日本テレビ系『スッキリ』(2023年3月31日で番組終了)で毎年話題となっている「お受験密着シリーズ」! 2022年度はお笑い芸人・エハラマサヒロさんの長女・美羽ちゃんが中学受験に挑戦しました。
美羽ちゃんの前向きに勉強に取り組む姿はもちろんYouTube「エハラ家チャンネル」でもお馴染みの賑やか家族が一丸となって支える姿に胸を打たれた方も多いのでは?
「親子で本当にいい経験になった」と子どもの中学受験を笑顔で振り返るエハラさんですが、実は自身が進学校に通って猛勉強していたが故に、我が子の勉強への姿勢を見てジレンマに陥ったことも…。
そんなエハラさんが美羽ちゃんの中学受験を振り返って、親が子どもにできるサポート、親の役割や心構えについて語ります。
「一日2つならラッキー!」習い事をハシゴしていた小学生時代
―まずは中学受験お疲れ様でした! この一年お忙しかったと思いますが今はご家族皆さんどのようにお過ごしですか?
エハラマサヒロ(以下、エハラ):ありがとうございます。忙しかったですね~。今は美羽もかなりのプレッシャーと勉強から解放されて、今が一番人生を謳歌しているんじゃないですかね?
通う中学校は家からも近いし、制服もお気に入りみたいで、「中学どんなふうに過ごそうかな~」って待ち遠しいんじゃないかな。
―実はエハラさんご自身は小学校受験の経験があるそうですね。
エハラ:そうなんですよ、大阪教育大学附属天王寺小学校に受験をして入りました。(自身の母は)教育ママでしたね~(笑) 小学校に入る前から体操クラブ、塾…小学校に入ってからもピアノ、エレクトーン、公文、塾、空手、少林寺拳法、相撲、サッカー、書道、アトリエも行きましたね。
だから、毎日学校が終わってから習い事が2つか3つ。2つの日は「ラッキー」って思うくらい忙しかったですね。
―そんなに教育熱心なお母さまがエハラさんの「芸人になりたい」という夢をどのように理解されたんでしょう?
エハラ:僕、小学校3年生のときに「吉本の芸人になる」って決めたんですよ。そこから一度も夢変わらず、高校までずっと! 親は「どうせこれから色んなことを経験して夢も変わっていくだろう」と思っていたらしいんですけど、高校まで一度も変わることがなかったので、「それだけやりたいんだったらやってみ」って。
実は僕の通っていた学校、進学校なんです。卒業後もみんないい大学に進学していました。首相官邸のニュースなんかを見ていたら同じ学校だった子が総理大臣の隣りにいたことも。大学に進学しなかったの多分僕くらいしかいないので、僕の代だけ進学率は99%かも知れません(笑)
―そんなにハッキリとした「芸人になりたい」という目標がある中で、勉強はどのようなモチベーションでやっていたんですか?
エハラ:親にめちゃくちゃ口酸っぱく「勉強しなさい」って言われて塾行って、やっとでしたね。でも中学に上がるときはめちゃくちゃ勉強しました。内部進学とは言え1/3落されるので結構難関なんです。
当時はどれくらい勉強していたかって子どもだからよくわからず、ただただ「しんどい~」ってイメージしかなかったんですけど、今回、美羽の中学校受験にあたって子どもの勉強を見るじゃないですか? めちゃくちゃスラスラ解けるんですよ。そこで初めて「あのとき相当勉強していたんだな」と知りました(笑)
受験密着取材への批判にも「答えは自分たちのなかにある」
―ご自身にそんな思いがあるなかで、美羽ちゃんが中学受験をするきっかけはなんでしたか?
エハラ:嫁さんが高校受験を経験してすごく大変だったらしく、それに比べたら中学受験の方がまだ人数が少ないから「そっちをする選択肢もあるよ」という、そんなさり気ない感じの入り口でしたね。
美羽はそれを聞いてどんなものか分からないけれど「やってみようかなぁ」…って。
―そこにテレビで密着取材も入りましたね。
エハラ:それに関してはとてもよく話し合い、美羽にも「どっちでもいいよ」と伝えていました。さまざまな選択肢のなかで、テレビで放送されることに関するメリットについて話し、見られることでモチベーションが上がることも伝えたら、本人も「自分もそう思うんだよね」と言ったんです。
まぁ、「受験を放送するのはどうなんだ」も絶対言われるとわかっていました。「テレビで子どもの顔を晒すのはどうなんだ」みたいな議論はずっとされていますが、家族のなかでは、そこに対する明確な答えがあるので気にしません。こういうことって言ってもわかる人にはわかるし、分からない人にはわからないですし。
だから密着取材をされる、されないとかそういうことよりも、美羽には「受験に落ちても悪いことじゃない。落ちたら人より劣っているわけでもない。合格したからすごく優れている子、落ちたから劣っている子っていう分け方なんかない。中学受験は自分が目指すところに向けて一生懸命頑張ったという経験なんだよ」と、それを常に言い続けていました。
―中学受験に臨むにあたって、ご夫婦ではどのような心構えを意識していましたか?
エハラ:我が家は難関校を狙うのではなく、今の自分よりちょっとハードルの高いところを目指して一生懸命勉強し、失敗しても成功しても彼女によっていい人生経験にしてほしいな、という意識でやっていました。
また、「家庭教師のトライ」さんがついてくれて本当に丁寧にサポートしてくださったので、安心してお任せしていました。
―ご自身も一緒に勉強されている姿がテレビで度々放送されていましたね。
エハラ:楽しいんですよ~、勉強が。模試などが終わったあとは問題を貸してもらって同じ時間で解いてみたりして、やりましたよ。
それに僕、子どもが勉強を楽しんでやる方法を考えるのが得意なんです。子どものときも「嫌いな勉強がどうやったら楽しくなるか」そればかり考えていたので。
例えば「パパからミッションです!」「タイムアタックにしよう」と1ページ3分に設定してゲーム感覚を取り入れて時間オーバーしたら「あぁ~残念~」ってリアクション。すると子どもは「次は絶対3分切ってやる!」みたいにモチベーションが上がってね、結構盛り上がるんです。
―なるほど! ただ、子どもに楽しんで勉強させたいとわかってはいるけれどなかなかハードル高いかも(笑)
エハラ:そうですよね。親も疲れて相手に何か与えるキャパシティーがないときってありますよね。僕もそういうときは無理矢理付き合わないようにしています。頑張ってテンションを上げても自分に余裕がない空気って子どもは絶対察するんですよ。そんな関係性で教えた勉強は絶対身に付かないから、「子どものために無理にでも…」ということはしませんでした。
少なくとも、「なんでそうなるの?」「さっきも言ったじゃん!」っていう教え方する人がいるんですけど、そんなことを言われても子どもは「すみません」としか言えないので、よくないですよね。僕も子どものときそうでしたから。
「こんな勉強量じゃ…」自身の子ども時代と比べて葛藤も
―美羽ちゃんも受験勉強のなかで落ち込んだり悩んだりしたことがあったと思うのですが、そんなときはどのように声をかけていましたか?
エハラ:自分の勉強のできなさにへこんでいることはめちゃくちゃありましたね。自分のなかでは今までで一番勉強したって思って試験に臨んでも、成績の立ち位置がそんなに変わっていないとか。これに関してはみんなも頑張ってるから。でも子どもは「自分って何も成長していない」って思ったりしてすごく落ち込んでしまうんですよね。
ただ、前提として僕はへこむことは人生においてめちゃくちゃいいことだと思っているんです。次のモチベーションになるから。だから心が折れないところまでは存分に子どもをちゃんとへこませてあげることかなって思って。
だけど、両親までも一緒にへこんだり怒ったりすると、子どもは余計落ち込むので、そんなときは「まぁ、次頑張ろうよ」って語りかける程度に留めて「もうちょっと頑張ろう」と思える気持ちを引き出せるようにしました。
―逆に子どもにかける言葉で「言わなきゃよかった…」「失敗したな」と思うことありましたか?
エハラ:いろいろ言いたくなる気持ちを抑えていましたよ。葛藤ありましたね、やっぱり。
自分が小学校のときにはめちゃくちゃ勉強させられていたから、長女がやってる勉強を見てて「いやいや、そんなもんじゃなかったぞ俺のときは」「そんな勉強量で受かるわけないじゃん!」ってどうしても思ってしまうんです。思ってしまうんですけど、「これを言っちゃダメだ」ってそういう気持ちと常に戦っていました。
それらも全部自分の子どものときからの経験からですね。「なんで勉強できないの!」「いくら払ってると思ってるの!?」って。僕が言われたくないことを親はいっぱい言ってくれていたので、自分の子どものときは親を反面教師にできました。教育ママで良かったです(笑)
とは言いますが、今になったらめちゃくちゃ親の愛情を感じるんですよ。あれだけ習い事をさせるって並大抵じゃない! 家事をしてスケジュールを組んで全部の習い事の送迎をして…並々ならぬ愛情だったんですよね。それほどに熱が入っているからこそあれだけ言ったんだろうなと今はすごく感じます。
「めちゃくちゃ考えた」受験戦略!娘は“落ちた空気”でスイッチオン
―エハラさんにとって中学受験はどのようなものでしたか?
エハラ:「受験はなにか」と言われると、子どもに大きな経験をさせてあげられることでもありますし、親にとっては今までに経験したことがない「自分が頑張る方がよっぽど楽だ」って思うほどの経験なんです。このときのメンタルの保ち方や、自分の行動など色々と見直すところもあり、親は親で成長する大きな機会ですね、とても勉強になりました。
―中学受験全体を通して親ができる一番のサポートってなんだったと思いますか?
エハラ:正直、具体的に言うと親だからこそできる一番のサポートは「受験の戦略」かな。
第一志望、第二志望をどのタイミングで受けるのか、何教科で受けるのか。このときに落ちてしまった場合、子どものモチベーションはぐっと下がっちゃうからそれをどうケアするのか。例えば、落ちるはずがないと思っていた学校を落ちたときって一気に焦るじゃないですか。そうすると、焦って子どもは体調を崩すかもしれないとか、その辺りのケアまで考えて行動した方がいいですね。めちゃくちゃ考えました。
分からないことがあったらすぐ、トライさんに聞いて相談に乗っていただきました。
我が家は、いわゆる前受け受験でチャレンジ校に落ちているのですが、美羽自身は受験がどんなものか分かっていなかったので、本人も「落ちてもそんなに落ち込まないでしょう、大丈夫」って気持ちだったようなんです。でも、落ちたときの空気を初めて肌で感じたことで一気にスイッチが入った。それがよかったですね!
―そこにおいては、親でありながら第三者的目線も求められますね。
エハラ:そうなんです。だからよく聞くとは思うのですが、「熱くなりすぎないこと!」大切です。「子どもを絶対ここの学校に合格させる」と、親の意思を勝手に子どもに映して冷静さを欠くことが一番よくないですね。
よく「私たちがこれだけ頑張っているのに子どもが頑張ってくれない」なんて聞きますが、“私たちがこれだけ頑張っている”は親の意思ですから!
それに気づかないから子どもが結果を出せないときに腹が立つんだと思います。これって受験だけじゃなくスポーツでも問題になっていますよね。自分の挫折経験を子どもに投影して熱くなりすぎて、うまくならないことに怒り出す…それってもう主観が入りすぎなんですよね。
満足の受験!どこを切り取ってもいい経験になった
―子どもの中学受験を経験して一番よかったことはなんでしたか?
エハラ:“子どもの成長を間近で見られた”ということですね。
前受け受験の二校目で合格して嬉し泣きしている美羽を見てね…その瞬間僕も突然思い出したんですよ、中学の内部進学で受かった合格通知が来たときに嬉し泣きしたことを。それ以来人生で嬉し泣きってない気がして…それくらい嬉しかったんですよね。
あのとき僕が味わったあの衝撃的な感覚を美羽は今感じているんだと思ったら「うわー、人間として大きく成長した瞬間なんだろうな」って、それが本当に嬉しかったです。
だから本当に満足の受験。成功体験、失敗体験それに向かう努力の過程、どこを切り取ってもいい経験になったなと思っています。
―心からそのようにおっしゃってくださっているのがわかります。本当にいい受験だったんですね。
エハラ:まぁ終わったからですけどね。しんどかったですけどね、やっぱり(笑)
これから受験に臨む親へ、経験した者としてアドバイスをするとしたら「この子が受かるためにこれやらなきゃ」「私の方が受験のこと知っているんだから」じゃなくて、その子のモチベーションを保ってどうサポートするかっていうことを考えてあげて欲しいかな。
それぞれのやり方があるとは思いますが、子どもの人生のなかの大きな経験のひとつにさせてあげてほしいですね。
取材協力:エハラマサヒロ
YouTube:エハラ家チャンネル
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