東京都文京区にある「千石作文de討論教室」代表の渡部美夏さんは、子どもが自分の内面を文章で表現することで、保護者はもちろん、子ども自身でさえ知らなかった部分を知ることができると話します。
作文や討論を通じて考えを深め、相手の考えを聞き、自分の言葉で相手に伝える楽しさを実感することで自然と自己肯定感があがり、自己理解や他者理解ができるようになることも。
そこで今回は、「千石作文de討論教室」の取り組み内容について詳しくお話を伺いました。都内で作文教室のお探しの方、中学受験対策をしたい方は、ぜひご覧ください。
文章力や討論力を鍛え、受験対策もおこなう
ー本日はよろしくお願いします。まずは「千石作文de討論教室」がどのような教室なのか概要について教えてください。
渡部 美夏さん(以下、渡部):「千石作文de討論教室」は東京都文京区千石にある作文・討論教室です。
指導対象は小さいお子さんからお年寄りまで幅広く、作文を書いていくなかでご自身の考えを深めていただいています。
作文に加え、討論、つまりディスカッションを大事にしているのも特徴です。
人と話し合うことによって、自分のことをより深く知ることができます。他人の意見を知ることで、それを受け入れたりちょっと違うなと感じたりし、自身を変えるきっかけになることを願い教室を開きました。
教室は、まだ文字が書けないお子さんもご参加いただけます。しりとりやなぞなぞを使って言葉を楽しみ、日本語を学ぶ最初のとっかかりとして文字を追ってもらうことをしています。ですので、幼稚園の年少さんも多く在籍していますね。
ー「千石作文de討論教室」の強みを具体的に教えてください。
渡部:まず、基本的な作文の形である第1段落から第4段落の構成についてはしっかりと指導をおこなっており、基礎力がつけられるのが強みです。
第1段落から第4段落というのはいわゆる起承転結のことで、第1段落できっかけやそこから感じたことを要約、第2段落で自分の体験などにより話を広げ、第3段落は調べたことや聞いたことで話を補い、第4段落で全体をまとめるというもの。
これを学ぶことで感想文であろうと小論文であろうとこの形に当てはめることでわかりやすい文章を書くことができます。日本語だけでなく英語にも通用するのが特徴です。
ただ、形を教えた後は書く内容の相談を受ける程度で、それぞれの個性を大切に、自由に書きたいことを書いてもらっています。
たとば「遠足」や「好きなこと」という同じテーマで書いてもらっても内容がそれぞれ全然違うものが出来上がりますね。
それから漠然と「文章力」を育てるだけでなく、受験対策として小論文などの指導もおこなっています。
たとえば都立中高一貫校の受験では400字から600字程度で文章を書かなくてはならないのですが、作文が苦手というお子さんには、受験校に合わせた問題を一緒に解きながら指導しています。
ただ、中学受験があるからといって小学校低学年のうちから厳しく指導をおこなっているわけではありません。
低学年のうちは200文字の文章を書ければすごい!と思っています。限られた時間で書いてもらうため、目一杯書くよりも、文章を楽しんで書いてもらうことを大事にしています。
自分の考えを言葉や文字にすることが自分にとってどんなプラスになるのかを味わってもらい、将来につなげていきたいと考えているからです。
学年が上がってくると、余裕で1,200字から1,500字を書く生徒さんもいます。作文の力は一人ひとり異なりますので、生徒さんのご経験に合わせて、まずは書くことに慣れてもらうことから始めています。
また、当教室では文章を書くだけでなく、話すことも大事にしているのが特徴です。私は話すことができれば書くことができると思っているのですが、それはどちらも自分自身の考えや意見をアウトプットするという点では同じだからです。
たとえば「今日こんなことがあって楽しかった」ということを人に伝えたいという気持ちがあれば、人に話すことはできるでしょうし、後はそれを文章にするだけで作文が得意になれます。
話すということを対話に発展させ、さらに膨らませることでディスカッションになりますが、生徒さん自身の考えや意見をアウトプットしてもらうことを心がけています。
文章を書くことを好きになってもらいたい
ー講師の採用基準について教えてください。
渡部:特に厳しい基準があるわけではなく、子どもと楽しんでコミュニケーションが取れるとベストですね。
文章を書くことを楽しんでいる学生さんが多く、当教室を卒業した生徒さんが、夏休みの読書感想文の講座のときに講師として手伝いに来てくれることがあります。
ー指導面で心がけていることはありますか。
渡部:無理矢理文章を書かせるのではなく、その時々の状態に合わせてやり方を変えるようにしています。
この教室が生徒さんの心の拠り所というか発散する場になればいいなと思っていますので、必ずこれを書かないといけない、書かないと終わらない、ということはありません。
たとえば今日は書きたくないとか、なんとなく気分が乗らないのであれば、嫌なことやつらかったことについて話をすることを大事にしています。
文章を書く能力はテストの点数のように目に見えて一気に上がるようなものではなく、少しずつ着実に向上していきます。
入会して2、3回通って技術を学ぶことで、すごく文章力が上がったという実感を持つ方はたくさんいます。でも、そこから停滞してしまうのですよね。
たとえ停滞したとしても、何より文章を楽しく書き続けることが大事ですので、それぞれの生徒の状況をしっかり把握し、臨機応変に対応しています。
たくさん書けた日もそうでない日も、書くこと自体をとにかく楽しみながら続けてもらうことが目標です。
生徒の目的や段階に合わせたコースを紹介
ー小学生や中学生におすすめのコースがありましたらご紹介ください。
渡部:基本的には、それぞれの生徒の目的や段階に合わせたコースをご紹介しています。
たとえば小学校高学年から中学生になって時間が取れなくなってきたら月2回に減らしたり、ほかの友だちを交えたディスカッションの場を設けたりと、柔軟に対応していますので、画一的にこのコースがおすすめとはしていません。
ちなみに、当教室の通い方にはオンラインと対面があります。オンラインは平日に、対面は土曜日に開講中です。
対面はすぐに満室になるのですが、決まった時間ではなく自由にこの時間からこの時間までならいつでも来ていいというふうにしていますので、学校や他の習い事で忙しいお子さんも無理なく通うことができます。
ー料金はどのようになっていますか。
渡部:各コースの料金は下表をご覧ください。
コース名 | 対象 | 料金 |
---|---|---|
プレ作文コース | 未就学児〜小1 | 7,000円/月(月3回) 5,000円/月(月2回) 9,000円/月(月4回) |
個別作文コース | 小2〜中学生 | 8,000円/月(月3回) 5,400円/月(月2回) 10,000円/月(月4回) |
作文de討論コース | 小4〜中学生 | 8,000円/月(月3回) |
おとなの討論コース | 高校生以上 | 12,800円/月(月3回) |
個別中学受験[受検]コース | 小5〜小6 | 10,000円/月(月3回) 追加受講 +3,500円/回 12月冬季短期集中 45,000円/10回 |
個別作文deカウンセリングコース | 不登校、行き渋り、発達障害のお子さんと保護者 | 20,500円/月(月3回) 100,000円/半年(月3回) |
※上記の価格は税込みです。
渡部:上記の料金に加えて、対面の場合は入会金5,000円がかかります。また、課題で新聞やテキストなどを使う場合は、それを取り寄せるための料金が別途かかることがありますが、ご自分で用意いただくことも可能です。
子どものことをより深く知ることにつながる
ー今後の展望などありましたらお聞かせください。
渡部:たとえば、学校があまり好きではない、行きたくない、という不登校気味のお子さんにカウンセリング的なことをおこなっていますが、今後も文章を使って苦しんでいる方の手助けをしていきたいと思っています。
何をするとイライラしたり悶々としたりするのか、自分の気持ちを文章に起こすことで自分を知り理解できます。
作文を通じて、どうやってそこを避けるのか、そうなる前にどうやって気づくのかを学ぶことで、苦しんでいる方を一人でも多く助けていけたらと思っています。
また、保護者の方々がすごく困っていらっしゃる読書感想文の課題についても積極的に関わっていきたいですね。
ー最後に、入塾を検討されている読者の方へメッセージをお願いします。
渡部:千石作文de討論教室は、通っている生徒全員が文章を書くことを好きになってもらうことが目標です。
最初から作文が好きな生徒にはより一層、あまり好きではない生徒には少しずつというように、それぞれの生徒に合わせて全身全霊をかけてフォローさせていただきます。
また、子どもの内面を文章として外に出すことで、今まで気づいていなかったことを発見することが可能です。
たった30分から1時間弱の指導ではあるのですが、毎月2回3回と通ううちに自然と家庭の様子や自分が思っていることが話のなかに出てきて、おうちの方が知らない学校の生活や、普段は話さないことが垣間見えてきます。
お子さんが自分自身をより深く知ることで、自己肯定感を高めたり、新たな発見をしたりすることにもつながります。
興味がある方はぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:千石作文de討論教室