「愛農学園農業高校」を取材!“体験的にしか学ぶことができない”体験とは?

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気がつけばスマートフォンを手にしている…スマートフォンなしの生活は考えられないという方は多いでしょう。

三重県伊賀市にある日本で一番小さな全寮制の農業学校「愛農学園農業高等学校」には、スマートフォンやゲーム機を持ち込むことができません。

しかしそこは、たくさんのいのちと生きていく場所。普通に生活しているだけでは学ぶことができない多くのことを体験できます。

今回は、教頭の泉川 道子さんにお話を伺いました。

農業や全寮制の学校に興味がある方は、ぜひご一読ください!

  1. 農業の担い手を育てる全寮制の学校
  2. 自給率70%!生徒を大きく成長させる学校生活
  3. 学校生活を体験できる体験入学も開催

農業の担い手を育てる全寮制の学校

愛農学園農業高校

ー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、「愛農学園農業高校」の概要をお聞かせください。

泉川 道子さん(以下、泉川):愛農学園農業高校は、三重県伊賀市にある男女共学の農業高等学校
です。

本校では勉強だけではなく、「人間が人間らしく、自分が自分らしく生きていく」ことを大切にしていて、1964年の創立以来、聖書を土台とした教育をおこなっているんですよ。

小さいときからクリスチャンホームに育って、教会へ通っていたという生徒もいれば、愛農に来て初めて聖書を手にするという生徒もいますね。

本校でおこなっているのは決して生徒全員をクリスチャンにしようという教育ではありません。

私たちがおこなっているのは、人間とは何か。良心とは何かを聖書を通してお互いに学び合うこと。私も聖書を教えていますが、生徒からもたくさんのことを教えてもらっていますよ。

定員は1学年25名まで。現在(2022年度)は1年生20名、2年生20名、そして3年生21名の日本で一番小さな農業学校です。


生徒の大半は近畿圏内の出身ですが、全寮制のため関東、北海道や長崎県から来ている子もいますね。

最近はインターネットで検索をして受験をしてくれるお子さんが増えました。「農業高校」「全寮制」といったワードで検索して見つけてくれるようです。

生徒本人が検索することもあれば、親御さんが検索してくださることもあります。

もちろん、親御さんが当校の教育環境がお子さんに合っていると思ってくださっても、受験の際には本人の意思を確認させていただいています。

自給率70%!生徒を大きく成長させる学校生活

愛農学園農業高校

ー貴校ではどういったことが学べるのでしょうか?

泉川:
もちろん国語、英語、数学、理科、社会の授業もありますが、農業高校ですので、実習がたくさんあります。

入学して最初の1年間は牛・豚・鶏・野菜・米・果樹6つの部門をローテーションで回るんですよ。2年生に進級するときに、どの部門へ進みたいか決めてもらいます。

そして2年生に進級してから3年生で卒業するまでの間は、主体的に責任をもって自分が担当する部門の牛だったり、豚だったりの世話をすることになります。

当然、実習時間だけでは家畜の管理はできません。

酪農部の生徒は朝5時半から搾乳に行きますし、養鶏部の生徒は卵を集めに鶏舎へ、養豚部の生徒は餌や掃除をしに豚舎に行きます。野菜部の生徒も収獲や除草をおこないますよ。

そんな学校ですので、学校というよりは生徒によっては、毎日キャンプをしているような感覚かもしれませんね。

ー貴校の強みも教えてください。

泉川:生徒たちにも尋ねたところ、「生産性があること」だという答え
がありました。本校の自給率は70%。

生徒が自分たちで責任をもって育てて、自分たちでキッチンに出荷して、自分たちで調理員とともに調理する。そして、それらが自分たちの食卓に戻ってくる。そんな農場から食卓までが目に見えるサイクルで循環しているんです。

たとえばたくさん虫が喰った穴だらけのレタスができたら、それは野菜部の責任として穴だらけのレタスが食卓に並びます。


そうやって全員が責任をもって担当する家畜や農作物の世話をし、食卓に上がったものを自分たちで感謝して日々食しているのです。

3年間生徒たちはそういったサイクルを体験しますが、本校以外ではなかなか体験できることではないでしょう。

もちろん寮生活も大事な要素です。1年生から3年生まで、それまで家族と暮らしていた子たちが寮生活をおこなうので、本当にいろいろなことがあります…。しかしそれ以上に素晴らしい学びがありますよ。

普段私たちが口にしているものが、どうやって育てられたのか…。3年間で本当に多くのリアルなことを体験することができますね!

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学校生活を体験できる体験入学も開催

愛農学園農業高校

ー今後開催予定のイベントや、寄付などの告知があれば教えてください。

泉川:
本校は全校生徒が60名ほどの小さな学校です。

経営面を考えると定員を増やしたほうがよいのでしょうが、高校生という多感な時期を、真剣に大人が一人ひとり、目をかけ、手をかけ、心をかけて育て上げるのは大変なこと…。

これからも少人数で、一人ひとりを大切にしていきたいと考えています。

学校名に「農業」がつくので、自分には関係ないと思われることも決して少なくありません。

しかし、人間として大きく成長できる学校ですので、もっと多くの方に本校のことを知っていただきたいですね。

1日だけの「オープンキャンパス」、1泊2日の「体験入学」も実施しています。毎年7月には2泊3日の「夏期生活学校」もありますよ。

次回の体験入学は11月11日・11月12日。オープンキャンパスは1月13日に開催予定です。

また、本校の教育方針にご賛同いただける方からのご寄付もお願いしております。

どちらもホームページに記載しておりますので、ぜひご覧ください。

―最後に読者の方へのメッセージをお願いします。  

泉川:
ある意味日本の高校教育は過渡期にきていると感じます。

頭打ちというと語弊があるかもしれませんが、特にインターネットが発達したこともあり、子どもたちは興味があることをいくらでも検索して知識を得ることが可能になりました。

一方で、牛の搾りたての牛乳の味はどんな味がするのか、豚は何頭子豚を産むのかといった体験的な学び。

また、自分自身は食べ物からできているけれど、その食べ物はもともとどういう状態だったのかなどを知ることができる環境が本校にはあります。

本校にいる3年間で、生徒たちにはたくさんの“リアルなこと”を経験して欲しいと考えています。そのため、本校はゲームやスマートフォンの持ち込みを許可していません。むしろ学園で学ぶ3年間は、愛農でしか学べないこと、愛農だからこそ学べることに没頭してほしいのです。

ゲームやスマートフォンが大好きな方には、厳しいかもしれませんが、これをポジティブなこととして捉え、入学してくれる生徒もいるんですよ。

リアルな体験をたくさんしてみたい方は、ぜひ一度遊びに来てください。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


■取材協力:愛農学園農業高等学校

島田 佳代子
この記事を執筆した執筆者
島田 佳代子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期よりピアノ、水泳、硬筆、英会話などを習う。中学受験をして英語教育に力を入れる中高一貫の女子校へ進学。その後、都内の短大を経てイギリスへ留学。マンチェスター市内のカレッジで観光・旅行学を学びながら、執筆活動を開始し、スポーツ、旅行、ビジネス、教育など幅広い分野で執筆経験がある。2021年9月から「テラコヤプラス by Ameba」にてライターとして従事し、保護者やお子さまに興味をもっていただける記事づくりを目指しています。