小・中学校と地元の公立校に進学してきた方は、高校受験が人生初の受験になります。中学生のなかには、「どの高校を志望校にするべきか、決め方がわからない…」と悩んでいる方もいることでしょう。
また、中高一貫校に進学している方も、そのまま高等部(高校)に進学することに違和感を感じたり、学校があわないと感じていたりするなら、高校受験をして、より自分に適した学校に進むという選択肢もあります。
そこで本記事では、高校受験における志望校の決め方や失敗を回避するコツを紹介します。進学先に迷う中学生や保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 高校受験の志望校の決め方!4つのステップ
- ①重視したいポイントを決める
- 学校の方針
- 進学・就職実績
- 部活動・学内行事
- 通学手段
- ②候補となる高校を絞り込む
- ③高校の情報を収集する
- オープンキャンパス
- インターネットや塾
- 在校生・卒業生・保護者の口コミ
- ④家族や学校の先生と相談する
- 受験生本人と保護者の意見がまとまらないときは?
- 高校受験の志望校はいつまでに決めるべき?
- 志望校から受験校を決めるのはいつ頃?
- 高校受験の志望校決めに失敗しないための3つのコツ
- 偏差値や知名度だけで決めない
- 受験生本人と保護者・学校の先生の意思をすり合わせておく
- 実際に高校を見ておく
- 高校受験の志望校で迷ったときに注目したいポイント
- 国公立(都立・県立など)か私立か
- 中高一貫校それ以外か
- 大学付属校かそれ以外か
- 共学か男子校・女子校か
- 高校受験の志望校は複数の学校を比較して慎重に決めよう
高校受験の志望校の決め方!4つのステップ
高校受験の志望校は、周りから勧められた学校をなんとなくで選ぶと、失敗することにもなりかねません。高校生活は3年間と長く、また、どの高校を選ぶかによってその後の進路が左右されることもあります。
失敗を回避するためにも、志望校は慎重に決めることが大切です。次のステップに沿って、段階的に決めていきましょう。
次より、それぞれの段階ですべき事柄を詳しく解説します。すでに志望校を決めた方も、ぜひ参考にして適切な高校を選んでいるのか見直してみてください。
①重視したいポイントを決める
まずは学校選びの方針を決めましょう。何を重視して学校を決めるのかによって、適切な高校が異なります。主なポイントとしては次のものがあります。
学力があっているかどうかという点も大切ですが、それだけで決めてしまうと、学校自体があわずに後悔することにもなりかねません。学力があっているか考える前に、高校生活に何を求めるのかを自己分析し、重視したいポイントを絞り込んでください。
学校の方針
学校の方針は、公式ホームページでチェックできます。「校長の挨拶」や「学校の理念」などのページを見れば、記載されている内容や順序から、その学校で重視していることがある程度はわかります。
進学実績に関するページが充実している学校なら、勉強関連のサポートが手厚いと予測できます。ただし、必ずしも期待するようなサポートを受けられるとは限りません。学習サポートに関する情報が十分に得られない場合は、中学校の教師や塾の講師、実際に通学中の知り合いなどに聞いてみましょう。
進学・就職実績
多くの高校では、公式ホームページで進学・就職実績を公開しています。高校卒業後にどのような進路を希望するのか決めてから、希望する進路に進みやすいかどうか確認してみてください。
たとえば、高校卒業後は就職したいと考えている場合、大半の学生が大学や専門学校に進学する高校では、期待するような指導やサポートを受けられません。反対に、大学進学を考えている場合は、卒業時にほとんどの学生が進学する高校を選ぶことが必要です。
また、どのような学校に進学しているか、どのような企業に就職しているかもチェックしてみてください。たとえば、国公立大学を受験したいと漠然と考えている場合は、国公立への進学実績が豊富な高校がよいでしょう。学校選びや共通試験の際に適切なサポートを受けられ、大学進学に備えた準備がしっかりできます。
部活動・学内行事
部活動に注力したい場合は、部活動の種類や実績もチェックしてみてください。入部したい部活動がない場合や、期待するような実績ではないなどの場合には、別の高校も視野に入れましょう。
たとえば、ラクロス部やヨット部、競技カルタ部、箏曲部などは、どの高校にもある部活ではありません。反対に、野球部やコーラス部といった一見、どこにでもありそうな部活動でも、高校によっては実施していないため注意が必要です。
また、学校行事も調べておくと、希望する高校生活を送りやすくなります。文化祭や体育祭の規模や時期、開催有無なども調べておきましょう。
通学手段
志望校選びでは、通いやすさも重要なポイントです。通学時間や通学手段を確認しておきましょう。自転車通学を希望する場合は、学校側の対応も確認しておくことが必要です。高校によっては自転車通学を禁止している可能性もあります。
また、自宅からの通学が難しい場合には、暮らす場所についても検討しなくてはいけません。寮や下宿先の紹介などを利用できるか確認しておきましょう。親族の家から通う場合なら、食費や住む部屋なども詳しく決めておくとトラブルを回避しやすくなります。
②候補となる高校を絞り込む
重視したいポイントから、候補となる学校を絞り込みましょう。受験に「絶対」はないため、本命と併願校を決めておきます。本命や併願校の合格が難しそうなときは、安全校も決めておくと安心です。受験日程を確認し、無理なく受けられるのかも調べておきましょう。
ただし、重視したいポイントを満たすものの、合格可能性が低い高校を第一志望校とする場合は、併願校を現実的なものにしておいたほうがリスクが少なくて済みます。
また、合格可能性が少しでもあると判断される場合には、学校の教師や塾の講師とも話し合い、努力でカバーできる程度なのか確認してから志望校・併願校の候補に設定しましょう。
③高校の情報を収集する
志望校候補を絞り込んだら、高校についての情報を収集しましょう。まずは公式ホームページにアクセスし、学校の理念や進学・就職実績、部活動といった基本的な情報を入手します。その次に、以下の方法からより詳しい情報を入手しましょう。
志望校の候補が多すぎると、情報収集作業に時間がかかりすぎてしまいます。できれば数校に絞り込んでから、情報収集を始めるようにしてください。
オープンキャンパス
志望校がオープンキャンパスを実施している場合は、ぜひ参加してみましょう。オープンキャンパスを実施する時期は学校によって異なるため、こまめに情報をチェックすることが大切です。
中学3年の時点では部活や学校行事、テスト対策などで忙しくなっている可能性があるため、できれば中学1年・2年のあいだにオープンキャンパスに参加しておきましょう。
オープンキャンパスを実施していない高校の場合でも、実際に学校に行ってみてください。校内に入れなくても、周囲の環境や雰囲気、通学しやすさをチェックすることができます。
インターネットや塾
インターネットの情報もチェックしてみてください。高校の公式ホームページだけでなく、学校の偏差値や評判などを紹介しているサイトも参考にできます。
ただし、インターネットの口コミのなかには、正確性に欠けるものもあるため注意が必要です。サイトそのものの信用性をチェックしてから、口コミを閲覧するようにしましょう。
また、塾に通っている方は、塾からも情報を収集してください。志望校への進学実績が豊富な塾なら、インターネットでは得られないような詳しい情報を得られることもあります。実際にどの程度の成績の中学生が合格しているのかだけでなく、受験科目別の出題傾向なども調べておきましょう。
在校生・卒業生・保護者の口コミ
知り合いに志望校の在校生や卒業生がいる場合は、直接聞いてみるのもひとつの手です。受験生の保護者の方は、在校生・卒業生の保護者から話を聞いてみてください。保護者目線で学校を判断する際のヒントを得られることがあります。
口コミや独自に収集した情報から、学校の方針や課外活動などが重視したいポイントを満たしているか確認してみましょう。高校に対して持っていたイメージと、実際の様子にギャップがあることも少なくありません。満足できる高校生活を送るためにも、情報収集・分析に時間をかけてください。
④家族や学校の先生と相談する
志望校は受験生本人の意思で決めることが大切ですが、周囲の同意を得ておくことも大切です。
受験生本人が志望校・併願校を決めた場合は、家族や学校の教師に話し、アドバイスをもらうようにしましょう。
受験生本人と保護者の意見がまとまらないときは?
受験生本人と保護者の意見がまとまらないときは、学校の教師や塾の講師に間に入ってもらうことも検討してください。最終的に志望校を決めるのは受験生本人です。本人が決めたなら、意欲的に勉強や部活動などに取り組む可能性が高く、より充実した高校生活を送れるでしょう。
反対に、受験生本人ではなく、保護者の意見だけで志望校や併願校を決めてしまうと、高校生活が思いどおりにいかなかったときに「こんなはずではなかった…」と後悔し、学習や学校での活動に対して意欲を失うことにもなりかねません。
受験生本人が明らかに無謀な希望を述べている場合も、保護者は頭ごなしに否定してはいけません。お子さんが理解できるように説明し、最終的にはお子さんが「自分の意思で決めた」と思える形にすることが大切です。
どうしてもお子さんの希望を叶えることが難しい場合もあるでしょう。たとえば、留学や一人暮らし、高額な費用がかかる全寮制の高校に進学するといった選択肢をお子さんが考えている場合、経済的な事情で叶えられないケースも想定されます。
教育ローンや奨学金なども検討し、それでも実現が難しいと思われるときは、お子さんに率直に事情を話して納得してもらいましょう。
高校受験の志望校はいつまでに決めるべき?
高校の情報収集に時間がかかることが想定されるため、できれば中学1~2年のあいだに志望校を絞り込んでおきましょう。重視したいことや合格可能性が変わったときは、随時、志望校を見直してください。
もし中学2年生までに志望校を絞り込めていない場合でも、焦る必要はありません。受験までの時間が短い分、情報収集の時間は減りますが、受験時の学力で高校を選べるため、より合格可能性の高い選択ができるようになります。
志望校から受験校を決めるのはいつ頃?
志望校と受験校は別です。志望校はできれば中学2年までに選んでおき、実際に受験する学校は中学3年の12月までに決めるようにしましょう。
ただし、推薦入試の場合は、中学3年の12月では遅すぎる可能性があります。希望する高校に受験するためにも、受験スケジュールを学校や塾、高校の公式ホームページで確認し、中学3年生の夏までに決めておきましょう。
また、中学校の教師に受験校について知らせておくと、推薦入試の願書提出スケジュールや提出書類の情報を案内してもらえることがあります。志望校が決まったら、学校に伝えて相談するようにしましょう。
高校受験の志望校決めに失敗しないための3つのコツ
志望校決めに失敗すると、受験校選びも失敗し、希望するような高校生活を送れない可能性があります。充実した高校生活を送るためにも、次のコツに留意して、志望校を決めるようにしてください。
それぞれのコツについて詳しく見ていきましょう。
偏差値や知名度だけで決めない
志望校を決める際に偏差値も重要な要素ですが、学校の偏差値が受験生本人の偏差値とあっているかどうかよりも、受験生の偏差値が学校の偏差値をクリアしていることに注目してください。
無理なくクリアしているなら、勉強に余裕が生まれ、高校入学後の部活動や学校行事、友人との付き合いを楽しみやすくなります。ただし、学校の偏差値だけで決めてしまうと、勉強以外の学校生活があわない恐れがあるため注意が必要です。
なお、受験生の偏差値よりも高めの高校を選ぶと、高校進学後に勉強についていくだけで精一杯になり、勉強以外の活動を楽しめないかもしれません。進学後に本人がどのような高校生活を送りたいかを考慮して志望校を選ぶことが大切です。
また、知名度だけで志望校を決めることも避けてください。とくに注意したいのが昔の知名度で学校を判断することです。
学校の進学実績や偏差値は常に変化しています。保護者が安易に「わたしの時代にはこの学校はあまり優秀ではなかった」「その学校は名門だから、受験して損はない」といった発言をすると、お子さんが混乱し、適切な選択ができなくなってしまうことがあります。
受験生本人と保護者・学校の先生の意思をすり合わせておく
受験生本人と保護者、学校の先生、塾の講師全員が同じ目標に向かって進むと、より志望校の合格に近づきます。どの学校を志望校・受験校にするか、関係者全員の意思をすり合わせておきましょう。
学校事情は常に変化しています。意思をすり合わせる過程で、保護者が昔の価値観や事情を持ち出さないようにしてください。
高校の最新の入試事情は、一般的に中学校の教師や塾の講師のほうが精通しています。保護者がお子さんの将来を邪魔することがないよう、お子さんの希望や本当の学力を客観的に見るように心がけましょう。
実際に高校を見ておく
志望校を決める際には、実際に学校を見ることが大切です。学力レベルや進学・就職実績などの条件が理想的に思えても、学校の雰囲気がお子さんにあわない可能性も想定されます。
また、実際に高校を見ることで、「ここに通いたい」とお子さんのモチベーションが高まることもあります。合格に向かって意欲的に勉強するためにも、早めに高校を見学しておきましょう。
高校受験の志望校で迷ったときに注目したいポイント
高校受験の志望校を決めかねるときは、学校別の特色を確認してみましょう。次のポイントに注目すると、志望校を絞り込みやすくなることがあります。
各学校に見られる特徴を紹介します。
国公立(都立・県立など)か私立か
国公立と私立では授業料や入学金が異なりますが、公的補助もあるため、必ずしも私立のほうが格段に学費が高いというわけではありません。しかし、公的補助が適用されない学費以外の費用が私立は高額な傾向にあるため注意が必要です。修学旅行費や施設費、教材費などもチェックしてみましょう。
国公立と私立では、受験勉強の方針が異なります。たとえば、公立校の場合、同じ都道府県内なら同じテストで受験できることが一般的なため、直前に受験校を変えることも可能です。しかし、私立は各自のテストで受験するため、ターゲットを定めた勉強が必要になります。
また、国立は「〇〇大学付属」という名称であっても、その大学への進学が約束されているわけではありません。付属校にいることがその大学への進学に有利になる可能性も少ないため、大学ではなく高校そのものの学力レベルや進学実績などを詳細に調べてから、志望校に設定するかどうかを決めるようにしましょう。
中高一貫校それ以外か
中高一貫校に高校(高等部)から入学するときは、注意が必要です。学校によってカリキュラムが異なりますが、高校(高等部)で学ぶ内容を中学(中等部)で終了している場合もあり、授業についていけない可能性があります。
一般的な国公立の中学校で学んでいる場合は、中高一貫校で無理なく学べるのか、在校生・卒業生や塾の進路担当者などに相談しておきましょう。
また、内部生と外部生の関係も確認しておくことをおすすめします。学校によってはクラスが分けられているため内部生と外部生の接点は少なく、部活動をする場合に接点が生まれます。内部生・外部生ともに居心地よく過ごせるように配慮されているのか、事前に調べておくと安心です。
大学付属校かそれ以外か
私立の大学付属校の場合、内部進学枠が設定されていることが一般的です。しかし、学校によって内部進学率が異なるため、公式サイトなどで確認しておきましょう。
その大学に行きたい場合は、内部進学率が高いと希望どおりの進路に進みやすくなります。しかし、その大学に行きたくない場合に内部進学率が高い高校に入学すると、他大学に進学しにくくなることがあるため注意が必要です。
たとえば、次のようなデメリットが考えられます。
なお、すでに行きたい大学が決まっており、その大学に付属高校がない場合や、付属高校があっても内部進学率が低い場合は、付属校以外を受験するようにしてください。
共学か男子校・女子校か
どのような高校生活を送りたいかによっても、適した学校が異なります。
同性との気兼ねない付き合いを優先したいなら男子校や女子校が適していますが、性別にこだわらずに高校生活を送りたい場合や異性との接点が多いほうがよい場合は、共学のほうが適しているかもしれません。
高校生活は短いようで長いものです。充実した生活を送るためにも、勉強だけではなく学校のタイプがあっているのか吟味し、慎重に志望校を決めるようにしてください。
高校受験の志望校は複数の学校を比較して慎重に決めよう
どの高校を志望校にするかによって、勉強方法や受験科目が変わることもあります。後悔のない選択をするためにも、志望校は慎重に決めるようにしましょう。
また、志望校にこだわりすぎないことも大切です。状況や意識の変化が生じたときは、柔軟に志望校を変えるようにしましょう。
志望校選びで迷ったときは、ターゲットとする高校への進学実績が豊富な塾に相談するのもおすすめです。今の状況を客観的に分析してもらい、志望校や受験校の選定に活かしましょう。