近年、発達障害や知的障害といったさまざまな障害が取りざたされるようになり、広く知られるようになってきました。しかし、障害の特性が見られるけれど、診断基準を満たさない、いわゆるグレーゾーンもあるなど、いまだ誤解も多いのが現状です。
お子さんにこういった傾向を感じたとき、学校や学習、将来に不安を抱く保護者の方は多いでしょう。
そこで今回は、さまざまな障害をもつ子どもたちのため、専門教育をオンラインで提供する「積塾」の玉野 紗千代さんにお話を伺いました。
子どもたち一人ひとりの特性に合わせた適切な対応が、子どもはもちろん、保護者の方の希望と夢の実現につながります。
保護者の方はひとりで悩まず、一度相談を。今日から新たな出発をしませんか。
さまざまな障害を抱える子どもたちのためのオンラインの学習塾
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「積塾」がどのような塾なのか、概要を教えてください。
玉野 紗千代さん(以下、玉野):「積塾」は、発達障害及び知的障害の方を対象とする専門教育に半世紀近く携わってきたSEOLEO(セオレオ)が、新たに開設した完全オンラインの学習塾です。
全国どこからでも受講できるシステムを整え、オンライン授業をおこなっている点が一番の特徴ではないでしょうか。
SEOLEOは、これまで多摩地区で50年近くに及んで対面授業をおこなってきましたが、コロナ禍により授業の実施が危ぶまれる時期がありました。
その際に急遽ZOOMの体制を整えたのですが、そのときITを利用すれば多摩地区だけでなく全国のお子さんに授業ができると改めて思い立ち、今年の7月に積塾を開設しました。
コースは、基本教材コースと個別教材コースのふたつで、小・中学生、高校生を対象としています。
基本教材コースは、積塾選定の固定教材を使用した個別プログラムを受けていただきます。
特別支援学級や特別支援学校に在籍している生徒さんの保護者の方からよく伺うのは、「教科書を使った教育がなかなか受けられない」、もしくは受けていても「より通常級に準ずる教育を受けたい」というご意見です。
そのため多摩地区に限らず全国の方にも、この基本教材を用いたコースで学習をしていただければと思いました。
もうひとつの個別教材コースは、ご希望の学習教材を用いて作成したプログラムで授業を受けていただくものです。つまり個々の学校の教科書と問題集に基づき、学校の進度に合わせた授業をおこなっていきます。
発達障害や知的障害、またそのグレーゾーン(※)のお子さんたちは、学習を困難とする機能的な問題により、学校の授業だけでは理解できないことが少なくありません。
そこでオンラインをとおして教育の保障ができればと、このコースを用意しました。
(※)グレーゾーンとは、発達障害の診断基準に満たないが、発達障害の特性がいくつか見られ、傾向がある状態のこと。
充実した専門的サポート!必要に応じて医療機関と連携
ー貴塾ならではの強みについて具体的にお聞かせください。
玉野:当塾の強みは、医療機関(精神科・心療内科)との連携体制が整っているところです。
当塾にいらっしゃる保護者の方は、医療機関や教育相談機関で知能検査などをしている方がほとんどのため、その資料にある検査者の方のアドバイスを拝見しながら実際の学力と照合して授業プログラムを確認していきます。
そしてどのような課題を抱えているのか、機能的にどこにつまずきや問題があるかを把握しながら、発達の特性に合わせた学習プログラムを立て、授業を進めていきます。
たとえば漢字を書くのが難しい場合、単に大きく書けばよいということではありません。
大きく書くことによって見やすくなるケースもありますが、逆に大きすぎると全体を見ることができない場合もあるので、お子さんに適する大きさを考えながら進めていきます。
このように知能と機能、学力を総合的に見て指導をしていく。それがひとつ当塾ならではの専門性だと思います。
また、近年発達障害が大変クローズアップされてきているため、その療育分野の研究もかつてに比べてはるかに進歩しています。
だからこそ、私たちプロの専任講師一人ひとりは、きちんとその成果を把握することが重要だと思い、研修とケーススタディを定期的におこない、講師の質を高めています。
それに加え、保護者の方とのコミュニケーションや情報の共有を大切にしていて、連携してお子さんのサポートをしています。
特に学校の情報は大切です。そういったことを共有しなければ適切な学習プログラムを立てることは難しいので、メールや電話でお子さんの状況を確認しています。
学校や家庭、塾と3つの場があるなか、私たちは塾の場だけでお子さんの生活全体を把握することは難しいため、保護者の方とのコミュニケーションが欠かせないのです。
今後も積極的に保護者の方との連携を続けていきたいですね。
保護者の方からのご希望に応じて個別の面談を実施している点もご安心いただけるポイントかと思います。
ゆっくり、無理なく、積み上げる…そして夢の実現へ
ー今後の展開や体験授業などについてご紹介ください。
玉野:積塾は開設したばかりですが、関東から関西、九州の方からもお問い合わせをいただいています。
今後は、それぞれの地域ごとの学校や教育の実態など、すべてを含めた教育環境の把握、情報の取得に注力していきたいです。
当塾は受験指導もおこなっていますので、そういった情報を把握することが進路の開拓に不可欠であると考えております。
生徒さんは遠方からはもちろん、近隣の方もいらっしゃいます。安全面や教室への送迎、通塾時間の節約を考えてオンラインを希望される方もいらっしゃいますね。
当塾では、保護者の方からの聞き取りをもとに、個別に無料体験授業をおこなっていますので、ご興味のある方は公式ホームページのお問い合わせフォームからお申込みください。
お申込み後は専門の講師からご連絡をさせていただきます。
お子さんが通っている学校や在籍クラスについて、これまでの経緯、現在の発達状況および学習状況、さらにどこに問題を抱えていらっしゃるか、その問題に基づいて当塾に何を希望していらっしゃるかを伺います。
ほかにも、お子さんの好きなことや関心のあること、クラブ活動などについてもヒアリングしていきます。
そのうえで体験授業のプログラムを立てますので、オンラインの授業のご経験がない方も、ぜひそれぞれの習熟度に合わせた授業を一度ご体験ください。
ー最後に、読者の方へ一言メッセージをお願いします。
玉野:株式会社SEOLEOは、そもそも特殊教育としてスタートし、ビジョントレーニングや、認知の教育、具体的には、書く(描く)ことをとおして、物を正しく見る目を育てる「造形リトミック」というオリジナルのメソッドによる教育をおこなってきました。
たとえばいろいろな図形を正しく弁別するためには、図形をどのように見るのかという視点の問題がとても大事なんですね。
どこを中心として見るか、全体としてどのように捉えるか、そのような見る機能を育てることが必要です。
正解だけを教えても学習は積み重ならない。積み重ねるためには、どこにつまずきがあるかを知り、機能を補う必要があります。それを研究してきたのが私たちです。
当塾は、完全な個別の教育体制をとっており、保護者の方とのコミュニケーションを大事にしながら、希望していることの実現ができればと思っています。
これまで、希望の学校の進学が難しいといわれてきた方にも、「ご希望であるなら挑戦してみましょう」と、受験対策を練って学習を進め、合格に至ったケースもあるんですよ。
また、通常級か支援級かで悩まれている方のご相談も受けますが、「お子さんの教育において悔いを残さない選択をしましょう」といつもアドバイスしており、まず保護者の方の希望が叶うかたちで学習を進めていきたいと思っています。
しかし無理に通常級に在籍させてもお子さんが授業についていけないこともあるため、そこは専門性を活かしたプログラムでできる範囲で授業の理解を促し、無理のない形で在籍を継続できるようサポートしていきます。
ちょうど先月、小学校入学の段階ではひらがなで名前を書くことが難しかった生徒さんでしたが、こつこつと地道に勉強を積み重ね、大学に進学が決まりました。
すぐにはよい成績がつかないこともある。でも少し先を見ていくことで、お子さんに無理強いさせず、ストレスを溜めることなく無理のない学習を積み重ねていくことができます。
完全な個別指導、専門性を持った教育機関で、無理なく進めて分かる学習を、こういったことがSEOLEOの大きな役割だと思っています。
そしてその場しのぎの学習ではなく、積み重なっていく学習が、結果的に“夢”の実現に結びついていくと考えています。
実は、“積み重なる”の“積む”という意味で、「積塾」と命名したのです。
今後、積塾は、積み重なっていく学習をとおしてお子さんと保護者の方の夢の実現に貢献できればと思っております。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:積塾