「家で勉強に集中できない…」そんな悩みを抱えていませんか?家には多くの誘惑や集中を妨げる要因があるため、多くの学生が勉強に集中できないと感じています。
昨今では、こども家庭庁が発表した調査結果でも、インターネットの普及に伴い「勉強に集中できない」と答えた小中高校生が多数いることが明らかにされました(※)。
しかし、集中できない原因を把握し、適切な対策を実践すれば、家でも効果的に勉強を進められます。
この記事では、家で勉強に集中できない主な原因と、その対策として効果的な方法を紹介します。
自宅学習の質を高めたい学生や社会人の方は、ぜひ参考にしてみてください。
※出典:こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 報告書」
家で勉強できない主な原因
家で勉強できない主な原因には、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
あなたがどのタイプに当てはまるか判断できるよう、それぞれの原因を詳しく解説していきます。
誘惑が多い環境
家は、本来リラックスするための空間です。そのため、テレビ、スマートフォン、ゲームなど、集中を妨げる要素が数多く存在します。
NTTドコモの調査によると、近年では小中学生のスマートフォンの所有率が上昇しており、小学校高学年では4割を超すという結果が出ています(※1)。
さらに、文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」では、平日に2時間以上「テレビゲーム」や「SNS・動画視聴」をおこなう小中学生が3~5割ほどいることが明らかになりました(※2)。
こうした誘惑の要素が視界に入ると、集中力が削がれるきっかけになります。勉強する際は、スマートフォンを別の部屋に置いたり、テレビ画面に布をかけたり、視界に入らないよう工夫しましょう。
※1:NTTドコモ モバイル社会研究所「小中学生のスマホ所有率上昇 調査開始から初めて小学校高学年で4割を超す」
※2: 文部科学省「令和6年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について」
勉強環境の整備不足
散らかった机の上や騒がしいリビングでは、勉強に集中するのは困難です。
整理整頓された静かな環境を整えることで、集中力を高められます。
以下の比較表を参考に、集中しにくい環境を見直し、集中できる環境を整えましょう。
【集中しにくい環境と集中しやすい環境】
項目 | 集中しにくい環境 | 集中しやすい環境 |
---|---|---|
机の上 | ・物が散乱している ・雑然としている | ・教材のみを置く ・整理整頓済み |
椅子 | ・高すぎる ・低すぎる ・硬すぎる ・背もたれがない | ・無理なく正しい姿勢を取れる適切な高さ ・長時間楽に座れる ・背もたれを好みの角度に調節できる |
音 | ・騒音がある ・テレビがついている | ・静か ・適度な環境音 |
照明 | ・暗くて手元が十分見えない ・リラックス効果の高いオレンジ系の暖色照明 | ・明るく手元がはっきり見える ・目が冴える白色系の明るいライト |
室温 | ・暑すぎる ・寒すぎる | ・熱中症や風邪などを引き起こさない、季節に応じた適温 |
空腹感 | ・過度な空腹 ・眠気が出るほどの満腹感 | ・小腹が満たされている ・ガムなどを咀嚼する |
学習計画の不明確さ
やるべきことが漠然としていると、「何から手をつければよいかわからない」という状態に陥りがちです。
その結果、やる気が失われ、勉強を先延ばしにしてしまう恐れがあります。
ただ何となく机に向き合っているだけでは、勉強は一向に進みません。具体的な学習計画を立てることで、勉強への取り組みやすさが向上します。
たとえば、「1日の勉強時間」や「各科目の勉強時間配分」、「1週間の学習目標」などを決めると効果的です。
家での勉強に集中するための5つの方法
ここからは、具体的に家での勉強に集中するための方法を5つご紹介します。
それぞれ詳しく説明していきます。
勉強時間を決めて習慣化する
毎日同じ時間に勉強を始めることで、習慣化が促進されます。
生活のなかに自然と勉強の時間を組み込むことで、ストレスなく学習を継続しやすくなります。
最初は短時間から始め、徐々に勉強時間を延ばしていくとよいでしょう。
◆勉強時間を決めて習慣化する例
- 平日は毎日19:00〜21:00を勉強時間として取り組む
- 朝に15分だけ英単語を覚える
- 就寝前に30分だけ復習の時間を設ける
とくに、眠りにつく前の数時間は記憶が定着しやすいため、暗記科目の勉強におすすめです。
ライフスタイルにあわせて、取り入れやすい時間を決めて、勉強の習慣をつけましょう。
スマートフォンを遠ざける
スマートフォンは、たとえ音が鳴らなくても、集中力を妨げる大きな要因になります。
実際に、スマートフォンが視界にあるだけで学習効率が低下することが、複数の研究結果で報告されています(※)。
勉強中はスマートフォンを別の部屋に置くなどして、物理的に距離を取ることが有効です。
※出典 Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity
北海道大学:スマートフォンが置いてあるだけでも注意を損なう効果を検証
◆勉強中にスマートフォンを遠ざける例
- 勉強する時間はスマホを親に預ける
- 機内モードに設定して、使用を制限する
- 通知をオフにして、通知音が鳴らないようにする
- スクリーンタイムなどを設定して、利用時間を制限する
- タイムロッキングコンテナなどを利用して、一定時間取り出せなくする
- 集中するアプリを活用して、スマホ依存を解消する
勉強環境を整える
集中できる空間づくりは、学習効率を大きく左右します。机の上を整理し、必要な教材だけを手元に置けば、勉強に集中しやすくなります。
以下の例を参考に、心地よく集中して勉強を続けられる空間づくりを目指してください。
◆勉強環境を整える例
- 机からマンガやスマホを撤去する
- 部屋を掃除して綺麗にする
- 椅子の高さを調整して、無理なく正しい姿勢を整える
- 照明を、白色系の明るいライトに変える
- 集中に適したホワイトノイズなどを流せる環境音アプリを使用する
簡単なタスクから始める
人間の脳は「達成感」によって活性化されます。最初の小さな成功が、自信ややる気につながるのです。
勉強を始める際は、簡単な問題や得意な科目から取り組むことで、スムーズに勉強モードに入ることが可能。小さな成功による達成感が、勉強への抵抗感を減らし、学習へ取り組む意欲につながります。
◆簡単なタスクから始めてステップアップする例
- 「英単語10個覚える」→「次の10個に進む」
- 「数学の問題1問だけ解いてみよう」→「できたらあと2問やろう」
- 「今日やることを紙に書き出す」→「完了したら斜線で消す」→「できたことを視覚化して、やる気を促す」
外部の学習環境を活用する
家で勉強に集中できないときは、図書館や塾の自習室、カフェなど外部の学習環境を活用する方法もおすすめです。
環境が変わると気分転換につながり、集中力が高まる場合があります。環境によって特徴が異なるため、気分や好みにあわせて使い分けましょう。
【外部の学習環境と特徴】
場所 | 特徴 |
---|---|
図書館 | ・静かな環境を無料で利用できる ・座席数が多い |
塾の自習室 | ・勉強用に設計された空間 ・集中しやすい |
カフェ | ・ほどよい雑音が心地よい人におすすめ ・空腹を満たせる |
電車やバスの車内など(通学時) | ・移動時間を有効活用できる ・習慣化しやすい |
自分にあった勉強スタイルを見つけて学習成果を高めよう
「家で勉強に集中できない」とお悩みの方は、なぜ集中できないのか原因を解明して、具合的な対策を実践しましょう。
この記事で紹介した、家での勉強に集中するための5つの方法を参考にしながら、自分が無理なく続けられる勉強スタイルを見つけてください。
継続的な努力と工夫が学習成果を高める鍵になるため、諦めずに試してみましょう。