各学校でおこなっているさまざまな取り組み。地域や専門機関と連携するなど、学校独自の活動は、子どもたちの将来や社会へつながるきっかけになることでしょう。
鳥取県東伯郡に校舎を構える「湯梨浜学園中学校・高等学校」も、SDGsや海外語学研修、検定ゼミといった、魅力ある取り組みをおこなっている進学校のひとつ。
学校の周りには、山陰八景のひとつにも数えられる風光明媚な東郷湖、史跡、神社など、歴史と伝統があり、学校生活における学習環境も整っています。
今回は、校長の岩田 直樹先生に、中高一貫校だからこそ可能な“真のゆとり”教育についてお話を伺いました。
自然溢れる環境で深い学びを促す中高一貫教育
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「湯梨浜学園中学校・高等学校」がどのような学校なのか、概要や特色を教えてください。
岩田 直樹先生(以下、岩田):鳥取県東伯郡に校舎を構える「湯梨浜学園」は、生徒個々の潜在能力を最大限に伸ばし、科学技術創造立国を築いた将来の日本を支え、国際社会に貢献する有為な人材育成を目指して開校した学校です。
現在、難関国公立大学、医学科、難関私立大学に卒業生を輩出していく超進学校を目指して新たなステージを歩んでいます。
また、学校の周囲は『にほんの里100選』に選ばれるほど豊かな自然に囲まれており、最適な環境のなかで伸び伸びと学校生活を送ることができます。
本校の特色は、「中高一貫」「少数精鋭英才型私学」です。
都会にある多くの私立中学・高等学校で実証済みの、効率的で体系的な素晴らしい教育システムのもと、本当の意味でゆとりある6年間を過ごすことが可能となります。
たとえば、学習端末としてタブレットやパソコンなど、さまざまな先端技術を取り入れ、教育効果を高める取り組みもおこなっていますが、本校の一番の強みは、やはり古きよき対面授業での“教員と生徒との真剣勝負”。
本校の学園歌に「学びひとすじ…」とあるように、勉強に人一倍力を入れ、教職員一同、全身全霊、魂をこめて、熱意を感じられる授業をしていますね。
少人数制に加えて、自分の能力にあった授業は、限界や壁を設けず、子どもたち一人ひとりの能力を伸ばして、個々の才能や特性を向上させることができるんです。
「SDGs・検定・海外研修」自主自律を体現する取り組み
ー湯梨浜学園でおこなっているSDGsをはじめ、他校にはない取り組みなどについて詳しくお聞かせください。
岩田:本校では、生徒一人ひとりが学園独自の基礎研究を通じて、SDGs(※)の17の大きな目標に取り組んでいます。
単に今まで解明されている事象の追検証ではなく、生徒たちが疑問に思うこと、持続可能な社会を自分たちの力を持って実現させるためになにが必要なのかなどを意識し、大学や専門機関の協力を得て、仮説検証をおこなっていきます。
このSDGs達成に向けた取り組みにより、新たな視点で積極的に探究していく力を伸ばしていきたいと思っているんです。
具体的には、石油燃料を使わず、校庭の芝を管理するために山羊を飼育し、その排泄物を次世代燃料に還元する研究をおこなっています。
そのほか、海外研修として訪問するグレートバリアリーフで温暖化の影響によるサンゴのブリーチングと、本校の近くにある東郷湖のシジミなどといった特産物における産出量の相関関係を調査しています。
こういった自然豊かな環境でないと実践できない活動が、本校ならではの取り組みですね。
また、海外語学研修を中学と高校の6年間で計2回実施していることも、本校独自のめずらしい取り組みです。その際、単なる修学旅行とならないように、バディと呼んでいる2~3名の少人数グループを組み、現地でホームステイをします。
英語に慣れていない中学生が高校生の後ろに隠れて、コミュニケーションを取らずとも生活ができるといった環境には敢えてせず、中学生は中学生のみのバディ編成をおこない、自分たちの力で意思伝達をさせるよう心がけているんですよ。
語学研修では、グアム、オーストラリアなどの広大な自然に直接触れ合う機会を設け、日本の反対側に位置する南半球の季節感を体感してもらいます。
世界自然遺産にも登録されているグレートバリアリーフでの自然体験は、地球資源を守り、持続可能な未来を描く子どもたちの心の醸成に役立っているといえるでしょう。
成長期の早い段階で日本を飛び出し、世界に触れることで、今自分たちの周り(ローカル)で起こっていることと、世界的(グローバル)に起こっていることを結びつけ、グローカルに考える力を身につけることができるのです。
さらに、本校では、「検定ゼミ」という学校設定科目を3回つくり、通常授業のなかでこれらの取得をあと押ししています。
近年、どの学校でも、各種検定の取得が推奨されていますが、その取得に至るまでの指導や、学習計画などは個人に委ねられている現状があるのをご存じでしょうか。
ところが、本校のほとんどの生徒は、6年間で多くの資格を取得し、自信をつけて卒業していきます。
実用英語技能検定、実用数学技能検定、日本漢字能力検定、ニュース時事能力検定、実用理科技能検定などのメジャーな資格以外にも、EFR(Emergency First Response)といった、国際資格を取得することもできます。
EFRは、CPR(心肺蘇生法)とFA(ファーストエイド)、AED(自動体外式除細動器)など、事故や災害にあったときの緊急時初期対応を総合的に学ぶことができる応急手当のプログラムです。
この資格は、ライセンスを取ることだけに満足することなく、周りの人々になにかあったときには、自ら進んで積極的に行動できるほか、利他の心を持ち、行動できる人材育成のために設定されました。
本校は、およそ1学年1クラスの少数精鋭の私学ですが、その少人数クラスをさらに習熟度別にクラス分けしています。
これにより、生徒の能力にあった授業環境を提供するとともに、教員が生徒一人ひとりの様子を即座にキャッチできること。そして、教員全体に共有できるといったプラスの側面を持っていることが他校にはない特徴のひとつですね。
少人数制の結果、コロナ禍においても校内クラスターが発生することは一度もありませんでした。
(※)SDGs(持続可能な開発目標)とは、「Sustainable Development Goals」の略。2030年までによりよい世界を目指す国際目標。
未来を切り開く!夢が膨らむさまざまなイベントを開催
ーオープンキャンパス、イベントなどの告知があればご紹介ください。
岩田:小学生と保護者の方を対象にした、湯梨浜学園中学校説明会を年に2回おこなっています。
また、湯梨浜学園中学校の入試の合格を目指し、入試説明会やオープン模試などを実施したり、小学生の段階で早めに湯梨浜学園の学習環境に慣れたい生徒のために、土曜講座という学習会も開催したりしていますね。
そのほかにも、本校で飼育している動物の餌やり体験や部活動体験などもおこなっていますので、興味のある方は公式ホームページのイベント情報よりお申し込みください。
ー最後に、入学を検討している読者にメッセージをお願いします。
岩田:本校は、自然豊かな環境のなかにある進学校です。
教員と生徒との距離が近く、アットホームな雰囲気を感じられると思います。
「少数精鋭、みんなが主役」の合言葉のもと、学問の力で自分たちの未来を切り開きたいと考えている生徒の入学を教職員一同お持ちしております。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:湯梨浜学園中学校・高等学校