最近注目され始めているコーチングを取り入れた塾ですが、勉強方法や学習計画の立て方をはじめ、将来必要なスキルなど、塾でおこなう学習コーチングの内容は多種多様です。
そもそもコーチングとは、相手の話に耳を傾け、観察や質問、対話を重ねることで、相手の内面にある答えを引き出し、目標達成や自己実現に導く手法のこと。
今回は、アドラー心理学をベースにしたコーチングメソッドが特徴の「個別学習塾 やまなみコーチング学園」を取材。代表の丸山 大器さんに、一般的なコーチング塾との違い、飛躍的に成長するポイントについてお話を伺いました。
宮崎県宮崎市で塾を探している方、子どもの可能性を広げたいと考えている保護者の方は、ぜひご一読ください。
成長と可能性を広げるコーチングを活用した個別学習塾
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「個別学習塾 やまなみコーチング学園」がどのような塾なのか、概要を教えてください。
丸山 大器さん(以下、丸山):「個別学習塾 やまなみコーチング学園」は、コーチングを取り入れた塾です。
私がもともと前職時代にコーチングを勉強していて、その後学習塾に携わることになり、「コーチングをより活用し、楽しく輝きながら挑戦し成長する人を増やしたい」と、2020年に「やまなみコーチング学園」を開校しました。
成績だけでなく、子どもたちの成長や可能性を引き出して輝かせたい。そういった想いが、コーチングを活用したきっかけです。
現在、宮崎市大淀にある南宮崎校と、宮崎市中津瀬町にある宮崎中央校の2教室を展開し、小学生~高校生を対象に指導しています。
生徒のやる気を引き出すには「結果よりも、頑張った“過程”」
ー他社にはない「個別学習塾 やまなみコーチング学園」の強みについて具体的に教えてください。
丸山:結果だけでなく、過程やプロセスに徹底してこだわっている点が、当塾の強みだと思っています。
コーチングというと、褒めて伸ばすというイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
一般的な塾でのコーチングだと、志望校を聞いて、そこから逆算して目標を達成するために必要なことを問う。そして、計画を立て実行した結果どうだったかを聞いたり、さらに学習方法の改善を提案したり…。
こういったことももちろんコーチングなのですが、教務面に特化したコーチングになってしまっているんです。
そこで、長期戦略で生徒の成長を促していきたいと考えている当塾では、いかにプロセスを充実させられるかを心がけています。
たとえば、「マズローの欲求5段階説」をご存じでしょうか。これは、人間の欲求を5段階のピラミッドのように構成した心理学理論です。
ピラミッドの頂点には自己実現の欲求、そして承認欲求、社会的欲求、安全の欲求、生理的欲求といった階層に分かれています。
このように、そもそも人間には自己実現の欲求があり、次にある承認欲求から下位の欠乏欲求が満たされていかないと上位の欲求に進んでいけず、ひとつ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうと、基本的な心理的行動が働くんですね。
そうしたことを踏まえ、勉強において認められる感覚を持ちづらい低学力層の生徒には、過程を重要視し、自己実現の欲求を促して満たしていけるようにしています。
そのひとつとして褒めることがありますが、褒めるにしても、結果(成果)に対してだけ評価していたら、生徒のモチベーションが低くなってしまいます。
90点を目指していた生徒が、90点以上取れたら褒め、89点だったら褒めることができないとなってしまうと、褒めるためのハードルが高くなってしまうんですよ。
実際に、前回のテストで3点だった生徒が33点になったとき、ほとんどが「もっと頑張ろうね」と声をかけるであろうところを、私たちは30点分の努力と、30点も上がった成長に目を向けました。
仮に間違った問題があったとしても、解くときの考え方や挑戦したことなど、必ずなにかしら褒める部分はあるので、生徒の成長や意図をしっかり観察して気づいてあげること。
そうして、成長承認、存在承認を徹底的に満たして、効果的に生徒のモチベーションを高めることが、当塾の強みだと考えます。
モチベーションの効果の高低は、コントロールできるか否かで決まります。テストの点数(結果)は変えることができないけれど、そこに至るまでの行動や努力といった過程はいくらでもコントロール可能です。
人は、自分でコントロール可能なことに対してフィードバックを受けると、モチベーションを高めることができるといわれています。
したがって、私たちが生徒をきちんと承認することで、結果が出なくても行動や頑張ったことが受け入れられたと感じ、自分が認められる経験とモチベーションにつながっていくのです。
また、固定された考え方や物事の見方を指す「マインドセット」を参考にすると、“過程”の重要さが分かるかと思います。
マインドセットには大きく分けて2種類あり、ひとつは結果主義の固定マインドセット、もうひとつは過程主義の成長マインドセットです。
結果主義になってしまうと、結果を出せる自分には価値があり、結果を出せない自分には価値がないと考えるため、難しい挑戦や障害を避け、どんどん保守的になっていく。
結果が出ないと嫌だから、努力もしなくなり、自分の成長につながる批判や失敗も受け入れられず、他人の成功に対して恐れや妬みを感じて、どんどん自分の能力を活かせなくなってしまいます。
一方で、過程に目を向けると、学ぶ姿勢を持つ自分に価値があると考えるので、挑戦や障害に立ち向かい、努力をする。
批判や失敗からもしっかり学び、他人の成功すらも自分の成長につなげて、結果的に自分を高レベルに引き上げていくのです。
だから私たちは、結果主義になりがちな社会とは逆に目を向けて、成長マインドセットを生徒に持ってもらえる指導をしています。
生徒に寄り添うステップが重要!独自の学習管理シートも導入
ーやまなみコーチング学園の1日の流れをご紹介ください。
丸山:まずは、ステイト挨拶と少し雑談をして、教務面に関して目標を共有。そしてオーダーメイドの個別指導をおこない、授業を振り返り、最後もステイト挨拶をして気持ちよく帰ってもらうことをとても大切にしています。
私たちは、心の状態を“ステイト(State of Mind)”と呼び、生徒の状態を観察して、一人ひとりの状況にあわせ、歓迎、通塾への感謝の気持ちを伝えます。
みなさんも、疲れや気がかりがあったら、頑張ろうと思えないですよね。心のバケツに水がいっぱいの状態だと、私たちがなにを伝えても溢れていくばかりです。
その心の水を少し汲み取ることで、心に余裕が生まれ、安心して今日の学習へ進む準備が整う。コーチングとは、講師発信ではなく、生徒から引き出すという、まったく真逆のアプローチになるんです。
ステイトにより、引き出した想いや意図を汲み取り、結果だけでなく、過程や、ものの見方を変え、フィードバックによって行動を起こし、最終的によい結果に導くことができます。
学習の流れは一般的な塾と変わらないと思いますが、ただひとつ違うことがあるとすれば、このステイトの部分なんですね。
世間では、尋問や詰問のような表面的なコーチングをおこなっているところも多く、答えることが目的になってしまうからワクワクしないんですよ。
当塾の場合は、1分間コーチングとして、授業前、休憩中など、要所要所で勇気づけや、気持ちを受容共感し、生徒に関心を寄せることを大事にしています。
生徒のわずかな変化だったり、部活や興味のあるゲームの話だったり、生徒の心の状態に寄り添っていることが当塾のポイントだと思っています。
生徒が塾を安心できる居場所だと感じ、通塾を快感情につなげれば、行動や成長は加速し、結果はあとからついてきますから。
ー独自の学習管理シートについて教えてください。
丸山:当塾には、授業の前に書く、学習管理シート(コーチングシート)があります。
まず、今日のやる気レベルと体調レベルを、0~10で生徒自身がつけていき、客観的に自分の現状を知ってもらいます。
次に、今日の未来プラス(今日の目標)を書くのですが、やるべきことや実現したいこと以上に、達成感や充実感、楽しい、安心などといった、よい心の状態を目標にしてもらうんです。
そうすると、頑張りをひと目で明確に把握できるほか、生徒が自分なりに自己評価したものに対して私たちもフィードバックしていくことができます。
このシートは、やる気レベルや体調レベルが低い生徒に対して、寄り添うきっかけにもなると考えてつくりました。
新校舎を開校予定!成長の先にある“無限の可能性”を一緒に
ー今後の展開や体験授業についてご紹介ください。
丸山:現在、宮崎市に2校舎を展開していますが、5月ごろに日南市に新しく校舎を出す予定です。
さらに、中学受験のコースを強化していこうと考えていますね。
当塾の体験授業では、1週間をとおして、面談・目標設定、塾での授業の流れ、雰囲気など、やまなみコーチング学園の特徴をひととおりご体験いただけます。
無料でおこなっているので、お気軽にお問い合わせください。
また、当塾では、体験学習プロジェクトも実施しています。
参加しやすい数時間の単発トークセッションやワークショップ、数か月かけてチームで取り組む活動など、月1回、半年くらいかけてさまざまなプログラムをおこないます。
こうした活動を通じて、ものの見方や感じ方、捉え方の幅を広げ、新たな学びを得ることで、いつもとまったく違う景色が見えることもあると思うんです。
そのなかで、自分の未来を描いていってほしい。将来につながる生きる力をつけていってほしいと思っています。
詳しい日程などは、公式ホームページで随時お知らせするので、ご確認ください。
ー最後に、読者の方へ一言メッセージをお願いします。
丸山:今ってどうしても、勉強において点数や偏差値で評価されて、友だちとも点数で比較され、学校でも家でも成績についていわれ、無意識のうちにテストでの評価が自分の評価になってしまっている気がするんです。
けれども、子どもたちの未来や可能性はそんなところだけにはないし、勉強だってやればできる。だから、子どもたちが勉強だけでなく、いろいろな可能性と強みをもっと活かせるようになってほしいんですよ。
ただ、学校に通っている以上、勉強はやらなくてはいけません。それならば楽しみながら勉強をして、自分の可能性を広げ、結果よりも過程に目を向けて一緒に成長していきましょう。
また、保護者の方も、子どもたちの過程に目を向けていってほしいと考えています。
つい感情的に「勉強しなさい」と言ってしまう場面もあるかもしれませんが、勉強をやろうとしている子どもを認めてあげてほしいんですね。
保護者の方自身もハッピーに、子どもと一緒に成長していけるようなサポートをしていけたらいいなと思っています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:個別学習塾 やまなみコーチング学園