高校受験や大学受験での受験方法によっては、「自己推薦書」と呼ばれる書類が必要になる場合があります。
受験に向けて自己推薦書を作成する必要があるものの、必要な情報や書き方がわからず困っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、自己推薦書の概要や書き方を解説します。
さらに、自己推薦書に記載する内容の具体例も紹介するので、自己推薦書の書き方に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
自己推薦書とは?
自己推薦書とは、自分がどのような人間であるかを伝え、その学校や大学にふさわしい人間であると出願校にアピールする書類です。
推薦入試や総合型選抜で受験する際に、提出を求められます。
自身の経験や強み、長所などを交えて、大学入試の場合は1,000~2,000字、高校入試の場合は400~800字程度で記載するのが一般的です。
志望理由書との違い
自己推薦書と似た書類として「志望理由書」があります。
上述したように、自己推薦書は「自分がどのような人間か」ということを出願学校にアピールする書類です。一方で、志望理由書は「自分がなぜこの学校を志望するのか」を記載する書類であり、性質が異なります。
志望理由書には、入学後に学びたいことなどを挙げつつその学校・大学に進学したい理由を記載しましょう。
推薦や総合型選抜で自己推薦書が必要な理由
推薦入試や総合型選抜で学校側が自己推薦書を提出させるのは、自己推薦書を通して「出願者の人間性や人物像」を把握するためです。
推薦入試や総合型選抜において、学校側は受験生の学力だけではなく、人物面も重視しています。
学校には「求める人物像」があり、推薦入試や総合型選抜ではそれにマッチする出願者を合格させたいと考えています。
自己推薦書は、自分の経験や人となりを文章を通じて伝えることで、自分が志望校にマッチした人間であることを伝えるために必要なものなのです。
自己推薦書を書くときの注意点
自己推薦書は推薦入試や総合型選抜において合否に大きく関わる書類であり、自己推薦書を通して自分という人間を学校側に適切に評価してもらわなければなりません。
そのため、自己推薦書を書くときには以下の点注意しましょう。
- 出願する学校・大学のことを知る
- 自分自身のことを知る
- PREP法で記載する
- 学校が課すフォーマットを確認する
- 具体的なエピソードを盛り込む
- 事実でないことは書かない
- 内容や誤字脱字・言い回しなどを添削してもらう
それぞれの注意点を、詳しく解説します。
出願する学校・大学のことを知る
「自分がこの学校に適した人間である」ということを伝えるためには、まず出願学校のことを知らなければなりません。
校風・建学の精神や力を入れている分野などを把握し、自己推薦書に記載する内容をそれらにマッチさせることで、高い評価を得やすくなります。
たとえば、「グローバルに活躍できる人材を育てる」ということに力を入れている学校であれば、留学経験やTOEICやTOEFLで高得点を取るために努力した経験を踏まえた内容を記載できるとよいでしょう。
自分自身のことを知る
自己推薦書は自分をアピールするためのもの。自分自身のことを深く理解してから作成することが大切です。
自分自身のことを知るために、「モチベーショングラフ」を活用してみてください。
モチベーショングラフとは、これまでの人生を振り返り、やりがいや充実感・やる気などのモチベーションの変化にフォーカスして整理する方法です。
過去の行動や感情に対して「なぜ?」という気持ちをもって考えることで、自分自身を客観的に分析できます。自分自身の価値観や性格を適切に把握するのに役立ててください。
PREP法で記載する
自己推薦書の中身はもちろん大事ですが、その中身をわかりやすく伝える表現方法も意識しましょう。
自己推薦書では「PREP法」と呼ばれる方法に沿って記載することで、相手に伝わりやすい文章になります。
PREP法とは文章構成方法のひとつで、「Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)」の順番で文章を構成することを指します。
PREP法を用いることで文章の流れが論理的になるので、相手に伝わりやすくよい印象を与えられる文章を作成できるでしょう。
学校や大学が課すフォーマットを確認する
自己推薦書作成のために課されるフォーマットは、学校や大学・学部によって異なります。
既定のフォーマットがある場合は、公式サイトなどからダウンロードして漏れなく記入しましょう。
その際、字数制限の有無や必要書類の有無などを確認し全体のイメージをつかんだうえで記載を進めるようにしてください。
具体的なエピソードを盛り込む
これまでの経験や頑張ったことをアピールするためには、なるべく具体的なエピソードを盛り込むことが重要です。
たとえば、部活のキャプテンとして県大会優勝に導いたエピソードを自己推薦書に記載するとしましょう。
このとき、「キャプテンとしてチームのみんなを引っ張り県大会優勝まで導いた」と記載するだけでは具体性が欠けています。
「上級生と下級生が風通しよく意見を言い合える環境を作るために、定期的に話し合いの場を設けた」や「県大会優勝というゴールを目指すために短期で達成すべき目標を設定し、そのために必要な練習内容を一から考案した」など、自分がどのような形でその取り組みに関わったかがわかるような内容の記載が必要です。
時系列に沿って記載する、具体的な数字を盛り込みながら説明するなど、読み手に伝わりやすいような工夫も心がけましょう。
事実でないことは書かない
自己推薦書は自分のことを志望校に評価してもらうための書類なので、なるべくよい内容を書きたいと思うのは当然の心理です。
とはいえ、虚偽の内容を記載してはいけません。
たとえば、生徒会役員として働いていたことをアピールしたい場合に、役職が副会長だったのにもかかわらず「生徒会長として学校全体をまとめて…」というような虚偽の記載をするようなことは避けましょう。
面接では自己推薦書の内容について質問されることがあり、その際の受け答えで自己推薦書の内容が嘘や誇張であることがわかると、マイナス評価になることは避けられません。
内容や誤字脱字・言い回しなどを添削してもらう
上述したようなことを意識して、一度自分で自己推薦書を完成させましょう。そして出来上がった書類について、学校や塾講師に添削してもらいましょう。
自分では筋の通った内容になっていると感じても、初めて読む人からすれば読みにくい内容になっている場合があります。また、自分のことをよく知ってくれている方であれば、自己推薦書に記載するべきよりよい内容を提案してくれる可能性も考えられます。
記載内容やテーマに加えて、構成や誤字脱字・表現方法も確認してもらいブラッシュアップすることで、よりよい自己推薦書を完成させられるでしょう。
自己推薦書に書くことがない?記載する内容の例を紹介
「自己推薦書に書くことがない」と悩んでいる方もいるかもしれません。もしもそう感じているのであれば、自己分析が足りていない証拠です。
モチベーショングラフを用いてあらためて自分の過去を振り返り、自己推薦書に書けるようなポイントを探しましょう。
どうしても記載内容に悩んでしまうという方は、以下の項目を参考に自己推薦書に記載すべき内容とそれに紐づくようなエピソード・テーマを考えてみてください。
- 学業面(得意科目、課外活動での学び)
- 課外活動(部活動、ボランティア、資格取得)
- 個性・特技(趣味、地域活動への貢献)
- 将来の展望や入学後の目標
自己推薦書を作成するスケジュールと必要な準備
自己推薦書を作成するためには、「大学の方針や自分の過去に対する調査」「構成の検討」「(PREP法などの)手法の確認」「実際に作成」「添削を受けて修正」というさまざまなステップが必要です。
それぞれにどれくらいの時間がかかるかは人によりますが、添削を受けて修正する工程は何回か繰り返す必要があります。
添削をしてくれる先生の都合なども考えると、自己推薦書の提出締切の遅くとも1か月くらい前には、「初稿」を完成させておきたいところです。
そこから1週間に1度のペースで「添削・修正」を繰り返せば、初稿から4回の添削を経て完成形を提出できます。
1週間に1度のペースで「添削・修正」をするのが難しい方や、もう少し添削回数を増やしてもらいたい方は、スケジュールを前倒しして考えるとよいでしょう。
いずれにせよ、どのようなスケジュールを組むかは人それぞれなので、納得のいく自己推薦書を書き上げられるように早めに考え始めることが重要です。
完璧な自己推薦書を作成して受験を有利に進めよう!
自己推薦書は、推薦入試や総合型選抜で受験する際に必要な書類で、「自分がどのような人間か」ということを出願校にアピールするために用いられます。
自分という人間が志望校が求める人材と一致していることを伝えるための書類なので、自己推薦書を書くにあたっては志望校の校風やアドミッション・ポリシー、自分の性格や価値観を適切に把握しなければなりません。
これまでの人生で自分がどのようなことに力を入れてきたか、その結果どのようなことを学んだかを自己推薦書の内容に落とし込んで、読み手に伝わりやすいような文章を構成しましょう。
なお、自分ではよくできたと思っている文章でも、他人が読むとあまり意味が通じないといったことはよくありますが、そういった文章を自己推薦書で書いてしまうと、合否に大きく影響する可能性があります。
学校や塾の先生に添削をお願いして、内容や構成、誤字脱字・言い回しなどを確認してもらい、完璧な状態に仕上がった自己推薦書を提出しましょう。