予備校は大学受験に特化していて、独自の分析やノウハウを蓄積しているところが多いので、おおよその受験生には予備校に通うことをおすすめします。しかし、状況によっては参考書での独学があうこともあるでしょう。
今回の記事では、受験生のタイプや状況別に、予備校で勉強するのがいいか、参考書で勉強するのがいいか、それぞれのメリット・デメリットとあわせて判断基準を挙げていきます。ぜひ参考にしてください。
学力レベルや状況に応じて予備校か参考書の向き不向きが決まる
勉強の仕方がまったくわからない人、基礎が理解できていない人がいきなり参考書だけで独学しても身につきません。
反対に、基礎が理解できているからと参考書だけで独学していても、実際に模試を受けてみると、学習した内容が身についていなくて焦ってしまうということもありえます。
そのため、多くの受験生には参考書だけでの独学はおすすめしません。
また、予備校で得られるメリットには独学にはない強みが多くあるので、活用していくことをおすすめします。
予備校での大学受験が向いている人の特徴
伝統的な予備校では、大教室に1人の講師がいて、大人数の生徒に対して話しかけるスタイルの授業がおこなわれます。
生徒の人数については講師の人気や、教室の大きさによりますが、人気講師の授業では100人近くの生徒が同じ教室で授業を受けることもあります。
予備校では、それぞれの科目やコースごとに授業のスケジュールが決められていて、集団授業をおこなう形式が多いです。
本章では、予備校で勉強するのに向いている人の特徴を紹介していきます。
①中学・高校の基礎が身についている人
大人数での講義では、授業中に質問することはなかなかできないため、ある程度基礎的な内容を理解している状態で授業を受けないと途中からついていけなくなる可能性が高く、予備校の講義を効果的に活用できません。
また、講義を聞くだけでなく、さらに自分で予習復習ができる人に向いています。予備校の授業は必ず予習復習をしないと身につかないため、自主的にできないと予備校に通い続けることは難しいでしょう。
②浪人生や時間に余裕がある人
また、時間に余裕があったとしても、いつも部活やバイトなどで疲れきってから参加している人は、予備校での勉強に集中できないでしょう。
そういったことから、予備校は時間的にも体力的にも余裕がある人に向いているといえます。浪人生ならバイトとの両立は避けて受験勉強に集中したほうが無難です。
③推薦以外の大学受験対策を目的としている人
高校の定期テスト対策や、推薦入試志望で内申点対策を目的としている人は、予備校に行くべきではありません。そうした対策ができる塾を探すべきでしょう。
一方で、受験合格を目指す人は、志望校の合格実績がある予備校で受験対策することをおすすめします。
ほとんどの予備校は、これまでの受験傾向や入試問題の分析などのノウハウをもとに大学受験対策をおこなっているため、参考書の独学だけでは得られない情報を持っているでしょう。
④モチベーション維持の方法を探している人
予備校には勉強に集中しやすい環境が整っています。家にいると、ゲームやマンガ、テレビなどに気を取られてしまうことがありますが、予備校に通えば自然と勉強に取り組むことが可能です。
さらに、予備校には多くの受験生が集まっており、同じ空間で学んでいます。そのような環境で勉強すると「自分も頑張らなければ」という気持ちが生まれやすく、やる気を高めるきっかけになるでしょう。
ひとりで勉強していると、不安や焦りからモチベーションが下がってしまうこともあります。しかし、予備校で仲間や良きライバルができ、「自分はひとりではない」と感じるようになれば、そのことが大きな支えになって受験勉強を続けられるようになります。
参考書での大学受験勉強が向いている人の特徴
本章では、参考書での大学受験勉強が向いている人の特徴を紹介していきます。
①受験勉強に集中できる自室や場所が確保できる人
しかし、参考書で自学自習する場合は、勉強に集中できる場所を自分で確保する必要があります。学校や地域の図書館、自宅の部屋など、長時間集中して勉強できる場所を確保したほうがいいでしょう。
②自己管理能力に長けている人
一方で、参考書中心の勉強では、計画立て、参考書選び、自己採点、模試の申込み手続きなど、すべて自分で考えて受験勉強していかなければなりません。
自己管理能力がある人でないと、自分で計画を立てることも難しいですし、それに従うことも難しいでしょう。
③現状の分析と課題発見ができる人
大学受験では、ただやみくもに長時間勉強するだけでは不十分です。自分の理解度を客観的にふり返り、志望校に合格するために必要な学習は何か考える力が求められます。
そのためには、目標と現状との間にどのくらいギャップがあるのかを分析し、克服するための戦略を立てることが大切です。ゴールにたどり着くために、どの課題をいつまでにどうやって解決するのか、逆算して考えなくてはなりません。ときには一部の分野を切り捨て、重点をしぼって勉強する判断も必要です。
加えて、こうした分析を正しくおこなうには、正しい知識と情報が欠かせません。学習に向かう姿勢だけでなく、情報収集のノウハウも求められるのです。
④勉強や進路の相談ができる人が身近にいる人
しかし、受験生にとって時間はとても貴重ですので、そういったことに悩んでいる時間はありません。
両親や兄妹、親戚などの身近に、受験の悩みを気軽に質問できて、的確なアドバイスをしてくれる人がいるならば、参考書中心に勉強しても、しっかりと志望校合格に向けて進んでいくことができるでしょう。
身近にそんな人がいないのであれば、予備校の講師やチューターに聞くことで、安心して受験勉強を進められるでしょう。
予備校のメリット・デメリット
本章では、予備校に通うことのメリットとデメリットについてそれぞれ紹介していきます。
メリット①プロの分析や蓄積データに基づく専用カリキュラムが受けられる
参考書だけで勉強するとどうしても主観になるので、自分のやっている勉強のやり方が本当に正しいかどうか不安になります。
しかし、予備校に通っていればプロの分析や蓄積データなどから信頼できる情報を得られるため、その心配は不要でしょう。
メリット②ライバルと切磋琢磨できる
ライバルがいたほうが、1名で勉強しているよりも集中力と緊張感を持って勉強できることも多いので、より受験勉強を頑張ることができるでしょう。
刺激を受けるだけでなく、同じ受験生同士ということで少し会話をするだけでも、リフレッシュになることもあります。
メリット③勉強そのものや計画について質問できる
授業の内容だけでなく、苦手分野の克服の仕方や、独学したい教科の勉強計画なども質問できる機会があるので、安心して受験勉強に打ち込むことができるでしょう。
メリット④自習室が使える
多くの予備校の自習室は、施設がきれいで静かであることと、周りの生徒の様子とあいまって、集中して勉強に打ち込むことができる環境になっています。
予備校に通っていなくとも地域の図書館などで勉強することはできますが、予備校の自習室独特の緊張感は、集中力だけでなく受験勉強のためのやる気をもあなたに与えてくれるでしょう。
デメリット①自分のレベルにあわないと授業についていけない
大学受験レベルの問題の解説などをおこなうわけですから、必然的に基礎を教えることを目的とした学校の授業よりもレベルが高くなります。
自分のレベルにあった予備校のクラスに入れればいいですが、そうであっても「予備校の授業についていく」という意識を持って予習復習をしっかりおこなうことができない人には予備校は向いていません。
デメリット②時間に融通が利かない
部活や習いごとで忙しい現役生は、なかなか授業に通うことができなかったり、振替授業がなかったりするので、予備校を有効活用することが難しくなってしまうでしょう。
また、予備校の授業は予習と復習が欠かせないため、授業以外でも勉強する時間が必要になります。
デメリット③予備校任せだと学習範囲が網羅できないこともある
あくまで、限られた時間のなかでポイントとなる部分を学習できるのが予備校の授業なので、自学自習が必要になる英単語や古文単語、数学の例題などといったものは予備校の授業外で学ばなければいけません。
予備校のカリキュラムやテキストがどこまでの範囲をカバーしていて、一方で自分の志望校合格のためにはどの範囲を自分で学習しなければいけないのか、きちんと把握しておきましょう。
完全に予備校任せになってしまい、必要な知識を学習していない状況で受験に臨んでしまわないように気をつけてください。
参考書のメリット・デメリット
デメリットを克服できれば、参考書での受験勉強を取り入れてみるのもいいでしょう。
メリット①好きな場所や時間に受験勉強できる
当然ですが、予備校に通う場合は雨でも真夏でも真冬でも、予備校に行かないと授業は受けられず、日時も決まっています。
部活や習いごとがある受験生の場合、予備校まで送り迎えしてもらったり、自宅や学校から近場だったりしないと、現実的には予備校の授業で勉強していくことは難しいでしょう。
メリット②自分のペースで効率よく受験勉強を進めていける
一方、参考書で独学する場合、自分が得意とする分野の学習は最低限にして、その分の浮いた時間で苦手な分野や知識を補強したい部分の勉強に特化し、効率的に受験勉強を進めていくことができる点がメリットです。
メリット③繰り返し学習で学力を上げることができる
予備校の授業では基本的に「繰り返し」という発想はカリキュラムには取り入れられていないため、毎回新しい分野が出てきて復習が間にあわないうちに次に進んでしまうこともありえます。
ですが学習の基本は、繰り返しであり、復習です。復習を何度もおこなうことで、英単語や数学の公式、基本的な例題の解き方などをマスターすることができます。
参考書を使った勉強であれば、着実に自分のペースで繰り返し復習をおこない、知識をモノにしていくことができます。
メリット④お金がかかりにくい
参考書を使った学習で必要になるお金は参考書代だけで、基本的にはそれ以外に大きな出費はありません。
一方で、予備校に通う場合は授業料がかかります。受講する科目や授業のコマ数などによって金額は変わりますが、年間で数十万円かかることも少なくありません。予算の都合で、希望どおりの授業を受けられない人もいるでしょう。
その点、参考書学習では最初の購入費用以外はほとんどお金がかからないため、定期的な出費を気にせず学習を進めることができます。お金をあまりかけられない人にとって、参考書を中心に学ぶ方法は大きなメリットとなります。
デメリット①すべて自己責任になる
自分で勉強の計画を立てたとしても、その計画が受験に向けて最適なものになっているかどうかも自分で判断しなければなりません。
大手予備校や塾などが実施している模試などを受けて、志望校の合格圏内レベルなのか、苦手分野がどこなのかを把握しておくようにしましょう。
デメリット②強い意志が必要になる
もし、まったく予備校に行かないで勉強するとしても、自分のモチベーションを保つことができる環境作りは意識したほうがいいでしょう。
デメリット③自分にあった参考書がどれか選べない
インターネットの情報を鵜呑みにして参考書を選んでも、自分にはあっていないレベルの場合もあるでしょう。
予備校に行けばおすすめの参考書を講師に聞くこともできますが、予備校なしで自己判断するのはなかなか難しいといえます。
予備校に通いつつ参考書も併用するのはあり?
予備校と参考書を併用してもいいですが、自分の状況によって参考書も併用すべきかを決めるのがおすすめです。
予備校の学習で不足する部分を参考書で補う
前提として、参考書よりも予備校の講義やテキスト・プリント・問題集を基本的には優先すべきです。
予備校の教材と参考書の両方に手をつけてしまうと、どちらも中途半端になる可能性があります。基本は予備校中心にしつつ、不足するところを参考書で補うスタイルがおすすめです。
予備校のテキストなどが簡単にできてしまうなら、難易度高めの問題集を選んで解き、必要ならそのための参考書を用意するといった使い方がいいでしょう。
教科ごとに予備校と参考書を使い分ける
「数学は得意だから予備校に通わず参考書で独学する」「英語は苦手だから予備校に通う」というように、教科ごとに予備校と参考書をうまく分けて併用している人も少なくありません。
苦手な科目は、自分ひとりで取り組もうとしても理解に時間がかかったり、モチベーションが続かなかったりすることがあります。そのような場合は、強制的に学習する環境が与えられ、わからない部分はすぐに質問できる予備校のほうが適しています。
一方で、得意な科目は学習意欲を保ちやすく、自習も進めやすいでしょう。予備校で指導を受けるより、参考書を使って自分のペースでどんどん学習を進めたほうが、効率よく力を伸ばすことができます。
予備校の学習は基礎の定着を図るもの、参考書での学習は応用力を高めるものと考えるとよいでしょう。
大学受験対策におすすめの予備校を紹介
3校とも全国展開しているので、あなたの自宅近くの校舎なら通いやすいでしょう。
河合塾
集団授業であっても、対面授業で生徒一人ひとりの表情を見ながら授業してくれるのがメリットです。また、個別指導講座も選ぶことができます。
また、河合塾のテキストは、毎年多くの大学の入試問題で同じ問題が出てくるなど、的中率が高いことが評判です。
毎年全国規模で最新入試問題を収集分析し、入試傾向をみてテキストを改訂しているため、そのような結果を残すことができているのでしょう。
もちろん、新大学入試制度にも対応しています。
駿台
東大や医学部など最難関校を志望するなら、駿台のレベル別コースがおすすめです。
コース名 | 目指す志望校 | 内容・授業構成の割合 |
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エクストラ講座(特別選抜) | 東大・京大・国公立大学医学部 | 成績最上位層を対象に、厳しい基準をクリアした方のみが受講できる講座。単に合格というだけでなく、トップでの合格を目指すハイレベルな授業内容 |
選抜 | 東大・京大・医学部 | 応用6割、標準3割、基礎1割 |
難関 | 東京科学大(理工学系)、一橋大、阪大、早慶上智、難関国公立大 | 応用5割、標準4割、基礎1割 |
標準 | 国公立大、GMARCH、関関同立 | 応用1割、標準7割、基礎2割 |
基礎 | 国公立大、私立大 | 標準5割、基礎5割 |
東進衛星予備校
受験生がつまずきやすいポイントや攻略法を熟知しているので、わかりやすい授業を受けられます。
ほかの予備校では週1回の授業で1年かけて学習していく内容を、高速学習により最短2週間~1か月で修了することも可能です。
入試本番を想定して実践力が身につく「過去問演習講座」、最新AIの診断結果から個別対応プログラムを提案する「志望校別単元ジャンル演習講座」など豊富な講座から自分にぴったりの講座を選べます。
予備校か参考書、どちらが大学受験対策向きかに関するまとめ
結論としては、受験生自身の状況やレベルによって異なります。推薦入試以外の大学受験を考えていて、ある程度強制力を持って管理されながら勉強したい方は予備校中心に勉強しましょう。
自己管理が得意で身近に信頼できる相談相手もいる方で、自分のペースで効率的に勉強をしたい場合は参考書中心に勉強してもいいでしょう。予備校と参考書それぞれをうまく活用して、受験勉強を成功させてください。