たとえば工場に社会科見学で行くと、危険なゾーンには入れないので生徒は遠くから見学する、というのが一般的です。

しかし、事前に撮っておけば、「パノラマ超プレイヤ」を使って生徒ひとりひとりの端末から気になる場所をズームしたり、工場全体を見たりすることが可能になります。

これまでの社会科見学では見れなかった、溶接している瞬間や裁断中の機械などを間近で見る、といったこともできます。

久万高原町立久万小学校

阿部:愛媛県にある久万高原町立久万小学校で「パノラマ超プレイヤ」を使って、オンライン工場見学をおこないました。

教室にいる生徒が、タブレットやスマートフォン越しに、工場を見学するのですが、生徒それぞれの端末で360度見ることができるので、その場にいるような映像体験ができ、生徒にも先生にも大変好評でした。

オンライン工場見学の様子

―至近距離で見るには危険でも、タブレットなどの端末越しなら安全ですね。

阿部:ええ、ズームして見ることもできるので、より臨場感ある見学ができます。

また、工場と教室をWeb会議などでつないで質疑応答ができると、より一層臨場感を感じていただくことができると思います。

撮影に協力いただいた工場からは、「コロナ禍で実際の現場を見学いただく機会が減ってしまった。我々の仕事を知ってもらう機会になるだけでなく、VRで楽しみながら学んでもらえるという点でも期待している」と、ありがたいお言葉をいただきました

オンライン工場見学の現場の声

自転車の飛び出しをVR体験!教室にいながら交通安全教室

―オンライン工場見学もそうですが、さまざまな施設の見学がより身近になりますね。

仲西 正さん(以下、仲西):そうですね。それから、交通安全教室での実証実験では、交差点での自転車の飛び出しを小学5年生にVR体験してもらいました。

大阪の交通安全協会に指導を仰いで作られたVR動画の学習コンテンツを生徒に見てもらいました。生徒は運転席に座っているつもりで360度見回すことができます。

そこで先生が、たとえば「安全確認をしてください」というお題を出すと、生徒がそれぞれ首を振って確認したり、車や横断歩道を渡ろうとしている人を確認したりします。

このコンテンツは左折をする車に巻き込まれるという結末になっていまして、よく首を振って周囲を見ないと跳ねられてしまう、という体験を視覚的にできる動画※になっています。

※自転車側と自動車側のそれぞれの視点が体験できるVR動画。

―生徒の反応はいかがでした?

仲西:体験した生徒からは「交差点で確認しないで飛び出すと大変なことが起こるのがよくわかった」「次からどこどこの坂が事故が多いので自分も気をつけようと思いました」「(自転車は)左側通行をすると安全なのがわかった」というような感想が出たので、注意喚起することができたと思います。

これまで交通安全教室というと、スタントチームが実際に事故を再現したりして、その下準備や実施の際のアクシデントの可能性などもあって大変だったと思うのですが、これからはその代わりが「パノラマ超プレイヤ」でできるのではないか?と現在、実証実験で確認しているところです。

ダンススクールのレッスンを保護者が「VR参観」

ダンススクールでの実証実験

―生徒の好奇心を刺激しながら、安全な環境で理解が深まるなら、教育の場でさらなる活用が望まれます。

阿部:学校もそうですが、実はチアダンスのスクールでも実証実験をおこなっているんです。

このスクールでは、スタジオで子どもがプロのインストラクターからダンスを習っているんですが、現在は新型コロナウイルス感染症対策のこともあり、親御さんたちがスタジオの中に入って参観することができないんですね。

それでインストラクターがレッスンの様子を動画で撮ってLINEで保護者に送ることをされていたのですが、今回、360度カメラでレッスンの様子を撮影し、臨場感のある様子を親御さんたちに見せてあげようと企画し実施しました。

このスクールでは「VR参観」と言っているんですが、レッスンの内容を三脚立てて360度カメラで撮影しています。撮った動画はスマートフォンなどでVR視聴できます。

端末でレッスン内容を確認

―通常の動画で見るのと、どの点が違いますか?

阿部:いろんな角度で全体を見られるほか、自分の子どもにクローズアップして見ることもできます

また、右から見たり左から見たりだとか、それこそ360度いろんな角度から足の動きや手の動きだとか、そういった細かい動きまで見ることができるので、子どもが自宅で練習するときに先生の動きを確認したり、自分の動きをチェックしたりといった使い方が可能です。

初めてVRを見た保護者の方は結構驚かれていました。

―それは驚かれますよね。

阿部:ええ、驚かれてもいましたが、喜びもされていて。タブレットなどの端末をスワイプするだけでわが子をしっかり見ることができるので。

今後は、クラウドのような場所に動画を上げて、その子どものおじいちゃんやおばあちゃんもネットワーク越しにレッスン風景や演技を見れるようなサービスを展開していきたいと考えています。

「パノラマ超プレイヤ」を活用したスクールの声

―気軽に会うことが難しくなった今だからこそ、必要なサービスだと思います。

阿部:チアダンスのスクールのような取り組みは、体験入学などにも活用が期待できると思います。

習いごとの教室を主催されている方には、普段のレッスンはもちろん、発表会などにもどんどん活用してもらいたいですね。

―ほかにも「パノラマ超プレイヤ」を使った事例はありますか?

仲西:大阪にある私立幼稚園が新型コロナウイルスの影響で遠足に行けなくなったので、四国水族館と幼稚園をつないでオンライン遠足がおこなわれたのですが、そのイベントにもパノラマ超プレイヤの元となった技術が利用されました。

今後、同様のコンテンツの提供も検討していますが、イベントで得たノウハウを学校の社会科見学やスクールでの活用に活かしていきたいですね。

さまざまな場所での活用が期待できますね、それは最後に、読者へメッセージをお願いします。

阿部:今後、「パノラマ超プレイヤ」をさらにより良い形で提供する予定ですので、教育現場やスクールなどで活用してみたい方はぜひご連絡ください。

本日はお時間をいただき、ありがとうございました!



■取材協力:NTTテクノクロス株式会社 

■関連リンク:「パノラマ超プレイヤ

坂本 菜緒
この記事を執筆した執筆者
坂本 菜緒

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

ピアノ、体操、フィギュアスケートなどの習い事を掛け持ちしつつ、小学3年生から進学塾に通う。高校受験で山手学院高等学校に進学。その後、大学受験で東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に入学。同校の大学院美術研究科を修了し、美術と工芸の専修免許状を所持。2012年から東京都公立小学校にて勤務。2018年5月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。2021年3月から「テラコヤプラス by Ameba」にてエディターとして従事し、保護者の方やお子様にとって、目的にあった最適な習い事に出会える記事作りを目指しています。