今、世界で注目を集めているe-Sports(イースポーツ)。e-Sportsとは、エレクトロニック・スポーツの略で、ゲームをスポーツ競技として捉えた名称です。
近年、日本でも大会が開かれ、盛り上がりを見せていることから、e-Sports部を設立する高校も増えてきました。
そこで今回は、2019年にe-Sports部を発足した「京都廣学館高等学校」を取材。e-Sports部 顧問の高野 洋輔先生、副顧問の大嶋 駿太先生、部員の市倉 祥さんに、創部したきっかけや活動内容についてお話を伺いました。
e-Sportsを通じた新しい教育に興味のある方は、ぜひオープンキャンパスのクラブ体験に足を運んでみてはいかがでしょうか。
勉学もクラブ活動も全力でサポートする京都廣学館
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「京都廣学館高等学校」がどのような学校なのか、概要を教えてください。
大嶋 駿太先生(以下、大嶋):京都府相楽郡に校舎を構える「京都廣学館高等学校」は、心を育む教育をとても大切にしています。
本校では、少林寺拳法と坐禅を授業に取り入れ、徳(人間力)・体(行動力)・智(思考力)の調和のとれた人格の形成を図り、礼節をわきまえ、豊かな人間性を持った本当の意味で社会に貢献できる人材を育てているのが特徴です。
人間教育の柱のひとつである少林寺拳法では、人間は「育つ可能性を有する種子」だと教えています。
本来、一人ひとりが間違いなくその可能性の種子、つまり明珠を持っていますが、最初から明るく輝いているわけではなく、それに気づき、取り出し、磨かなければなりません。
本校の教育理念である「人間の能力は生まれつきのものではなく、その人の努力によって開発され、無限に伸ばされる」は、まさにこのことを示しているのです。
また、本校は、一人ひとりの目指す将来像を見据えながら、自分らしく学び、高みを目指せる2コース制になっています。
通常授業に加え、多様な学習サポートによって目標とする大学進学を目指す「アドバンスコース」と、基盤となる授業、部活動、そして放課後の学習会や各種検定試験などを通じて、自分らしい進路実現を目指す「ジェネラルコース」です。
本校は、それぞれの可能性をとことん伸ばし、勉学やクラブ活動に全力でチャレンジする生徒を精一杯サポートし続けます。
ー2019年に発足した新しいクラブ「e-Sports部」を創部したきっかけや、活動内容についてお聞かせください。
高野 洋輔先生(以下、高野):ゲームというのは、年齢や性別に関係なくおこなうことができ、一生懸命練習すればひとつの技能になります。
そういったことも、「努力によって能力は無限に伸ばされる」という、本校の教育理念に結びつくと考え、私と企画室のメンバーで立ち上げました。
しかし、もともと部員がいない状態でいきなりつくった部だったので、先生方からは不安の声もあったようです。
今では部員も集まり、メディアに取り上げられることも多く、たくさんの先生から応援していただいています。
e-Sports部は、基本的に月曜・水曜・金曜日の週3回、16時から18時ごろまで、競技の練習をメインにおこなっています。
実際にゲームをプレイする以外にも、プレイ動画の視聴や、細かな戦略の研究、その内容をチームメイトと共有して話し合うこと、常に冷静にプレイするための精神を培うことなど、幅広く練習していますね。
ほかの活動としては、オープンキャンパスのクラブ体験の際に生徒に司会進行をしてもらったり、そのあとのe-Sportsの体験で中学生とコミュニケーションを取ってもらったりもしています。
部員は、2年生が3名、1年生が11名です。
代表的な戦績は、2020年「QUATTRO SUMMER CUP京都高校eスポーツ部 PUBGモバイル」で2位、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA【eFootball ウイニングイレブン部門】」で京都府代表になっています。
また、2021年「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2021 MIE モンスターストライク部門 少年の部 関西ブロック代表決定戦」でベスト4。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2021 MIE eFootball ウイニングイレブン部門 高校生の部」では京都府代表です。
e-Sportsを通じて育てる「自主性・自発性・挑戦心」
ーe-Sports部の顧問として意識している点などはありますか?
高野:私が大切にしていることは、生徒の自立です。
たとえば、オープンキャンパスのクラブ体験のイベントでは司会進行をひとりでしてもらうのですが、こういった人前で話す経験はとても勉強になると考えています。
1年生全員、ひとり一回は喋ってもらう機会があり、私の無茶振りでいきなり指名することもあるので、生徒は冷や冷やしているのではないでしょうか。(笑)
また、そのあとのe-Sports体験で中学生に話しかける際も、自ら進んでコミュニケーションを取る必要があります。
e-Sportsは、2人1組、5人1組などのチーム戦が多いため、今まで家でひとりでゲームをしてきた子も、チームを組んで協力して戦わないといけなく、必然的にコミュニケーションを取らないといけないんです。
このように、コミュニケーション能力や、自主性、自発性を育てることは、進学や就職したときにも役立つので、生徒にはさまざまなことに挑戦してもらい、自分の道を切り開いていってほしいなと思っています。
大嶋:私は、今年からe-Sports部 副顧問を担当させていただいていて、主にオープンキャンパスでおこなうクラブ体験のお手伝いをしています。
活動紹介を通じてe-Sportsの魅力を体感してもらうことはもちろん、本校のことを深く知ってもらい、入学したいと思ってもらえるよう、意識してサポートしています。
実際、e-Sports部自体が珍しいのもありますが、部員がいつも頑張って活動してくれていることもあって、クラブ体験の参加者が結構いるんですよ。
e-Sports部以外にも、強豪の吹奏楽部や、話題のライフル射撃部、ボクシング部、ダンス部なども体験可能なので、ぜひ興味のある部に参加してみてください。
ー部員の方へ質問させていただきたいのですが、入部のきっかけやe-Sportsをおこなっていて楽しいことや大変なこと、これからの目標や挑戦したいことを教えてください。
市倉 祥さん(以下、市倉):もともとゲームが好きで、好きなことなら続けられると思い、入部しました。両親はゲーム好きの僕を理解していたので、入部については肯定的だったと思います。
やはり基礎的な練習は大変なのですが、上達すると楽しく、達成感を感じますね。
これからの目標は、大会で上位を目指すことです。また、Splatoon(スプラトゥーン)というゲームでランキング上位を目指すなど、さまざまなことに挑戦していきたいです。
イベントを開催予定!ゲームだけじゃないe-Sports部を
ー今後の目標や、オープンキャンパス、イベントなどの告知があればご紹介ください。
高野:本校は京都にあるので、まずは京都内の試合で勝っていきたいですね。
また、今後の目標として、e-Sportsの大会を開催したいと思っています。
今年、本校の文化祭で校内大会を開いた際、とても盛り上がり、メディアにも取り上げていただいたので、来年度にはもっと規模を広げて開催したいと考えているんです。
告知については、4月15日(土)10:00~ミニオープンキャンパスの実施。続いて、4月29日(土)13:00~から、八幡市文化センターで本校のスペシャルイベント「春演舞」をおこなう予定です。
そこでは、吹奏楽部やダンス部、和太鼓部が演奏するほか、文化センターの1室をお借りして、e-Sportsの体験イベントを考えています。
今まではe-Sportsを体験するのみでしたが、今回はご自身でお持ちの、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)などのゲーム機を使って、マリオカートや大乱闘スマッシュブラザーズを部員と一緒にできたらおもしろいなと思い、計画中です。
オープンキャンパスやクラブ体験の日程は、本校の公式ホームページでご確認いただき、お申し込みください。
ー最後に、入学を検討している読者にメッセージをお願いします。
高野:e-Sportsと聞くと、ほとんどの方がゲームをするだけだとイメージされるかと思います。
しかし私は、ゲームをとおして、さまざまな経験ができると考えています。
今年はゲーム以外にいろいろなお話を多方面からいただいているので、“ゲームだけじゃないe-Sports部”を見せたいですね。
ぜひ興味がある方は、オープンキャンパスに来ていただけたら嬉しいです。
大嶋:高校選びの基準って人それぞれで、チェックするポイントもいくつもあると思うのですが、そのなかで部活動は大きく影響してくると思うんです。
近年は高校でもe-Sports部が増え、高校を選ぶ際の選択肢にe-Sports部を入れているケースもあるのではないでしょうか。
もしe-Sportsに興味を持ったなら、ぜひいろいろなクラブ体験に足を運んで選んでほしいですね。そして本校のイベントにも来ていただけたらと思います。
本校のe-Sports部の活動が、学校を選ぶきっかけになればと思っています。
市倉:京都廣学館高等学校のe-Sports部はみんなでわいわいしながら活動しています。ぜひみなさん一緒にe-Sportsを楽しみましょう!
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:京都廣学館高等学校