幼稚園や保育園の子どもに小学校受験をさせようと考えているものの、まだ幼いために、受験の準備を始めるタイミングを見極めることが難しくて困っている方もいるのではないでしょうか。
また、初めての小学校受験で、具体的に何を対策すればよいかわからない方もいるかもしれません。
そこで本記事では、小学校受験の準備を始めるタイミングや、準備を開始するタイミングを見極めるポイント、受験内容を紹介します。
日ごろから家庭でできる準備・対策や、塾に通う場合の費用やメリットも紹介しますので、小学校受験を考えている保護者の方はぜひ参考にしてください。
- 小学校受験はいつから準備を始めるべき?
- 小学校受験の準備は年中の秋までに始めるのがよいとされる理由
- 1年間の準備期間で十分な受験対策ができるから
- 親子で受験に取り組む姿勢を整えられるため
- 小学校受験の準備をいつから始めるか見極めるポイント
- 子どもにあったタイミングで始める
- 家庭・保護者にあったタイミングから始める
- 小学校受験に向けて必要な対策は?試験内容の一例を紹介
- 【ペーパーテスト】筆記による学力テスト
- 【行動観察】立ち振る舞いに関する審査
- 【制作・絵画】巧緻性(こうちせい)や感性の審査
- 【運動】体力・運動技能の審査
- 【面接】口頭による受け答え
- 小学校受験に向けて家庭でできる準備・対策
- しつけをおこない、マナーを身につける
- 絵本の読み聞かせや会話のキャッチボールをおこなう
- 外で遊ぶ機会をつくる・季節の行事に参加する
- 友だちや兄弟・姉妹と遊ばせる
- 着替えや片付けなどを自分でさせる
- 家事などのお手伝いをさせる
- 志望校の情報収集や見学を積極的におこなう
- 小学校受験の準備として幼児教室や塾に通わせるべき?
- 幼児教室や塾に通わせるか判断するポイント
- 幼児教室や塾に通わせるメリット
- 学習塾にかかる費用の相場
- 小学校受験準備は余裕をもって始めることが大切
小学校受験はいつから準備を始めるべき?
小学校受験の準備は、年中(4歳)の後半ごろから始めるのが一般的とされています。小学校受験は9〜11月の間におこなわれることが多いため、1年前となる年中の秋から始める方が多いようです。
年長からでも遅くないケースもありますが、受験対策は早めに始めたほうが余裕を持って進められるでしょう。
小学校受験の準備は年中の秋までに始めるのがよいとされる理由
小学校受験の準備は年中の秋までに始めるとよいとされる理由は以下のとおりです。
それぞれの内容について、次より詳しく紹介します。
1年間の準備期間で十分な受験対策ができるから
小学校受験では、学力以外にも幅広い分野の対策が必要です。詳しくは後述しますが、ペーパーテスト以外にも行動観察や運動能力、立ち振る舞いなど、小学校受験で求められる能力はさまざまです。
年中の秋から小学校受験の準備を始めると、1年間の準備期間が設けられます。短期間では鍛えることが難しい能力も、計画的に鍛えられる点が年中の秋までに始めるとよいとされている理由のひとつです。
親子で受験に取り組む姿勢を整えられるため
小学校受験は、親と子どもが一緒に対策を進めていきます。親子の関係が築けてなかったり、子どもに無理やり受験勉強をさせようとして関係が悪化したりすると、小学校受験に臨む体制が整いません。
年中の秋から少しずつ準備を始めることで、子どもに勉強の目的を理解してもらいながら受験対策を進められます。
仮に上手くいかない時期があっても、修正し、乗り越えることで親子の絆が深まり、親子のチームワークが仕上がっていくでしょう。
また、面接では両親に対して、教育方針や家庭での子育ての様子が問われることもあります。1年間の準備期間があれば、夫婦で話し合う時間がもてます。
小学校受験の準備をいつから始めるか見極めるポイント
小学校受験に対していつから準備を始めるかは、家庭によって異なります。タイミングを見極める際のポイントは以下のとおりです。
それぞれ具体的な内容を紹介します。
子どもにあったタイミングで始める
小学校受験の準備を始める時期は、子どもの発達段階や性格に応じて見極めることが大切です。受験では、子どもの集中力や指示理解力などが求められるため、話をしっかりと理解してくれるか、座った状態で最後まで作業に取り組めるかなども重要になります。
受験対策を始める時期が早すぎると、子どもにとって受験対策の内容がストレスになってしまい、逆効果になることがあるかもしれません。
「やってみたい」「知りたい」など、学びについての好奇心が育ってきたタイミングでスタートすれば、自然と受験準備に対して前向きに取り組めるでしょう。
家庭・保護者にあったタイミングから始める
小学校受験は、子どもだけでなく家庭全体で取り組むものです。そのため、小学校受験の準備を始める時期を見極めるうえで、家庭全体や保護者側の状況も重要なポイントになります。
たとえば、共働きや下の兄弟・姉妹の育児が忙しい時期に小学校受験の準備を始めてしまうと、保護者にとって負担になるかもしれません。
サポート体制が整わない状態で受験の準備を始めても学習内容が中途半端になり、よい結果につながらない可能性があります。
小学校受験に向けた家庭内の環境が整い、スケジュールにある程度の余裕ができれば、しっかりと子どもと向き合いながら対策を進められます。
小学校受験に向けて必要な対策は?試験内容の一例を紹介
小学校受験で求められる能力や学力は、学校によって異なります。一般的な試験内容は以下のとおりです。
具体例を挙げつつ、それぞれの内容を紹介します。
【ペーパーテスト】筆記による学力テスト
ペーパーテストは、小学校受験においてもっとも基本的な知能検査試験のひとつ。子どもの思考力・理解力・集中力を測るためにおこなわれます。具体的な内容の一例としては、数・図形・言語・記憶・推理を問う問題などが挙げられます。
単なる知識の暗記ではなく、自分の頭で考える力や解く力が求められるケースも少なくありません。問題文の意味を正しく理解し、集中して最後まで解ききる姿勢もチェックされます。
市販の問題集を活用しつつ、親子で問題を出し合うなど、楽しみながら学べるように工夫しながら対策を進めるとよいでしょう。
【行動観察】立ち振る舞いに関する審査
行動観察は、集団行動のなかでの子どもの様子を観察し、社会性や協調性、思いやり、ルールを守る力などを評価する試験です。
たとえば、知らない子どもたちとグループで遊んだり、課題に一緒に取り組んだりするなかで、そこでの行動が評価されます。
小学校では集団生活が基本となるため、集団のなかでうまく立ち振る舞えるかが重要なポイントとなります。友だちと公園で遊ぶ機会や習い事を通して、日ごろから家族以外の子どもたちと関わる経験が役立つでしょう。
また、遊びや生活のなかで「ありがとう」「ごめんなさい」などの言葉を使う習慣をつけておくことも大切です。
【制作・絵画】巧緻性(こうちせい)や感性の審査
制作・絵画の試験では、ハサミやのり、クレヨンなどを使って何かをつくる課題が出題されることが一般的です。
課題から子どもの手先の器用さ(巧緻性:こうちせい)や創造力、色使い・表現力を評価されます。作品の完成度だけでなく、手順に従って集中して取り組む姿勢や最後までやり抜く姿勢、道具の使い方や後片付けのマナーも評価の対象となります。
日常の遊びのなかで工作やお絵かきを取り入れたり、自由に表現する楽しさを体験させたりすることが大切です。
【運動】体力・運動技能の審査
運動の試験では、子どもの基本的な身体の動かし方やバランス感覚、指示に対する反応力などが評価されます。内容は、スキップやジャンプなど日常的な動作が中心のケースが一般的です。
「指示通りに動けるか」「ルールを守って集団で行動できるか」などがチェックされます。そのため、小学校受験に向けて、勉強だけではなく、外遊びや散歩、リズム体操などを取り入れ、身体を動かす習慣をつけておくとよいでしょう。
【面接】口頭による受け答え
面接では、子ども本人の受け答えに加えて、保護者との面談がおこなわれる場合もあります。
子どもに対しては簡単な質問がされ、質問内容を理解し、自分の言葉で落ち着いて答える姿勢や、相手の目を見て話せることなどが評価されます。
一方、保護者面接では、家庭でのしつけや教育方針、志望理由などが問われるほか、親の姿勢や言葉遣い、受験への理解度が問われることもあります。
子どもに対しては、家庭で日常的にあいさつや会話の練習をおこない、人前で話すことに慣れさせておくことが大切です。
親も受験する小学校の理念や特色を理解し、質問に対して自然な言葉・内容で答えられるようにしておくとよいでしょう。
小学校受験に向けて家庭でできる準備・対策
小学校受験に向けて家庭でできる準備・対策は以下のとおりです。
次より各項目について詳しく紹介します。
しつけをおこない、マナーを身につける
前述したとおり、小学校受験では学力だけではなく、立ち振る舞いも評価のポイントとなります。基本的なあいさつや礼儀、順番を守ること、食事中のマナーなどは、日常生活のなかで自然と身につけておくことが大切です。
「ありがとう」「ごめんなさい」「お願いします」などの言葉を自分から言えるように促し、相手を思いやる気持ちを育てることが、受験だけでなく、学校に入ってからの人間関係や日々の生活にもよい影響を与えるでしょう。
重要なのは、なぜあいさつや言葉遣いが大切なのかを子どもに丁寧に説明することです。立ち振る舞いやマナーは一朝一夕で身につくものではありません。日々の生活のなかで、親がよい見本を見せながら繰り返し教えることが大切です。
絵本の読み聞かせや会話のキャッチボールをおこなう
言葉の理解力や表現力の基礎を家庭で育てる方法として、絵本の読み聞かせや親子の会話が効果的です。読み聞かせは、語彙力や文章理解を育むだけでなく、想像力や感情の理解にもつながります。
読み終えた後に本の内容について親子で話し合ったり、わからないことに関して質問の受け答えをすることで、話す力や思考力が身につくでしょう。
難しい言葉を教えようとするのではなく、親子の会話のキャッチボールを意識し、語彙力や表現力を育むことが大切です。
外で遊ぶ機会をつくる・季節の行事に参加する
体力や運動能力、季節感や社会性なども評価されるポイントです。座学や家庭内学習以外にも、外遊びの機会を増やし、四季の自然や行事に触れることが効果的です。
たとえば、公園での遊具遊びやかけっこは運動能力を育て、落ち葉拾いや虫探しなどは、子どもの観察力を育み、好奇心を引き出します。
お花見や七夕、節分、ひな祭りなどの季節行事への参加は、自然と季節感や伝統文化を学ぶよい機会になるでしょう。体験を通して得た知識や感性は、絵画制作や面接でも発揮されるかもしれません。
友だちや兄弟・姉妹と遊ばせる
集団のなかでの振る舞い方を学ばせるためには、兄弟・姉妹や同年代の友だちと一緒に遊ぶ機会を意識的につくることが大切です。
おもちゃの貸し借りや譲り合い、順番を守る、けんかの仲直りをするなどの経験を通し、社会性や協調性を学んでいきます。
トラブルが起こった際の親の介入は過度におこなわず、必要なときだけサポートすることで、子どもが自分で考えて行動する力が身につくでしょう。
着替えや片付けなどを自分でさせる
日ごろから自分でできることは自分でやる習慣をつけておくことで、自立心を育むことができます。たとえば、朝の着替えや食事の準備、使ったおもちゃの片付けなどは自発的におこなえるよう促しましょう。
受験では、指示に従って行動できるか、落ち着いて行動ができるかといった点も評価されるため、家庭での訓練がそのまま本番で活きることもあります。
初めのうちは上手にできないかもしれません。しかし、失敗しても親が手を出しすぎず、見守り、成功したときは褒めてあげることが大切です。自分でできたという成功体験が自信につながり、自発的な行動を促します。
家事などのお手伝いをさせる
普段の生活で、子どもにお皿を並べる、洗濯物をたたむ、テーブルを拭くなど、簡単なお手伝いを任せましょう。家事のお手伝いは、指示を理解して行動する訓練になります。また、「役に立っている」という実感は、子どもの自立心や責任感も育むでしょう。
手指を使う作業が巧緻性の向上にもつながり、絵画や制作の試験対策にも効果があります。最初は時間がかかったり、失敗して家事が増えたりするかもしれません。しかし、丁寧に教えてあげることで徐々に成長していき、子どもにとっても成功体験になります。
志望校の情報収集や見学を積極的におこなう
小学校受験では、学校ごとに出題傾向や重視する教育方針が異なるため、積極的に志望校の情報収集をおこなうことが重要です。ひとつの学校でも、年度によって出題内容が変更されることがあるかもしれません。
公式サイトやパンフレットを通じて、教育理念やカリキュラム、過去の出題内容などを確認しましょう。また、実際に学校を訪れるオープンスクールや学校説明会、見学会に参加することで、校風や先生の雰囲気、施設の充実度などを体感できます。
子ども自身が「ここに通いたい」と感じれば、受験へのモチベーションにつながるでしょう。
小学校受験の準備として幼児教室や塾に通わせるべき?
小学校受験の準備として、幼児教室や塾に通わせるべきかどうか迷う方も多いのではないでしょうか。幼児教室は、主に社会性や生活習慣を身につけ、子どもの成長を支援する場所です。一方、塾は、主に小学校受験に向けた対策や学力向上を目的としています。
幼児教室と塾の目的や役割は異なりますが、どちらも小学校受験に向けた対策の一環になるでしょう。
上記に関して次より紹介しますので、通わせようか迷っている方は参考にしてください。
幼児教室や塾に通わせるか判断するポイント
小学校受験に向けて幼児教室や塾に通わせるかどうかを判断する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。以下の点に注目し、通わせるかどうか判断する際の基準にしてみてください。
たとえば、志望校に対して必要な学力や能力が培われているなら、無理に通う必要はありません。
また、幼過ぎて集中力がうまくコントロールできない時期や、学習に対して積極的でない時期に通わせても、期待する効果が得られない可能性があります。子どもにとってストレスになると、学ぶことが嫌いになるかもしれません。
一方、集団生活での立ち振る舞いを学ばせたり、基礎的な学力を磨いたりするサポートを家庭でおこなう余裕がない場合は、幼児教室や塾を活用するのもひとつの手です。家庭の方針や子どもの状況を総合的に判断して決めましょう。
幼児教室や塾に通わせるメリット
幼児教室や塾に通わせるメリットとしては、主に以下が挙げられます。
とくに塾では小学校受験に関する情報収集や、志望校に沿った専門的な対策が期待できるでしょう。
また、ほかの子どもや先生・講師と接する機会も多いため、兄弟・姉妹がいない家庭や、親戚など家族以外と触れ合う機会が少ない家庭では、社会性や協調性を育む場所としても活用できます。
以下の記事では、小学校受験に向けた塾の選び方や、メリット・デメリットを詳しく紹介しています。興味がある方はあわせてご覧ください。
学習塾にかかる費用の相場
小学校受験の費用は国立学校よりも私立学校のほうが高い傾向にあります。加えて、幼児教室や塾、習い事教室に通う場合、授業料などの費用が必要になります。
家計にも関係してくるため、幼児教室や塾に通うのであれば、費用について事前に調べておくことが大切です。塾をはじめとする習い事教室にかかる費用は、通う先によって異なります。
文部科学省が公表している「保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額」のうち、学校外活動費にかけた費用の平均は以下のとおりです。
【学校外活動費にかけた費用平均】
幼稚園の種類 | 子どもひとり当たりの年間学習費総額 |
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公立幼稚園 | 100,049円 |
私立幼稚園 | 157,535円 |
※出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果について」
上記のデータを参考にして月額換算すると、公立幼稚園に通わせている家庭では約8,300円、私立幼稚園に通わせている家庭では約13,100円程度が、学校以外の学びの場にかけている費用の相場です。
相場を参考にしつつ、家計にとって無理のない範囲で幼児教室や塾に通わせるかどうかを決めるとよいでしょう。
小学校受験準備は余裕をもって始めることが大切
小学校受験の準備を始める時期は、年中の秋ごろからが一般的です。小学校受験まで1年ほどの猶予があるため、一朝一夕では身につきにくいマナーや、社会性・協調性を育むことができます。
家庭や子どもの状況から、通わせるタイミングを見極めることも大切です。小学校受験では学力以外にもさまざまな能力が求められるため、家庭でサポートする余裕がない場合には、幼児教室や塾に通わせることも検討しましょう。