アメリカ国務省から発表された外国語習得難易度ランキング(※)で、カテゴリー5+に指定された日本語。私たちは、もっとも習得が難しい言語のひとつといわれる日本語を、日常的に使っています。
しかし、日本語を第一言語としていても、国語が得意だとは限りません。
そこで今回は、国語専門のオンライン塾「野村国語塾」を取材。代表の野村 良明さんは、国語力こそあらゆる勉強の基礎であり、すべての学力の土台だといいます。
学校の勉強だけでなく、今後生きていくなかでも必要不可欠な国語力を、今こそ考え、身につけてみませんか。
(※)出典:https://www.state.gov/foreign-language-training/
「国語がすべての学力の基本」から始まった国語専門塾
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「野村国語塾」がどのような塾なのか、概要を教えてください。
野村 良明さん(以下、野村):国語専門のオンライン塾「野村国語塾」は、受験対策やテストの点数を上げることを目的とした塾ではありません。
もちろん国語力を高めれば、さまざまな科目の成績アップにつながりますが、当塾は、“深い思考力を身につけて正しく国語を理解する”ことをコンセプトとしています。
私は、学習塾を運営するなかで、“国語がすべての学力の基本である”という答えにたどり着きました。
数学の文章問題ができない生徒の場合、数学に原因があるわけでなく、日本語の処理能力に問題があることがほとんどなんですよ。
たとえば、日本語を第一言語とする方は、日本語でインプットと思考整理をして、日本語でアウトプットしますが、この日本語力が高ければ、頭のなかでスムーズに整理され、正しく理解してアウトプットできます。
したがって、インプットが苦手な場合は、正しく理解できずにアプトプットでずれてしまい、アウトプットが苦手な場合は、正しく理解していても話し方が下手になってしまったり文章でうまく表現できなかったりしてしまう。
一方、日本語で正しく思考整理できない場合は、インプットとアウトプットは上手なことも多いです。
こうした国語力は、高めることで、インプット、整理、アウトプットの精度が上がり、思考力や学習効率含め、社会人基礎力もつけることができます。
このスキルを備えれば、「一を聞いて十を知る」という言葉のように、ものごとの一端を聞いただけで全体を理解できるようになるので、大人になって仕事をする際に必要な能力も養うことが可能なんですね。
これまで国語指導をおこなってきて、インプットと思考整理とアウトプット、この3つのフェーズはすべての学力につながると確信し、もっと根本的な国語力と思考を鍛える指導を提供したいと思ったのが、当塾を立ち上げたきっかけです。
ー野村国語塾は、どのようなお子さんを対象としているのでしょうか?
野村:幼児や小学生、中学校・高校に進学したばかり、もしくは中高一貫校に通っていて時間に余裕があるお子さんなどですね。とくに、小学生で、基礎的な思考力を今のうちから高めたいと考えているならおすすめです。
受験直前の中学3年生や、定期テストの内申点を上げたい場合は、科目学習になるので、点数を上げるための勉強が必要になります。
当塾としても、受験をないがしろにはできないので、受験対策がご希望であれば、当社の別の学習塾をご紹介させていただいています。
指導のコツは「3つの重点強化ポイントとプロセス」
ー指導する際のポイントを教えてください。
野村:当塾では、国語を理解するうえで、3つの重点強化ポイントを掲げています。
まず1つ目は、「語彙力」です。ひらがな、漢字、カタカナ、熟語、外来語など、正しく多くの言葉を使える力を養えば、それだけで語学にとって価値になります。
2つ目は、文を理解、表現する「文構成力」。文章が長くなりがちな国語において、文の構成を正しく即座に理解することもまた重要な能力になります。
文章構成の基本となる文型を理解することは小学校でも難しく、文法でなく、主語、述語といった構成をしっかり理解するのが大事です。
最後3つ目は、本論を理解、表現する「文脈力」になります。省略が多く、あいまいな状態をあえて残す日本語において正しく文脈を理解する力は必須です。
段落を把握することが重要で、段落が飛ぶと、間が省略され過ぎてしまう。たとえば、小説や映画でしばしば見られる「3年後…」など場面が切り替わる場合、その3年の間になにがあったのか想像しなくてはいけません。
海外に比べて日本の物語はぼんやり場面展開することがよくありますが、文章においても同様で、それを言語化すると本当に難しくなる。そういったときは段落を把握して、流れを頭のなかで言語化します。
この3つの力を鍛える手法はさまざまありますが、基本インプットとアウトプットを繰り返すのが1番で、とにかく文章を読んだときに全部アウトプットさせていますね。
ー授業はどのように進めていくのでしょうか?
野村:小学1年生の場合は、簡単なひらがなのテキストと、質問形式のやり取りから始めます。
たとえば、カニの歩く動作について質問してみる。最初に「そもそも歩くってなに?どうしたら歩けるの?」と聞くと、足をバタバタさせたり右足の次に左足を出して足踏みしたりするので、これは歩いているのか問うと、「歩いてない」と言います。
次に、歩くために大事なことを聞くと、前に進むことだという。足を前に動かしながら進めば歩けるけど、カニは横歩きでまっすぐ歩けないから…と、このようなやり取りを延々として、どんどん自分の言葉で言い換えさせるんです。
これらは語彙をひとつずつ確認してアウトプットしていく手法ですが、言い換えたものをすべてつなげるととても長い文章になってしまいます。だから、その長い文章の大事な部分をピックアップして短くし、幼稚園児でもわかるように説明してもらう。
このように授業では、頭を整理して文章構成を理解させながら、アウトプットも高めていくことを順を追っておこなっていきます。
基本的に、中学生や高校生もやることは同じですが、問題のレベルが高かったり、文章構成的に品詞の並び順が難しかったりします。
たとえば、みんなが知っているような桃太郎や浦島太郎といった本の内容を20文字で説明してもらう問題はおもしろいですよ。きびだんごで仲間を増やすとか、自分が感じる本のポイントをまとめていくんです。
どの答えも正解なのですが、あえて質問したり話を膨らませたりして、思考力を高めていきます。
当塾は、文章を読んで、講師と50分間受け答えをする精読国語のコースのみです。授業は、基本週1回で十分ですね。
世界一習得が難しい日本語!採用倍率100倍超えの講師が指導
ー国語専門の塾を運営していて感じることや、講師の方についても教えてください。
野村:当社は、オンライン塾も3年ほど運営しており、そのなかで日本語がまったく話せない外国のお子さんを指導する機会がありました。
日本人が英会話を習う場合、まず聞いたことを日本語で翻訳して、次に話したいことを日本語で考え、それを英語に翻訳してから口に出す構造になっています。
日本語を当たり前に使っている私たちは日本語の難しさに気づきにくいのですが、日本語は世界でもっとも習得が難しいといわれている言語です。
ひらがな・カタカナ・漢字の3種類の文字、音読みと訓読み、暗記量の多さ、そしてなにより、日本語は文章が省略され過ぎなんですよ。
英語だったら主語をつけるところを、日本語だと主語を省く。主語だけでなく、主副詞や形容詞、動詞も省略されるため、外国の方からしたら、すべて予測して判断しなくてはいけない日本語は大変難しいんです。
私たちは当然のように日本語を使っていますが、日本語を喋ることができるからといって国語が上手なわけではありません。
「なぜうちの子どもはこんなに国語が苦手なんだろう。」という声を聞くたびに、日本語の難しさを理解している方が本当に少ないと感じます。
国内の国語塾は、英数塾に比べて10分の1もないことをご存じでしょうか。なぜなら、国語は指導が難しいから。一般的な塾での国語の指導は、テキストの問題を解いて、間違いを直され、解説をチェックして終わってしまうことが大半です。
また、国語は簡単に点数が上がらないため、世間一般的にニーズが低く、受験前はなおさら伸びやすい英数でカバーしてしまうんですね。
さらに、英数に関しては、英数が得意な子の暗記の仕方などを真似すればできてしまうのですが、国語の真似は難しいんですよ。
国語が得意な子の共通項を探しても、本が好きとか、最初から得意だったパターンとかが多く、最終的に、本を読みなさいという指導になりがちです。
しかし私は、国語が苦手な子の共通点を抽出したロジックを10年かけて組み立て、指導方法を編み出しました。
先ほどの授業内容で説明したカニの話においても、生徒がつかみどころのない回答をすることが多々あります。そういったとき、生徒にきちんと伝わるよう、言葉をかみ砕く必要があるため、講師に求められる国語力は非常に高くなってしまう。
指導が難しいうえに、経営するにあたっても上手くいきにくく、すぐに成績が上がらないから国語塾の運営は敬遠されてしまっているのが現状でもあります。
当社では、社会人講師、広島大学生や院生500名から選ばれた40名の講師が指導にあたっており、野村国語塾用に社内検定を設け、さらに選抜しているのが特徴です。
最終採用倍率100倍以上の優秀な講師が研修を経て指導に入るので、一般的な塾にはなかなかない濃密なマンツーマン指導をご提供できると自信を持っていますね。
幼児から大人の指導まで展開!将来に活かす学びと国語力を
ー今後の展開や体験授業についてご紹介ください。
野村:現在、特別無料体験授業をおこなっています。
実は、当塾の国語指導を受けていて辞めた生徒はいないんですよ。
むしろ、「あの先生じゃないなら休みます。」といわれるほど。みなさんにも、ぜひ当塾の指導を体験していただき、国語のおもしろさを実感してほしいですね。ほかでは受けられない充実した授業が受けられると思います。
今後の展開としては、来年か再来年以降に、もうひとつランクアップしたハイクオリティブランドを立ち上げようと考えています。
当塾の大学生、院生講師たちが社会人講師として当社に就職するケースが多く、その結果、当社の講師陣がよりプロフェッショナルになっているんです。
なかには、大人の生徒に指導をおこなっている講師もいます。大人も訓練を重ねることで、アウトプットの能力を高めることができるので、スキルアップしたい方に向けて展開しようかと計画中です。
また、社会人、学生の方はもちろん、保護者の方も国語力を高めていくことは大事だと思っています。
保護者の方の国語力が高いと、お子さんの国語力も必然的に上がりますよ。
ー最後に、読者の方へ一言メッセージをお願いします。
野村:まず、国語に課題を感じ、国語塾に興味を持たれた時点で素晴らしいと思います。
世間では、国語専門の塾自体が少なく、クオリティやロジック、受け入れ人数も塾によってさまざまですが、国語塾を探している方は、ご自身、もしくはお子さんに一番あって、信頼のおける塾を選んでください。
また、日本語の勉強は難しく、つらくなることもあると思うので、楽しいと感じる塾を選ぶことも大切なポイントです。
そのなかの選択肢に当塾も入れていただけると嬉しいですね。
英語や数学、理科、社会の点数が上がらないのは、原因が国語にあるかもしれません。そういったことも含めて、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
当塾は、商売度外視で始めたような塾で、生徒もそこまで増えなくていいと思っています。とにかくみなさんに、国語力を上げることによって能力が向上することを知ってもらい、理解してもらいたい。そして人生に活かしてほしい。
それくらい国語の指導に強い想いがあります。
国語ができることですぐになにかが変わることはないかもしれませんが、思考力が高まって優秀だといわれたり、点数が伸びる喜びがあったり、人生でのメリットは必ず出てくるので、そういった未来を創る学びと体験をしていただきたいなと思います。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:野村国語塾