新年度に向けて、子どもの学年が上がる、中学生になるなどをきっかけに子どもに専用のスマートフォン(スマホ)やタブレットを検討する家庭も多いのではないでしょうか。
「Ameba塾探し」では、子どもが専用のスマホやタブレットを持つ小中学生の保護者619人に対し、子どもの過度な利用とトラブルを防ぐためにどのような管理・対策をしているのか、アンケート調査を実施しました。
アンケートによると保護者は、フィルタリングの設定や利用場所の指定だけでなく、習い事を増やして端末と距離を置く時間を増やするなどさまざまな対策を講じていることが明らかに。
その一方で、約4割の保護者が子どものスマホなどを管理することに疲れを感じていると回答しました。
子どものスマホを上手に管理“できている”“できていない”共に約半数
まずは保護者に子どものスマートフォンやタブレットの端末(スマホなど)を上手に管理できていると思うかどうかを尋ねました。
もっとも多かったのは「そう思う」で47.8%、次いで「あまりそう思わない」(40.2%)でした。しかし、全体的には「そう思う」「とてもそう思う」(6.5%)が合わせて54.3%、「あまりそう思わない」「まったく思わない」(5.5%)も合わせて45.7%と共に半数近くいました。
約7割がフィルタリングを設定。一方で「意味なし」の声も…
では、保護者はどのような方法で子どものスマホなどを管理しているのでしょうか。代表
的な管理方法として挙げられる「フィルタリング」の設定について聞いたところ、全体で
は約6割(64.3%)が「設定している」と回答しました。
特に子どもがスマホをもっていると答えた保護者の約7割がフィルタリングを「設定している」(64.3%)と回答。「設定していなかったが途中から設定した」(3.4%)を選択した人もおり、そこには実際にトラブルなどに巻き込まれた例もありました。
- ワンクリックで課金が出来るようになっていたため、本人たちも無自覚のままサブスク登録をされていたことがあった(小学3年生の保護者)
- 性的なマンガの広告をうっかりクリックしてしまっていたため (小学5年生の保護者)
- 保護者の知らない間に自分でGooglePlayのカードを買ってかなりの金額を課金していたため(中学3年生の保護者)
その一方で「設定していたがやめた」を選択した保護者も約1割(10.7%)。「制限をかけて見られないサイトが多くなり子どもが不満をもっていたから」や、「子どもがネットで検索して勝手に解除した。イタチごっこなのであきらめた」(中学3年生の保護者)という体験談が寄せられました。
また、子どものスマホなどを上手に管理“できていると思う”保護者と“できていないと思う”保護者でわけて結果を見たところ、“できていると思う”保護者の間では約7割(69.3%)、“できていないと思う”保護者の間でも約6割(58.3%)がフィルタリングを設定していることが分かりました。このことから、フィルタリング以外の管理方法がポイントとなっていることが見えてきました。
保護者が有効だと感じているのは「目で見て確認できる対策」
フィルタリング以外では、どのような方法で対策をとっているのでしょうか。
全体では「利用場所の設定」(21.6%)と「定期的な話し合い」(21.2%)がほぼ同率で1位でした。
しかし、子どものスマホなどを上手に管理“できていると思う”保護者と“できていないと思う”保護者に分けてみたところ、“できていると思う”保護者の対策は「利用場所の設定」(24.7%)がトップに。“できていないと思う”と答えた保護者の対策は「定期的な家族の話し合い」(23.3%)でした。
また、「ロックの番号を家族で共有」「閲覧履歴の確認」でも上手に管理“できていると思う”保護者の方が多い結果となり、利用場所の設定や時間など、目で見てもわかる管理方法は有効だと感じている保護者が多いようです。
ほかにも、習い事を増やしたりほかの趣味を促したりするなどして利用方法以外で対策を講じたことはあるか尋ねたところ、約4割(42.5%)の保護者に経験があることがわかりました。
もっとも多かったのは「家族でのコミュニケーション(会話や外出など)を増やした」、続いて「勉強の習い事を始めたまたは増やした」「アナログな趣味を見つけさせるようにした」でした。以下で具体的な保護者からの声をしていきます。
家族でのコミュニケーション(会話や外出など)を増やした
- 「できるだけ外で遊んだり買い物に連れていってタブレットを触る時間を減らした」(小学3年生の保護者)
- 「家族でトランプをしたり、一緒に映画を見たりする時間を増やしています」(中学1年生の保護者)
勉強の習い事を始めたまたは増やした
- 「公文に通わせて、宿題をやる時間、通う時間を増やして使用時間をなるべく減らしている」(小学4年生の保護者)
- 「息子の友だちが毎日のように我が家に来てゲームやタブレットで遊ぶのを見ているのも辛くなったのと、これでは外にも出ないであまりよくないと思ったから」(小学4年生の保護者)
アナログな趣味を見つけさせるようにした
- 「絵を描いたりピアノを弾いたりボードゲームをしたり、アナログで頭と指先を使う遊びなどを積極的に取り入れた」(小学6年生の保護者)
- 「工作キットやプラモデル、カラーペンのセットなど手を動かすためのホビー用品を購入した」(中学3年生の保護者)
約4割が「スマホ管理疲れ」小学生ではYouTube、中学生ではSNSが悩みの種に
アンケートから、フィルタリングや家庭でのルールを決めたり、また家族の会話や習い事などを増やして物理的に端末から手を遠ざけるようにしたりするなど、子どものスマホなどの利用をめぐって奮闘している保護者の姿が明らかになりました。
そこで、子どものスマホなどの利用を管理したり注意を促したりすることに疲れを感じたことがあるか尋ねたところ、約4割(38.8%)が疲れを感じたことがあると回答。さらに、特に子どものどのような利用において管理疲れを感じているか尋ねたところ「YouTube」がもっとも多く、「SNS」が続きました。
YouTube
- 「朝起きて身支度もせずYouTubeを見る行動が増え、ご飯も食べずに依存しケンカになることも多々。しつこく言うのが疲れる」(小学4年生の保護者)
- 「時間制限の対策をとっても、お友だちから抜け道を教えてもらい、いつの間にか制限時間以上に使用している」(中学1年生の保護者)
- 「普段の生活では使わない過激な言葉や卑猥な言葉とその意味を知っていた。現実の世界で発しては危険だと思いその都度注意はするが追いかけっこ状態」(中学2年生の保護者)
SNS(LINE、YouTube以外)
- 「発信する内容を逐一指導することは不可能」(中学2年生の保護者)
- 「 “ほかの友だちはやっているから”などと言われたらアカウントを作っちゃダメとも強く言えず、口約束だけでは実際どこまで守っているかわからない」(中学2年生の保護者)
- 「友だちの投稿を見てうらやましいと言ってくるとき」(中学3年生の保護者)
YouTubeの視聴に関する悩みは小学生の保護者から、中学生の保護者からはSNSに関する悩みが多く寄せられており、スマホなどの利用に関しても子どもの年代によって保護者の悩みは変化しているようです。
“持たせる年齢を遅くする”は効果なし?効果的なサポート1位は⁉
結果として保護者は、子どもの過度な利用とトラブルを防ぐためにどのような管理やサポートなどの対策が効果的であり、また効果的ではないと感じているのでしょうか。
「効果はあまりないと感じた対策やサポート」としてもっとも多かったのは「端末を子どもに与える年齢を上げること」 (20.0%)でした。「遅ければ遅いほど心配ごとが減るのでは…」と考えがちですが、実際に使用させている保護者はそれらは得策とは考えないようです。
- 「年齢が低くても周りの友達が持っているためいじめにつながる可能性があるため」(小学3年生の保護者)
- 「年齢をあげても端末をさわることが初めてだとやはり未熟なためトラブルにあいやすいと思う。年齢があがるほど親に隠したりすることもうまくなるので」(小学4年生の保護者)
二番目に多かった「ネットトラブルなどのニュースを見せたり共有すること」(16.2%)については、特に小学生の保護者からの声が多く寄せられており、「見せても子どもは実感が湧かない」と考える一方で、まったく効果を期待していないのではなく、今はわからなくても「いざというときに思い出す抑止力になる」と考えている保護者も一定数いました。
「効果的があると思った対策やサポート」では、「何かあったときに保護者に相談しやすい環境をつくること」(28.9%)と「家庭で利用方法についてのルールを作り守らせること」(28.6%)がほぼ同率でそれぞれ約3割となりました。
- 「利用を制限していても何かトラブルに巻き込まれてしまうこともあるかもしれないから、そのときにすぐ保護者に言える方がいい」(小学5年生の保護者)
- 「スマホ以外でも、困ったり悩んだりとなんでも正直に話せる関係であれば問題無いと思う。なんでもよく会話して交友関係を知ることが大切だから」(小学6年生の保護者)
- 「スマホ利用に関して制限を設けすぎるのは今後のデジタル社会において反していると思っていますので、社会ルールを覚えさせるのと同じように伝えていくことが重要」(小学4年生の保護者)
- 「だめと言っても制限をかけてもこっそり触ってしまうものなので、あまり抑えすぎずに、トラブルに巻き込まれたときに早めに対処できる方法は子どもから相談されること」(中学3年生の保護者)
- 「いつでも子どもを信頼していることを伝えて、困ったことがあれば相談できる関係性を作っていれば、子どもも自分がしたいことがあれば言ってこられるので、隠れて悪いことをする必要がなくなるから。管理したら、それに反発したり、抜け道を探したくなるのが子ども」(中学3年生の保護者)
対策に正解はありません。アンケートを参考にさまざまな対策を組み合わせながら、保護者と子どもに合った方法をぜひ探してみてください。
まとめ
「子どもの端末を上手に管理できている」と感じている保護者は約半数で、そのうち約7割がフィルタリングを設定していました。
フィルタリング以外の管理方法としては、「利用場所の設定」や「定期的な話し合い」が主に挙げられていましたが、目で見てもわかるような「利用場所の設定」「ロックの番号を家族で共有」「閲覧履歴の確認」は有効だと感じている保護者が多いようです。また、物理的に端末を利用できないように、家族団らんの機会を増やしたり、塾などに通わせたりする保護者も。
そのように試行錯誤を繰り返すことで、保護者の約4割が「管理疲れ」を感じていることも明らかになりました。アンケートから子どものスマートフォンなどの利用を巡って頭を抱える保護者の様子が伝わってきます。
過度な利用とトラブルを防ぐための“絶対的な対策”というものはないからこそ、スマホなどの利用に関しても「なにか起こるかも知れない」を前提に保護者は子どもを見守り続け、且つ「なにかが起こったときに相談できる環境」をつくることがもっとも効果的な対策なのかもしれません。
【調査概要】
調査期間:2023年3月7日~2023年3月16日
調査機関:自社
調査対象:全国の小学生の保護者619人
調査方法:インターネット(クラウドワークス)
調査内容:「子どものスマートフォンやタブレットの管理」に関するアンケート