中学生になってから成績が上がらず悩んでいる方や、子どもをどうサポートしたらよいか悩んでいる保護者の方は少なくありません。
中学生は小学生の頃に比べて学習内容のレベルが上がり、科目や範囲も広くなるため、今までどおりの勉強方法では成績が上がりにくい可能性があります。
そこで本記事では、中学生の成績が上がらない主な原因や対処法、成績を上げるための効率的な勉強方法を紹介します。
保護者ができるサポートについても紹介しますので、成績が上がらず悩んでいる中学生や、その保護者の方はぜひ参考にしてください。
- 成績が上がらない中学生によく見られる7つの原因
- ①小学生に比べて科目や範囲の幅が広くついていけていない
- ②勉強のやり方が適していない・解決策がわからない
- ③勉強時間が足りていない
- ④苦手科目やわからない部分をそのままにしている
- ⑤目的や目標がなく、モチベーションが保てない
- ⑥勉強したつもりになっている
- ⑦成果があらわれていないだけ
- 成績が上がらない中学生におすすめの効率的な勉強法
- 目的や目標を決めて学習計画を立てる
- 勉強する時間を決めて習慣化する
- 学習内容を復習して知識を定着させる
- 問題集やテストでアウトプットを繰り返す
- 苦手科目を把握して優先的に対策する
- 塾や予備校など外部のサポートを活用する
- 成績が上がらない中学生が避けるべきNGな勉強方法
- ノートを時間をかけて綺麗にまとめる
- 勉強時間にこだわり、睡眠や休憩の時間を削る
- 優先順位を決めずに、とりあえず勉強する
- 成績が上がらない中学生に対する保護者の関わり方やサポート
- 成績が上がらない子どもに親ができるサポート
- 成績が上がらない子どもに避けるべき親のNG行動
- 成績が改善しない場合は通塾も検討しよう
- 成績が上がらないと悩む中学生は原因に応じて対処しよう
成績が上がらない中学生によく見られる7つの原因
頑張っているのに成績が上がらないと、不安や焦りを感じてしまいます。しかし、勉強でつまずくことは悪いことではありません。むしろ成長のチャンスと捉えましょう。
成績が上がらない原因を見極めて対策すれば、目に見える成果につながる可能性があります。成績が上がらない主な原因は以下のとおりです。
それぞれ詳しく紹介するので、心当たりがないかチェックしてみてください。
①小学生に比べて科目や範囲の幅が広くついていけていない
中学生は、小学生に比べて学ぶべき教科数が増えます。英語や技術・家庭、保健・体育、美術など、小学校にはない科目が増え、算数も数学に変わるなど、学ぶことの難易度も上がります。
学ぶ範囲やスピードについていけず、理解できないまま授業が進んでしまうこともあるかもしれません。また、部活動や委員会など、授業以外の活動も増えるため、勉強時間が少なくなることも考えられます。
一度授業内容がわからなくなると、その後の授業にも影響がおよび、何をどう学べばよいかわからなくなってしまうでしょう。
②勉強のやり方が適していない・解決策がわからない
中学生のテストは小学生に比べてより複雑かつ難解になり、応用力が求められることも少なくありません。授業や宿題をこなしたり、ノートに書き写したりするだけでは、応用問題や記述式の問題に対応できないこともあります。
その結果、「小学生のころと同じように勉強時間をかけているのに、成績が上がらない」との悩みにつながるかもしれません。
広範囲の学習内容をカバーしつつ成績を上げるためには、子どもにあった勉強方法や、科目ごとの効率的な学習方法を探すことが大切です。
どうしても成績が上がらないのであれば、何が苦手か細かく把握することから始めましょう。解決策がわからなければ、親や学校の先生、塾の講師などに積極的に質問することも大切です。
③勉強時間が足りていない
成績が上がらない原因として、そもそも勉強時間が足りていないケースも少なくありません。部活動や習い事、ゲームや趣味などに時間をとられ、家庭学習の時間がほとんどない、という中学生も多いのではないでしょうか。
テスト前だけの長時間勉強や一夜漬けで一時的に点数を取れても、次のテストでは忘れてしまい、結果的に成績の向上につながらないこともあります。
着実に成績を上げるためには、毎日勉強する時間を確保することが大切です。
④苦手科目やわからない部分をそのままにしている
苦手な教科や、わからなかった部分をそのままにしていると、成績は伸びにくいでしょう。応用問題を解くのに必要な基礎知識がわかっていなければ、さらに理解が追いつかなくなってしまいます。
たとえば、数学で方程式がわからないままにしておくと、応用問題やその後の単元も解けなくなってしまうでしょう。英語も、基本の文法や単語が身についていないと、長文や応用問題で点数がとれません。
苦手科目は避けたくなるかもしれませんが、苦手だからこそより時間をかけて克服することが大切です。
⑤目的や目標がなく、モチベーションが保てない
「次のテストで全教科80点を目指す」「〇〇高校に行きたいから勉強する」など、明確な目標がないと、なかなかモチベーションを保てません。
また、勉強することに意味を見出せていないと、勉強に時間をかけても苦痛になってしまいます。
効率的な勉強方法や勉強時間を伸ばす方法を考えるより前に、「なぜ勉強する必要があるのか」を明確にすることが大切です。
⑥勉強したつもりになっている
勉強に時間をかけることも大切ですが、時間だけではなく「質」も大切です。たとえば、長時間机に向かっていても、集中できていなければ成果が出ずに成績は上がりにくいでしょう。
スマートフォンやテレビを見ながら勉強したり、ノートを写していたりするだけで、「勉強しているつもり」になってしまうこともあります。
時間をかけることだけにこだわらず、学んだことが身についているか、集中できているかを確認することが大切です。
⑦成果があらわれていないだけ
成績が上がらないのは、勉強方法に問題があるのではなく、まだ成果があらわれていない可能性もあります。勉強は、努力したことが、すぐに目に見える形で結果に出るとは限りません。
とくに勉強を始めて間もないころは、知識がまだ定着しておらず、テスト結果に表れにくいことがあります。知識は繰り返し問題を解いたり、間違ったりすることで、徐々に定着していくものです。
たとえば、英語の単語を完璧に覚えたつもりでも、テストで思い出せなかった、スペルが間違っていた、という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
悔しい経験をすることで、次回、同じ問題がきたときには「これは前回できなくて悔しい思いをした問題だ!」と、はっきりと思い出せることも少なくありません。
成績はすぐに伸びるものではないことを理解し、焦らずにコツコツ続けていくことが大切です。
成績が上がらない中学生におすすめの効率的な勉強法
勉強は時間をかけるよりも、効率的におこなうことが大切です。着実に成績を上げたい方は、以下の方法を参考にしてみてください。
それぞれ詳しく紹介します。
目的や目標を決めて学習計画を立てる
勉強を始める前に、まずは勉強の目的・目標を明確にすることが大切です。「志望校に合格したい」「〇〇大学で〇〇について学びたい」など、中長期的な目標に加え、「次のテストで英語の点数を10点上げたい」などの短期的な目標を立てましょう。
具体的な目標があれば、勉強に向かう意欲も高まるほか、学習計画も立てやすくなります。たとえば、高校受験や次の定期テストに対する目標が決まれば、時間や日数を逆算し、どの科目にどのくらいの時間を使えるかが判断しやすくなるでしょう。
「目標設定→学習計画の作成→実行」のサイクルが整えば、迷うことなく学習に取り組めます。結果的に、自然と成績にもつながっていくでしょう。
勉強する時間を決めて習慣化する
成績を上げるためには、短期的な努力よりも毎日の積み重ねが大切です。気が向いたときだけ勉強するのではなく、「毎日19時から21時に勉強する」「毎朝10分、英単語を覚える」など、時間を決めて取り組みましょう。
決まった時間に勉強する習慣がつけば、「この時間は勉強していないと落ち着かない」と、モチベーションや気力に頼らず、自然と勉強モードに入れます。習慣化するポイントは、毎日繰り返すことです。
最初は短時間でもよいので、毎日決まった時間に勉強する癖をつけましょう。
学習内容を復習して知識を定着させる
一度学習したことで、わかったつもりになっているケースも少なくありません。学習内容を定着させるためには、定期的に復習することが大切です。
学習直後は記憶に残っていても、時間の経過とともに忘れていくことは「エビングハウス忘却曲線」でも表されています。
学んだことを忘れないように、長期記憶に残して定着させる方法が復習です。授業内容や家庭学習の内容は、1日10分でもいいので復習して定着させることが大切です。
問題集やテストでアウトプットを繰り返す
成績が上がらないときに、教科書や参考書の解説を読むことに時間をかける人もいるのではないでしょうか。知識を定着させたり、応用できたりするようにするためには、「インプット」だけでなく、「アウトプット」が大切です。
たとえば、数式や英単語を覚えていても、テストや試験で使えなければ意味がありません。問題集を解く、過去のテストを解き直すなど、アウトプットを繰り返しましょう。
アウトプットすることによって学んだことが知識として身につき、成績の向上につながります。
苦手科目を把握して優先的に対策する
成績が思うように伸びない場合、苦手な科目や分野をそのままにしている可能性があります。まずは自分がどの科目・どの分野に弱いのか把握し、対策することが大切です。
とくに、苦手科目は成績が伸ばしやすいポイントでもあります。
たとえば、100点満点のテストで、得意科目は80点、苦手科目は50点だったとします。得意科目はどんなに頑張っても20点しか伸ばせませんが、苦手科目は50点伸ばせる余地があります。
すでに高得点をとっている科目は、応用的な知識が必要かもしれません。しかし、苦手科目は基礎的な内容を理解できれば、すぐに点数が上がる場合もあるでしょう。
得意な科目を伸ばすことも戦略のひとつですが、苦手科目とのバランスを考え、全体的に学力を伸ばすことで、効率的な成績アップにつながります。
塾や予備校など外部のサポートを活用する
自分ひとりで勉強していても、なかなかうまくいかないときは、塾や予備校といった外部の力を借りるのも有効です。
塾の講師は、さまざまな生徒の成績アップに貢献しているケースも多く、悩みや学習の相談をできる心強い存在です。伸び悩んでいる原因に応じたアドバイスが受けられるかもしれません。
また、塾や予備校には自習室が設けられているケースも多いため、自宅で集中できない場合は活用できるのも大きなメリットです。
同じ目標をもつ仲間を見つけやすいほか、高校受験で志望校に特化したカリキュラムを組んでもらえるなど、さまざまなメリットがあります。
成績が上がらない中学生が避けるべきNGな勉強方法
成績が上がらないという焦りや不安から、非効率な勉強をおこなっている方もいるのではないでしょうか。成績を上げるための行動が、実は成果につながっていない可能性もあるので注意しましょう。
注意すべきNGな勉強方法は以下のとおりです。
それぞれ詳しく紹介します。
ノートを時間をかけて綺麗にまとめる
ノートを綺麗にまとめることは悪いことではありませんが、時間をかけすぎてしまうのは要注意です。
勉強の本来の目的は、ノートを綺麗にまとめることではありません。学習内容を理解したり覚えたりすることが目的です。
ノートを完璧に仕上げても、内容が頭に入っていなれば意味がないので、時間のかけすぎには注意しましょう。
勉強時間にこだわり、睡眠や休憩の時間を削る
成績が上がらないからと、勉強時間を長くすることに注力する人がいるかもしれません。たしかに勉強時間が長ければ成績アップに効果があるかもしれませんが、睡眠時間や休憩時間を削ってしまわないように注意しましょう。
睡眠不足や疲れた状態での勉強は、学習の妨げになる可能性があります。とくに睡眠不足は、集中力や記憶力の低下につながります。勉強した内容が頭に入ってこず、それまでの学習が無駄になることもあるでしょう。
成績を上げるためには、「量」だけでなく「質」も大切です。
優先順位を決めずに、とりあえず勉強する
とりあえず量だけ増やす勉強方法もおすすめしません。中学生は勉強すべき範囲が広いため、限られた時間を有効に使うには、優先順位を決めて取り組むことが大切です。
たとえば、テストが近いなら、苦手な科目の対策を集中的におこないましょう。受験が近いなら、過去問を解くことに集中する、学校の課題の提出期限が迫っているなら課題に取り組むなど、優先順位を決めることが大切です。
すべてを均等にできれば理想的ですが、現実的ではありません。成績アップに直結することに優先順位をつけ、今やるべきことは何かを整理しましょう。
成績が上がらない中学生に対する保護者の関わり方やサポート
成績が上がらないと中学生のわが子が悩んでいると、保護者はサポートしたくなるでしょう。経済的に自立していない子どもにとって、保護者の存在は大きいものです。
だからこそ適切な距離感をもって関わりましょう。以下の項目にわけて、保護者の関わり方を紹介します。
子どもへの接し方に困っている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
成績が上がらない子どもに親ができるサポート
成績が上がらない子どもに対して、親ができるサポートは以下のとおりです。
悩んでいる子どもを見ていると助けてあげたくなるかもしれません。しかし、必要以上に介入するのではなく、必要に応じたサポートを心がけましょう。
たとえば、「よく頑張ったね」「毎日勉強してえらいね」などと褒めることは、子どもの自己肯定感を高めます。思うような結果が出ないときに「次はできるよ!」と励ますことは心の支えになるでしょう。
「何かわからないことある?」など、直接悩みや不安を聞いてあげることも大切です。表面的にはわからない悩みを理解できればサポートもしやすくなるでしょう。
「自宅で勉強に集中できない」「勉強方法がわからない」などの悩みであれば、塾に通わせてあげるのも保護者ができるサポートのひとつです。
成績が上がらない子どもに避けるべき親のNG行動
成績が上がらない子どもに対して、以下のような行動は避けましょう。
成績が上がらずに焦りや不安から、子どもに対して「なんでこんなこともわからないの!」「もっと勉強しないと受験に落ちるよ!」など、プレッシャーを与えたり、叱ったりするのはNGです。
成績が上がらないことに一番悩んでいるのは子ども自身です。ネガティブな言葉は勉強へのやる気・モチベーションを低下させます。叱ったり怒られたりすると自信もなくなるでしょう。
そのため、成績だけを軸にして褒めることも避けましょう。成績は上下するものですが、成績を自分の価値と勘違いすると、成績に精神状態を左右されかねません。
また、「あなたの好きにすれば」と無関心になったり、「成績が上がるまでゲームはさせないからね」など、厳しく罰を与えたりすることもやめましょう。「〇〇さんはもっとできているのに」と他人と比較することもNGです。
勉強することに対して嫌なイメージがつくと、積極的に取り組めなくなるほか、親子関係が悪化するおそれもあります。
成績が改善しない場合は通塾も検討しよう
家庭でサポートしていてもなかなか成績が上がらない場合は、塾に通うことを検討するのもひとつの選択肢です。
中学生になると学習内容が難しくなり、保護者が直接教えるのが難しくなる場面も少なくありません。子ども自身も家庭内では集中しにくかったり、思春期で親のアドバイスを素直に受け入れられなかったりすることもあるでしょう。
塾では、指導のプロである講師が苦手な分野をわかりやすく教えてくれます。自習室など集中できる学習環境も整っているほか、同じ目標をもった仲間も見つけやすく、モチベーションの維持にもつながります。
個別指導や集団授業など、塾の形態を子どもの個性にあわせて選べる点もメリットです。子どもが「勉強のやり方がわからない」と悩んでいたり、保護者が「学習内容をサポートできるほど詳しくない」と悩んでいたりするなら、塾を頼ることも検討しましょう。
塾の選び方については、以下の記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
成績が上がらないと悩む中学生は原因に応じて対処しよう
中学生の成績が上がらない原因はさまざまです。勉強の方法が間違っている、集中できる環境ではないなど、原因によって対処方法が異なります。
今回紹介した内容を参考に原因を特定したのち、適切な対処法を実践してください。もし家庭で解決できないのであれば、塾や予備校に頼るのも有効です。
保護者は子どもの悩みを聞き、学習の状況を見極めながら一緒に解決策を考えましょう。