文章読解や文章作成、コミュニケーション時などに必要不可欠な国語力。
小学生から国語を学びますが、「読書が嫌い」「文章を書くのが苦手」という方も多いのではないでしょうか。
北海道で7教室を展開する「国語専門塾みがく」では、学校のテスト対策や志望校の入試対策に特化しない、本当の国語力が身につけられる授業を提供しています。
今回は、塾長の坂本 明美さんに、一生必要な力である国語力や授業内容などについてお話を伺いました。
北海道在住の学生や保護者の方、本当の国語力を身につけられる塾に興味がある方は、ぜひご一読ください。
“話す・聞く・書く・読む”に特化した指導
ー本日はよろしくお願いします。はじめに「国語専門塾みがく」がどのような塾なのか、概要を教えてください。
坂本 明美さん(以下、坂本):国語専門塾みがくは、話す、聞く、書く、読むという国語の大事な4つの力を伸ばしていくことに重点を置いている塾です。
テスト対策や入試対策に特化している塾ではありませんが、どっしりとした国語力を身につけてもらうために、作文指導や会話トレーニングなど、ほかの塾ではやらないようなカリキュラムを用意しています。
現在通塾しているのは、幼児から高校3年生までです。
全部で7教室あり、曜日によって開催している教室が違います。最初は本校1校だったのですが、ほかの地区の生徒が通うのが大変だということで徐々に教室を増やしていきました。
教室によって講師の顔が変わると生徒も戸惑うし、情報共有もできなくなってしまうので、曜日によって教室を変え、講師はどの教室でもほぼ変わらないメンバーで教えているんです。
幼児は、情操教育も兼ねた言葉の力が育まれる絵本の読み聞かせが中心の授業で、小学1年生から高校3年生までは、同じ教材で同じ課題をおこなう授業になります。
課題は同じものが出されますが、小学生と高校生ではレベルが違うので、こちらで要求する内容も変わってきます。
たとえば、意見文を書く課題の場合、小学生には、骨子や書く順番、丁寧な字で書くことなどを教えますが、高校生には、新聞の社説にも使用できるような完成度を要求するといった感じです。
生徒の年齢や力に応じて、こちらの要求度を変えていますが、学習の軸となるテーマはまったく同じなので、それがほかの塾とは違いますね。
授業の開始時間が決まっているわけではなく、教室に来た時間から90分間で学習をおこないます。
教室が開校している15時から20時の間で、あらかじめ塾長や教室長と相談して決めた時間に来ていただき、自分の課題が終わったら帰るという形です。
着席したら、読書と書写(日記)タイムを経て、その日の課題学習に入るのですが、「今日の課題は意見文です」のようにホワイトボードに説明が書かれていて、下書き用プリントを渡されます。
このプリントも、学年に応じてルビを振っていたり、用紙が大きかったり、説明文が詳しかったりという違いはありますが、テーマは同じです。
生徒は、説明を受けたあとに50~60分程度でその課題をおこない、講師は生徒の質問に対応しつつ、できあがったものを添削したり、アドバイスしたりと指導をおこないます。
同じ課題テーマの中で、学年やその子の力に応じた国語力を育てていくというカリキュラムを作成しています。
楽しく取り組めて勉強になる唯一無二の授業
ー他塾にはない「国語専門塾みがく」の強みについて具体的に教えてください。
坂本:
社会に出てからも困らない、基本的な読み書き、文章を書く力、自分の考えを相手に誤解なく伝える力、みんなの前で自分の意見をはっきりといえる力、人の話をしっかり聴く力などを身につけられるのが当塾の強みですね。
一般的な塾は、学校の勉強の補助やテスト対策をすることが中心だと思いますが、当塾は国語の基礎力が身につくような課題を出して指導しています。
かと言って、テスト対策をまったくしないというわけではありません。
長く通っている生徒は、国語の基礎がすでにできているので、試験前には試験に出やすいポイントなどの試験対策を、中学3年生や高校3年生には入試対策や志望校に向けた受験指導もおこなっています。
というのも、私はもともと大学受験予備校出身でして、受験指導は得意分野なんです。
ですが、試験勉強はどうしても応急処置的な学習になってしまい、暗記力や情報処理力がメインになってきます。
「この質問にはこう答える」という受験テクニックはすぐに忘れてしまいますし、本当の意味での国語力が身につくかというと、私は違うと思うんです。
ですので、当塾ではどっしりとした国語力の土台を踏み固めていくような指導をしています。
また、当塾では、作文力や話す力をつけることに特化しているためか、国語嫌いな子がたくさん来ます。
国語が苦手な子は、「文章を読むのも書くのも本当に嫌…」という状態なので、いきなり難しい学習ばかりではますます国語嫌いになってしまいますよね。
言葉を覚え、さまざまなタイプの文章に触れ、文章を書く練習を重ね、想像力や思考力を広げ、深めていく。そうやってようやく国語は花開く教科だと思っています。
それらの力を身につけるためには、継続した努力が必要です。こちらとしても、数年は続けてもらう必要があるのです。
そのため、国語が嫌いだからもう行きたくないといわれるような塾ではなく、「面白いから続けられる、楽しいからずっと通える」という塾を目指しています。
そして、楽しいと思ってもらえるように、授業内容を工夫していますね。
たとえば、4コマ漫画を使用して、起承転結の働きを教えたうえで3コマ目まで見せて、4コマ目はどうなるか予想する課題があります。
答えはひとつじゃないので、たくさん褒めて丸をつけてあげられますし、すごく想像力が鍛えられるんです。
あとは、理系の生徒も多いので、国語の枠からはみ出して理科の実験レポートを書いてもらうという課題もあります。
学校だと実験は班のメンバーと協力しておこなうことが多いですが、当塾ではひとりで、プリントに従って道具を用意し、手順を読み解き、正しく実験をしてもらうんです。
そして、事前の予想・仮説と、実際の結果を書いてもらうのですが、その際に「客観情報を書いた後に主観を書こう」というように、国語ならではのアプローチでレポートをまとめてもらいます。
また、先日は、ドラえもんのひみつ道具からひとつ選んでプレゼンをしてもらいました。
たとえば、「私はタケコプターがいいと思います。なぜなら~」と、相手の顔を見ながら、自分の意見がはっきり伝わるように発表してもらいます。
一方聴く側は、必ずひとつ質問をしなくてはいけないというルールにしています。すると、おかしな質問はできませんからね。みんな集中して話を聞くようになるんです。
さらに、姿勢とか態度とか、聴くときの大事なポイントを事前に教えて、相手が話しやすいと感じるような聴き方を実践してもらっています。この聴く力は将来にわたってずっと必要な力なので、繰り返し指導していますね。
そういった課題を出しながら、みんなが楽しく取り組めて、しかも勉強になるという学習なので、他塾にはない唯一無二の内容になっています。
ー講師を採用する際のポイントや、指導するうえで心がけている点を教えてください。
坂本:講師は、8割ほどが元生徒なんです。
生徒のことは、長く見てきているのでよくわかっているつもりです。教えるのが好きそうな子や向いてそうな子、当塾での学習をいつも楽しそうにやっていた子などに声をかけて手伝ってもらっています。
一般的な塾とは指導法が違うことを、元生徒が一番当塾の内容を理解してくれているので講師として適任なのです。
小学生で当塾に入った子は、国語力が向上して大学も志望校に合格する生徒が多く、北海道の大学に通う子は4年間、大学院に通う子は6年間、当塾の講師として活躍してくれています。
あとの2割は、元教員が多いですね。当塾の講師は、小学校の先生、中学校の先生、そして元生徒で構成されています。
大々的に募集したのは、講師がたまたま減った数年前に1度くらいで、それ以来は募集をしていないです。そういう部分でも、ほかの塾と違い、独自路線を突っ走っているなと思いますね。
指導するうえで心がけている点は、みんなが楽しいと思ってもらえるように、まずは講師が明るい雰囲気でいるということです。
また、悩みや不安を持つ生徒たちに心を開いて話してもらえるような信頼関係をつくっていくことを心がけています。
話すのが苦手な生徒もいるので、講師との会話も国語学習の一環だと思って取り組んでもらっています。
一生必要なミュニケーション力が磨ける塾を
ー今後の展開や体験授業などについてご紹介ください。
坂本:当塾に通いたいけど遠くて通えなかった方から、オンラインコースを開講してほしいというお声がたくさんあり、昨年度からオンラインコースを試験的に開講しました。
オンラインは、半年ごとのコースで、4月と10月スタートになるので、そのころに生徒を募集する予定です。
まだオンラインのクラス数は少ないのですが、学習したい生徒たちのために、今後もう少しオンラインのクラスを増やしていきたいなと思っています。
また、当塾では「みがくゼミ」という課外学習があります。主に土日におこなうのですが、塾生は無料で参加できるんです。
みんなで工場見学に行ったり、体育大会をしたり、動物園で暗号を解いたり、そういう面白い課外授業を年に4〜5回用意しています。
すべて国語学習と融合させたイベントなのですが、将来的にはこのゼミを一般参加OKにしたいと考えています。
体験授業に関しては、数年前から全教室で満席が続いていまして、現在は空席待ちの状況です。
希望される時間帯によっては枠に空きが出ることがありますが、数年お待ちいただいている方もいて、タイミング次第といったところでしょうか。
当塾は、ホームページの問い合わせフォームから、名前などを入力していただき、空きが出た時点でご連絡さしあげるという仕組みになっているので、まずはそちらからお問い合わせください。
満員で入塾できない方のために、先ほどお話しした課外ゼミの一般募集や、季節の短期講座も今後は企画していきたいと考えています。
ー最後に、読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
坂本: 以前勤めていた予備校の卒業生のなかには、せっかく勉強して合格した大学を1年も経たずに退学した生徒や、難関大学を卒業して大手企業に就職したのに上司と揉めてすぐに退社したという卒業生がいました。
当時の私は、生徒の点数を上げて大学に合格させることが自分の使命だと思っていたので、そんな卒業生の近況を耳にして、「私の教えてきたことって、いったい何だったんだろう」とショックを受けました。
受験合格のためのテクニックを教え、点数は確かに取れるように指導してきたけれど、それより先に教えなければならないことがもっとあったのではないだろうかと。
せっかく国語という教科だけが、話す力や聞く力などの総括したものをじっくりと教えられる教科なのに、私はそれができていなかったのだと感じました。
大学に合格させることよりも、誤解なく相手に伝わる話し方や、人の話をしっかり聴くことの重要性、思いやりの心などを教えてあげるほうが、その子の人生にとって大事なことだったのではないかと思うようになったんです。
テスト勉強や入試合格などに特化しない、基本的な聞く力や話す力など、生きていく上で必要なコミュニケーション力が磨けるような塾を作りたい。そう思って開校したのが、国語専門塾みがくです。
2010年4月に開校し、今年で13年目になります。創立して2年目には本校が満員になり、教室を増やして今は7校の教室すべてがほぼ満席、新しい教室も開校したらすぐ満席になるという状態がずっと続いています。
それだけ国語力への関心が高かったり、国語力の重要性が保護者の方にも伝わったりしているのかなと思います。本当にありがたいことです。
社会に出てからは、国語力は「コミュニケーション力」と名前を変えて、人間の資質のひとつとして問われることになります。
ですので、子どものころから本を読んだり、文章をたくさん書いたり、会話の練習を重ねたりして、国語力の土台をしっかり固めていく必要があると考えています。
国語力というのは一生必要な力なのです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:国語専門塾みがく